第31層 奇夢庫

 

 

 下 層に

矛盾夢

 久しぶりに遇った中学時代の同級生の実家にいる。玄関から入ってすぐのリビングで、見たこともない部屋。その同級生は異性で、その とき初めて中に入ったのだ。

 両親は親切にもてなしてくれるが、その同級生と二人きりにしようとする。

 二人きりになると、その同級生から、ずっと好きだったと告白される。それで独身を通しているようなのだ。

 しかし、夢を見ている本人は、既に結婚しており、そのことを同級生に告げる。

 それでも結婚を迫られる。

 その同級生は現在の自分の妻だと気付いて目が醒める。

(ある学徒の見た夢の断片)

081119記録


 

登校

 二学期から小学校に通わなければいけないと思いこんでしまう。

 ちゃんと、玄関には自分のために用意されたとおぼしい赤いランドセルがある。しかし、それは女の子用であり、成人男性の自分には明らかに不似合いだとわ かるが、それを背負って登校しなければならないと考え、その通りに出る。

 しかし、彼の通うことになる小学校はランドセルではなく、男女とも黄色いリュックが指定されているので、登校姿はまわりの小学生からかなり浮いている。 それに気付いていたたまれなくなり途中で引き返す。

 と、登校してくる彼の娘と妻に会う。何しているのかと訊かれ、そこで、なぜ自分は学校に通うなどとバカなことを考えたのかと我に返り、恥ずかしくなって 何も説明できずに、黙って通り過ぎる。

(ある学徒の見た夢の断片)

070905記録


クレーンで

 支払いを拒んで、取り立てに来たものを超高層ビルの屋上からマジックハンド付きクレーンで吊り上げて落とし殺すという残虐事件が TVで報道されている。犯人は工務店経営者らしい。

 犯人へは支払いに困っている者や支払いを逃れたい者が依頼に来ているらしく、犯人に対して債権のないものまで殺害されている。

 凶悪事件だなあと画面を見ているが、なぜかレポーターとして取材に行くことになる。

 犯人の部下にあたる中年女性を夢の中では知っているようで、彼女をつてに犯行現場であるビルの最上階にカメラやら取材班とともに入れてもらう。この時点 では、この事件はまだ、いけないけれど犯罪とまでは見なされていないようなのだ。

 窓を開けて外に脚を出す形でそこに腰掛け、屋上を見上げる。そこにちゃちなクレーンがついている。知り合いという設定であるが見覚えのない中年女性がク レーンから何本も 出ている短い紐を手にしている。それで操作するようなのだ。

 下を見ると目もくらむような高さで、下腹部がこそばくなる。屋根から吊り下げてある5〜6本の細いロープが命綱なのでしっかりと握っているようにと伝え られる。言われるままに、すべてを束ねて手に巻き、ぎゆと握る。

 と、中年女性はちゃちなクレーンで早速、地上の人間をつかむ。まるでゴム人形のように吊り上げられる男。本当のゴム人形のように、他者に操られているよ うな生命感に乏しい動きをしている。

 それがこちらの頭を通り越して持ち上げられ落とされる。男はなにかしゃべっているが内容まで聞き取れない。マイクを持っているところを見ると実況らし い。

 知らぬ間に自分も実況をしている。それに怒ったのか、今度はこちらの顔をクレーンのマジックハンドでつかむ。痛くはないのだが、痛い痛いと口に出してい る。

 形式だからとクレーンで曵かれる。落ちるのが凄く怖いのでロープを痛くなるほど握る。顔の皮が嘘のように伸びている。

 形式だからと連呼しながら、女はずっとクレーンを操り続ける。その間、緊張を強いられるので苦しくて仕方がない。

 ようやく放されるが、上腕が痛くなっており、手も強ばって紐を放せない。体を反り返らせながら、自分の重さを利用して背中から室内に落ちる。すぐにベッ ドがあり、そこに落ちた瞬間、反動でまた窓に戻らないかと恐ろしくなる。

(ある学徒の見た夢の断片)

070208記録


醜精

 腹からトンボの翅が生えた異様に肥満した女が目の前にいる。

 その弛んだ肉体が災いして、腹の下で薄い翅が折れてしまっている。

 ビビビビと翅を振るわせ身体を浮かせるが、なんともぎこちない。

 そんな飛び方で窓辺にいるのだ。

 一歩間違えば外に落ちてしまいそうなのに、暢気に下手な浮揚をしている。

(ある学徒の見た夢の断片)

