好きなアーティスト・アルバム(21〜40)

ジャケット

どこが好きって?

PAUL CHAMBERS 「GO」

見慣れないジャケットなのは英国で発売したからだと思われる。タイトルがEASE ITとなっているが、曲目、収録順序ともGOと同じ。
当時のマイルスクインテットのメンバーにフレディーババードが参加したスタジオライブの録音のようだ。マイルスが入るとたとえライブでも緊張感のある演奏になるが、この演奏はその反動なのか少々荒っぽい全員の溌剌としたプレイを聴くことができる。ライブ感たっぷりの録音が気に入っている。
好きな演奏は、多くの人がそうだと思うが、アップテンポでホットなJUST FRIENDS。体に突き刺さるというより、頭の上を突き抜けていくような抜けのよいハバードのソロが好きだ。よく楽器が鳴っている。続くケリーのソロはマイルスクインテットでは聴くことのできないような強いタッチで盛り上がる。キャノンボールのバックでもかなりテンションが高い。キャノンボールは時折テナーかと思わせるような太い音でアドリブを展開する。チェンバースのアルコソロを経てテーマに戻る。佐久間駿さんも好きな演奏だとおっしゃっていた。
SAMMY DAVIS Jr 「HEARIN' AND BELIEVIN'」

これをJAZZと呼ぶかどうかは問題じゃあない。誰が聴いても喜怒哀楽の全てを表現して伝えてくれる。エンタテイメントとはこういうものだと教えてくれるアルバムだと思う。「俺が白人だったらシナトラを超えていただろう。」彼は言った。確かにそうだろう。声量、リズム感、気の利いたアドリブなど遥かにシナトラをしのいでいると感じるのは僕だけではないだろう。このアルバムは70年代のシドニーでのコンサートライブアルバム。
バリーマニロウのI Write A Songsで始まり、スティービーワンダーのFor Once In My Life、ビートルズメドレー等を経てポールアンカのI'm Not Any Man(この曲はポールアンカが彼のために書いた曲だそうだ)で締めくくられる。それぞれの曲が彼の表現によって生まれ変わり、素晴らしいステージが展開される。録音はあまりよくないが、そんなことは気にならない。
このアルバムの他では、カウントベイシーOrch.をバックにしたOUR SHINING HOUR(April In Paris、New York City Bluesがいい)、GOLDEN SAMMY DAVIS Jr.(What Kind Fool Am Iがいい)が彼のお勧めアルバムだろう。
できれば音だけではなく、映像も同時に楽しみたいアーティストだ。
LIONEL HAMPTON 「LIONEL HAMPTON ALL STAR BAND AT NEWPORT '78」

このアルバムが好きなのは、STOMPIN' AT THE SAVOYでドク・チータムのトランペットソロが聴けるからだ。
90歳を超えても演奏を続け、数年前にはひ孫と言ってもおかしくないニコラスペイトンと共演したアルバムも出した。このCDも素晴らしかった。
'90年、ニューヨークを訪れたとき、JAZZ CLUBのポスターにlegendary trumpetter Doc Cheatham!の名前を見つけたとき、「本当にまだ演奏しているんだ」と嬉しくなったことを思い出す。でも秋吉敏子さんの予約をしてしまっていたので行けなかったのが残念でならない。
この曲のソロは完璧だと思う。どこか懐かしい、そして優しいフレーズを朗々と歌い上げていく。音色も僕の大好きな部類だ。トランペットで印象に残るアドリブを5つ挙げろと聞かれたら、多分このソロは入ると思う。
ライオネルハンプトンのソロもチータムのソロを引き継いでとてもスイングしている。
GERRY MULLIGAN 「WALK ON THE WATER」

