Old Movies

:日本のスクリーンで、:日本で発売されたDVD、:ep放送などテレビで視聴、日本語字幕なし)

ザ・テロリスト
少女戦士マッリ

(1999)

監督:サントーシュ・シヴァン

アイーシャー・ダルカール,
ヴィシュヌ・ヴァルダン
*幼い時からテロリストとして育てられたマッリ。組織のために命を犠牲にすることが名誉とされていた。マッリはその行動力から自爆テロによる要人暗殺の任務を受けた。準備のために滞在した民家での日々で、少しづつマッリの心と体に変化が起きる。しかし任務は遂行せねばならないのだ。

良作だけど映画祭向け

ミュージカルシーンがない95分の作品。
主役のアイーシャーの力強い眼差しがとても印象的。セリフは多くないので彼女の瞳での演技が心のうちのすべてを表現していく。その演技力が買われてか、『スター・ウォーズU』にも出演したそうだ。

見ていてすぐに『Dil Se』だと思った。ストーリーも手がけたこの作品の監督は『Dil Se』にも名を連ねていた。『Dil Se』はテロリストとして育てられた女性の悲しさをインド映画らしくミュージカルシーン込みで表現していたが、この作品ではもっとシリアスに少女の心の変化をていねいに描いている。ただ、もし『Dil Se』を見ていなかったらもう少し違った感想を持てたかもしれない。自爆テロという設定までが似ていたのでどうしてもかぶってしまった。

海外の映画祭で賞を受けた作品なので質としては高いものであるが、娯楽として見るといった感じではない。メッセージ性の強い作品、そうした少女が生み出されてしまった社会へのアンチテーゼ。含みを持たせたラストが少女の未来への希望と絶望を予感させた。

原題が『The Terrorist』なのでしょうがないが、インド映画で『ザ・テロリスト』と言われると一瞬サニー・デオルの顔と胸毛が思い起こされる。公開時の『マッリの種』はなかなかいいタイトルだった。『少女戦士マッリ』だけでもいいと思うのだが、新しい美少女戦士ものかと間違える人もいそうだ。
Hote Hote Pyar Ho Gaya
(1999)

監督:Firoz Irani

カジョール,アトゥール・アグニホトリー,ジャッキー・シュロフ 
結婚の約束をしたピンキーとバンディだったが、二人にはお互いに親が決めた結婚相手がいた。そこでとりあえずその相手と結婚をして、相手に嫌われるようにふるまい離婚してから一緒になるという計画をたてた。

親が決めた結婚相手こそ一番

最初はカジョールとアトゥールのラブストーリーかと思っていた。最初はイヤなヤツだと思っていたのに好きになってしまった・・・という安っぽい展開。しかもアトゥールという俳優はひと昔前のアイドル風イイ男でこれまた安っぽい。彼は役者としては15作品の出演で、現在監督業に転進しているそうだがそれでよかったと思う。この作品での彼は役柄とマッチしていたが、どうみても主役をはれるようなタイプではない。有名俳優だから良いというわけではないが、やはりインド映画はキャスティングがとても大事だということを実感した。

アトゥールが結婚した相手が眼鏡をはずして髪をおろしたら実は美人だった・・・という展開も古い少女漫画のようで昔すぎる。とまあここまでは大したことがなかったのだが、ジャッキー・シュロフが出てからは彼の魅力で映画に厚みが出てきた。

カジョールが本領発揮できるじゃじゃうまで勝気な女性と、ジャッキーのシブい大人の魅力で彼女を包み込んでいき、ミイラ取りがミイラになっていく。ジャッキーは今回警察官の役。彼も軍隊とか制服系の役がとても似合う。寡黙な上官などといった役柄が多い。

大恋愛をしようとも、やっぱり親が決めた結婚こそ幸せになれるのだ・・・というのがインド映画の大前提である。ただそう思い込んでいると、たまに大どんでん返しをくらうこともある。それはそれで意表をつかれておもしろいのだが。
Kaun(ストーミー・ナイト)
(1999)

監督:ラム・ガパル・ヴァルマ

ウルミラ・マトンドカル,マノージ・バジパイ,
スシャント・クマール
*嵐の日、大きな屋敷で留守番をしている女。殺人鬼が逃走中であるというニュースにおびえる。そこにひとりのビジネスマン風の男が家を訪れ執拗に雨宿りさせてくれと言う。つい家に入れてしまったものの、狂気じみた態度に逃げ出そうとした女だったが表には別の男が立っていた。殺人鬼?警察?3人は誰なのか?

