SARD(DENSO)製12ホールフューエルインジェクター

トルク、パワー、レスポンス、燃費すべてにメリットあり。旧規格K6Aが生まれ変わります。


●私のJA22ジムニーはタービン交換以降、アルトワークスR純正の260ccインジェクターを使用

してきました。 しかしこのインジェクターも今となってはかなり旧式な1ホール(単孔)です。

現在のガソリンエンジン(ポート噴射式)の主流はマルチホール(多孔)が当たり前となっており、

とくに最新の高性能車、スポーツバイクエンジンでは12ホール型が多くなってきています。

そこで今回はこの旧型K6Aエンジンに最新インジェクターを導入してその効果を見てみようと試して

みました。 私が知る限り初期型(旧規格)K6Aエンジンでこれを試した人はいないと思います。

JA22Wジムニーだけでなく同じエンジンを積むHA21S/HB21Sアルトワークス、EA21Rカプチーノ

のオーナーさんにも参考になれば幸いです。

 

↑購入したインジェクター。 SARDの300cc、12ホール、トップフィード型、高抵抗14Ω。

無効噴射時間0.7ms。 モノ自体はデンソー製です。 SARDカタログ型番No.63573。

 

↑ノズル部クローズアップ。 12ホールであることがよくわかります。

↑こちらは今までつけていたワークスR純正の260ccインジェクター。 旧式の1ホールタイプです。

 

●なぜマルチホールが良いのか

ひとことで言えばガソリンの霧化を促進させ、より細かい粒子にすることで空気(酸素)とガソリン

をより均一に混合(ミキシング)させることで「より燃えやすい混合気をつくる」ことが目的です。

フューエルインジェクターは長い間、噴射口が1つのシングルホール(ピンホール)タイプが使われて

きました。 また派生として、4バルブエンジン用として2又にわけた2ホールタイプもあります。

しかし、このタイプは噴射されたガソリン粒子径が0.15〜0.3mmと大きく、霧(ミスト)というより

は多くが液体のまま燃焼室に入るため、ガソリンの気化がしにくいというデメリットがありました。

そこでより細かいガソリン微粒子にするために4ホールや8ホールなどの多噴孔式インジェクターが

開発されるようになりました。 このことで混合気がより燃えやすくなるため、トルクアップ、

パワーアップ、排気ガスのクリーン化などのエミッション性能の向上、さらに燃焼ロスが減ることで

燃費も改善されるのです。 ガソリンエンジンの基本3要素「よい混合気、よい圧縮、よい火花」

の最初の要素に大きく関係してくるのがこのインジェクターの霧化性能(噴霧性能)なのです。

ちなみにガソリン粒子径は4ホールで0.09〜0.1mm、12ホールになると0.06〜0.07mmまで

に小さくなります。 粒子が小さくなればなるほど気化しやすく完全燃焼しやすい「よい混合気」

になっていくうえ、気化しやすいということは吸気中の潜熱を奪うのでより吸気温度が下がること

からノッキング耐性も上がり、このことがさらにパワー(トルク)向上に繋がるわけで、まさに

良いことずくめなのです。 現在、その最先端をいくのがこのDENSOの12ホールインジェクターです。

 

最新のK6Aエンジンも純正で12ホールインジェクターを採用していることですし、高性能スポーツ

バイクやR35 GT-Rなども同じく12ホールインジェクターを使っています。 私も自分の車にもこの

12ホールインジェクターを使ってみたいと最近強く思うようになりました。 いちばんの理由は以前の

記事でも書いたのですが、私のエンジンは吸気温度が低くなりすぎると高回転でかえってパワーダウン

してしまうという現象が起きていました。 これは吸気温度が低くなりすぎるとガソリンが気化しに

くくなるため、よい混合気ができないことが原因として考えられます。 ですので、この12ホール式

のガソリンを細かい粒子にする効果によって吸気温度が低くなっても「よい混合気」をつくり、吸気

温度が低くなったことによる酸素密度の向上効果を引き出してパワーアップに繋げたいという狙いです。

 

