インターステージ トランス交換記


つくづく自分は「安物買いの銭失い」を地で行く人間だと痛感しました。とうとうタンゴ(ISO)のインター ステージトランスNC-14(2個で約25,000円)を買ってしまいました。価格が約1/3のSEL製インターステージトランス に手を出したのが間違いの元でした。 出て来る音に不満は無かったのですが高域の暴れと見栄えの悪さに我慢できず、結局タンゴに交換する決心 をしました。最初から欲しい物にしておけばもっと良い物が買えたはずです。まあ良い勉強をしたと思えば 良いか・・・。毎度のことですが。
インターステージトランスのグレードアップに合わせて以下の改造(改悪?)を行いました。 今まで少しでも良い音を求めて固定バイアス化したり、負帰還をかけたり、定電流化したりしましたが、 性能的に改善されたと思われる反面、真空管の音から遠ざかったように思えました。 そういう訳で今回最も古典的なアンプに作り直しました。つまるところ、「人間死ぬときは 皆裸」ということです。

1.「シンプル イズ ベスト」を目指し、トランス結合の原点である自己バイアス・無帰還方式とする。
2.昔買っておいたロシア製6BM8を初段とドライバ段に使う。
3.電圧増幅段の直結化はバイアス電圧の調整がクリティカルなためカップリングコンデンサを使用する。
4.音量調節用ボリュームを会社の友人からもらった最大減衰量42dBの抵抗アッテネータに交換する。
5.出力トランスをソフトンのRW-20からタンゴのFW-20Sに変更しトランスの銘柄を揃える。

測定回路 トランス結合で一番重要なことはドライバー管とインターステージトランスのインピーダンス整合です。 これが合わないと振幅周波数特性にピークが生じ、方形波応答にオーバーシュートやリンギングが現れます。 そこで、お役御免となったSEL製の5kオーム、1:1+1のインターステージトランス(T-4397)を使って、方形波 発振器に接続された抵抗を変化させてトランスの2次側の波形を観察しました。
予想どおりインピーダンス整合が取れた場合は波形が綺麗になることがわかりました。周波数特性は測定して いませんが、方形波応答が整っていれば周波数特性に大きなピークがないことがわかっています。

マウスを画像に重ねると 画像が拡大 されます。(以下同様)

100Hz2.5k 100Hz5k 100Hz10k インターステージトランス2次側の2Vp-p方形波応答波形です。上段は100Hzの応答波形で左側から内部抵抗2.5kオーム、5kオーム、 10kオームです。中段は1kHz、下段は10kHzです。写真から分かるように、内部抵抗が5kオームのときオーバーシュートが最も 小さくなり整った波形となります。2.5kオームでは低域と高域が持ち上がりオーバーシュートを発生し、10kオームでは 低域も高域も特性が悪化し狭帯域(いわゆるカマボコ型)となる。この測定実験で5687とNC-14においてもインピーダンス整合を取る 必要があることを認識しました。5687の内部抵抗は2kオーム程度と言われていますが、実際はもう少し大きく高電圧・低電流領域では 5kオームに調整することは可能と思われます。 (これら9枚の写真は拡大できません)
1kHz2.5k 1khz5k 1kHz10k

10kHz2.5k 10kHz5k 10kHz10k

6BM8 インターネットオークションで購入したロシア製6BM8もどきです。1984年製造のもので品質は良さそうです。 品名がロシア語なのでよくわからないのですが6BM8と同等の特性とのことです。

アンプ正面 NC-14インターステージトランス搭載アンプの正面画像です。シャーシがCR結合アンプ用なのでインター ステージトランスの搭載位置は限られてきます。トランスが最前面に配置されても仕方ありません。 端子むき出しのバンド型トランスに比べさすが角型のトランスはカッコ良いです。高い金を払った甲斐が あると言うものです。(単なる自己満足!)
直径20mmの穴をドリルとヤスリで30mmに大きくしましたが、厚さ1mmとはいえ鉄製シャーシのため 手に豆を作りながらの大仕事になりました。

ハラワタ NC-14インターステージトランス搭載アンプのハラワタです。黄金色の裏板のお陰で30mm穴の醜い凹凸を隠すこと が出来ました。2連ボリュームと入力切替スイッチを撤去して2個の抵抗アッテネータを取付けました。この アッテネータは24段階の切り替えができクリック雑音もなく快適です。ボリュームよりも音質が良くなることを 期待しています。

回路図 NC-14インターステージトランス搭載アンプの回路図です。前作と異なる点は@インターステージトランスと出力 トランスの交換、A音量調節ボリュームから抵抗アッテネータへの交換、B入力切替スイッチの撤去、 C電圧増幅段にカップリングコンデンサを使用、D固定バイアスから自己バイアスへの 変更、E負帰還の撤去、Fインターステージトランスは1次・2次側ともパラレル接続、等です。 無調整の自己バイアス方式ですが2本の300Bのプレート電流は69±1mAに揃っており、 固定バイアス時の回路故障による過電流の心配は無くなりました。

f特 インターステージトランス交換後の出力1W時の振幅周波数特性です。 ドライバー管6BM8の電源供給電圧、カソード抵抗を調節して内部抵抗が出来るだけ1.25kオームに近くなる ようにしましたが、どうやら6BM8の3結の内部抵抗は1.5〜2kオームと少し高いように思われます。 インターステージトランスの特性がそのまま反映されたカマボコ型の振幅周波数特性ですが、中域にエネルギーが 集中した力強い音になりました。

交換後の入出力特性 インターステージトランス交換後の300Bトランス結合アンプの入出力特性です。 アンプゲインは約29倍と高い数値になりました。オシロスコープで観測すると 出力7Wあたりでサイン波形が歪み始めます。DFはオンオフ法で測定して1kHzにおいて2.5で、直熱3極管無帰還アンプ では普通の成績です。


歪率特性 インターステージトランス交換後の歪率特性です。 出力1Wで1%〜2%とやや多めですが、出てくる音は全く問題ありません。これがタンゴの音なのでしょうか、とても 迫力があります。残留雑音は左右とも0.5mVと小さいです。


クロストーク特性 インターステージトランス交換後のクロストーク特性です。パソコンソフトのWaveSpectraを使っているため 高域は20kHzどまりです。低域から高域にわたり-70dBから-100dBが確保されています。 ボリュームから抵抗アッテネータへの変更、入力切替スイッチの撤去により改善されています。

100Hz方形波応答 インターステージトランス交換後の2Vp-p時の方形波応答波形です。上から100Hz、1kHz、10kHzですが、 f特の高域に小さな乱れがあるため1kHzと10kHzの波形に小さなリンギングが見られます。

1kHz方形波応答

10kHz方形波応答



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