コワイヨ〜、コワイヨ〜

TSUTAYA DISCSで借りた。ミージュカルシーンがなく、時間も99分とインド映画にしてはかなり短め。登場人物も3人だけと、かなり実験的な作品。

しかし!すごくおもしろかった。
2回目は思わず部屋を真っ暗にして観てしまった。サイコスリラーといえばいいだろうか。観ているこちらも心理的に追い込まれ、混乱していく。

なんといってもマノージ・バジパイがすごくいい。普通の人が一番コワイということを証明するような、正気と狂気の狭間をうまく演じていた。笑顔で演じる狂気に身の毛がよだつ。

ウルミラもさすが。セクシー女優といわれ続けてきたが、新たなる境地を開拓した。最近ではホラーの女王になっているが、演技を見て納得。ウルミラファンはちょっと複雑な心境かもしれないが、むしろウルミラの演技の幅の広さに感動すらおぼえた。

緊張感の緩急のとり方がうまく、最後まで作品に引き込まれた。効果音とカメラワークも恐怖感を盛り上げていたが、前半部分はややくどい感じ。

「発狂寸前」というサブタイトルがちょっとチープだが、ホラーファンも納得の作品ではないだろうか。インド映画という枠を超えて楽しめる作品だと思う。
Mast
(1999)

監督:Ram Gopal Varma

ウルミラ・マトゥンドゥカル,
アフターブ・シヴダーサーニー 
*キトゥは映画スター、マリカの大ファン。映画に通いつめすぎて学校の成績が悪くなったことを父親にとがめられたうえポスターを破かれたことに腹を立てたキトゥは家出をし、マリカの家の隣にある店で働く。実はマリカは不幸な境遇にあることがわかったキトゥはマリカを連れ出す。

ウルミラのダンスと脚線美を堪能

誰もが一度は夢見るあこがれのスターとの恋愛。それが現実のものになったら?
さわやかな青春ドラマといった感じ。
映画撮影現場の裏側がのぞけたり、字幕ではしょられてしまったが、スターの名前などが何人もあがり、とてもおもしろく観られた。

ウルミラが映画スターの役として登場。彼女の脚線美はいつも見とれてしまう。おそらく現役のインド女優の中で1番ミニスカートが似合うのではないか。個性的な衣装や摩訶不思議なダンスも彼女がするとサマになる。とは言え左の写真はなんか妙だ。これだけ見ると一体何の映画か意味不明である。
ただウルミラは今回のような素直で純粋な女性の役よりはちょっと気が強いくらいの方が似合っているような気がする。ちなみに私は彼女の魅力は鼻の穴の形にあると思っている。

ジャニーズ系が入ったアフターブはこの役のようなセクシーなオネエサマに憧れるお兄ちゃんや、『Masti』でも演じた気が弱くてちょっと情けない役どころがなかなか合っているのだが、今後もこの路線でいくのだろうか。(注:この後実際彼に会うチャンスがあったが、随分とイメージが変わってしまっていた。)

監督はウルミラとの相性がよく『Rangeela』『Satya』『Bhoot』など、彼女の新しい魅力を引き出すのがうまい。

最後まで2人がどうなるのかわからなかったが、個人的には逆の結末の方がよかった。ちょっとだけ切ない気持ちが残った。
Taal
(1999)

監督:Subhash Ghai

Aishwarya Rai,Akshaye Khanna,
Anil Kapoor
*裕福な家のマナーブに見初められたマンスィだったが、家同士の争いによって二人は別れてしまう。傷心の彼女は有名プロダクションに入り、スターになっていく。