<参考> DENSOの多噴孔インジェクターの技術リポートです。(PDFファイル。約3MB)

http://www.denso.co.jp/ja/aboutdenso/technology/dtr/v05_2/files/dissertation5.pdf

この記事によると、デンソーでは18ホールまで試した結果、12ホールがもっとも霧化が良好だったと

書かれています。 現在のインジェクターノズル径(面積)では12穴以上に多くするとかえって効率

が低下してしまうらしいです。 もう10年以上前のものですが、なかなか興味深い論文です。


●インジェクター流用のポイント

インジェクターという部品はある程度は規格化されているような感じで、いくつかの条件を満たせば

他のエンジンからの流用や汎用インジェクターを使用することができます。 以下にそのポイントを

書きます。

 

1)形式

これは「トップフィード型」か「サイドフィード型」かでわかれます。 現在のエンジンの多くは

インジェクター先端部から燃料を供給するトップフィード型です。 K6Aもこのタイプです。

対してインジェクター周囲からガソリンを供給するものをサイドフィード型(ボトムフィード型)と

いい、インジェクターの冷却に優れることからベーパー(気泡)が発生しにくいというメリットが

ありますが、スペースを取り構造も複雑になるため現在の主流ではありません。

 

2)物理的寸法

これは簡単で、要するに取り付け部長さ、デリバリーパイプ側差し込み部の外径、マニホールド側

差し込み部の外径が純正と同じであるかどうかです。 たいていの場合は差し込み径は共通で長さ

が異なるだけなので、短い場合はスペーサーを噛ます、長い場合はデリバリーパイプ側の取り付け

寸法を調整することで対応できます。 また、電極コネクターも国産車の場合は「角型」と「楕円型」

の2種類しかないので、そのままつけられるか、ちょっとした加工でなんとかなります。

 

3)コイル抵抗値

国産車のインジェクターの場合、多くは「高抵抗」と「低抵抗」タイプにわかれます。 高抵抗タイプ

が最近の主流で、12Vの電圧をそのまま流すものです。 対して低抵抗タイプはドロッピングレジスター

で12Vの電圧を5V程度に落として使用されます。 昔は低抵抗タイプのほうがレスポンスに優れるなど

の理由からRB26DETTエンジンのような高性能エンジンには低抵抗タイプが採用されましたが、近年は

高抵抗タイプでもレスポンスに優れるものが多くなってきたので、現在の多くは高抵抗タイプです。

さて、では旧規格K6A純正インジェクターがどちらのタイプかというと、これが実に特殊なのです。

実際のインジェクターのコイル抵抗値は、高抵抗タイプが13Ω〜15Ω、低抵抗タイプが1.5Ω〜3Ωあたり

なのですが、旧規格K6Aはこの中間で実測8.5Ωという中途半端な抵抗値なのです。 いわば「中抵抗タイプ」

というわけです。 この点が他のインジェクターとの互換性がなく、初期型K6Aエンジンのインジェクター

を流用交換する際の妨げと考えられてきたようです。なので誰も試した人がいなかったのです。

しかし考えてみればインジェクタの動作原理は極めて単純なソレノイドバルブであり、要はON/OFFさえ

できれば良いわけです。 そこで実際に私の車のインジェクター信号線に何ボルトの電圧が来ているか

測ってみました。

↑ご覧のようにちゃんとバッテリー電圧(オルタネーター電圧)の12〜14Vがかかっています。

私はこの瞬間に「高抵抗タイプでいける!」と確信しました。

そもそもインジェクタのようなコイルは「高抵抗を低抵抗にする」際にはそのまま12Vをかけたら

コイルが焼き切れてしまったり、過大電流が流れることでECUにも損傷を与えるおそれがありますが、

「低抵抗を高抵抗にする」ぶんには流れる電流(アンペア)はむしろ減るわけですので問題ありません。

たとえばオーディオで言えば、インピーダンス4Ω準拠のパワーアンプにインピーダンス8Ωのスピーカー

を繋いでもちゃんと音は出ます。それと同じです。 ただ、極端に抵抗が増えた場合はインジェクター

のレスポンス面で問題が出ることが考えられますが、これはもう試してみるしかありません。 最終的に

は結果オーライです。 (なお、現行のK6Aエンジンのインジェクターは通常の高抵抗タイプです)

