武術&気功U 


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  弾指神功(如意珠)
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 ☆ プロローグ

 指弾という言葉を聞かれたことがおありでしょうか。もちろん武術用語の、です。
普通一般に使う「爪弾きにする」というような意味ではありません。

 私は中学生の頃だったでしょうか、よく平井和正先生の「狼男だよ」に始まるウ
ルフガイシリーズを夢中で読んでおりました。その小説の中で、平井先生は「指
弾」という少林寺拳法(多分中国の少林拳を指している)の恐るべき技を狼男に
使わせていたと記憶しております。その技とは、パチンコの玉のような小さな鋼球
を弾丸として指で弾いて飛ばし、まるで銃で撃たれたようなダメージを敵に与え
てしまうという技です。

 今、その小説類はもう既に手元に無く、記憶をたどるしかないのですが、多分
具体的には、拳を握った状態で人差指の関節が構成する孔の上ぐらいに鋼球
をおき、それを親指で弾いて飛ばすというものだったと思います。このやり方だ
と鋼球を何個か握っておけば連射が可能だと思います。

 実は中学生だった私は、この技にすごく感動して、密かにパチンコの玉をたく
さん拾ってきて、独自に練習したものでした。最初は全然威力も無く、ヘナヘナ
でしたが、練習と工夫を重ねて何とか壁にバシッと当るぐらいにはなりました。
でもそのぐらいでは、敵の顔に当れば少しひるむぐらいでしょうが、威力的には
大したことはありません。野球のピッチャーのように投げた方が絶対に威力が
あるに決まっています。まぁしかし、ほとんどノーモーションで弾丸を飛ばせる
という事は、不意に敵を攻撃できるメリットがあるでしょうか。

 でも威力的に言うと本当にパワーが小さいので、『これじゃぁ使えないや。指で
弾いて威力を出すのは無理だな。』と半年ぐらい練習した後、やめてしまいまし
た。以後、その事は完全に脳裏から消えておりました。(やはり狼男なみのパワ
ーが無いと無理なのでしょう?!)

 ☆ 武侠片!!

 話はいきなり台湾に飛びます。私が台湾に留学したばかりの頃、アルバイトも
やってませんでしたから、授業以外は暇なのでよくビデオ屋さんでビデオを借り
て見ていました。(中国語の勉強も兼ねていたんですよ。f(^_^;))

 どんなビデオを見ていたのかというと、日本で言う時代劇とかチャンバラに相
当するもので、武侠片というものです。(「片」とは正確ではないですが「〜物」ぐ
らいの意味に解釈していただければ良いと思います。因みに日本のビデオは
日片、西洋物のビデオは洋片といいます。)

 武侠片は今日本でも翻訳が出始めている金庸や古龍などという作家の書いた
武侠小説を原作に、香港で作ったビデオで、いろいろなお話のシリーズがありま
すが、だいたいは「武功秘笈」(ウーコンミーチー)という武術の秘伝書
(とてつもない威力を秘めた練功法が記されており、これを実習しさえすれば、
並ぶものの無い力を得ることができるという、まさに夢の秘伝書)をめぐって繰り
広げられる、ロマンスあり、涙あり、お笑いありのお話でとても面白いものです。

 (だいたいこのような香港製作のビデオは、一本90分のテープに、二話ずつ
収めた物を一巻として、短い話だと十巻ぐらい長い話だと二十巻ぐらいのもの
が多いようでした。それを毎日三〜五本づつ見ていました。(o^_^o))

 そして、台湾人に限らず多くの中国人は、子供の時からだいたいこのような小
説の洗礼を受けており、その潜在意識の中には、縄や梯子を使わずに壁を登
ったり、点穴術で人を金縛りにしたり、木の葉で鉄格子を切断したり、空中を飛
び回って剣技を闘わせる武術の達人たちの姿が焼きつけられています。恐らく
台湾人や香港人に、この武侠小説についての話を聞くと、熱く語ってくれる人が
たくさんいると思います。

 ☆ 「楚留香」の弾指神功

 さて、その武侠片に「楚留香」という主人公が活躍するお話があります。(古龍
原作だったと思います。)実は「楚留香」の本業はドロボーなのですが、色男の
上に頭脳明晰でその上武術の達人として描かれております。そして、シャーロッ
クホームズのように相棒と数々の難事件の謎を解き、解決していくというお話
です。

 やっと「指弾」に関係する所に漕ぎつけました。そう、この「楚留香」の数ある得
意技のひとつが「弾指神功」という指弾と同じ技なのです。このビデオを見て私は
『おぉ、これが本場の指弾なのぢゃ!!』と思わず感動するとともに、中学生の
時に一生懸命指弾の練習をしていた頃の記憶を甦らせたのでした。

 でも、その「楚留香」がやっていた弾指神功は、親指で弾丸を弾くのではなく
中指で弾くのです。一応こちらの方が本場の指弾でありますから、どうやら本場
の指弾は中指を使って弾丸を弾くようです。でも、じゃあ弾丸はどこに設置して
弾くのでしょう。親指ならばプロローグのところで書いた私のやり方で良いけれ
ども、中指とは…?!

 実は簡単です。まず、中指の爪の所を親指で押さえ、力をためます。次に人差
指と薬指で弾丸を挟んでから、中指の爪のところに持ってきます。そして、これを
弾きます。中指は親指よりも力は弱いですが、親指より長いので瞬発の勁力に
おいては優れています。なるほど、と思いました。指弾に使う指は中指だったの
です。

 ☆ 実際の練功法

 それでは実際の練功法はどうやればいいのでしょうか。これは実は台湾の華
聯出版社から出ている「練打暗器秘訣」という本に「如意珠」という暗器としてそ
の練功法や由来などが紹介されております。

 その由来まで紹介するとだいぶ長くなるので、練功法の部分だけ以下に紹介
してみたいと思います。

 ■■ 如意珠 ■■

 最初にお断りしておきますが、どんなに指の勁力が強くなっても銃弾のような
威力はとても無理ですので、その点はご了承ください。

 まずそのやり方ですが、先にも述べたとおり、最初に中指を曲げて親指で押さ
えておいてから、弾丸を人差指と薬指で左右から挟みます。そして、挟んだ弾丸
を中指の爪の辺りまで移動させ、これを中指で弾きます。

 以上の事からお分りいただけると思いますが、要するに親指と中指の勁力が
重要となります。特に中指は徹底的に鍛えておかなければ、威力が出ないのは
もちろんです。したがって練功法は、中指を鍛えることが中心となります。