060525記録



凧揚げ

 畳ぐらい大きな凧を揚げている少年とその父親が居る。

 その凧が電線に引っ掛かる。

 それをとるために、少年は電線を伝っていく。その後を電力会社の職員が追う。

 危険だと言うことで少年は父親に怒られるのだが、なぜかバスへと連れて行かれ、その運転席で叱られる。

 父親が激しく叱責しているときに、バスの運転手が戻ってくる。

 運転手は、なぜそんなところに座らせているのかと大声で親子を怒鳴りつける。

 親子は身体をびくっと竦ませる。

 それを夢を見ている本人は、バカめと思ってみている。

(ある舞踏家の見た夢の断片)

060414記録

 

髑髏XX

 近所のあまり大きくない図書館に行く。

 結構通いこんでいるので、めぼしい物は読んでしまっている。

 と、髑髏XX(XXの部分失念)という何とも惹かれるタイトルの本を目にする。

 黒い背表紙の祥伝社文庫で、髑髏に何か不気味な物が絡みついており、おどろおどろしいがカッコイイ表紙をしている。

 裏表紙はカバーではなく、さいとうたかを風の劇画が描かれている。実はそれは巻末の袋とじで、経文のように伸ばすことが出来るように なっており、わざわざその開けた状態にしてあって裏表紙を覆っているのだ。

 その劇画の袋とじをどけると裏表紙にあるあらすじが読める。

 ホラーかと思いきや推理小説で、宇宙物理助手というのが、探偵役のようである。しかし、宇宙物理助手という言葉に引っ掛かる。宇宙物 理というものを助けるのだろうか、そんなことはあるまい、宇宙物理学研究室助手の誤植なのだろうとは思う。

 そうではあるが、誤植ではなく宇宙物理助手というのがあっても面白いかも…と思いながら、袋とじの劇画に目をやる。その劇画は解決編 をダイジェスト的にビジュアル化してあるのだそうだ。見れば見るほどゴルゴチックな絵柄で、ベッドシーンが数コマある。

 誰が書いているのだろうともう一度背表紙を見ると、なぜか著者は都築道夫。全然似合っていないので笑ってしまう。

 それを借りることにし、一旦袋とじを戻そうとするが、元通りにはならない。今考えてもやり方がわからない。

(ある学徒の見た夢の断片)

060217記録

 

椿象

 大きなグラウンドにいる。

 見知らぬ女と組になっている。奇異な服装はしていないが、どことなく軽薄そうな女である。

 そのグラウンドには虫が播かれており、その中からカメムシを3匹捕まえて所定の位置に持っていくというゲームを行うことになってい る。

 いつのまにかゲームはスタートしている。

 足元に金属光沢のある紫色した昆虫がいる。手に取ると、白い字で会社か何かのロゴが入っている。このゲームの主催者のロゴのようだ。 そんな字が書いてあり、かなり扁平で正方形に近い胴をしているが、まあカメムシだろうと、掌に握る。

 自分も含め誰も袋などを持っていないので、そうやって手で握っておくことになっているようだ。手の中で虫が蠢くのが少しウザイ。

 また、さっきのものより小さく、厚みがあるがカメムシらしき虫を見つけたので捕まえる。

 組になっていた女が居なくなっているのに気付く。

 あと一匹捕獲したら判定者のところに行かねばならないのに、女はどこなんだと苛立つ。

 自分一人で判定者の所に行けばいいか、と思い直しカメムシを探す。が、カマキリやバッタしかみつからない。

 見つけたカマキリや甲虫がかっこいいのでそれも掌に握り込む。

 なんとかカメムシを見つけ、判定者のところに持っていく。

 判定者の前で掌を開くと、翅が紺色で美しい水玉模様が浮かんだ白いカマキリが出てくる。判定者と凄いものだと感嘆し合う。

 が、カメムシではないのでそれは脇にやる。次にでてきた虫も綺麗だが別の虫である。

 扁平で紫のロゴ入りのカメムシを捕まえたのだと、説明しながら掌からそれを探すが、殆どがカマキリ。

 大きな虫の塊がでてくるが、ショウリョウバッタが何十匹も固まった柔らかい塊だった。

 その中にカメムシがいるかもしれないと思うのだが、そのバッタ塊の手触りが不愉快な柔らかさをしているので、引き剥がすのを躊躇す る。

(ある学徒の見た夢の断片)