 

4)無効噴射時間

インジェクターの駆動部分はようは電磁石です。 電圧を印加してから磁力が生じ、ノズルが開いて

ガソリンが噴射されるまでには当然「タイムラグ」があります。 この時間のことを無効噴射時間と

呼びます。 この数値がなるべく純正に近いインジェクターを選んだほうが燃料の噴射時期が狂わない

ため相性が良いです。 ちなみに初期型K6A純正およびワークスR純正のインジェクタの無効噴射時間

は0.7ms、今回購入したSARDの12ホールインジェクターも同じ0.7msなのでバッチリです。

 

5)噴射量

これは今さら書くまでもないでしょうけど、どれだけの噴射量のインジェクタを選ぶかということです。

今回はワークスRの260ccにできるだけ近いものということで300ccのものを選択しました。

この数字は一般的には燃圧2.5kg/cm^2時の1分間あたりの吐出量を表示していることが多いです。

以前にも書きましたが、インジェクター容量の選択基準となるターゲットパワーは6気筒エンジンで考える

とわかりやすいです。 300cc/min.なら300馬力、500cc/min.なら500馬力という具合です。

K6Aエンジンは3気筒なので単純にこの数値の半分がターゲットパワーとなりますので、今回の300cc

インジェクターでは約150馬力まで対応できるということになります。 HT07タービンには充分なサイズです。

インジェクターの大きさは大きければ良いというわけではありません。「過ぎたるは及ばざるがごとし」で、

あまりにオーバーサイズだとアイドリングや低回転、低負荷域での霧化性能が低下し実用域でのトルクが低下

したりひどいときはプラグがかぶったりしますので。 必要にして最小限なサイズを選ぶのがベストです。

 

以上の要素を勘案しながら流用できそうなインジェクタを探した結果、今回のSARDの300ccインジェクター

を選択しました。


●実際に装着するために必要な加工

K6A純正インジェクタとSARDのインジェクタを比較しますと、両端の差し込み部の径は同じで、

全長(クッション〜クッション間)の寸法がSARDのほうが約2.5mm短かかったです。

電極のコネクタ(カプラー)は同じ形状ですが、ミミ(凸部)の位置が違いました。

↑左がSARDインジェクタ(300cc、12ホール)、右が旧規格K6A純正インジェクタ(230cc、1ホール)

コネクターの形状は同じですが、突起部(ミミ)の位置が違います。 ですがこれはこの突起部を

ニッパーで切り取ってしまえばまったく問題ありません。 端子などもまったく共通です。

 

↑私なりに考えた寸法合わせの方法。 K6Aノーマルインジェクターに対して2.5mmだけSARDの

インジェクタが短いので、その寸法を稼ぐためにK6A純正インジェクタのクッションとOリングを

使用しました。 このOリングは適当なワッシャーなどでも代用できます。 ようは寸法の帳尻合わせ

ができれば耐熱、耐ガソリンの素材ならなんでも構わないのです。

この「寸法の帳尻合わせ」と「コネクタのミミカット」だけでSARDインジェクタは旧規格K6Aエンジン

に無加工、ボルトオンでつきます。


●装着

↑装着途中の写真。 すでにインジェクターはついています。

このとき注意することは、デリバリーパイプを留めている2本のボルトのうち、後ろ側の1本は

たいへん手が入り辛いため完全には外さずにできるだけ緩めておくだけにしておくことです。

外してしまうと取り付けが非常に厄介になります。

 