典型的な身分違いから家の反対に合う恋愛ストーリー

後半アニル・カプールが登場して、ややメリハリが出てくるが、特にヒネリもないので、筋としてはやや単調。しかしそれにあまりあるほどアイシュワリア・ラーイが美しい。その美しさを堪能する映画といってもいいかもしれない。初期のアイシュの代表作のひとつ。

音楽はARラフマーンに加え、振付師に有名どころ3名の名前があり、ミュージカルシーンはかなり出来のよいものになっている。そこにスッピンに近いものからフルメーク、衣装をさまざまに替えたアイシュのダンスが観るものを魅了する。インド人は顔が小さい人が多いのだが、彼女はその中でもさらに顔が小さくてお人形さんのよう。これだけのアップに耐えられる女優さんもそうそういないだろう。

そして注目は、当時のインド映画には比較的珍しい唇を合わせるキスシーンが登場する。

この作品、なぜかコカ・コーラがやたら登場する。おそらくスポンサーになっているのだろうが、“コカ・コーラ提供:アイシュワリア・ラーイのプロモーション映画”というのが、一番近いかもしれない。
Dil Se
(1998)

監督:マニ・ラトナム

シャールク・カーン,マニーシャ・コイララ
*ラジオ局ディレクターのアマルは駅で見かけた謎めいた美女のメグナに一目惚れをする。彼を避けようとするメグナとそれを追うアマル。2人の歯車は確実に狂い始めていく。メグナには人を好きになれない理由があった。

美しい映像と素晴しいダンスシーン、そして衝撃のラスト・・・

この作品は観たことがある人も多いだろう。映画祭以外で日本で上映された数少ない作品のひとつ。

改めて見ると、やはり見応えがある作品だ。
他のインド映画とは一線を隔した巨匠、マニラトナム監督の独特の世界。映像の美しさもそうだが、ダンスシーンのすばらしさは芸術的ですらある。サイト内でも言及したが、この映画で最も有名な曲は汽車の上でのダンス「Chaiyya Chaiyya」だが、私のオススメは「Satrangi Re」だ。幻想的な音楽に合わせて踊る2人は上質なアイスダンスペアの演技のように、見るものを魅了する。

‘テロリスト’は日本人にはもうひとつ馴染みがたいが、インド映画ではよく取り上げられるテーマのひとつだ。この作品でもテロリストとしてしか生きていけない女性の悲しい運命がよく描かれている。

しかしあえて言わせてもらえば、私はこの作品をもうひとつ好きになれない。
それは唯一にして最大の理由、なぜアマルがメグナを命を賭けてまで好きになっていくのかが不明だからだ。

出会いはひと目惚れというのはインド映画の定石なので、まあそれはいい。謎めいた美女につれなくされるがゆえに燃え上がる気持ちということなのだろうが、なぜそれほどまでに魅かれていくのかが、どうしてもわからないのだ。
そして衝撃のラストを迎えるわけだが、結末が非常にわかりやすいインド映画の中で、この作品はなんとも言えぬ・・余韻でもなし、こちらの想像にまかせるでもなし・・ということで感情移入が出来ないまま、見終った後に気持ちが重たくなる。

しかし全体的なクオリティはとても高い作品。観ておいて損はない。
Ghulam
(1998)

監督:Vikram Bhatt

アミール・カーン,ラーニー・ムカルジー 
*ボクサーのシドゥは悪さをくりかえしている。親代わりの兄も町のギャングのボスの頭脳として働いている。町人から金をせびるギャングたちを告発しようとする正義感ある男にシドゥは共感を覚えるが、男はギャング達に殺されてしまう。怒りを覚えるシドゥだが、ギャングを告発することはすなわち兄をも告発することになるのだ。

