折れるな、勇介

 

06年 ナビスコカップ準決勝 ジェフ vs フロンターレ。

 

第1戦はフロンターレのホーム等々力で2−2の引き分け。

そしてジェフホーム、フクアリでの第2戦。

試合序盤、立て続けにゴール入ってジェフが2−0とリード。

そこから後半、フロンターレの猛攻の末2−2と追いついた。

 

試合は延長戦に突入。

 

延長後半も終わり、PK戦突入間近という119分、

森勇介がハンドを犯しジェフにPKを献上する。

 

そしてそのPKをキャプテン・阿部が決めて3−2。

そのワンプレー後、試合終了。

ジェフが2年連続ナビスコカップ決勝進出し、

フロンターレはベスト4で倒れた。

 

 

 

PK決めた阿部のガッツポーズ、カッコよかった。

 

試合後、ストヤノフがジェフゴール裏に向かって

喜び爆発させ、咆哮してたのもカッコよかった。

 

勇介は、死ぬほどカッコ悪かった。

 

 

 

故意じゃないとはいえ最後の最後、ハンドでPK献上。

もうあとほんの数分、数秒で延長戦終了というところで。

そして審判に猛抗議。

結局、勇介の与えたPKでジェフが決勝点もぎ取る。

 

決められた後、主審とジェフサポに挑発の拍手。

試合後、怒りおさまらずユニを脱ぎ捨て、ピッチに叩きつける。

整列の時も執拗に主審に抗議。そして挑発拍手。

 

 

しつけーよ、って思った。

 

 

 

やがてピッチに倒れ込んで泣く。

他の川崎の選手が集まってきて慰めるも、ひたすら泣く。

 

 

自分一人のせいで、あれだけクラブが望んでいたナビスコを逃した。

 

―――川崎サポではない立場から見ても、

今季フロンターレのナビスコへの執着心、熱意は伝わってきた。

関塚監督の目指すサッカーが成熟し、

内容・結果共にいいものがでていて、カップ戦ならばとれる気配はあった。

獲りたかった獲りたかったナビスコを最後、自分の反則で落としてしまった。

確実にナビスコを獲れるチャンスはあった。

 

 

リーグ戦犠牲にしてまでナビスコ獲りにいったのに。

 

―――この試合直前のリーグ・ジュビロ戦、

中村憲剛とマギヌンをベンチスタートさせる温存策をとった。

その温存のためか、ジュビロに敗北してしまった。

そこまでしてこのナビスコに挑んだ。

 

 

あれだけ皆死力振り絞って追い付いたのに。

―――勝つしかない試合。

2−0と厳しすぎる点差になったが皆諦めず、

全員が全員死に物狂いで動き回って痺れるような執念の同点劇を呼び込んだ。

 

 

そんな背景があったけど、

勇介のPKでナビスコを落としてしまった。

 

ひとしきり切れた後冷静になり、

ようやくその責任の重さに気付き、泣いたのかな…

彼に降り掛かる現実の厳しさを考えつつ、

倒れこんで泣いている勇介を見てて泣けてきた。

 

判定に納得いかないから泣いている、というより

自分のワンプレーでチームにどれだけ迷惑かけてしまったのか

反省し、後悔し、そしてどうにもならない現実を直視して泣いている。

単に苛立ってわがままに泣いているのではない。

 

チームに対する申し訳なさ、

監督・チームメイトに対する申し訳なさ、

そしてサポーターに対する申し訳なさで泣いているように見えた。

だから、勇介を見ているこっちも涙がこぼれかける。

 

 

 

勇介はようやく起き上がるも、ボロボロの状態で歩けない。

フラフラになりながら、スタッフにかかえられて歩く。

ショックに打ちひしがれてる、という表現がぴったりなほど。

 

そしてこの時、川崎ゴール裏から

大きな大きな「勇介」コールが…

 

 

 

不覚にもちょっとだけ泣いた。

 

 

 

勇介がこんな馬鹿しでかすのは今まで何度あったか。

ベガルタの時は言うに及ばず。

退場を繰り返し、そのために解雇処分。

フロンターレでも05年ガンバの優勝アシストPK献上するわ、

相馬さんの引退試合となったレッズ戦で退場やらかすわ…

 

 

でも、こういうお馬鹿でカッコ悪い勇介の事、嫌いにはなれないっす。

最後、故意ではないとはいえPK与えてしまった。

審判に文句言いまくった。

グズグズと泣き続けた。

 

カッコ悪いけど、そんな勇介を見ていて熱いものがこみ上げてきた。

 

 

 

折れるな、勇介。

 

 

今季ここまで本当によく頑張ってきた。

切れ味抜群のドリブルで何度敵陣切り裂いてきたか。

右サイドだけでなく、マルコンのケガ・出停による不在時には

左サイドも見事にこなし、アウェー・ジュビロ戦勝利の立役者にもなった。

 

序盤戦の活躍ぶりからか、

エスパルス戦では初めてサポーターから応援歌が唄われた。

 

今日だって、常に勝負する姿勢をみせ、力尽きるまで戦っていた。

 

 

ここまでどんだけ頑張ってきたか、皆よくわかってる。

だから、ここで勇介を責めたりはしないと思う。

直接の敗因になってしまった事実は変わらない。

でも、一人で背負い込む必要はないよ。

挽回する機会はこれからいくらでもあるんだから。

 

 

この思いを胸に 来年、決勝目指せ。

 

 

 

 

勇介を見てて、泣いたのなんて初めてだ。

 

ホントいい試合だった。

 

(UP日 06年9月20日)

戻る