↑K6Aエンジンにピッタリ収まったSARDインジェクター。 コネクタにエーモンの穴あきステー

がタイラップで取り付けてあるのがわかると思いますが、これはインジェクターの「まわり止め」です。

というのも、1ホールのインジェクターなら噴射されたガソリンは円錐状に出ますのでインジェクター

の向きは一切関係ないのですが、今回の12ホールのようなインジェクターは円錐状にスプレーされる

のではなく「横長の楕円状」にガソリンがスプレーされるのです。 ですので、2つある吸気ポートに

均等に混合気を供給するためにはインジェクターの方向をコネクタが真上に垂直になるよう固定しなくて

はなりません。 これが斜めになったりすると噴射された燃料がポート壁面を直撃してしまい、ガソリン

が壁流となって液状のまま燃焼室に入ってしまい、せっかくの12ホール化による霧化(微粒化)の効果が

半減してしまいます。 そのためにこのようにステーをかるくで構わないので取り付けてエンジンの振動

などでインジェクターボディが回ってしまうのを防止するわけです。 ただ、実際にはこれはなくても

まずインジェクターが動く(回転する)ことはないと思います。あくまでも念のためです。


●インプレッション

さて、SARDインジェクターは無事取り付けできましたが、果たしてこれでうまく機能してくれるかどうか

ちょっとドキドキしながらイグニッションキーを回します。

結果は、セル一発であっけなくエンジン始動。 プラグがカブるなんてこともなくファーストアイドル後に

ちゃんと14.6〜14.7の理論空燃比でフィードバック制御しています。 純正ベースのスズキスポーツの

チューニングコンピューターはほんと賢いです。

 

そして暖機後にさっそく走り出すと、クラッチを繋いだ瞬間からその違いがわかります。 トルクが違う!

今まで「モッサリとワンテンポ遅れてトルクが立ち上がる」のが「レスポンスよく瞬時にトルクが出てくる」

という感じになりました。 圧倒的な差とまでは言えないものの私からすればこれはけっこうな違いです。

同じトルクを出すのにアクセルを踏み込む量が今までより少なくて済むという感じですね。 平地での信号

でのスタート時など、ほとんどアクセルを踏まずにクラッチを繋いでもふつうに発進できてしまうほどです。

その後も街中をしばらく走っていろいろアクセルの踏みかたやブーストのかけかたを変えてテストしました

が、全体にひとまわりトルクが太った感じで、レスポンスもよくなって吹け上がりもスムーズです。

ワークスRインジェクタから交換しただけで何のセッティング変更もしていないのに、です。 長時間の

アイドリングでもくすぶるとか、カブるなんてことは一切ありません。 やはりマルチホールインジェクタ

は霧化がいいという証拠だと思います。 本当に取り付けるまでは「うまくいかなかったら◯万円をドブに

捨てるようなものだな」と心配だっただけに無事に動作してくれて一安心です。

 

●高速セッティング

街乗りでの効果を体感できたので、今度は高速にのって全開、全負荷走行での空燃比を見ます。 常識的に

考えれば260cc→300ccなのですから、全開時にはかなりミクスチャーが濃くなってしまうはずですので。

そして、3速、4速、5速全開でトップエンドまで回すと、あらら、空燃比はやはり濃く10を切って9.8とか

めちゃめちゃリッチに、排気温度も770度までしか上がらずパワーも出ません。 「これは失敗かな…最悪

はF6A用の燃圧レギュレーターでも使って燃圧落とそうかな」と思いながらもSFC-MULTIのHIツマミを

めいっぱいにマイナスに振ったところ、全開、全負荷時の空燃比は10.5〜11弱まで回復、排気温度も以前と

同じ860度まで上昇し、パワーも回復、問題は一気に解決しました。 なかなかやるなSFC-MULTI!

しかも高回転の回り方というかフィーリングが以前と違います。 わりとガサツな印象のあるK6Aが

なんというかスムーズというかきれいに吹けあがるのです。 洗練された回り方という感じでしょうか。

さすがに「胸のすくような」というまでにはいきませんが、ワークスRインジェクタとは明らかに違います。

しかも全開走行だけでなく、たとえば大型トラックの後ろについて80km/h前後で巡航しているとき、

すこし勾配の急な上り坂にさしかかっても、以前は4速にシフトダウンしていたところでも5速のままで

走れてしまうほど実用域でのトルクも上がっています。 これはすばらしいパフォーマンスパーツです。

 

