○高血圧

主に精神情緒の不安定、飲食の不摂生、生命力の虚などと密接に関係しています。肝腎の陰(身体を適度に冷やす機能)と陽(身体を適度に温める機能)のバランスの失調が基本的考え方であり、上っ面では実の症状が表れますが、根っこは虚弱です。根っこは腎の虚があり、上っ面のイライラの精神不安定は肝の異常亢進と関係があります。

A 分類
@肝火による高血圧・・・年単位にわたる精神情緒の問題等で肝うつとなり、それに熱が加わり化火すると肝火が高ぶることにより、高血圧となります。

A痰濁による高血圧・・・動物性脂肪過多や甘いものの偏食、飲酒により痰湿が生じ、それに熱が加わり痰濁になります。火は上に上りやすい性質があるため、肝風とともに顔面や頭に上ると高血圧が生じます。

B陰虚陽亢による高血圧・・・月経によるエネルギー漏失や年齢的な要因により腎陰が不足し、そのために肝陰も不足するため、陽を押さえられなくなると、陽が異常亢進して高血圧に陥ります。

B鑑別
@A実証であり、Bは実と虚が同居しています。@は肝の火による眩暈、頭痛、耳鳴りなどの症状を随伴することがあります。Aは痰濁、肝風による眩暈や頭が重くなる、胸がモンモンとする、食欲減退などを随伴することがあります。Bは腎陰虚による腰の不都合、物忘れ、目の奥が痛いなどの症状を伴うこともあります。また、@では舌質は紅、苔は黄、脈は硬くなり、Aでは苔は厚くて黄色、脈はコロコロと滑らかに流れています。Bでは舌質は紅、苔は少なく、脈は硬かったり細かったりし、比較的速めです。

C主な病症
a)虚証例(陰虚陽亢進による高血圧)
(病態)
腎陰虚により肝陰を補うことができず、そのために肝陰が足りなくなり肝陽を抑えることができなくなると高血圧になります。腎虚による腰の不都合、心腎不交による物忘れ、不眠などの症状を伴うこともあります。また、陰虚により虚熱を生じますので、手のひらや足の裏のほてりが起こり、舌質は紅、苔は少なく、脈は細く速めです。
(症状・所見)
@主要症状・・・高血圧、眩暈、頭痛、耳鳴り
A舌脈・・・舌質紅、苔は少なめ、脈は細く速め
B随伴症状・・・腰の不都合、物忘れ、不眠、掌や足の裏のほてり
(施術方針)
陰虚を補い、肝陽の異常亢進を抑えます。主に足の少陰腎経や足の厥陰肝経のツボを取ります。いずれも針が良いでしょう。
(ツボの例)
照海、太衝、腎兪、肝兪

b)実証例(痰濁による高血圧)
(病態)
痰濁に肝風が関係する高血圧では、眩暈、頭が重い、精神不安定などが現れます。痰濁が胃に停滞し、上り下りが悪化すると、胸がモンモン、食欲減退、吐き気などが発症し、心に影響すると不眠、動悸などが起こります。痰濁により舌質は厚くて黄色、脈は滑らかになります。
(症状・所見)
@主要症状・・・高血圧、眩暈、頭が重い
A舌脈・・・舌苔は厚くて粘る、脈は滑らかで押すとブヨブヨ
B随伴症状・・・胸がモンモン、食欲減退、胃の中のものが上に上がる、不眠、動悸など
(施術方針)
痰濁の除去を図り、肝風を抑えます。足の陽明胃経、足の厥陰肝経のツボを取ります。いずれも針が良いでしょう。
(ツボの例)
豊隆、太衝、脾兪、肝兪

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