|

1.はじめに
壁一面の本棚を制作した際の余った端材で、これまでにも自宅の生活環境に適したいくつかのものを自作してき
た。ビデオラック、バイク用のスロープ、バラのトレリス、植木鉢を囲う木枠などである。今回制作したのは、テレビ裏の間接照明である。テレビ裏の間接照明
は、ホームシアターの雰囲気作りに活用されることが多いようであるが、私の場合はそのことよりも、リビングの北欧照明の照度を補うのが主な目的であった。
このホームページは、その制作過程の記録である。
今回、私がリビングに新たに吊した北欧照明は、その筋に興味がある方なら皆さんご存じ
のルイスポールセン社のPHスノーボールである。北欧には名作照明が多いが、軒並み照度が低いのが難点である。北欧は日差しが弱く、部屋の照明が大切にさ
れるが、青い瞳の彼らには黒い瞳のわれわれよりも光源がまぶしく見えているらしい。そこで、PHスノーボールのように光源が見えないようにデザインされた
照明器具や、壁や天井を照らす間接照明の技術が発達したと考えられる。そのような明かりで照らされた室内は、落ち着いてリラックスできる雰囲気となるのが
特徴である。
いま振り返ってみると、PHスノーボールの照度でも十分だと感じるようになるのにそれほど時間はかからなかったのだが、日
本の明るい照明に慣れていた私は、当初物足りなく感じた印象からいくつかの補助照明を設置することを決めた。そのうちの一つが今回自作したテレビ裏の間接
照明である。結果的に、いくつかの補助照明を使い分けることによって、状況に応じて光の演出を変えられるようになったのは、われながらよかったと思う。  2.間接照明器具の設計と組立
テレビ裏の間接照明を設計する場合に、基本的に重要なのは薄型テレビの裏の空スペースに隠れるサイズでなければならないことであろう。また、室内の一角を
照らすのに白熱電球のスポットライトが用いられることは少なくないが、テレビの裏のような隙間に電気器具を設置するということで、安全のため火事の危険性
も考慮に入れる
と、白熱電球タイプのものよりは蛍光灯タイプのものの方が発熱しないので適しているように思われた。このような観点からいえば、テレビの裏に設置する間接
照明用には、長さ60cm前後の蛍光灯を用いるのがよさそうであった。明るさとしては、テレビの裏に卓上スタンドなどを実際に置いてみ
て、白熱電球で100Wだとかなり明るく、60Wあればよさそうな印象を受けた。蛍光灯ならワット数はそれよりも小さくてすむはずである。
このように考えて、間接照明に利用できるコンパクトな蛍光灯器具を探してみたのだが、意外と選択肢は少なかった。候補に挙がったのは、丸善電機のsukimaシリー
ズ多目的灯LBET-12400 (昼白色蛍光灯24W)とGLOBAL(日本グローバル照明) のスリム蛍光灯照明器具SLG-20WL/14
(電球色蛍光灯20W)などである。いずれにしても、1台では照度が足りなそうなので2台を連結する必要があるように思われた。結局、ホームセンターの売
り場でGLOBALのスリム蛍光灯照明器具(昼白色)2台セット(SLG-20WN/14 2K)が割安だったので、それを購入することにした。

ただ、今から思えば、色の選択を誤ったことが悔やまれる。いざ設置してみると、蛍光灯(昼白色)の色合いがPHスノーボールの電球色とマッチしないので、同じ照明器具で使える電球色の蛍光灯(SG-20W/14L)をあとで買い直す羽目にあったのだ。
結局、今回自作した間接照明は、適当な高さのスタンドにこの蛍光灯照明器具2台セットを並べて乗せるものとなった。テレビ台の上に直接蛍光灯を並べてしま
うと、壁の明るい部分が低すぎてテレビの陰に隠れてしまうので、蛍光灯照明を取り付けるスタンドをつくる必要があるのである。そのスタンドの天板のサイズ
は、照明器具2台セットを並べたサイズよりもわずかに大きいサイズがよく、スタンドの高さは、基本的にはテレビの大きさによるが、テレビの死角に入って光
源が目に入らないぎりぎりの高さが望ましい。そのような観点から、スタンドのサイズは、幅58cm、奥行き7cm、高さ40cmと定めた。
とはいえ、今回、私は、その図面通りに木材をカットしたわけではない。偶然、それに近いサイズの端材が自宅にあったので、多少不格好でもそれらの端材を木
ねじで組み合わせただけである。そもそも、このスタンドはテレビの裏に隠すものなので、ディテールは気にする必要がないのである。
 設計
上のもう一つの問題は、それだけではスタンドが不安定なので、スタンドの足の下に転倒防止のための板を取り付ける必要があったことである。だいたいの見当
として、幅5cm、長さ15cmくらいのベニヤ板を釘でもって左右の足にとりつければ、転倒防止効果は十分だろうと考えられた。