 また、威力が強くないといっても、練功が成功した暁には、目とか太陽穴また
は耳根穴などの鍛えにくい部分を狙うとやはり危険ですので、おもしろ半分に試
さない方が良いでしょう。

 1.この練功法の第一歩は、わりと気軽に出来ます。毎日暇を見つけては、親
指で中指の爪の所を出来るだけ強く押さえつけ、その力を利用して中指を
強く外に弾きます。この動作を出来るだけ繰り返せば良いわけです。この
ようにして半年間ぐらい訓練します。これによって中指の力は数倍になるら
しいです。これが第一段階です。

 2.次に家の中の必ず通る場所(ドアの所など)に砂袋を吊るしておきます。こ
の砂袋の重量は約3キロぐらいにします。朝と晩に三百回ずつ、中指を用
いて出来るだけの力でこの砂袋を弾きます。また、この場所を通るたびに
何回かずつ砂袋を弾いていくのです。

 最初の内は指の力が弱い為、この砂袋を動かすこともできませんが、毎日
一生懸命に訓練すれば、半年程で必ず中指で弾くだけで砂袋を動かすこ
とが出来るようになるということです。

 そして、だんだんとこの砂袋の重量を増やしていきます。最終的に18キロ
ぐらいの重さになった砂袋を弾き飛ばすことが出来るようになれば、第二
段階の成功です。

 3.ここまでくれば指の勁力は充分ですから、今度は実際にパチンコの玉など
を弾いて的に当てる練習をします。最初は3メートルぐらい離れた所に標的
を作ります。その標的は普通の人間の顔の大きさに合わせて作り、その中
に目や耳そして太陽穴等の要害穴の位置を描いておきます。

 この如意珠は前後左右どの方向へでも打ち出すことが出来ますので、前
だけで無く、その他の方向へも練習しましょう。

  正確に的に射ち当てることが出来るようになったら、今度はだんだんと距離
  を離して行きます。最終的に15メートルぐらい離れた所から正確に射ち当
  てることが出来るようになればこの功夫は完成です。

  でも、これは根気の要る修行だと思いますよ。(;^_^A 
  試すのは御自由ですが。

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  馬歩開合功
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 これは気功に属する練功法です。外気発放の為の基礎功です。だいたい百日
ぐらいで完成するとのことです。私は試したことはありませんが、シンプルでしか
も短期間の修練期間というのが気に入りまして、ここに紹介する次第です。動功
と静功があります。

A: 開合動功

 1.俯身沈掌

 a. まず、両足を肩幅に開きつま先は正面に向けます。両手を掌にして頭上に
   挙げます。指先を向かい合わせながら重ねて、右手を上に重ねます。この
   時掌は上に向いています。両眼は前方を真っ直ぐに見ています。

 b. 次に両掌を翻して自分のほうに向け、鼻、胸、臍と体の正中線に沿ってな
   でるような感じで引き降ろします。(身体には触りません)そのまま地面に
   触れることの出来る人は地面に触れるまで降ろします。(膝が曲がらない
   ように注意しましょう。)

 c. 次に腕を伸ばしたまま腰を起点として体を起こします。この時両手は上に
   挙げながらも、常に外に向かって押すように努力します。そのまま体を起
   こして最初の掌を重ねて頭上に挙げた状態に戻ります。この動作を繰り
   返して十回行います。ただし、自分の体力と相談して無理ならば回数を
   減らしてもかまいません。

 d. さて、この動作の呼吸ですが、腕を下に降ろす時は呼気を用い、体を起こ
   す時には吸気を用います。また、呼吸にこだわらずに行ってもかまいませ
   ん。ただし、重要なのは常に掌の真中にある労宮穴に意識をかけておくと
   いうことです。しかし、集中しすぎるのはよくないので、自然に任せて忘れ
   ない程度にするというのが大事です。

 2.馬歩開合起落

 @ 馬歩前平伸:

 両足を肩幅に開いてつま先は前方に向けます。両手を体側から肩の高さに挙
げて、一の字にします。掌心は下に向け、肩の力を抜きます。呼吸は自然に行
い、意識を労宮穴に集めます。次に両手をゆっくりと少し後方に降ろすつもりで、
お尻より少し後ろの位置まで持ってきます。そのまま続けて、前に向かって肩の
位置まで挙げます。この時両手の距離は肩幅と同じ位にします。掌心は下に向
いています。この動作で、腕を前に向かって挙げる時に膝を曲げて腰を落とし、
馬歩の姿勢になります。目は前方に視線を流します。(腕は伸ばしきらないこと)

 A 馬歩前推掌:

 続いて、足を伸ばして立ち上がりながら、肘を身体に引きつけながら曲げて、
掌を肩の位置で前方に向けるようにして立てます。この時両手は充分にリラッ
クスさせ、指は伸びきらないで自然にすこし曲がっています。(畜勢)

 次に両手を同時に前方に向かって推し出しながら、膝を曲げて腰を落とし
馬歩の姿勢になります。この時掌は前方に向かって立てています。┗━ の
ように。(發勁)

 B 馬歩開合掌:

 次に足を伸ばして立ち上がりながら、両手を左右に開き、掌を立てたまま体側
に向けます。

 この状態から、@の馬歩平伸に続けていきます。ここまでを一動作として十回
繰り返します。ただし、個人の体力によって増減してください。

 3.左右馬歩開合進展

 @ 前式に続いて両腕を左右に肩の高さに挙げたまま、身体を左に向けます。
    この時左足は踵を軸につま先を左に向けます。

 A 続いて両手を「馬歩前平伸」の要領で腰の両側を通過させて前方(元の
   状態から言うと左側)に肩の高さに挙げます。掌心は下に向け、距離は
   肩幅です。意識は労宮穴を守り、目は前方に視線を流します。同時に左
   足は曲げ、右足は伸ばして弓箭歩となります。
 
 B 次に重心を右足に移しながら曲げ、左足を伸ばします。同時に両手は
   「馬歩前推掌」の要領で肘から身体に引きつけ掌を前方に向けて肩の
   位置で立てます。(畜勢)

 C 次に重心を左足に移しながら曲げ右足を伸ばして弓箭歩にしながら、
   両掌を前方に推し出します。(發勁)

 D 次に「馬歩開合掌」の要領で高さはそのままで(肩の高さ)両手を左右に
   開きながら体側まで持ってきます。(掌は立てたまま)同時に重心を右足
   に移しながら曲げ、左足を伸ばします。目は前方に視線を流します。ここ
   までをひとつの動作として、また@に返って繰り返します。これを十回行い
   ます。