060119記録

 

 田舎の親類の家に行く。

 尿意を催したので便所を借りることにする。

 そこは古い造りの家で、厠は外にある。が、つい最近水洗化に伴い改築したそうで、少し期待して外に出る。

 小さいはずの敷地がとても広がっており、今出た親類の家の横には公民館としか思えないような、民家の便所には似つかわしくない建物が 建っている。その横にその公共施設用のトイレが併設されている。

 入ってみると、やけに便器が小さい。まるでオモチャのようである。ちゃんと座れるかどうかさえ怪しいミニサイズだ。

 どうやって用を足そうかと逡巡していると、同じように困っている人の声が壁越しに聞こえてくる。

 よくよく見てみると、便器の周りがかなり汚れている。皆、巧く便器に出せてないようなのだ。

 こんなところではしていられないと、用も足さずに外に出る。

 今出てきた建物の横にも公共施設らしい建物が並んでいる。が、なぜかどこもトイレは長蛇の列になっている。

(ある女性舞踏家の見た夢の断片)

051229記録

 

呪穢刀を乞う

 賑やかなオークション会場にいる。

 と、重い雰囲気になる。空気が赤い。

 日本刀が段上に出てきているのだ。それが異様な空気を作り出している。

 同伴者が「あれは魔だ。」と耳打ちする。それが妙に納得できる。

 それが呪われた刀であり、所有者は周囲の者を惨殺し自分も切り刻んで死ぬのだと、言われなくてもわかる。

 皆もそれを感じているのかと思うとそうでもなく、セリに熱が籠もっている。

 とても熱心な者が一人いて、ついに競り落とす。

 確実な惨死が予想されとても気の毒な気持になる。

(ある学徒の見た夢の断片)

051201記録

 

シュレイの門

 近所にあるいつも覆いがかけてある門の前を通る。

 珍しくカバーが取り外されており、見晴らしがいい。

 と、看板が目に付く。

 この門は日本で初めて作られたとされる門だと書かれている。が、後に悪魔が作った門であることが判明し、認定を取り消されたと、太く 赤字で続いていた。

 また、その続きに、それ故、覆いで長年隠されていたこと、後に文化的な価値が認められ保存されることになったが悪魔が作ったという理 由から重要文化財の認定はされなかったことが書かれている。

 そんなに面白い物だったのかと感心するが、老朽化のために取り壊されることに決まりましたと結んであった。

 門に目をやると、比較的新しい金属製の門で、右側は角が欠けている。いつも通っていたはずの門は閉まっており、真ん中に額が封のよう に掛かっている。額は縦書きで「殊礼の門」と平仮名交じりの明朝体で書かれている。

(ある学徒の見た夢の断片)

051124記録

 

こだわり喫茶200歳

 通い慣れた道を自家用車で走っていると、「こだわり喫茶200歳」という看板を見かける。

 二人の老婆がやっているあの店だ!と入ったこともないのにわかる。その内部まで思い浮かび興味はそそられるのだが、怕いもの見たさが 勝っているのみで、行く気にはなれず、そのまま素通りする。

(ある舞踊家の見た夢の断片)

051117記録

  
 

唇食海豹

 電車に乗っている。

 各駅停車のようだが、停車駅の看板はどれも奇妙な絵文字で読めない。勿論、どの駅も行ったこともない見慣れぬ風景。

 そのうちのある駅では、アザラシのような生物がホームに多く寝そべっている。

 彼らは自分の唇を取り外しては食べている。なくなった唇はしばらくすると生えてくるのだと、そのアザラシのような生物が説明してくれ る。

(ある美容師の見た夢の断片)

051117記録

 

秘技

 けん玉をしている。

 玉の方を手にしており、剣を投げてそこに刺している。

 と、剣が巧く入った瞬間、誤って手から玉がこぼれ落ちる。

 玉はふんわりと地面に落ち、剣の刺さったままうまく立つ。

 新しい技の誕生だ!とちょっと感動する。

(ある学徒の見た夢の断片)

051117記録

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

当頁に記載された夢の断片は、誰かが実際に見たものであり、創作ではございません。

 

背景:「眼は奇妙な気球のように無限に向かう」

オディロン・ルドン筆(1882)