これで
大きな地震でもなければ、スタンドは倒れないはずだが、念のため天板の四隅に釘を打って、何かの弾みで照明器具が天板からずり落ちないような工夫もした。
多少不格好に見えるかもしれないが、とにかくこのスタンドはテレビの裏に隠すものなので、ディテールは気にする必要がない。 3.仕上げ――塗装とフットスイッチの追加
以上のところまでで照明器具として用が足せるようになった。しかし、ディテールは気にしないと言っても、角度によってはスタンドが見えることもあるので、
そういうときに悪目立ちしないように、塗装くらいはしておいた方がよい。基本的には影に見せるように黒く塗るか、壁面と同化させるために白く塗るかではな
いかと思う。私の場合は、状況として白の方が似合いそうであり、なおかつ家に白いペンキがあったので、迷わずそれを塗ることにした。塗装してみると、出来
映えはだいぶよくなった印象である。

最後に、機能面であるが、照明器具についているスイッチを切り替えるのにテレビの裏にいちいち手を
つっこむのは面倒である。そこで、パナソニック電工の「まごの手式フットスイッチ」(WH2711KWP)を購入して、スイッチをテレビ台の上の押しやす
い位置にセットした。これは大変に便利であり、操作性は格段に向上した。
おわりに
テレビ裏の間接照明器具についていた蛍光灯を後日、電球色のものに買い換えたのだが、そこで一つトラブルがあった。GLOBALのスリム蛍光灯は、基本的
にはネットでの評判がよいのだが、すぐに切れて困るという寸評を目にしたこともあった。そして、運悪く、私が買い直した蛍光灯(SG-20W/14L)
は、初期不良のため取り替える必要があった。箱から取り出したとたんに、蛍光管に塗りむらがあることに気づいたが、おそらくそれが理由ではないかと思う。
ただ、現状では、類似の商品が少ないし、もともと高い商品ではなく、今回は無償で交換可能であったので、我慢の範囲と考えるよりほかにない。
最近、LED照明が普及しようとし始めている。地球環境問題が叫ばれて久しい今日の世界では、LED照明は貴重な発明である。蛍光灯や蛍光灯型電球でさえ
「エコ」でないと言われ、「白熱電球などもってのほか」といわれる時代は、もうそこまできているのかもしれない。しかし、白熱電球と蛍光灯とでは、料理の
見え方がまったく違うし、現在のところ、白熱電球を使うことを前提とした照明器具は、インテリアとして美しさの点で明らかに抜きんでている。正直なとこ
ろ、リビングやダイニングの主照明に白熱電球が使われない日は来てほしくないと思う。ただ、蛍光灯の間接照明で補えるところがあるなら、そういうものを工
夫してみるのも一案である。 (補足)写真と実際の部屋の明るさについて
間接照明の光を写真に撮るのは難しく、どうやっても実際に部屋にいて感じるような雰囲気には撮れない。下の写真を見ると、「暗いなあ」という印象を持たれ
ると思うが、実際には部屋の中はそれほど暗くない。蛍光灯の天井照明で照らした部屋には陰影がなくなり、裸眼で見ても写真で見ても部屋中が平坦に「真っ
赤っか」に見えるが、間接照明の部屋を写真で撮ると、裸眼で観るよりも陰影が強調され、そのために実際以上に暗く見えるのではないだろうか。

|