 E この左側での動作が終わったら、今度は右側で同じ動作を繰り返します。

 4.収式

 以上の動作を練習し終わったら、収式に移ります。元の正面に戻り、両足を肩
幅に開いて立ちます。次に鼻から息を吸いながら、両掌を掬い上げるようにして
中丹田即ち胸の位置まで挙げます。この時の形は両掌を上に向けてその指先
と指先を向かい合わせます。(少し離しておく)当然腋は空き、両肘は横に突き
出される形になります。

 次に両掌を翻し、掌を下に向けて、口から息を吐きながら下丹田に向かって
推し沈めて行きます。これを数回繰り返します。(しばらく休んでから、静功に入
ります。)

 ※ これは私見ですが、呼吸は逆式呼吸を用いると外気發放の為の良い鍛錬
になると思います。いつ吸っていつ吐くかは各自で研究してみてください。

B: 開合静功

 1.馬歩開合静功

 @ これは先の2.動作(馬歩開合起落)を所々で停止させて、練功します。
   まず、「馬歩前平伸」の最初の部分の要領で両掌を体側から肩の高さに挙
   げ、掌を下に向けた状態で労宮穴に意識を聚め、一分間その体勢を保持
   します。

 A 次に「馬歩前平伸」の次の部分の要領で腕を下ろしてから前方に挙げ、
   腰を落とし馬歩の姿勢をとります。両手を前に挙げた状態で(掌は下を
   向く)やはり労宮穴に意識を聚め、一分間その体勢を保持します。

 B 次に馬歩のまま両手を肘から引きつけ、掌を肩のところに立てた状態で
   労宮穴に意識を聚め、二分間その体勢を保持します。

 C 次にやはり馬歩のまま両掌を推し出した状態で(掌は前を向く)労宮穴に
   意識を聚め、一分間その体勢を保持します。以上を一回の動作とします。

 D 次にまたもとの姿勢に戻って最初から繰り返します。これを四回行います。
   一回が五分かかりますから全部で二十分です。

 2.開合沈掌

 @ 両掌を体側から挙げ、そのままの高さで前方に持ってきます。更に掌を自
   分に向けながら胸の前まで持ってきます。次に掌を翻して下に向け、下丹
   田の位置に向かって推し沈めます。同時に脚を曲げて腰を落とし馬歩とな
   ります。

 A 次に下丹田の位置にある両手を斜めに横に挙げて、また元の両手を体側
   に一文字に伸ばした形をとり、更に前に移動させ胸に引きつけ下に推し沈
   めるという動作を繰り返します。十回行って一応の終わりとします。収式は
   動功の収式と同じです。

 とここまで訳し終わってから、一通りやってみましたが、運動不足の私には結構
きついものがありました。特に静功の方は大変です。なんせ約二十分の馬歩です
から。明日は身体痛いかも!? (T^T)

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  台湾に真功夫の老師はいるのか?
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 創刊号から第三号に載せた自己紹介の所でも書いたのですが、私は台湾に
いた頃、機会があればどこかで中国拳法のすごい老師に巡り会えないかと、密
かにアンテナをはりめぐらしておりました。で、台湾人の友人や日本語教室に
やって来た生徒たちと雑談などをしている時に、武術の好きそうな人がいると、
どうしてもそういう風な話題になってしまうのでした。

 ある時、「地球村」という日本語学校のクラスで教えていた時のことだったと思
います。そして、雑談が豊富に出来たのですから、多分高級班か中級班だった
のでしょう。「どこかにすごい老師がいないかなぁ。やっぱり南部の方へ行かない
と出会えないのかなぁ。(私は台湾での四年間はずっと台北に住んでいました。)」
という風に言った私に、ある生徒が「先生、今台湾には真功夫(1zhen 1gong 1fu
真実のカンフーの威力を持つ)の老師は多分いないと思いますよ。もし、いても
数が非常に少なくて探せないでしょう。」というのです。

 不思議に思った私が、「でも、台湾には大陸から逃れてきた老師やなんかすご
い拳法の達人がたくさんいると聞いたけど。」と言うと、「ええ、それはそうなんで
すが、今はほとんどいないらしいんですよ。実は真功夫の老師たちは皆、中東へ
行ってしまったらしいんです。」と答えてくれました。

 「なぬ、中東とはどういうことなの?」腑に落ちない私は説明を求めました。
彼は、次のように説明してくれました。「実は、國術は習うのに時間がかかる
から、台湾ではあまり人気がなくて、習おうという人も多くないのです。そんな
所へ、金持ちのアラブ人たちがスカウトにやってきて、高額な契約金を支払っ
て真功夫の師父たちを根こそぎ中東へ連れて行ったらしいんです。そして
彼らは今、軍隊の特殊部隊の教官などをして、拳法の極意をアラブ人たちに
伝えているらしいのです。残念なことです。」

 そうすると、その他の何人かの生徒も同意して「私もその話は聞いたことが
ある。」と言っていましたから、恐らくこの話はある程度信憑性があると思います。

 なんということでしょう。実は中国拳法の真の功夫(暗殺技術を含む。f(^_^;)は、
台湾では存在していないらしいのです。(もちろん少数の名人や達人は残ってい
るでしょうが。)

 真の威力を持った殺人技術である中国拳法の技術は、金の力によって、今
では中東(アラブ)に伝承してしまったというわけです。中東諸国のアラブ人の
卓見ということなのでしょうか。恐らくイランやイラクなどが軍備を強化していた
頃に、その他のアラブ諸国の特殊部隊の教官としてスカウトされたのでしょう。
アラブの金持ちということなのですから、サウジアラビアあたりなのではないで
しょうか。(因みに中国人の老師たちがスカウトされていったのは湾岸戦争よ
り前の話だと思います。)

 これからは、中東へ中国拳法の修行へ行くようになるかもしれませんね。(;^_^A

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  私の習った站椿功
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 さて、今年は正月から忙しかったので、資料などを翻訳している暇がありま
せんでした。そこで、今回は私が黄老師から習った站椿功を紹介してみたい
と思います。

 まずは、普通の馬歩の站椿功です。

 (一) 両足を肩幅に開き、つま先は正面に向けます。膝を少し曲げて腰を
     落とします。そして、背骨を真っ直ぐに保ちます。この時、上から見
     てつま先と膝を一直線上にします。つまり、つま先が見えてもいけ
     ないし、膝が曲がりすぎて、つま先から垂直に上に延びた線を越え
     てはいけません。目は前方を平視します。