ジェリーマリガンといえば昔、油井正一さんがFM東京でやっていたアスペクトインジャズという番組のオープニングの「PRELUDE IN E MINOR」が有名ではないだろうか。ピアノレス編成でジムホール、ボブブルックマイヤーが参加し、「FESTIVE MINOR」、「カーニバルの朝」等いい曲が入った渋いアルバムだった。このアルバムはマリガンのアレンジャーとしての才能を聴くことができる。マリガンのアレンジはやはり渋さが特徴となっているが、渋さに加えて洗練された輝きのあるアンサンブルを聴くことができる。参加ミュージシャンは馴染みの無い名前が多いが、演奏のレベルは高く、録音の質もクリアだ。お気に入りはI'M GETTING SENTIMENTAL OVER YOU。マリガンがバリトンでメロディーを担当する。トミードーシーの演奏よりマリガンの方が個人的には好きだ。マリガンのソロに続くトランペットのバリーリースのソロが素晴らしい。音色が太く暖かくメロディアスだ。このアルバムには僕の大好きなトランペッターのトムハレルも参加していてソロをとっているが、この曲のバリーリースのソロが一番だろう。アルト、テナーのソロの後、マリガンのペンによるオーケストレーションが展開される。軽めでとても洗練されたアレンジだ。ピアノのソロを経てバンド全体のメロディー演奏で盛り上げて曲は終わる。マリガンのオーケストレーションを十分に楽しめる一曲だろう。この他にはANGELICAが好きだ。
DONALD BYRD 「BYRD IN FLIGHT」

フエゴ、バーズアイビュー、リーダー作ではないがボヘミアアフターダーク等で快演を聴かせてくれるドナルドバードのアルバム。ボリューム感のある音質と息の長いフレーズがドナルドバードの個性だと思う。このアルバムはジャッキーマクリーン、デュークピアソンといった僕の大好きなメンバーが参加している。その中での一押しはMy Girl Shirl。作曲はデュークピアソン。ミディアムファーストのマイナー調のテーマで、1回聴けば忘れられない日本人の好みのメロディーだと思う。
この曲のジャッキーマクリーンのソロが大好きだ。もともと音程はよくない人だが、このソロの音程は楽器がおかしかったのではないか思う位にはっきり言って悪い。ところが、音程の悪さは決して聴きづらいものではなく、マクリーンの歌心溢れるフレーズに引き込まれていってしまう。マクリーンのビューティフルラブをこのコーナーで紹介したが、このソロも是非聴いてみて欲しい。(優等生好きのマイルスにマクリーンが可愛がられたのはどうしてなのか。僕には分からない。)
続いてドナルドバードのソロへバトンタッチされるがここでのバードの入り方は言葉に出来ないくらいカッコいい。最後まで息の長いメロディアスなソロを展開していく。2人のこの曲のソロだけで持っていたいアルバムだ。
HERBIE HANCOCK 「MAIDEN VOYAGE」

ハービーハンコックの60年代のアルバムTAKIN' OFF、EMPYREAN ISLES、MAIDEN VOYAGE、SPEAK LIKE A CHILDはいずれも好きなアルバムだ。このアルバムは60年代マイルスクインテットのマイルスがフレディーハバードに代わった形で全てハンコックのペンによる曲でかためられている。全編海をモチーフにしたアルバムだそうだ。
スロー、アップ、スロー、フリー、スローの曲の構成で、全編を通して緊張感が高い演奏が繰り広げられる。まずフレディーハバードとジョージコールマンの丁寧なメロディー演奏とモーダルで緊張感あるアドリブが素晴らしい。テナーがウエインショーターではなく、ジョージコールマンというところが僕の好みに合っている。
リズム隊はロンカーターとトニーウイリアムス。トニーウイリアムスの躍動感あふれるドラミングによって演奏の表情が多彩に変化していく。今でも新鮮な感覚で聴くことができるのはトニーウイリアムスのドラミングによるところが大きいのだろう。ハンコックのピアノはとても美しい。
60年代を代表する1枚だと思う。
OSCAR PETERSON 「MY FAVORITE INSTRUMENT」