不良やギャングが登場するも、実はとても道徳的な内容

面白かった。緊張感とスピード感ある展開で最初から映画に引き込まれた。

アミール・カーンがやはりうまい。きれいな顔立ちの彼は真面目な青年役ももちろん適役なのだが、『Rangeela』などで見せた不良役も上手にこなす。彼の演技力にひきづられるようにいつしかこちらの気持ちも同調していき、町のギャングへの憎しみが高まっていく。

ep放送の解説で、例えばインドの若者は結婚式を見つけて潜入してははタダメシを食べたり、バイクを乗り回したりすると言っていた。この作品でも不良ぶってはいるものの、実は正義感にあふれた青年が主人公となる。不良だった彼が、しかも兄もギャングの一員であるという中で、悪を憎んでいく様子がとても上手に描かれている。

このような一見ワルそうな若者が主人公の話でいながら、実は道徳的な内容の映画を子供時代から見ていると、人間正しく生きなければいけないのだということが身にしみてきそうだ。

誇りと正義感を忘れてはいけない、弱い立場だからといって悪に屈してはいけない、ひとりひとりの力は弱くても皆で力を合わせれば何かを変えられるのだ・・・などということが説教臭くならずに込められている。

まあそれはともかくとしても典型的な勧善懲悪として、ワルをやっつけていく様は爽快だ。インド人が好きそうな話である。音楽もなかなか良かった。
Jeans
(1998)

監督:S. Shankar

アイシュワリヤ・ライ,プラシャーント
*祖母の手術のためにロスを訪れたマドゥは親切にしてくれた双子のヴィスと恋に落ちる。しかしヴィスの父は2人の結婚を反対する。父もやはり双子であり、過去のつらい経験から息子の結婚相手も双子と決めていたのだ。そこで元気になった祖母はマドゥとヴィスの結婚のために名案を思いついた。

前半はすごく良かったのに、後半変なCGでぶち壊し

巨額を投じられたということで、当時かなり話題になった作品。舞台は前半はロサンゼルス後半はマドラスという設定で、お得意のダブルロールもの、しかも登場人物の3人が二役を演じる。

前半はすごくいい。特に前半のクライマックスである空港でお互いの気持ちが言い出せないシーンなどは、初々しくかわいらしいアイシュのもどかしさがこちらに伝わってくる。

プラシャーントの登場場面を中心に、二役が同時に画面に収まる場面のCGも悪くはなかった。しかし調子に乗ってしまったのだろうか。後半で2人のアイシュを登場させようという試みの妙なCGを使うことによって、それまでの純愛物語が一気に3流コメディに成り下がってしまった。

そしてラストシーンに再びちゃちなCGが登場して興ざめな感じで終わってしまった。変なCGを使わず、インド映画にありがちの長い回想シーンやつじつまあわせをセリフで言いくるめるなどをもう少し控えめにすれば、きれいな純愛物語になったと思うのだが。

曲はARラフマーン担当で全体的に高水準。特に「Hai Re Hai Re Hai Rabba」ではラスベガス、ニューヨーク、グランドキャニオンなどアメリカ各地が、そして必見は「Ajooba Hai」という曲で、1曲の中で中国、フランス、アメリカ、インド、エジプト、イタリアの6ヶ国ロケというとんでもないことをしでかしている。各国各地に合わせた雰囲気の衣装、ヘア、メークはすばらしく、この2曲だけでも見てほしいと思う。ついでに前半のアイシュの衣装もかわいいミニスカート姿が多く、美しいおみ足が拝見できる。

好演したプラシャーントはタミル映画が中心の俳優さんだが、その後あまり多くの作品には名前を連ねていないようである。またタイトルは遺伝子という意味の「genes」をアメリカ的、ファッショナブルな意味を持たせて洋服の「jeans」にかけたものである。

なお、この作品は日本でも公開された。
Kareeb
(1998)

監督:Vidhu Vinod Chopra

Bobby Deol,Neha
*Nehaに一目惚れしたBrij。アタックの甲斐あり結婚に持ち込めそうだったが、家族を説得するためにある計画を思いつく。しかしそれが裏目に出てヒロインに三くだり半を突きつけられる。再び彼女を得るためにBrijは・・・。