 (二) 両手はあたかも何かを抱えるようにして胸の高さまで挙げます。掌は
     自分の方に向けます。当然手の甲は外を向くことになります。またこ
     の時両手の指はくっつけないで五〜六センチ離しておきます。また、
     虚霊頂勁、含胸拔背、収尾閭、沈肩垂肘などの原則は必ず守らない
     といけません。

 (三) 次に重心を決めます。その位置はかかとの最後部ぐらいで、あとほん
     の少し後ろにずらすと、後方によろめいてしまうぐらいのギリギリのと
     ころに設定します。この様にするとつま先から踵の中ほどぐらいの所
     は床にくっ付いてはいるけれども、浮いているという状態になるはず
     です。

 (四) この状態が決まったら、今度は収尾閭によって緊張させている、鼠蹊
     部の筋肉を緩めます。そうすると、臀部が少しだけ後ろに出ます。(か
     といって、出しすぎて出尻になってはいけません。あくまで鼠蹊部を緩
     めただけです。)実はこの様にすると収尾閭でいるよりも足にかかる
     負担が大きくなると思います。頑張りましょう。

 (五) このようにして、後ろに倒れるか倒れないかのぎりぎりの状態を保って、
     しかも身体全体は脱力してリラックスしておきます。そしてこの馬歩の
     姿勢を保持します。そのうち腿の筋肉の限界がきて、ブルブルと震え
     出すと思います。が、更に我慢します。

 (六) そして、だいたい二十分ぐらいこの姿勢を保持していると、筋肉の
     痙攣による為なのかどうなのか分りませんが、丹田を中心に様々
     な動きが自動的に起こります。

 これはちょっと不思議な感覚を伴った動きで、意識して動かしているわけでも
ないのに足だけならともかく、腰も、はては手までも動き出して、いろいろな動き
をしてしまいます。(止めようと思えば多分、止められるでしょう。因みに私が初
めて出来るようになった時などは、『へぇー、こんなことになるんだな、面白いも
のだな』と思い、止めろとも言われなかったので、しばらく動いていました。)
ある程度動いてやめようと思うと、確か止まったように思います。

 黄老師は「これは真気が発動したために起こる現象である。」と仰っていまし
たが、私は今の所懐疑的です。恐らく限界に達した筋肉が自動的にその状態
を保持しようとするのと、疲れを回復しようとする相反する動きが一緒に起こる
ことによって、このような自動的な動きが起こるのだと思います。

 その時一緒に鍛錬していた人たちも、やはり二十分ぐらいしてから太ももの
ブルブルが激しくなったと思ったら、私と同じように自動的な動きが発動してい
ました。

 因みに、このような現象は上記のような原則を守って、馬歩を二十分ぐらい
続けて出来た時に、初めて現れたように思います。だから、五分や十分では
当然このような動きは現れませんので、試してみたい方は、最低でも二十分
はやってみるべきだと思います。

 ただ、黄老師はいきなり二十分とかはやらせず、徐々に時間を増やしていった
ように記憶しております。そして、何ヶ月か練習して徐々に時間を延ばし、多分
これでもう良かろうと思われた時に、二十分以上の馬歩に挑戦させたのでしょう。
でも、最初からこの姿勢で二十分以上頑張れる人は、第一回目で発動するかも
しれませんよ。
  (ダイエットグッズと同じで、効果には個人差があるかも!?(^.^;A)

 次に紹介するのは、片足づつ鍛錬する站椿功です。

 (一) 踵と踵を着け、つま先を90度開いて立ちます。

 (二) 次に左の足に全体重を預けて曲げ、腰を少し落とします。右足は、
     そのままつま先の向いている方向へ、(腰を落とした分だけ)軽く
     一歩踏み出して、踵だけを床に着けます。

 (三) 次に右手を前方に伸ばします。この時に腕は少し曲げて、掌心は
     左に向けて立てます。中指の高さと鼻の高さがほぼ同じになるよ
     うにします。左手はやはり掌にして右肘の横に添えるようにします
     が10センチほど離しておきます。掌は右を向きます。(この構えは、
     合気道の構えを少し上に上げたような感じです。)

 (四) また、この姿勢をとる時やはり重要なのは鼠蹊部の筋肉を緩めて
     おくということです。そうすると、当然ながら臀部がすこし後ろに出
     るようになります。そして、足への負担はより大きくなります。(もし
     足がキツイと感じないなら、姿勢が間違っている可能性があります
     ので、もう一度よく読んで確かめてみましょう。)また、鼻と中指の
     先と右足のつま先は一直線上にないといけません。いわゆる「三
     尖相照」というやつです。

 (五) この状態を出来るだけ長い時間保持するように努力します。足が
     ブルブル震えて、もう限界だという所まで来たら、右足のつま先を
     床に着け、踵を浮かして爪先立ちにして更に耐えます。それでも
     我慢できなくなったら、ゆっくりと右足と両腕を引きつけて元の(一)
     の姿勢に戻ります。そして、今度は右足に全体重をかけ左足をつ
     ま先の方向へと出していきます。要領は全く同じです。限界に達し
     たら、爪先立ちにしてさらに耐えるのも同じです。

 (六) このようにして、右足が終わったら左、左足が終わったら右と何回
     も繰り返して鍛錬します。でも、やりすぎは禁物です。適当な所で
     やめましょう。(因みにこの站椿功はテレビを見ながらやると、気が
     紛れて良いです。(^^ゞ)

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  中国の剣について
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 ■■ プロローグ ■■

 さて、前号で私の「武侠片」好きを披露してしまいましたが、武侠片(ビデオ)
といえばそう、物凄い功夫を持った武術家どうしの、丁丁発止の闘いが大変
見物です。その中でも圧巻なのはやはり剣の達人どうしの戦いでしょう。それも、
それらの剣客たちは、皆、剣から気をほとばしらせて、(実際に剣の刃を当て
ないで、)その気(剣気)の力で離れた所にある立ち木を切り倒したり、また、
大地を切り裂いたり、敵を一刀両断したりします。これはどの武侠片でも共通
して見ることが出来ます。

 こういう中国的発想はどこから生まれたのでしょうか?日本では、居合にお
ける据え物斬り等で物を斬る時には、必ず刃筋を正しく打ち当てて物を斬る
のは常識です。というか、刃を当てないで物の斬れる道理がありません。
また、日本で気を用いて物を斬るという武術は寡聞にして聞いたことがあり
ません。(修験道や密教のような神通力系を除く)

