国語に関するポリシー

本ウェブサイトの一部は広辞苑前文方式と呼ばれる方法によって記述して居ます。広辞苑前文方式とは「歴史的仮名遣」と「現代仮名遣」の間で表記に相違がない語のみを選んで文章を書くことです。広辞苑の前文がこの様になって居ることからの称であり、現代仮名遣に対して反感を持ち、歴史的仮名遣を使用したいと思念する人が、それと気づかれずに歴史的仮名遣を使用する方法です。それは、サイト製作者の、私、中村明裕の信条によるものです。普段は歴史的仮名遣を使用して居ります。それに関して、今まで私は説明の機会を逸し続けて居ましたので、ここで説明したいと存じます。

現在、多くの日本国民が使用する現代仮名遣・新字体(以下、新字新仮名)は、昭和21年11月16日に内閣告示された、歴史的に新しい表記法です。それ以前の日本国民は正字正仮名を使用して文章を綴りました。私がその正字正仮名を守らんとするのには、理由があります。

「言わない」「言います」「言う」「言うとき」「言えば」「言え」「言おう」。アワ行五段活用と呼ばれるものです。正仮名ではハ行四段活用となります。「言はない」「言ひます」「言ふ」「言ふとき」「言へば」「言へ」。「言おう」は「言はう」です。「言はない」と「言はう」は同じ未然形ですから、同じに表記されるのは当然です。同じハ行の未然形を、新仮名は「わ」「お」と別の文字をもって書きます。また、活用をアワ行などと称して複数の行に亘らせてしまったのです。

「ありがたい」なる形容詞があります。感謝の言葉は「ありがたう」ですが、これは「ありがたい」の連用形の音便です。形容詞の語幹は変化しません。語幹不変の原則です。が、「ありがたい」の語幹は「ありがた」なのにも関らず、新仮名の「ありがとう」では「ありがと」になって居ます。變化させてはならない語幹を変化させてしまったのです。

問題は、個々の単語にも波及します。胡瓜は熟すと黄色くなります。黄色い瓜なので「きうり」なのですが、新仮名では「きゅうり」と、謎の「ゅ」が入ります。また、月の八番目の日は「八つ」の「や」なので「やうか」なのですが、新仮名では「ようか」になります。これではまるで「四日」の様です。

かかる文法としての可笑しさと共に、古今、内外の一貫性なる問題もあります。つまり、「國」なる字と「国」なる字はJISの文字コードによって別の字として取扱されます。「國語」と「国語」の明かに同じ単語も、コンピュータは別の文字として処理せねばなりません。また、今は日中台韓で別の文字が使用されます。これによって、Unicodeなど国際的な文字コードでの漢字の符号化は実に惨憺たる状況になって居ます。

元々、国語改革は漢字がタイプライタで打てないこともあって、ローマ字化を目指してその一段階として実行されたものです。その機械のための改革が、逆に機械を混乱せしめて居る――なんと皮肉な!

かかる理由から私は新字新仮名を退け、正字正仮名を採るのですが、現状、歴史的仮名遣を読みづらく感じる人もいらっしゃるので、広辞苑前文方式を使用するのです。

「かういふ」を「かかる」、「このやうに」を「かくの如く」などと直して居りますので、却って読みづらい気もしますが。

参考

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