ピアニストにも色々なタイプがいる。オスカーピーターソンはピアノを制圧してしまうようなスタイルだ。ピアニシモからフォルテシモ、シングルトーンから豪華なハーモニーまで、彼の思うが侭にピアノを操っている。スイング感も素晴らしい。このアルバムは1曲目のSomeone To Watch Over Me、Perdidoからその特徴がよく分かる。ビルエバンスが何百人集まろうとこのボリュームとスイング感は聴こえてこないだろう。
子供の頃はトランペッターを目指していたが、肺の病気でトランペッターへの道をあきらめ、ピアニストに転向したとのことだ。ナットキングコールのようなボーカルを聴かせてくれるアルバムもある。
数多くのアルバムがあるが、どれを聴いてもピアノの楽しさが伝わってくる。ただしモーダルな響きが無いので、物足りなく感じるときもある。もうピアノは弾けなくなってしまったのだろうか?彼の新譜はタッチが弱りかけた90年代で途切れてしまった。
似たスタイルにフィニアスニューボーンJrがいるが、楽しさと寛ぎが伝わってくるのは絶対にオスカーピーターソンだ。日本人のピアニストについて言えば、山本剛さんがピーターソンの寛ぎのスタイルの系統、辛島文雄さんがピーターソンの強さのスタイルの系統だと僕は思う。
STAN GETZ 「THE COMPLETE ROOST SESSION」

テナーはデクスターゴードン、ジョニーグリフィン、エリックアレキサンダーの太い音が好みだが、スタンゲッツはまた違ったところで大好きなテナーだ。クールでメロディアスなフレーズが尽きることなく湧き上がってくる。スローテンポの枯葉では、16部音符を各所に織り込んでくるリズム感とタンギングの正確さ、バードランドの子守唄では流れるように吹き通すメロディの扱い方に圧倒されてしまう。
このアルバムではクールで抑制の効いた演奏に徹しているが、ディジーガレスピー、ソニースティットと共演したFOR MUSICIANS ONLYではフレーズはそのままでガレスピー、スティットに引けをとらないホットな演奏を聴くことができる。このアルバムと合わせて聴いてみるとスタンゲッツの凄さがよく分かる。
上記の2枚はゲッツ&ジルベルトだけしか知らない人には是非聴いてみて欲しいアルバムだ。
BILL WATROUS 「I'LL PLAY FOR YOU」

トロンボーンプレイヤーでテクニシャンは誰だろうか。古くはフランクロソリーノ、JJジョンソンの名前があがるが、ビルワトラスの名前も是非あげておきたい。彼の奏法はリップコントロールに特徴があり、ハイノートを楽々とこなす。Falling In Loveの演奏ではトロンボーンでいうハイB♭以上の音がフレーズの中に占める割合が多い。真ん中のB♭以下の音を探すのは注意しないと分からないくらいだ。そしてタンギングも軽やかで細かいハイノートフレーズに驚く。楽器を演奏する者にとって、取り入れてみたいスタイルだと思う。学生時代のバンド仲間に4年生になったとき、ビッグトーンからこのスタイルに変え、ビルワトラスのソロをコピーしてほぼそのとおりに吹ききった奴がいた。ビルワトラスとよく組んでいた相方トランペッターはダニースティルスという人で、彼もビルワトラスの奏法とよく似た奏法だった。2人の演奏を聴くとハイノートはそれほど苦しくないと思ってしまうが、同時に中低域の表現力がないとテクニシャンの域を出ることはできないのだろうと思ってしまう。
2004.11.14湘南台文化センターで彼の生演奏を聴く機会があった。すでに65歳になっているとは思いもしなかった。彼の奏法を実際に見て、リップコントロールをどうしているのだろうと目を凝らしたが、口の周りの筋肉の動きが殆ど分からなかった。トランペットより高いハイノート、サックスより早いフレーズ。完璧だった。ディスコグラフィーを見ると多くのアルバムがあった。見つけることは困難かもしれないが、気長に集めようと思う。
ARTURO SANDOVAL 「I REMEMBER CLIFFORD」

キューバのイラケレというバンドのトランペッターだったアルトゥーロサンドヴァル。トランペットが完璧に鳴っている。どんなフレーズでも音がかすれないトランペッターというと古くはクラークテリー、そして今はサンドヴァルだろう。ジャケットで一目瞭然だが、クリフォードブラウンの演奏でお馴染みの曲ばかりで構成されている。僕の大好きなDAAHOUDから始まる。太い包み込むような音だ。そしてハイノートには余裕がある。クリフォードブラウンのハイノートとは全然違う。各曲で彼のトランペットの多重録音でハーモナイズしたクリフォードブラウンのアドリブソロが聴けるのが楽しいし、アレンジも凝っている。クリフォードブラウンに捧げるアルバムとしてこのアルバムとライアンカイザーのアルバムをお勧めしておきたい。
テナーサックスにアーニーワッツが参加しているが、彼もなかなかの好演だ。
タイトル曲のI REMEMBER CLIFFORDは曲のメロディーを崩さず、朗々とした吹き方で楽器がよく鳴る彼ならではのものだろう。
彼がいたイラケレというバンドは20年くらい前に初めて聴いたが凄いバンドだった。
SUPERSAX 「SUPERSAX PLAYS BIRD」

