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昔むかし
あるところに ものすご〜く ケチな男が住んでおった。
村の者が
「お前もそろそろ嫁ごでも取る年ではないか」
と言ったところ、
「嫁なんてもらったら
余計に飯を食べる者が増えるだけ」
と答える始末。
それほど〜に ケチな男じゃった。
ある日のこと
男のもとに 一人の若〜い娘が やってきた。
「私はご飯はいりません。
あなたの お嫁さんにしてください」
と言う。
はじめは いぶかしがった男じゃったが、
し〜ばらく 娘の様子を見ているうち、
本当に飯を食わないどころか、
大っ変な働き者じゃ ということが分かったんじゃ。
男は 喜んでその娘を嫁に迎え
いっしょに暮らすことにしたんじゃ。
しばらくは 仲良〜く暮らしていた2人じゃったが、
男は考えた。
「本当に飯を食わずに あんなに働けるものだろうか。
もしかしたら ワシの知らぬところで
何か食べているのかもしれない」
次の日
男は畑に出るふりをして
家の屋根にのぼり、
そ〜っと 中をのぞいてみたんじゃ。
すると、
なんと 口が耳までさけた鬼婆が
しゅう、しゅう、と
包丁を研いでいるでねーかっ!
山奥に住む鬼婆が 若〜い娘に化け
男をだまし食ってしまおうとしていたんじゃ。
男は おっそろしくなって 逃げ出したんじゃ。
しかし
男が逃げたことに気がついた鬼婆は
もンのすごい形相で追いかけてきた!
必死で逃げる男は
目の前にあった沼にとびこみ
鬼婆から のがれようとしたんじゃが
鬼婆は
ざぶざぶ と水をかきわけ追ってくる。
男は もう無我夢中で逃げつづけ
どんどん沼の中まで身を進めたんじゃ。
あぁもう 「追いつかれる!!」
と思って わっ と後ろを見ると、
鬼婆は おそろしがって進んでこない。
見ると
沼には いちめんに菖蒲の葉がしげっていた。
青くのびた菖蒲の葉は
まるで剣(つるぎ)のように見えたため
鬼婆は おそろしくて
男を追いかけることができなかったんじゃ。
男は頭に菖蒲の葉を乗せ
鬼婆から逃げて逃げて
やっとの思いで 村までたどりつくことができた。
それからというもの
男はケチンボをやめ、
普通に飯を食う
ふつうの嫁さんと 楽しく暮らしたんだと。
ということで菖蒲園です
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