全開!ボビー・デオル

典型的なインド映画のラブストーリー。
多少の事件は起きるが、はなから結末は見えているのでそういう意味では安心して観ていられる。目新しいテーマもなく特に面白いこともないのだが、つまらないというほどでもない。肩肘張らずにふふんと観ていられる、まずまずの作品。コメディータッチに仕上がっているので、テレビドラマを見るような軽い気持ちで観られた。

この監督、『1942: A Love Story』や『Munnabhai M.B.B.S.』など、社会派からコメディーまでこなす監督だが、この作品に関しては特に特筆すべき点もないと思う。

良かった点としてはアヌー・マリクの曲がインド山間部の景色の美しさとマッチし、色を添えている。(ネパール国境付近?)

まだ若いソバージュパーマ頭のボビー・デオルが、のっけから踊り狂い、しばしあっけにとられたが、現在の人気俳優の中でダンスはうまい部類に入る。それにしてもこの人は髪の毛を切って本当によかったと思う。が、兄のサニー・デオルともども独特の濃さがあり、日本人にはちょっとツライものがある。
Kudrat
(1998)

監督:Raj N. Sippy

ウルミラ・マトゥンデカル,アクシャイ・カンナ
*ヴィジェイはマドゥに一目惚れ。ヴィジェイの強引さにマドゥは彼を嫌うが、そのうち二人は愛し合い婚約にこぎつける。しかし最初は賛成していたマドゥの父が突然婚約破棄を言い渡す。それには理由があった。

インド映画のパターンがてんこもり

インド映画を観ているといくつかの典型的なパターンがあることがわかる。

まずは一目惚れ。
ほとんど話したこともないのに好きになって、すぐに結婚を決意してしまう。「えぇ〜、もう決めちゃっていいの?」とこちらがあせる。

最初はケンカばかり。
でもチンピラにからまれているのを助けられて惚れてしまう。多いですね〜このパターンも。

親が敵対している。昔の確執、身分の違いなど。親の意見を無視しての結婚はあり得ない。

復讐劇。勧善懲悪のインド映画だが、正当な理由があっての暴力や殺しは認められる。

そしてハッピーエンド。
どんなに複雑な話も最後にはすべては丸く収まる。

この映画にはこれらの要素がすべて含まれている。それゆえ目新しさも少なかった。ただミュージカルシーンはなかなかいい。典型的インド映画のパターンを知るにはいいかもしれない。  
Yugpurush
(1998)

監督k:Parto Ghosh

マニーシャ・コイララ,ナーナー・パーティカル,ジャッキー・シュロフ
*政治家の愛人だったスニタは偶然出会った純粋な心を持つアニルドゥに心惹かれていく。アニルドゥは子供の頃に心に傷を負って生きてきた。一方ランジャンはスニタのことを愛していたがスニタが男の友情を誓ったアニルドゥに惹かれていることに嫉妬する。

ナーナー・パーティカルの演技力が光る

この作品はナーナーの演技力がすべて。
今回は子供の頃に心に傷を負いそれが一応良くなり退院をするものの、子供のような純粋な心を持つ役柄。こういうちょっとクセのある、時には猟奇的な役柄もこの人が演じるとぴったりはまる。

また大人の男の渋さが漂うアニキな雰囲気のジャッキー・シュロフもいい。
どちらかというとこの作品でのマニーシャはややお飾り的ではあるが、演技派男優2人の競演で作品に深みを出している。

ダンスシーンはちょっととってつけたような感じ。一般ウケするような内容の作品ではないが、ラストまでナーナーの演技が光り、なかなかの佳作。
Gupt
(1997)

監督:Rajiv Rai

カジョール,ボビー・デオル,マニーシャ・コイララ
*サーヒルは母の再婚相手であり知事である義父に心を開かなかった。父は勝手に婚約をサーヒルのバースデーパーティーで発表してしまう。みんなの前で口論となるが、その夜父は殺され、無実のサーヒルは刑務所に入れられた。サーヒルと相思相愛であったイーシャ、そして婚約とはならなかったがサーヒルに思いを寄せるシータルは脱走したサーヒルと共に真犯人を探す。