学生ビックバンドに所属していた頃、サックスセクションの先輩のお気に入りだったアルバム。メッドフローリー、ジョーロペス、ワーンマーシュ、ジェイミリオーリ、ジャックミニッツの2アルト+2テナー+バリトンによってチャーリーパーカーのアドリブフレーズのハーモナイズに挑戦している。5人の息がぴったりと合っているのは各人がテクニシャンだからということに異論は無いが、それよりもパーカーのアドリブフレーズが5人の耳に共通に響いているからだろうと思う。それだけパーカーのフレーズが偉大だということだろう。
ウィズストリングスのJust Friends、ダイアルセッションのMoose The Mooche、Be Bop、Night In Tunisiaのハーモナイズが素晴らしい。
トランペットのコンテカンドリは、白人らしい輝きのある音色で5本のサックスに負けないソロをとっている。
本作は73年の録音で80年にはヴォーカルを加えたSUPER SAX & L.A. VOICESをリリースしているが、初作の本アルバムの出来が一番よい。
フルバンドのサックス奏者には憧れのアルバムになっていることだろう。
BOOKER ERVIN 「THE SONG BOOK」

ブッカーアービンのソングブックは知っている人は知っている名盤だ。THE LAMP IS LOW、ALL THE THINGS YOU ARE、JUST FRIENDS等僕の大好きな曲が6曲も聴ける。こういう曲だからといって柔な演奏では全くない。タフな音色と淀みないのアドリブに聞き惚れて片面があっという間に終わってしまう。そんな感じの名盤だ。JAZZ喫茶で真剣にJAZZを聞いていた頃はこういうソリッドな演奏が好きだった。
リズム隊はトミーフラナガン、リチャードデイビス、アランドウソン。悪いはずが無い。トミフラとアランドウソンはやはり名手だなぁと改めて思う。リチャードデイビスのベースソロは力強いピチカートがオーディオ的にも快感だ。
ALL THE THINGS YOU AREはクリフォードブラウン、チャーリーパーカーのそれと同じくらいに好きな演奏だ。
DUSKO GOYKOVICH 「IN MY DREAMS」

キャリアの長いダスコゴイコビッチの最近のアルバムでミュートトランペットとフリューゲルホーンを多く吹いている。フリューゲルホーンといえばアートファーマーでしょ、と多くの人は思うのかもしれないが、僕はアートファーマー演奏は好みではない。アートファーマーのソロはメロディアスなのだろうか?そう思って聴いている。このアルバムでゴイコビッチは「フリューゲルは俺の方が上だ」と言わんばかりの快演を聴かせてくれる。4曲目のアドリブソロの中にそれを強く感じてしまう。
ゴイコビッチのアドリブはいつもメロディアスで繊細だ。ミュートはマイルスに似て繊細だが、マイルスより温かい。マイルスのミュートには誰にも表現できない触ったら壊れてしまいそうな脆さがあると思う。
PHIL WOODS 「THE THRILL IS GONE」

ここまで枚数を重ねて来て、ようやくフィルウッズの出番となった。約50年にわたりJAZZシーンの第一線で活躍してきたアルトサックス奏者だ。リーダー作以外にも多くのビッグバンドや歌伴に名を連ね、素晴らしいソロを聴かせてくれる。
ビリージョエルのJust The Way You Are(邦題:素顔のままで)の彼のソロとバッキングはこれからも多くの人に聴き続けられていくことだろう。
このアルバムは2002年、彼が71歳の時に吹き込んだストリングスもの。1曲目はなんとWhen We're Youngだ。何度も聴いた60年代のヨーロピアンリズムマシーンの激しい演奏の記憶が蘇る。このアルバムでは年輪を感じさせる深い音色でゆったりとした雰囲気に包み込まれた。本当にいい音色とフレーズだ。フィルウッズのメロディーの後、静かなピアノを経て、リズムはボサノバ風に変わり、バイオリンソロとなる。バイオリンソロの後がフィルだ。とても瑞々しいフレーズでヨーロピアンリズムマシーンの演奏よりよく感じてしまうのは、僕が歳をとったせいかも知れない。いや、こういうフィルウッズの方が昔から好きだったのだろう。フィルウッズのオリジナル曲のアレンジは彼自身が担当しているが、やはりよかった。他、Easy To Love、Nearness of You、If I Should Lose Youがフィルウッズらしい。ビーナスレコードの中で上位の出来だと思う。
HAMPTON HAWES 「HAMPTON HAWES TRIO Vol.2」