 ある時、私は日本語学校の生徒に、このことについて「どうして武侠物の中に
出てくる剣の達人たちは皆、離れた所から剣を振って、物を斬ったり出来るの?」
と聞いてみました。実は私は「嫌だなぁ〜、先生アレはお話ですよ。」という答え
を期待していたんですが、なんと彼は真顔で「剣の修行を積むと、剣の先から
剣気が出るようになり、それで物が切れたりするんですよ。」と答えてくれたの
でした。また、別の機会に同じような質問を他の何人かの生徒にした所、やは
り同じような答えが返ってきたのでした。

 という事は、中国人は剣から出る剣気で物が斬れると本気で信じている?!
ということなのでしょうか。中国人は無邪気だなと、あなたは一笑に付してしま
われるでしょうか。

(と、このような導入になってしまいましたが、今回は剣気の出し方についての
練功法ではありませんので悪しからず。^_^; 主に中国における剣の概念に
ついて考察してみたいだけです。)

■■ 日本の剣と中国の剣 ■■

 元々中国にはいろいろな武器がありますが、主なものはやはり剣と刀でしょ
う。この二種の武器は形状も用途も異なるようです。また日本とは違い、剣も
刀も片手で使います。因みに両手で使うのは、武術的に稚拙であるといって
バカにされるらしいです。(私が言ったんじゃないですよ。中国の人が言ってい
たんです。(;^_^A )

 いまさらこんなことは言われなくても分っておられると思いますが、行きがか
り上、簡単に説明しておきます。うざったいとは思いますが、ひとつ御寛恕願い
ます。

 剣とは、普通両刃で先が三角形に尖っていて、全体が真っ直ぐの形状の
ものを言います。(特殊なものでは片刃のものもあるかもしれません。)剣身は
刀(中国の刀)ほど幅広ではありません。そして一般的に、湾曲した形状のも
ので、片刃のものを刀といいます。中国の刀などというとすぐに「青龍刀」を思い
浮かべる方も多いと思います。

 だいたい、日本人は中国で言う撲刀(1pu 1dao 香港映画の時代劇などで
よく見かける中国刀。日本語で発音するとプーダオです。プータロウではありま
せん。(^_^)ゞ)、つまり先が鋭く尖り、物打ちの部分が幅広くなっているが、柄の
方になるほど細くなっている美しい曲線の刀のことを「青龍刀」だと思い込んで
いる方が多いのではないか思います。(現にニュースなどでも、《東京の盛り
場で青龍刀を持った中国人どうしが争った等》という報道を耳にしますが、あ
れは青龍刀ではなくて撲刀です。)

 しかし、青龍刀(チンロンダオ)とは「三国志演義」の中で關羽が使っている
獲物のことで、刀身は撲刀よりは短く、肉厚でそれに長い柄のついたもので、
ちょうど日本の薙刀の刀身部分を、短く幅広の撲刀と換えたような感じのも
のなのです。

 さて、日本刀はというと、ご存知の通り刀身の幅が撲刀ほど広かったり狭
かったりがなく、ほぼ均一です。その点では剣と同じですが、物を引き斬ると
いうコンセプトから反りを加えてあり、少し湾曲しています。ですから、撲刀と
剣の中間に位置するものと考えると適当でありましょう。その意味では日本
刀のことをある時には「剣」と言い、ある時には「刀」というのも頷けるものが
あります。

 因みに、これは余談ですが、中国の南方に住む、少数民族の一つである
「苗族」の使う「苗刀」と呼ばれる武器は日本刀にそっくりな形をしており、や
はり両手で使います。ある時テレビで、納豆のルーツを中国大陸に探しに
行く番組をやっていたのを見たことがありますが、確か苗族にも同じような
食べ物が有ったと記憶しております。という事は、納豆だけでなく日本刀の
ルーツもここにあるのかもしれません。

■■ そのコンセプト ■■

 さて、形状の話はこの位にして、その用途(用い方のコンセプト)について見て
いきます。中国の刀つまり撲刀の主な用途は、もちろん刺突もたまに有ります
が、大体において【石欠】・斬・劈といった、物を切断するということを主眼として
いるようです。この点においては日本刀と大同小異でしょう。しかも切断という
ことですから、これにはかなり力が要るわけです。この為、片手で用いる撲刀は、
力点である柄の部分が細く、作用点である物打ち部分が幅広肉厚になっており、
そんなに力を用いずとも物を斬ることが出来るようになっています。

 では剣の用途はどうなのでしょう。結論から言うと、剣の主な用途は劃(2hua)
といいます。これは日本語で読むと、「描く」とか「線を引く」というような意味に
とれると思いますが、実は「肉を切り刻む」というような意味です。つまり、中国
の剣は撲刀とは異なり、切断することを第一目的としていないのです。(全く切
断と言うコンセプトを持たないと言うことではありません。その辺がフェンシング
などと違う所だと思います。)

 また、刺(4ci)という事も剣の用途の一つでしょう。要するに中国の剣の用途
は大まかに言ってしまえば、劃と刺と言えるでしょう。日本刀などで言う「肉を斬
らせて、骨を断つ」などという考え方は、撲刀ならば共通しているでしょうが、
剣にはどうやら当て嵌まらないようです。

 片手で用いる上に、物を切断する時のように一撃一撃に力を込める必要は
なく、ただ刺突と肉を切り刻む事にだけに主要な力を注げばよい武器………。
それは連続攻撃と多彩な変化を可能にします。剣のこのような特性を考えれば、
その用途は明らかでしょう。一撃で決める必要はないのです。人間の身体は、
所詮血肉で出来たものであり、剣先で少し触られただけでも、皮膚が切り裂か
れ、血が流出してしまうものです。つまり、ハイスピードの連続攻撃と相手を幻惑
する変幻自在の操作技術で敵を翻弄して、最後に留めを刺せばよいわけです。
それが中国の剣なのです。

■■ 剣の握りと操作 ■■

 では、実際に剣はどのように握り、どのように使うのでしょうか。私は実際に
剣を習ったわけではないので、具体的な使い方はよく分りません。しかし、幸い
剣について造詣の深い人から話を聞いたことがあります。受け売りですが、
以下に解説してみたいと思います。読者の皆様のご参考になれば幸いです。