大変おもしろく、良く出来たB級映画

タイトルは秘密という意味。毎週思うのだがep放送でのサブタイトルのつけ方がとてもうまい。ヒンディー語の意味と作品の内容がわからなければつけられないようなものばかりだ。今回は意味そのまま「Secret」だったが、『devdas』という人名のタイトルに「永遠に」とつけたのはなかなかのセンスだと思う。

ヒットし、またカジョールが賞までとったこの作品をB級といっていいのかどうかわからないが、あえてB級と言わせてもらおう。

ボビー・デオルという人はダンスもうまく決して悪い俳優ではないのだが、ちょっとクセのある容貌と雰囲気がすでにB級の味わいである。またストーリーが笑ってしまうほど虫が良すぎる。でもこのご都合主義こそインド映画の醍醐味であったりもする。

後半のどんでん返しはすばらしい。しかし、よくよく考えるとこれまたとてもインド映画らしい結末であることに気がつかされる。

ダンスの振り付けは普通だったが各地のインドの古典舞踊の衣装を着たダンサーの登場はおもしろかった。また音楽はA級の出来。

確かに『Devdas』のような超A級の作品はすばらしいのだが、毎回フランス料理のフルコースではおなかがいっぱいになり過ぎてしまう。そんな時、期待もせずに入ったラーメン屋がとてもおいしかったというような感覚が味わえるB級グルメの作品こそ、インド映画の屋台骨を支えているのかもしれない。

B級というとつまらなそうな意味にとられるかもしれないが、ボビー・デオル主演作品に代表されるような映画をツッコミながら面白がってしまうのもまたインド映画の楽しみ方のひとつだろう。身構えることなく気軽に楽しめる、そういう意味ではオススメの作品だ。
Hameshaa
(1997)

監督:Sanjay gupta

Saif Ali Khan, Kajol
*ラージャとラーニーは愛し合っていたが、ラージャの友人の金持ちのヤーシュの傲慢さにより二人は命を落としてしまう。22年後、ヤーシュの前に現れたのは・・・

お約束満載のインド映画

ひと目ぼれ、三角関係、輪廻思想、勧善懲悪、そしてあり得ないストーリー展開といった、インド映画のお約束が満載の映画。この映画を見るのは初めてだが、3曲の歌は聴いたことがあったのでそこそこヒットした映画なのだろう。

改めて日本語字幕つきでインド映画を見ると、セリフの中などに伏線、後半への含み、道徳、思想などが盛りだくさんだということがわかる。今回の映画に関しても、おそらく日本語字幕がなかったら特におもしろいとは思えなかった作品だと思う。

日本語字幕なしのDVDではストーリーがざっとわかる程度の理解しかできていないので、こうして日本語字幕つきでみると、細かいセリフ回しがおもしろことに気づかされる。
Judaai
(1997)

監督:Raj Kanwar

アニル・カプール,シュリデヴィ,
ウルミラ・マトゥンデカル
*堅物のラジと結婚したカージャルだったが、裕福な生活に憧れていた。ラジに好意を抱いた大金持ちのジャンヴィが大金を払って彼と結婚をしたいと申し出る。カージャルは欲に目がくらんでラジの気持ちも考えずに了承する。3人とカージャルの子供2人を加えた奇妙な生活が始まる。

愛をとるかお金をとるかって、そりゃぁ・・・

この作品、一種のコメディだ。
男性から見たらどうかわからないが、女性から見るととてもおもしろかった。ep放送の特集は比較的女性向けの作品が多いような気がする。

「そりゃ愛は大切だけど、子供をいい学校にも通わせたいし、宝石だって欲しいのよ。夫は家族との約束をすっぽかして残業ばかりしてもう!」

極端に描かれてはいるが、こういった悩みって国境を越えた共通の問題なのだと思った。お金と愛とどちらを選ぶか?そうじゃなくて、どちらも大事なんだけどその時々に応じてどちらを優先させるか・・・なのよね。