ハンプトンホーズ、レッドミッチェル、チャックトンプソンのトリオのアルバムでVol.1,2,3がある。Vol.1は名盤になっているが、このVol.2も負けず劣らず素晴らしい。演奏曲としてはVol.2の方が僕は好みだ。You And The Night And The Music、Stella By Starlight、Yesterdays、Round Midnight、Autumn In New Yorkのハンプトンホーズ節が聴くことができる。レッドミッチェルの安定したベースに乗って、メロディアスなホーズのバップフレーズが展開されていく。チャックトンプソンの控えめなブラッシュワークがホーズのソロを引き立て、レッドミッチェルのソロがホーズとよくバランスしている。ミッチェルからホーズへのソロのバトンタッチは見事だ。よく練られた構成であることがよく分かる。演奏時間が5分程度になっているのも聴きやすいひとつの要因だと思う。3人のバランスとミッチェルのベースを作ったアンプのチェックによく使っている。
Vol.1ではAll The Things You Are、Easy living、These Foolshi Things、Vol,3ではPolka Dots And Moonbeams、Lover Come Back To Meが好きな演奏だ。
Vol.1のSo In Loveは淀川長治さんが解説していた頃の日曜洋画劇場のエンディングテーマだったように記憶している。
JOE PASS 「VIRTUOSO」

このアルバムはギタープレーヤーの憧れのアルバムになっていることだろう。また、数多くのプレーヤーのコピーの対象になっていることだろうと思う。Vol.1,2があるが、スタンダードの多いこちらの方が僕は好みだ。ギター1本でこれほどまでにスイングし、メロディアスなアドリブと卓越したアレンジで聴衆を引きずりこんでくれるギタリストはそうはいないだろう。パブロレコードは70年代までににこういうアルバムを沢山作ってくれていた。
A面1曲めから、Night And Day、Stella By Starlight、Here's That Rainy Day、My Old Flame、How High The Moon、Cherockeeと続くのだからたまらない。B面はHave You Met Miss Jones、Round Midnight、All The Things You Are、Song Is Youが入っているので、JAZZ入門用としても最適なアルバムのひとつだろう。
音質はかなりオンな録音でピッキングの音、胴鳴きの音もクリアーに再生される。小音量時のフレーズが聴きたくなって、ついついアンプのボリュームを上げてしまうのは僕だけではないだろう。
DUKE ELLINGTON「PRESENTS」

エリントンオーケストラのアルバムとしては珍しくスタンダード中心となっている。オンな録音でキャットアンダーソン、ジョニーホッジス、ポールゴンザルベス、クラークテリー、ハリーカーネイら名手たちのソロが生々しい。エリントンオーケストラの特徴は音色のハーモニーにあると思っている。ベイシー、バディリッチ、ルイベルソン等のフルバンドは楽器の鳴りがオーソドックスなサウンドだけれども、エリントンオーケストラの場合は楽器の音色までを演奏者に要求しているようで、他のオーケストラでは感じることのできない色彩感に富んだハーモニーを感じる。エリントンが演奏者の個性に合わせたアレンジをしているからだと聞いたことがある。オーケストラのタイプは違うがギルエバンスオーケストラにも音色のハーモニーを感じる。
このアルバムはスタンダード中心のせいか、エリントンの中ではオーソドックスなハーモニーになっていると感じる。サックスセクション、トランペットセクション、トロンボーンセクションともに充実しており、キャットアンダーソンがリードに座ったトランペットセクションの鳴りがすばらしい。サックスセクションはエリントンオーケストラらしくいつものように端正なハーモニーだ。
BILL EVANS 「WHAT'S NEW」