↑SFC-MULTIのボリューム位置。 HIはめいっぱい絞り、MID、LOWもかなり絞っていますが、この状態が

まさに「ベスト!」でした。 A/F、排気温度ともに以前のワークスRインジェクタ時と同じになりました。

↑排気温度計のピークホールド。 5速全開フルブーストで860度ジャストです。私にとってはパワーと

耐久性のバランスを考えたらK6Aにはこのくらいに抑えておくのがベターではないかと思います。

↑BLITZパワーメーターiDの馬力表示。 もうホイールスピンしているのでまったくアテになりません。

しかし体感的にも以前よりパワーが上がっていることは間違いないと思います。

↑同じくパワーメーターの最高速ピークホールド。 ただし今回は交通状況の関係でまだ伸びきったという

ところまでは回っていません。  しかも私はタイヤの外径補正をするのを忘れていました。 現在は純正

より5%ほど外径の大きいタイヤを履いていますので、正しくはこの数値の5%増しが本来のスピードメーター

の数値となります。 つまり余裕で180km/hは超えていたということになります。


●まとめ

今回は本当に不安でいっぱいでした。 なにしろ他に例を知らないわけですから、自分自身で「人柱」に

なって試すしかない、ダメだったら泣く泣くワークスRインジェクタに戻すしかないわけで、購入した3本

のSARDインジェクターも無駄になってしまうわけですから。 しかし様々な考察と事前調査の末「これなら

90%の確率でいけるだろう」と踏み切りました。 結果は大成功でした。

しかも今回、あれだけ高速で全開をくり返したにもかかわらず、燃費もリッター13〜14km走っており、

これなら普通に街乗りで使うぶんには、今までよりアクセルを踏む量が少なくても同じだけのトルクが出せる

わけですから以前よりO2センサーのフィードバック領域(ストイキ領域)を多用できるので、確実に今まで

より良好な燃費になるのではないかと思います。

↑役目を終えたワークスRインジェクター(日立製)。 10年間よく働いてくれました。

この260ccインジェクタはスズキスポーツでは赤色、ワークスR純正ではピンク色ですが、製品自体は同一です。

 

とりあえず、現時点では「メリットばかりでデメリットは見当たらない」SARDの12ホールインジェクター

ですので、現在私のようにHT07タービンやスズキスポーツのHT06、RHB31FWタービンなどの社外ボルトオン

ターボ装着の旧規格K6Aエンジンにはきっと相性はいいと思います。

しかも私のように吊るしのチューニングECUにエアフロコントローラー(実際には圧力センサーコントローラー)

という簡素なセッティングでもその違いがわかるのですから、トラストのe-manageなどでもっとセッティング

を詰められる環境をお持ちの方ならばよりその性能を引き出せるものと思います。

現在、ワークスRインジェクターやスズキスポーツの260ccインジェクター使用のエンジンで、既にマッチングが

取れているエンジンなら全域でちょっと絞るだけでそう大きなセッティング変更なしでいけるのではないでしょうか。

最終的にどの程度の効果、変化が体感できるかはケースバイケースですし、なによりセッティングの腕次第

なので私には効果の保証やお約束はできませんが、個人的には今回のこのパーツは「かなりヒット」です。

 

●90年代のK6Aエンジンは2000年代の技術を取り入れることでまだまだ進化できます。

 

<追記> 2012/4/12

何人かの方から「このインジェクターはモンスタースポーツのF6A用F100Mキットのものと同じ製品

ではないのか?」というメールをいただきました。 たしかに見た目は同じに見えますが、いちおう

モンスターでは「エンジ色、295cc」、サードは「赤色、300cc」と書かれていますので完全に同一か

どうかは不明です。 (ただ実際には、そんなに細かいバリエーションはわざわざ作らないでしょうから

99.9%同じ製品だと私は思います。 それを同一のものと思わせないために表記を変えているのでしょう)

また、仮に同じであったとしてもこの12ホール化による効果はK6Aエンジンのほうが効果的なはずです。

というのもインジェクションの制御方法がF6AとK6Aでは異なり、F6Aは3気筒すべてが同じタイミングで

噴射する同時噴射(グループ噴射)なので各シリンダーごとの理想的なタイミングで噴射していないのです。

対してK6Aは各シリンダーの点火順序に応じて独立して順次噴射する「シーケンシャル噴射」方式ですので

F6Aに比べ噴射タイミングがより理想的になっています。(ただし、K6Aでも高回転域では同時噴射になる

ようです) なお、F6Aでもe-manage Ultimate(黒マネ)の機能を使用することでシーケンシャル噴射

に改造することが可能なようです。

 

