
害吉くんの憂鬱
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十一月朔日 |
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| かなり屋さん
は歌が好き。 でも、かなり屋さんは歌がへた。 かなりへた。 |
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十一月二日 |
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生命とは
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生命探知機を開発した。 何をもって生命とし、探知するかと考えたのだが、自己増殖を指標にすると探知までに時間がかかりすぎるので、自発的運動・変化の有無と微弱ながら電気信 号を発するかどうかを指標に検知するように作った。 しかし、機械が自らにガンガン反応するので困った困った。 |
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十一月三日 |
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逆なんだよ
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逆親切に逆沸騰するようじゃあ、だめ。 |
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十一月四日 |
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ゴシック好み
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目の中に明朝体が入っていたというので驚く。 さらに、陰茎の中も明朝体。 俺的にはゴシック体の方がよかったのに。 |
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十一月五日 |
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酢酸鳥
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酢酸鳥は巣を作るよりも酢を作るのが好きらしく、造巣そっちのけで醸造する。 でも、その性質を利用する人類が代わって巣を作ってやるので問題ない。 |
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十一月六日 |
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動物人間
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患者の葉脈をとったが、律動はしていなかった。 うむ。異常なし。 |
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十一月七日 |
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でも、注意できません
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格好悪い人の背中に、格好いい絵 |
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十一月八日 |
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マンドラゴラの水耕栽培
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マンドラゴラ水耕栽培キット(狗縄屋)というのが安全だという評判をきいて早速購入した。土から抜かれることがないから聞くと死んじゃう例の絶叫を挙げ ないというのだ。 無色透明のビニールに漬物のように人型の根が入っている。人の部分だけ見るとホルマリン漬けっぽくもある。パッケージに付けられた舌を出して白目を剥い ている犬のロゴが面白い。 キットだからほんとに楽だ。もうマンドラゴラが俺んちで植わっているのだ。 これで願い事バシバシ叶えるぞーって、……セットしたのが 7 日前。一週間経っても全然変わらんじゃん。 叫びを忘れたマンドラゴラに力はなかったようだ。 |
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十一月九日 |
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神を受信せよ
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人工仏の口からでる合成真理にも有り難みはある。 |
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十一月十日 |
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破門
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見知らぬ男が現れる。 戸を開けた訳でもないし、壁を突き破ってきた訳でもないし、虚空から飛び出したのでもない。 で、俺を指さして「お前は破門だ!」と叫ぶ。 だからどうしろと? |
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十一月十一日 |
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制乳権争い
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嬰児の制乳権争いは不毛ではない。 大人の資源をめぐる争いも似たようなものだ。大人の争いは不毛と言えなくもないか。 ただ、死活問題ではある。 ま、そうではあっても、乳の覇者と呼ばれる嬰児には逢いたくはない。 |
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十一月十二日 |
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あぼがどろん
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常温常圧でマゾというのと、同温同圧同体積中に同じ虫というのは、どっちが気持ち悪いのか。 |
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十一月十三日 |
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数値
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十一月も半ばだというのに、セブール数が高い。 その影響か、俺自身も MLI が高くて死にそう。 |
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十一月十四日 |
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デラックス
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デラックス室長の乙津庵さんは、容貌といい、性格といいショボい。 でも、仕事場と仕事内容はデラックスだ。 バランスがとれていて良い感じ。 |
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十一月十五日 |
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自分らしさ
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ディロウさんってローマ字で書くと Di-roh ってなるんだけど、二番目の男すなわち次郎なんだ。 でも、自分になるということには長男も次男もないので、自分になるために朝から厳しい稽古をつけられて育ったという。 お蔭でディロウさんは、筋金入りの自分になっている。しかも、重い伝統を背にした自分だ。 そういう自分だったら自分らしさって主張しても良いと思う。それ以外はただのわがままだな。 |
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十一月十六日 |
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ごらん