ビルエバンスはあまり好きなピアニストではない。演奏の美しさで人気がある人だが、美しさで言えば、ハービーハンコックやマッコイタイナーの方が僕は好みだ。スイング感が少ないピアニストだと思う。
このアルバムはジェレミースタイグのフルートとエディーゴメスのベースが気に入っている。SJのゴールドディスクにもなっているアルバムだ。ジェレミースタイグは事故で顔面の半分が不随になったが、独自のマウスピースでフルート演奏を克服した人だそうだ。そういえば、独特の空気の混ざった音だ。エバンスはかねてからスタイグと演奏がしたかったらしい。その意味でもっと両者の絡み合いというものを期待するのだが、スタイグのソロのバックではエバンスはあまり出てこない。B面のブルースと「スパルタカス愛のテーマ」では両者は絡み合うがこれは曲が必然的にそうさせているのであって、絡んでいてもしっくり聴こえないの僕だけだろうか?モンクのストレートノーチェイサーや枯葉ではマイルスとモンクのセッションのようにスタイグのバックからエバンスが消えている。意識的にバックから外れているのかもしれない。ラストのソーホワットは熱いタッチだが、やはり僕の好みではない。両者のバックで素晴らしいのはエディーゴメスだ。安定した4ビートを刻み、ソロの空間を埋めていく。この時代(69年録音)からこういうベースを弾いていたんだなぁと思った。
CLARK TERRY 「OSCAR PETERSON TRIO + ONE」

中学3年生のとき初めて手にした4ビートのレコードがこれだった。We Get Requestのエドシグペンとレイブラウンのオスカーピーターソントリオにトランペットの名手でマイルスの先生とも言われるクラークテリーが加わったカルテットの演奏。クラークテリーのトランペットが冴えている。音がまったくかすれない。ミュートやプランジャーを使ったり、フリューゲル(コルネットかもしれないがジャケットを見るとフリューゲルのようだ)に持ち替えたりして、多彩な音色で演奏に飽きない。A面、B面それぞれのラストではスキャットも聴かせてくれる。また、2本のトランペットを右手と左手に持ち、吹き分ける芸当も聴かせてくれる。ラッパは上手いし、芸達者な人だ。
We Get Requestの録音もいいが、このアルバムの方がオンで録音レベルが高くて僕は好みだ。クラークテリーのラッパの音が生々しく、存分に楽しめる。リップコントロールもフィンガリングもタンギングも素晴らしい。
もう一つの聴き所はレイブランのベースだろう。ラインを通さない本当のベースに近い音がしている。ウォーキングベースだけでなく、ソロのバッキングの多彩なフレーズを聴くとレイブランはやはり名手だということがよく分かる。
LIONEL HAMPTON 「JAZZ ALL STARS」

ライオネルハンプトンのオールスターアルバムではもうひとつ「STARDUST」というアルバムがある。いずれの2枚にも名曲Stardustが入っていて、僕の大好きなハンプトンのアルバムになっている。前者のStardustはウイリースミス、チャーリーシェーバース、スラムスチュワートらの個性的なソロを聴くことができる。こちらのStardustはトロンボーンの名手JJジョンソン、トランペットの名手クラークテリー、テナーの重鎮コールマンホーキンス、ピアノの名手ハンクジョーンズの素晴しいソロを聴くことができる。とくにJJジョンソンのトロンボーンテクニックは感動ものだ。それからマイルスのWALKIN'(Milse Davis Allstars)に参加していたテナーのラッキートンプソンがこのアルバムではソプラノサックスを担当しているが、トンプソンのソプラノサックスが思いのほか素晴しい。Walkin'では少々ダーティーなテナーソロだったのに、このアルバムにおけるトンプソンのソプラノには可憐さすら感じる。コルトレーンやスティーブレイシーのソプラノよりも好きになってしまった。
そして、いずれのアルバムでも素晴しいのは大御所ハンプトンのビブラフォンのソロだ。名手たちのソロを存分に聴かせた後だというのにさらにその上を行く圧倒的なパワーとテクニックと歌心で聴衆を魅了してしまう。「お見事!」と言う他はない。