 まず、その握り方つまり手の内ですが、ちょっと日本の剣道と比較してみたい
と思います。日本の剣道等は左手の薬指と小指で柄の端を締め、あとの指は
軽く握りますよね。また、右手は軽く添えるだけです。居合など日本刀の本物や
擬似刀を使う時も同様ですね。

 そして、斬り降ろした時には茶巾絞りといって腋を締めながら柄を絞るように
して威力を高めます。日本刀の使い方は大体こんな感じでしょうか。このコン
セプトは遠心力を利用して、切っ先三寸を放り投げるようにして対象物に打ち
当てるということでしょう。

 次に中国の剣はというと、もちろん片手で使うのですが、多くの人が右利きで
用いるようですので、仮に右手を用いるとしておきます。剣の握り方はまず、
柄の真中を中指と親指で締めます。そして、薬指も締めますが中指ほどでは
ありません。人差指と小指は軽く添えるだけでほとんど締めません。

 実際に棒などを剣と想定してこの握り方を試してみると分りますが、この握り
で剣を振ってみると、中指と親指で押さえた部分を固定点として剣身は大きく、
柄の下半分はごく小さく、ブラブラ揺れるはずです。

 で、実際にどのように使うのかというと、技法的には抽(1chou)・帯(4dai)
・提(2ti)・格(2ge)・撃(2ji)・刺(4ci)・點(3dian)・崩(1beng)・攪(3jiao)
・洗(3xi)・壓(1ya)・截(2jie)・劈(1pi)の十三勢を基本として、その応用変化
は限りないですが、基本的には「いろいろな身法を用いて、足や腰から發勁し、
その勁を剣の切っ先三寸に伝えて対象物に振り当てる。または突き刺す。」と
いうことに尽きるでしょう。そして、対象物に当たってから指を締めてその勁力を
対象物に伝えます。(もちろん剣ですから斬れますよねぇ。つまり、斬れる時の
威力が増すのでしょう。)

 ここまで書いてくると、この感覚は中国拳法を習った方なら、たぶんすぐに
了解されると思います。そうです、拳や掌を打ち出すのと全く同じ理屈なの
です。武器はまさに手の延長に他ならないのです。剣もまた然りです。先に説
明した中国の剣の握り方は、この勁力を伝達するという目的の為に最も適し
た握り方なのでしょう。

 これを傍目から見ていると、恐らく切っ先三寸を対象物に向かって振り飛ばし
ているように見えると思います。香港映画などでは殺陣は実際の武術家が担当
していると聞きますが、その映像はまさに剣先を飛ばしているように見えます。
武術的に用いるならばその一撃一撃には皆、勁力が篭っているはずです。

 プロローグの所で書いた「剣気」というのは、やはり勁力を發出しているという
考え方が発展して、出て来たものだと考えられるのではないでしょうか。恐らく、
この勁力がさらに剣先から対象物に向かって、飛び出していくという発想なの
でしょう。

 また、練剣においては、剣と眼が一致していることが重要であると聞きました。
即ち眼がその対象物を見たと同時に剣先がそこに至っていなければならない
のです。という事は物凄いスピードだということです。

 昔の中国の剣客たちはこれを練習する為に、たくさんの小さな標的を紐など
で木立の間に吊るし、視線を移動させるごとに剣先を標的に当てる練習をした
そうです。それからまた、振りかえりざまに対象物を見て、その見た瞬間に剣先
を対象物に当てるというような練習も行ったらしいです。もちろん、このような
練習の他に型や基本技の練習を行っていたのは言うまでもありません。

 もし、台湾や中国大陸で、眼光炯炯として中指が異常に太く発達した人を見かけ
たら、きっと剣を深く修練している人だと思いますよ。こういう人には逆らわない
方が良いかも!? (-_-;)

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  ▲▲▲▲▲ 

 以前紹介した練腿法の続きです。この腿法は実際に足を蹴り上げ
る動的練功法です。

 A. 前

 ア. まず両手を腰に当てて(肘を張って腰を掴むように)右足を一歩前に
    踏み出します。当然左足は後ろにあります。

 イ. 次に左足を真っ直ぐに伸ばしたまま、前方に自らの額の部分を狙って
    振り上げます。身体の軟らかい人はつま先が自分の額に触れそうに
    なるでしょう。(きっといないと思いますが……^_^;)

 ウ. 続いて左足を右足と並ぶ位置に落下させます。そしてそのまま、一歩
    前に踏み出します。これで右足が後ろにあることになります。

 エ. 次に同じように右足を自らの額の部分を狙って、伸ばしたまま振り上
    げます。これを任意の回数繰り返します。

 ※ 注意点

 ◎ 蹴り上げる時には、腰が前に曲がらないようにします。また胸を張り
   ます。そして、上半身が極力前に傾かないようにします。かといって
   後ろに反りかえらないようにしてください。なぜなら、反りかえると後ろ
   に倒れる危険性があるからです。

 ◎ 軸足(蹴ってない足)は膝の部分が曲がらないように注意します。
   つま先は正面に向いています。そして、踵は地面から離れないように
   してください。

 ◎ 蹴り足の方も、膝を曲げないで伸ばしておかなければなりません。
   そして足首とつま先の角度が90度になるようにつま先を反りかえらせ
   て、振り上げます。

 ◎ 両手は腰におかないで、拳にして体側に一直線に伸ばしても良いで
   す。(十字架の形)腰に手を当てた方がバランスがとりにくいので、
   熟達してから手を腰においてやったほうが良いかもしれません。

 B. 斜掛

 ア. 先の前と同じ要領です。今度は左足は右耳に向けて振り上げ
    ます。振り下ろした時には右足に揃える位置に振り下ろして、さらに
    前に一歩踏み出します。右足は左耳に向かって振り上げます。要領は
    同じです。そしてやはり前と同じように足を換えながら前進して
    いきます。任意の回数繰り返します。

 ※ 注意点

 ◎ 左足を振り上げる時には、顔を少し左に向けるようにし、右足を振り
   上げる時には、少し右に向けます。この動作は両手を拳にして体側に
   一直線に挙げておいたほうがバランスがとりやすいでしょう。

 C. 側

 ア. 両手を拳にしますが、きつくは握りません。そして、右足を一歩前に
   踏み出します。この時つま先は右斜め外側に向かいます。上半身を
   右に捻り、身体の左側が正面に向きます。左手は拳のまま伸ばして
   股の間の部分に置き、右手はやはり拳のまま少し肘を曲げて頭上に
   挙げます。この時左足は後ろにあります。

