ドリブルジャンキー

桜井直人 (大宮 FW)

 

 

ドリブル好き、

ドリブル中毒、

ドリブルこそが自分の武器。

そう誇る選手は誰か。

個人的にそれを思い浮かべると真っ先に浮かぶのは桜井。

 

 

「この人のドリブル、すっげえな。」

なんて初めて思ったのは

02年のセカンドステージ、ジュビロ○1v−0●ヴェルディ戦のことだ。

この試合、ジュビロが福西のVゴールにより

J史上初の完全優勝を成し遂げた記念すべきゲームだが、

そのジュビロの偉業と並んで

当時ヴェルディの桜井が繰り出すキレキレのドリブルに衝撃を受けた。

 

もう十分シュート打てる距離だというのに、

“さらにもう一人、もう一人”と

ドリブルでやたらめったら抜きにかかるという

とんでもないことをやっていた。

 

 

もちろん、

ドリブラー・ドリブルがウマイ奴なんてのは

他にも沢山浮かんでくるけど、

ドリブル中毒・ドリブルジャンキーといったらまずこの人ではないか。

ボール持って前を向いた時、ワクワクさせてくれる。

 

 

そして、なによりインタビューが面白い。

サカマガで以前、ドリブラー特集があり

玉田やジュニーニョ、石川ナオなどのドリブラーへインタビューあったが

その中でも一番面白かったのが桜井へのインタビューだ。

 

自分に酔っているような、

ドリブルが本当に好きと思わせるような、

相当こだわりをもっていると感じさせる発言がバンバンでてきている。

 

 

 

 

「ドリブルは試合を変えられることもできるし、

 試合を決められると思っている。」

 

 

「“何か起こる”

 とひらめいたときには必ず勝負にいく」

 

 

カッコイイ。

このあたりはドリブラーとしての誇り、

ドリブルの魅力が込められているセリフだ。

この“何か起こる”というヒラメキが生まれるからこそ

ここまでのドリブラーになったのかも。

 

 

 

 

「僕は指導者に恵まれた。

 小・中・高といままで僕に対して

 こうしろ、ああしろと言う監督はいなかった。

 僕の良さを認めてくれて、自由にやらせてくれた。

 

 言われなかったことで今があるし、

 ここまでやってこれたと思う。

 どこかでとやかく言われていれば、

 プレースタイルも変わってきたと思う。」

 

 

スペイン・セビージャ地方で天才ドリブラーがよく育つのは

指導者が子供の自由にやらせて、

ドリブルをあまり咎めないからだという。

桜井もドリブルを多用できる環境下だったからこそ、

ここまでドリブルを極めることができたのだろう。

 

 

 

 

 

「代表の試合とか見ているとキラーパスとかに世間の目は向いてしまい、

 ドリブラーが育っていないなと感じる。

 いっそのこと、子供たちを集めてチームを作って

 ドリブルしかやらないような指導してみたい。」

 

 

このような趣旨の発言は他でも見たことがある。

「将来指導者になった時、ドリブルを重点的に教え込む指導をしたい。」

という意味なのだろうが、

桜井の事だから本当に 

“ドリブルしか教えない” 、 “ドリブルしかさせない”

という指導をしそうな予感があるのは気のせいですか。

 

天才パサーの素質を持つ子供が間違って

“ジャンキー桜井のサッカー教室” に入ってしまったらえらいことになるな。

 

 

 

 

 

「理想のドリブルといえば、

 フェイントなんかいらないということ。

 タイミング。

 小細工なしで、流れの中で相手を見ながら抜いていく。

 あれができれば一番いい。」

 

 

確かに桜井はチョコチョコしたまたぎ・シザースを入れて抜きにかかるというより、

間合いを計り、タイミングとスピードで抜くことが多い。

そのドリブルで抜いていく時の話が次の通り。↓

 

 

「ドリブルは全然、考えてやっていない。

 状況を見てというより、自分でも何をするのか分からない。

 第六感じゃないけど、そのとき自分の潜在能力に任せてみろ、

 「何か起きろ!」って(笑)。そういう感覚。」

 

 

“潜在能力に任せてみろ?”

おいおい。これって他人に指導したところで教え込むのは不可能なような・・・・。

 

どうするんだろう。

子供に

「ボール持ったら、とりあえずガッとしかけて

 そのあとグワーッとやってこう」

という風に教えるのだろうか。

 

というか、これはハラヒロミの教え方のような・・・・。

 

 

 

 

「ドリブルは、相手よりもまず自分。

 取られてもいい状況であっても逃げる選手が多い。

 まず、逃げないこと。

 宝くじも買わなきゃ当たらないでしょ。

 それと一緒。

 まず、買いにいかないと。」

 

 

サッカーの話してるのに、

宝くじの話がでてくるとは思わなかった。

しかし、ユニークだが言いたい事はよく分かる。

 

「まず、買いにいかないと。」

名言だあ。

 

 

 

 

「悪いけど、周りは二の次。

 まず、自分が楽しいか、快感なのか。

 自己満足。

 勝手に見ろよ、というところがある。

 

 誰かに評価してもらいたいとかではないし、

 知ってる奴が知っててくれればいい。」

 

 

この子供っぽさというか

一匹狼なあたりがダディクール。じゃなくて、クール。

こういったちょっとトゲのあるような発言も桜井の魅力の一つだ。

 

 

 

例えば、05年にアルディージャへ移籍したあと迎えた

古巣レッズとのさいたまダービー。

(7月9日(土) 2005 J1リーグ 第15節浦和 1 - 2 大宮

桜井の1ゴールあげる活躍もあり、アルディージャはレッズに勝利。

その勝利した後の発言がこれだ。

 

 

 

●桜井直人(大宮):

「今日はサポーターに浦和の中心を堂々と歩いてもらいたい。

 勝った方が強いですから。」

 

 

 

桜井さん、 粘着! じゃなかった。よく言った!

 

この発言もレッズサポからすれば

「レッズで大した活躍してーねくせに

大宮でここぞとばかりに活躍したばかりか、試合後グダグダ言いやがって。」

と、さぞかし腹が立つのだろうが

全然関係ない立場の自分からすれば

 

「この余計な煽り!ネタと本気が交じり合った絶妙なコメント!

 桜井さんはピッチ外でも楽しませてくれますなぁ。」

 

とニヤニヤするばかりである。

 

 

しかも05年リーグ戦で

二度目のさいたまダービーでも、桜井はゴールを決めた。

レッズ相手という条件下での活躍ぶりにはただただ脱帽するばかり。

さらにこの時は、レッズサポの客席に向かって

「しーっ」と人差し指を手に当てる挑発ポフォーマンス付きである。

(残念ながらこの試合は負けてしまったのだが)

 

 

 

 

桜井直人。

 

このドリブルに対する姿勢、意気込み、

レッズ対戦時に発動する大活躍、

そしてレッズサポの神経を逆なでするコメント・パフォーマンス。

などなど、注目する点は多い。

 

また、指導者になってからも

一体どんな指導するのか、いやむしろ

桜井サッカー教室からどんな危険な選手が育つのかという点で

非常に楽しみである。

(UP日 06年2月7日)

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