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なんか、優しそうなおねえさん、優しそうな表情で、子供に「ごらんなさい」と言っていた。 でも、その子、泣き出しちゃった。 「怖いー。コワイー」って大泣き。 ごらんなさいという語感が怖かったに違いない。 ごらんなさい。 うん。なんか、怖い。 |
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十一月十七日 |
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薬
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生まれついての爽やかさと白色矮星とを煎じて作った薬剤という珍薬を大納言が買っていた。 面白いということは認めるけど、何に効くのだろう。 大納言自身も知らないで買ってるんだよな。 売り子も、なんと、知らないで売ってたんだよな。 |
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十一月十八日 |
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温暖化
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あいつ、悪い奴だ。 なんちゅうか、地球温暖化のような悪者らしいんだ。 それって、問答無用の悪ってことだろうな。 今、地球温暖化って、それだけで純粋に悪いことなんだな。あたたかいっていう「温暖」っていう言葉自体はいいイメージなのにな。 |
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十一月十九日 |
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キガゾク
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飢饉族いっつも空腹だ。 飢饉族いつでも腹減らし。 飢饉族いっつもペコペコだー。 飢饉族それでも、幸せだ。 |
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十一月廿日 |
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高速魚類
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高速魚類って何? 凄く早く……魚類ってこと? 「早く魚類」ってなんなんだ。 でも、なんか、操縦するみたいなんだよな。 高速魚類の実操ってあるんだけど、何をどうするの? |
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十一月廿一日 |
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一滴は一滴
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マクギルソンさんは、一滴を100マイクロリットルと決めているようだ。 それを普通の一滴と区別するために、基本滴と呼んでいるようなのだ。 「ここで、醤油を5滴(基本滴)入れます」とあるけど、そう書くんなら、「ここで、醤油を500マイクロリットル入れます」もしくは、「ここで、醤油を 0.5ミリリットル入れます」と書けばいいんじゃないの? |
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十一月廿二日 |
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せみながし
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もう、冬だって時に流し蝉なんてするんじゃねー。 あんなの、可哀想なだけだし、第一、不味いじゃん。 |
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十一月廿三日 |
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こどもの世界
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ビデオを借りにレンタルショップに行くと、ピンクの幕で遮られた18禁のエリアがうるさかった。 なぜか、その騒ぐ声が幼い。 幕を上げると、中にはスモックを着た子供達が座っていた。 「げんこつ山のたぬきさん♪」と、両手をグーにして重ねている。 なんだここは。子供が入らないように遮っているはずなのに、一番あってはいけないことが起きている。 「おっぱいのんで〜♪」と子供達は口の前で手を絞るようにしている。 が、一人がビデオを取り出していた。それが、巨乳モノだったので、妙に納得してしまった。 またあした……だな。 |
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十一月廿四日 |
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東インド会社
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気まぐれに就職活動。 東インド会社日本支社にエントリーシートを出す。 でも、そんな会社は存在しないのだった。 なら、どこにもいきたくないや。 |
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十一月廿五日 |
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かーすどびれじ
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毎年、一月ずつ減っていく呪われた村。 でも、案外、歴史は短くて、まだ、三月も残っている。 他の土地ではそんな呪いなどなくてもマイナスの月がある村だって珍しくないから、まだまだだな。 |
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十一月廿六日 |
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すっかり変わる
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大納言の兄の中納言を最近見ないと思ったら、入院していた。 なんだか影が薄く可哀想な人なので、見舞いに行く。 中納言は入院生活ですっかり変わっていた。 肥満といっていいほどに太っていた体はひどく窶れ、性別まで変わっており、まるで別人だ。 |
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十一月廿七日 |
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トカゲのしっぽ
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トカゲの付いていない尻尾がのたくっていた。 トカゲを切り離して逃げてきたに違いない。 |
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十一月廿八日 |
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水魚
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水魚の交わりは本当に仲睦まじい。 あまりに仲が良すぎて、水と魚のあいのこ誕生。 |
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十一月廿九日 |
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メッセンジャーインセクト
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虫がメッセージを伝えに来る。でも……。 「なんだ。虫の知らせか。迷信だ」 と、伝言を真剣に取り合ってもらえなくて、悔しそうな顔の虫。 お気の毒。 |
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十一月卅日 |
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ケルプ病
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尻から海藻が出てきた。 まるで着物の帯のような幅の広いケルプだ。 でろんでろでろと、いくらでも出てきて終わらない。 |