 イ. 次に左足を左耳の上方に向かって振り上げます。身体の軟らかい人
    ならば、この時つま先が頭に触れそうになるでしょう。(やはり、いない
    でしょうね……^_^;)

 ウ. 続いて左足を前方に下ろします。この時つま先を左斜め外側に向け
    ておきます。さらに上半身を左に捻って身体の右側を正面に向けます。
    そして、右手を下ろして肘を伸ばし、先ほどの左手の在った位置に
    持ってきます。同時に左手は少し肘を曲げて頭上に挙げます。次に
    右足を右耳の上方に向かって振り上げます。つまりは左側で行った
    のと反対の動作をするわけです。

 エ. このようにして同じ動作を任意の回数繰り返していきます。

 ※ 注意点

 ◎ やはり同じですが、膝は伸ばしてつま先を反りかえらせ、足首との角
   度を90度にします。最初はもっと高い場所つまり頭頂部などを狙って
   振り上げても良いです。熟練したら目標を少しずつ低い位置に移します。

 ◎ このように書くと、不思議に思われる方が多いと思います。なぜ高い
   位置を先にして、低い位置を後にするのか?高い位置のほうが難しい
   のでは?と思われるのは当然です。しかし目標が自分以外のものの
   場合はそのとおりですが、自分の身体だと遠い位置より近い位置の
   ほうが難しいのは当然でしょう。

 前【足易】など、実際にやってみると分るのですが、頭頂部に向かって蹴る
のと額に向かって蹴るのとでは、額に向かって蹴る方が難しいのです。よく
考えてみますと、額を蹴れるというのは腰から臀部の筋肉も完全にストレッチ
できていないと無理なのです。

 よく空手家などが、自分のかぶった帽子を蹴り飛ばすパフォーマンスを
見かけますが、彼らは恐らく足を伸ばしたまま自分の額は蹴れないと思い
ます。(蹴れたらごめんなさい。先に謝っておきます。m(__)m)

 D. 外擺

 ア. 両手を拳にして体側に一直線に挙げます。(十字架状)左足を一歩
   前に進め、右足を後ろにしておきます。

 イ. 右足を後ろから身体の左側をとおして振り上げ、顔の前をとおって右
   側に振り下ろします。振り下ろした時に左足の横の辺りに下ろします。
   (所謂、擺脚という技です。)

 ウ. 続いて右足を一歩前に踏み出し、今度は左足で同様の動作を行い
   ます。このようにして任意の回数繰り返して行います。

 ※ 注意点

 ◎ 外擺の時には、腹が凹んで前傾姿勢になりやすいものですが、腰と
   腹は真っ直ぐに起こしておかなければなりません。

 ◎ また、たとえば右足で外擺する時にはできるだけ大きく廻し、左足の
   横の位置ぐらいに下ろすようにして、前方に下ろさないようにしましょう。
   180度の平面を描けるように努力しましょう。

 E. 裏合

 ア. 今度は先の外擺とは逆の動作です。両手を拳にして体側に挙げて
   おくのは同じです。まず、右足を伸ばしたまま少し振り上げます。それ
   から、力を抜くようにして右足を少し後方へ移動させ、続いて身体の
   右側から円を描きながら振り上げ、顔の前をとおって身体の左側へと
   まわし、左足に揃えるように下ろします。できるだけ180度に近い平面の
   円を描きます。

 イ. 次に左足で同じ動作を行います。これを任意の回数繰り返します。

 ※ 注意点

 ◎ 最初に足を少し前方に振り上げたあと、力を抜くようにして少し後方
   に持ってきますが、この時体は自然に少し開くようになりますが、
   つま先は正面に向けたままにしておいてください。

 ◎ この動作の時には前屈みになりやすく膝も曲がりやすいので、そうな
   らないように気をつけましょう。

 F. 倒打

 ア. これもやはり両手を拳にして伸ばした状態で体側に挙げるのは同じ
   です。まず、左足を一歩進めて、額を目標に右足を振り上げます。
   ここまでは前と同じです。

 イ. 続いて右足の力を抜いて自然に落下させ、その勢いに乗じて後ろに
   振り上げます。この時の目標は足の裏を後頭部に当てることです。
   もちろん、この後ろに振り上げる動作時には膝が曲がってもかまいま
   せん。というか、膝を曲げないと絶対にできません。大変難しいですが、
   頑張りましょう。また、この時上体を後ろに反らせて頭を足に近づけて
   もかまいません。

 ウ. 次に右足を下ろして、そのまま一歩前に踏み出します。続けて同じ動
    作を左足で行います。これを任意の回数繰り返します。

 ※ 注意点

 ◎ イ.の所で膝が曲がってもかまわないと書いたのは振り上げた足のことで、
    軸足はもちろん膝を伸ばしておかなければなりません。

 ◎ この練功法の最初の段階では壁や椅子、机などを支えとして行っても
   良いということです。

 いやぁ〜、すごいですね。訓練すれば、こんなことができるようになるんで
しょうかねぇ。皆様、だいたい頭の中でこれらの動作を理解していただけた
でしょうか。

 どこかでこんな風景を見たことがありますよね? そう、上海雑技団や京
劇の人たちの練習風景に、このようなものがありましたよね。あの人たちは、
こんなことを平気でやっているのです。

 もちろん、ここで紹介したのは武術の基礎の練功法ですから、一応中国
武術の訓練をなさっている方も、当然このようなことができるのだと思います。
やはり、中国功夫は奥が深いですね。(-_-;)

 因みに、私は太極拳だけですから、もちろんこんなことはできません。(^o^)

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  武當軽功
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 さて、今度は気功に属する練功法です。武當(ウーダン)というのは、武當
派の功夫を表しております。中国武術界の正宗ともいうべき二大門派の
本山は少林寺(佛教)と武當山(道教)でありますが、日本では少林寺(少
林拳)は映画などでも広く知られておりますが、武當拳については一部の
武術愛好家のみに知られている程度なのではないでしょうか。

 この場を借りて、少し武當山について少し解説を試みたいと思います。

 武當山は、又の名を参上山・太和山などと云い、秦嶺山脈にその源を発
する山であり、周囲は八百余里、主峰の天柱峰は海抜1600メートルあまり
で、中国湖北省の西北部均縣に位置する山であります。山中には勝迹が
極めて多く、山川は秀麗にして風景は優美で、天下の名山また、道教の
名山としてその名を知られています。

 かの有名な道士、張三豊はこの山で道を修め、明の太祖や成祖が彼を
捜し求めて何度も使いを差し遣わしましたが、探し出すことができず、結局
逢うことができませんでした。