<さらに追記> 2012/4/14

今回のSARDインジェクターの旧規格K6Aエンジンへの使用はくれぐれも自己責任でお願いします。 私も

可能な限りの考察と推論のうえで実践していますが、基本的にこのインジェクターは旧規格K6Aとの適合が

立証されているわけではありません。(もし立証されていたらスズキスポーツかモンスタースポーツでキット

化されているはずですし) ですので、長期使用において今後どのような問題が発生するのかは現段階では私

にもわかりません。 記事中にも書いてありますように「理論的には」トラブルは生じないはずですが、私が

まだ気づいていない「落とし穴」がどこかにないとも言い切れませんので、同じことをされた結果、どのような

問題が生じても私は責任は負えません。 おこなう場合はよく考えたうえで実行されてください。

ただ、私の車はこのインジェクターをつけてからだいたい1000km以上は走っていますが、現在のところは

まったく問題は生じておらず、きわめて快調に動作してくれています。 「もう1ホールインジェクターには

戻れない!」と言っていいほどの違いを感じています。 これが今後、旧規格K6Aの定番チューニングメニュー

のひとつになってくれたら個人的には嬉しいところなのですが。

 

<また追記> 2012/4/19

この12ホール300ccインジェクターを「ノーマルエンジン、ノーマルタービンのK6Aにつけたい」と考えている

方がいるようですが、正直お薦めできません。 いくら霧化が良い12ホールとは言えノーマルのK6Aには300cc

は大きすぎ、せっかくのマルチホールのメリットが活かせない可能性が高いです。 記事中にも書きましたように

インジェクタのサイズはそのエンジンの出力要求を満たす最低限のサイズがベストで、余裕があればいいという

ものではありません。 この300ccインジェクターはあくまでも「100PS〜150PSクラスのターボを装着した

K6Aに適応するであろう噴射量」ですので、もしノーマルタービンの旧規格K6Aエンジンで12ホールをつけたい

のなら他のエンジンの流用で210cc〜230cc程度で適合しそうなサイズのインジェクタを探してください。

その際、くれぐれも抵抗値には注意してください。 純正より抵抗値が高い場合はそれほど問題は少ないと考え

られますが、もし純正より低い抵抗値のインジェクタをレジスターなしでそのままつけた場合、ECU破損の危険性

のほか、最悪はインジェクタのコイル過熱から発火、ガソリンに引火して車両火災に繋がることもありえます。

なので自信のない方、不安のある方は絶対におこなわないでください。 気軽な気持ちでおこなうと大変危険です!

 

●ひとつ「もしかしたら問題が生じるかもしれない可能性」を考えました。 それはコイル抵抗値が増加したことに

よる逆起電力による電圧あるいは電流の変化によるECUへの悪影響です。 インジェクタというのは電磁コイルに

電気を流したり遮断したりすることで開閉していますが、この電気を遮断した際にコイルからECUに逆電流が流れ

ます。 この電気エネルギーが純正インジェクター時より過度に増えるとECU内の素子が破壊される可能性がある

のです。 ただ、もちろん純正ECUもそれなりにマージンはとって作られているでしょうし、実際どの程度の変化

が悪影響を生じさせるのかは私にはわかりません。 素人考えでは高抵抗コイルにする訳ですから逆起電力による

電圧は上がっても電流そのものは減少すると思われますので、電気エネルギーの総量としてはほとんど変わらない

と思われるので、個人的には問題はない範囲なのではないかと考えてはいます。 ですがいちおうリスクのひとつ

として考慮に入れておいてください。 オシロスコープがあればこのへんの確認ができるのでしょうけど。

とりあえず私の車ではこのSARDインジェクターでいまだ何ら問題は生じておらず快調そのものですので、このまま

テストを続けます。 もし万が一何らかの問題が起きたときにはこのサイトで迅速に報告します。


えんいー! ヽ(´ー`)ノ~~~