制動距離 自転車 探険!

制動距離 計算器 制動距離グラフ 制動距離に関する法規制 制動距離のJIS規定
制動距離のCPSC規定 スリップ率 前後輪のブレーキの利き ピッチオーバー

  ブレーキをかけると、その位置で止まるように感じられる。しかし、実際はある距離(制動距離)を走って止まる。
  ブレーキをかけたときの速度(制動初速度)が速いほど、制動距離は長くなる。路面の状態によっても制動距離は変わる。

制動距離 計算器

  制動初速度が同じなら、制動距離は自転車と自動車ではさほど変わらない(質量に依存しない)。従って、この計算器は自動車に対しても適用できる。

制動距離 計算器
−− 道路状態 −− 
   乾いたアスファルト
   濡れたアスファルト
   砂
   固まった雪
   氷
 走行速度   km/h 
 制動時間    秒
 制動距離   m

  道路の状態を選択して、走行速度(制動初速度)を半角数字で入れて、[計算]を押して下さい
最短制動時間および最短制動距離が出ます。

[ 計算例 ]
乾いたアスファルト舗装路において、速度20km/hの時にブレーキをかけると
制動時間は0.7秒そして制動距離は1.8mとなる。
制動時間 :ブレーキをかけてから停止するまでの時間。
制動距離 :ブレーキをかけてから停止するまでに走る距離。
最短の意味 :ブレーキの利きが悪いと、制動距離はこれより長くなる。
一方、ブレーキの利きをいくら良くしても、制動距離はこれ以上短くならない。
質量の影響 :入力項目に体重、自転車および荷物の質量がないのは、その影響が無いため。
制動距離は速度に対応した慣性力と制動力(タイヤと路面の摩擦力)の兼ね合いで決まる。
慣性力は質量に比例するが制動力も質量に比例する。
そのため互いに打ち消しあって影響が無くなる。
直感に反するかもしれないが、体重が大きいから又は荷物が重いから
制動距離(最短)が長くなるということはない。

制動距離グラフ

  「制動距離計算器」で計算した制動距離をグラフにして右図に示す。
グラフの縦軸は制動距離[m]そして横軸は速度[km/h]。
道路状態は、乾いたアスファルト。
速度が増加すると制動距離は指数関数的に増加している。

制動距離に関する法規制

  「道路交通法施行規則、第9条3」には次の規定がある。

  「乾燥した平坦な舗装路面において、制動初速度が10km/hのとき、制動装置の操作を開始した場所から3m以内の距離で、
円滑に自転車を停止させる性能を有すること。」

  上の「制動距離計算器」で計算すると、速度10km/hのときの制動距離は0.5mなので、ゆるやかな規定となっている。

制動距離のJIS規定

表1 制動距離 (JIS D9301)
条件 走行速度 制動距離
 乾燥時、最大GD 5m以上   25 km/h  5.5m 以内 
 乾燥時、最大GD 5m未満 16 km/h  5.5m 以内 
 水ぬれ時 16 km/h  9.0m 以内 
  「JIS D9301 一般用自転車」が規定している制動距離を表1に示す。
同表の最大GDとはギア比が最大の時にペダル1回転で走る距離。
   参考資料  「ペダル1回転で走る距離

  測定条件は次の通り。
  乾燥路面のタイヤとの摩擦係数は0.5以上とする。
ブレーキレバー操作力は前後ブレーキとも180N以下で、ブレーキレバー端からほぼ25mmの位置に加える。
水ぬれはブレーキにノズルで放水しながら走行することによって行う。

  道路交通法施行規則の規定値よりも走行速度(制動初速度)が速くなっているため、制動距離が長い。

制動距離のCPSC規定

  米国の消費者製品安全委員会(CPSC)の規定は、68kgの人が乗って速度24km/hでテストしたとき、4.6m以内に停止すること(CPSC 16CFR1512)。

スリップ率

  スリップ率は、タイヤの路面に対する滑り割合。式で表すと、
スリップ率 = 100 x (車速 − タイヤの外周速度)/車速
スリップ率は、滑りが無い場合は0そしてタイヤがロック(回転停止)して完全に滑っている場合は100%となる。
ただし、普通のブレーキ掛けではロックを起こさないように作られている。
  ブレーキ操作の時、スリップ率が10〜20%の場合に、タイヤの制動力(摩擦力)は最大となる(右図)。
車輪がロックすると、制動距離は最大となる。ロックして、前輪の回転が止まると、ハンドル操作が機能しなくなる。
曲がっている時(コーナリング時)に後輪の回転が止まると、横滑りする。

前後輪のブレーキの利き

  前輪と後輪のブレーキのかかり方の違いは、次のようにすると良く分かる。自転車の横に立ち、ハンドルの左右の握りを両手で持って自転車を押して早足で歩く。前輪および後輪にブレーキをかける。前輪が後輪よりブレーキのききが良いことが実感できる。後輪は地面を滑るかまたは地面から持ち上がる。
  この前後輪のブレーキのききの違いは、自転車の慣性(自転車に乗っている時は人体および自転車の慣性)によって生じる。
ブレーキがかかっても、自転車は慣性で前へ行こうとする。そのため、前輪は地面に押し付けられるのに対し、後輪は前輪の接地点を支点にして持ち上がろうとする。
  自転車を後に押してブレーキをかけると逆の現象が起きる。つまり、前輪は滑るかまたは持ち上がる。前輪は実質的には後輪となっているため。
  タイヤが路面に対して滑ると、制御性がなくなるだけでなく路面とタイヤの摩擦力が低下する。前輪と後輪のブレーキを同じ力でかけると、まず後輪が滑るが前輪はブレーキの力に余裕を残している。有効にブレーキをかけるには、前輪60〜70%そして後輪約40〜30%の割合で力を加えると良い。

ピッチオーバー

  何らかの原因で前輪が停止して、慣性で人が前方に転倒すること。前輪停止の原因としては、外れたスポークや外れた泥よけの前輪との噛み込みなどの事故がある。
前輪のブレーキ操作によって自転車を瞬間的に停めることはできないので、ブレーキ操作でピッチオーバーを起こすことはない。