迷走する薬剤師お薬の勉強HIV暴露後感染予防(抗HIV薬の予防内服)

このページは2003年に作成していますので、最新の情報ではありません。

HIV感染症の経過

@感染初期:感染してから数週間〜数ヶ月
  風邪に似た症状:発熱・頭痛・咽頭痛・リンパ節腫脹・発疹など(これらは1〜2週間で消失する)
     ↓
A無症候キャリア
     ↓
B後天性免疫不全症候群(AIDS):数年〜数十年後
  日和見感染症を発症する(CD4陽性Tリンパ球の破壊によって免疫能が低下する)

HIV感染発見の契機になるAIDS指標疾患で多いもの
  ニューモシスチス・カリニ肺炎、肺結核、食道カンジダ症

HIVの治療

抗HIV薬の多剤併用療法
     ↓
ウイルスの増殖を抑え、CD4陽性Tリンパ球の破壊をくい止める
     ↓
ウイルスを体内から排除することは出来ないが、CD4陽性Tリンパ球数(免疫能)は保たれる

HIVに1回の接触で感染する確率

  • 予防措置(コンドーム)なしの膣性交(男性→女性)
:0.1〜0.2%
  • 予防措置なしの膣性交(女性→男性)
:0.03〜0.1%
  • 予防措置なしの肛門性交
:0.5〜3.0%
  • 針刺し事故
:0.3%
  • 母子感染
:13〜48%
  • 血液製剤
:90〜100%

HIVは感染力は弱いですが、一度発症すると完治することはありません。
抗HIV薬を生涯服用することによってAIDSの進行を抑えることはできますが、既存の抗HIV薬に耐性を持つ(抗HIV薬が効かない)ウイルスの存在が次々に報告されています。
また、
他の性感染症に罹患しているとHIVの感染確率は高くなると言われています。

国連合同エイズ計画(UNAIDS)は2005年3月に「1950億ドル(約20兆4000億円)を投入して、国際社会の支援やアフリカ各国の取り組みが順調に進んでも、今後20年間でアフリカのHIV感染者は新たに4600万人増加する」と予想しています。
「適切な措置をとらないと8900万人増加する恐れがある」そうです。

UNAIDSの発表によると、2004年には世界で新たに490万人がHIVに感染し、310万人が死亡しました。
2004年12月時点でのHIV感染者は3940万人です。

針刺し事故によるHIV感染の予防

暴露後予防対策に必要な情報

予防内服

Basic Regimen :2剤 AZT+3TC、ddi+d4T、d4T+3TC
Expanded Regimen :3剤 Basic Regimenに以下のうちひとつを加える
Indinavir、Nelfinavir、Abacavir、Efavirenz

2008年2月現在、Nelfinavirは発がん性物質が含まれるため使用は推奨されていません。
上記のRegimenも変更されています。最新版はこちら

暴露量(Exposure Code :EC)

粘膜に暴露を受けた :量が少ない :EC1
:量が多い :EC2
皮膚に傷がついていない :予防内服適応なし
皮下まで達する針刺し :引っかき傷程度の軽いもの :EC2
:血が出た、太い針など傷が大きい :EC3

感染源のHIV感染症の状態(Status Code :SC)

HIV negative :予防内服適応なし
HIV positive :無症状 :SC1
:AIDS発症者 :SC2
HIV 感染不明 :SC?

EC1,SC1………予防内服は推奨されない
EC1,SC2………Basic 2剤(状況に応じて考慮)
EC2,SC1………Basic 2剤
EC2,SC2………Expanded 3剤
EC3,SC1or2…Expanded 3剤
EC2or3,SC?…Basic 2剤(状況に応じて考慮)

日本での一般的な処方(この情報は最新ではありません)

事故後の検査スケジュール


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