 そこで、皇帝はこの地に広壮な道観を建立して、その愛慕の情を示したと
言うことです。以来この地は道教の聖地として知られるようになり、また道教
の経典中の「眞武」という故事に因んで道教と共に武芸の練磨も奨励した
のでした。

 以来、武當派の武芸は有名となり、「北崇少林、南尊武當」と並び称され
るようになったということです。また、武當派の拳法は武當山に住んでいた
といわれる、明代の道人張三豊がその拳法の起源であるとしており、現在
の太極拳や八卦拳、形意拳、武當剣、玄武棍、三合刀、龍門十三槍などは、
皆この張三豊の武芸の技術から演変してきたものであるとされています。

 軽功(チンゴン)というのは、身を軽くする功夫です。本来は特殊な漢方食
を用いたり、日本の忍者のような訓練を経て鍛錬するもののようですが、
中国ではこれに加えて、ここで解説するような、気功も採り入れて鍛錬する
みたいです。ですから、ここで説明する気功はあくまでその軽功の訓練体
系の一部であると思われます。

 以下に解説を試みます。

 ◇ 武當軽功

 この功法は、まず丹田の内気を練り、意念でその練り上げた内気を上に
引き挙げることにより、身体を軽くするというコンセプトのようです。この功を
修錬すれば、百念を排除し、気は百脉に通じ、身体は燕の如く軽くなり、
人心をして明朗快活に保ち、精神を爽やかにして、延年益壽の効用がある
ということです。

 (一) 丹田運気周轉法

 まず、自然に足を開いて立ち、全身をリラックスさせます。視線は前方に
流し、舌を上顎に着けて任脈と督脈を接続します。(舌を上顎に着けること
によって任脈と督脈が通じるのです。)呼吸は逆式呼吸を用います。

 両腕は体側からゆっくり挙げ、肩の高さで横一文字となった時に掌を前方
に向け、ゆっくりと前方に移動させて、大きな球を抱えているような状態に
します。そしてこの時、両手の中指を接触させて、さらに親指を上に向けて
立てておき、肺経をのびやかに通じさせます。しばらくこの状態を保ちます。

 次に、左手をゆっくりと下ろして親指を臍の所に置き、他の四指は自然に
丹田を覆うようにします。続いて右手もゆっくりと下ろして左手の甲の上に
重ねます。そしてこの部分に意識を集中して、一分間呼吸に合わせて丹田
を圧します。

 そのやり方ですが、まず吸気の時は鼻を用いてこれを行い、下腹部を内
に向かって収縮させ、掌もこれに随って圧力を加えます。次に呼気の時は
口を用いて行い、下腹部を外に向かって膨らませ、掌の力もこれに随って
緩めていきます。呼吸はゆっくりと、細く長く、均しくします。一呼一吸を一回
として十回行います。

 以上の動作が終わったら、今度は丹田の気を左右に運転します。(つまり、
丹田の気を腹の中で左回転、右回転するということです。恐らく、横回転で
はなく縦回転だと思います。原文には、はっきりと明示されておりません。)
まず左に向かって十二回廻し、次に右に向かって十二回廻します。この
練功の初期には、手掌の力を用いて腹部を圧しながら右左に轉動させ、
内気の運転を助けます。三ヶ月ぐらい練習したら、掌の力を用いず、内気を
意念の力だけで轉動させます。いわゆる「意到気到の境地」です。

 (二) 外気引入丹田法

 a. 功法

 まず、自然に足を開いて立ち、全身をリラックスさせます。視線は前方に
流し、舌を上顎に着けて任脈と督脈を接続します。(舌を上顎に着けること
によって任脈と督脈が通じるのです。)呼吸は逆式呼吸を用います。

 掌を轉じて外に向けます。続いて両手を伸ばしたまま、体側にゆっくりと
持ち上げ、肩の高さで一文字にします。この時掌心は上に向けくぼませて
おきます。(ちょうどボールを持っているような感じに)意識は労宮穴(掌の
中心にあるツボ)に集中させます。

 次に、意念で労宮穴から外気を吸収していきます。吸収した外気は、手の
三陰経を通し、さらに任脉を通して丹田へと送りこみます。ここで一分間
温養します。(三陰経を通すということですが、そこまで細かく観想しなくても、
手の内部を通すと観想するだけで充分だと思います。ちゃんとやりたい人は、
東洋医学の本などで経絡図を参照していただければ載っていると思います。
また、温養とはその場所にソフトに意識を集中することです。)

 次に掌を翻して前方に向け、両手を伸ばしたまま前に移動して、掌と掌を
向かい合わせます。(労宮穴を向かい合わせます。)両掌の距離は拳一つ
ぐらいにします。続いて両手をだんだんと離していき、元の一文字の状態に
開き、さらにまた閉じていきます。

 しかし、次の回は両掌の距離を先ほどより広めにします。このように開閉
を十二回繰り返しますが、一回ごとに両掌の距離を離していき最終的には
肩幅ぐらいの距離にします。

 このようにしていくと、掌心にだんだんと熱が発生して来るということです。
さらには、痺れたような感覚も生じることがあるらしいです。

 十二回終わってから、また元の一文字の状態に戻し、掌を上に向けて
くぼませ、再び労宮穴に意識を集中して、ここから外気を吸収します。
観想は前と同じです。これを一分間続けて、次の収功に入ります。

 b. 収功

 上記に引き続いて、肘を曲げて前腕部を頭の高さに持ってきます。そして、
両手の中指を太陽穴(コメカミ)上に相対させ、気を注ぎます。これを一分間
行います。(中指は太陽穴に接触させません。)

 次に両掌を胸の前の任脉に沿って下ろし、帯脉(臍の高さにベルト状に
ある経脉)に至って左右に分け、両腿の外側を通して垂直に下ろします。
その後、開いていた足を閉じます。

【前にも書きましたが、軽功とは、肉体的な訓練と食事とここで取り上げた
気功のような要素を全て取り入れた上で、何年もの苦しい練習を積みあげ
て、はじめて完成するものと聞いております。だから、この気功だけで身体
を軽くすることは難しいでしょう。】

 さて、今回は武當派の軽功を紹介しましたが、次回は「武當明目功」と
いうのを予定しております。(あくまで予定です。(^^ゞ 独断と偏見で変わ
る事もあります。)というのは、最近パソコンのせいで目が悪くなってきた
ので、(T^T)ちょっとこの気功を調べてみたいからです。

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