当時30歳をゆうに超えていたシュリデヴィが全盛時ほどのはつらつさはないものの、10歳近く年下のウルミラに負けていないのはさすが。シュリデヴィは共演したアニル・カプールの兄でもありこの作品のプロデューサーでもあるボニー・カプールと結婚している。

歌ではストーリーと全く脈絡のない「Dil De Diya」がいい。女優2人が原色のミニスカートで、そしてのりのりのアニル・カプールがなぜかラスベガスで踊りまくっている。インド映画のロケにラスベガスを使われることは多い。やはり象徴的な「アメリカ」の風景なのだろう。

初めからラストが読める話ではあるが、ウルミラの役はものわかりよすぎ。
っていうか、誠実ぶってたってやっぱり男ってね・・・というおまけつき。そして新たな展開を想像せずにはいられない終わり方であった。

なおこの作品は日本語字幕つきビデオが発売されている。
Judwaa(踊るツインズ)
(1997)

監督:デビッド・ダワン

サルマン・カーン,カリシュマ・カプール,ランバ
*ラジャとプレムは双子だったが、生まれてまもなくラジャは誘拐され孤児として育った。一方プレムと両親はアメリカに渡っていたが、インドに再び訪れる。全く違う環境で正反対の性格の2人はいたるところでニアミスをする。そこにラジャを好きなマラ、プレムと恋仲になりそうなルパが入り乱れて大騒ぎ。

東京のテレビにサルマン主演映画が初登場

ついに東京の地上波にサルマン・カーン主演の作品がお目見えした。タイトルにお約束の「踊る〜」がついていることについてはもう何も言うまい。インド映画に大変多い、典型的な双子ドタバタコメディ。タイトルのJudwaaもそのまま双子という意味。

この監督はコメディものを大変得意としている。主役のサルマンもコメディ映画だとすごく生き生きと演技しているようだ。彼の魅力がいかんなく発揮された作品のひとつだと思う。

もともとがあり得ない筋書きのところに、約2時間半の映画がCM込みで2時間の放送枠に収めたということで、当然かなりのすっとばし方をしている。なのでますますハチャメチャな話のように思われる。初めてインド映画を見た人が「インド映画はストーリーも何もないばかげたコメディだ。」と勘違いしなければいいのだが。

もっともこの作品に関しては、それも当たらずとも遠からずかもしれない。ただひたすら笑える作品って、それはそれですばらしいと思うから。

サルマンのDVD等を私はそんなには持っていないのだが、その中の1本がこの作品である。実はこの作品、いろいろな映画のミュージカルシーンを集めたDVDを見て、大変気に入ったので映画本編を買ったという作品だ。6曲収録されているうち放送されたのは2曲(うち1曲は半分)。アヌー・マリク作曲の歌はどの曲もよく、またダンスもすごく良かったので大変残念だが、全曲カットされるのではないかと心配していたので、まあよしとするか。カットされた曲の中にはサルマンとランバの水着のダンスシーンもあったのだが(笑)

ちなみにタイトルの写真にあるようなオシリを突き出したポーズが映画の中で何回か登場するが、これはサルマンの大ヒット作『Hum Aapke Hain Koun...!』のパロディではないかと思われる。他にも何気なくカリシュマが口ずさむ曲がやはり彼女のヒット作『Raja Hindustani』など、ちょっとしたところもなかなか面白い。

10年も前の作品であるとかカットが多いとかはあるものの、こうしてインド映画・・・しかもサルマン・カーンという人気俳優を起用したヒット作が紹介されることはとてもうれしい。
Koyla(愛と復讐の炎)
(1997)

監督:ラーケーシュ・ローシャン

シャールク・カーン、マードゥリー・ディークシト、アムリーシュ・プリー
*村の有力者ラジャの元で口のきけないシャンカールは忠実に働いていた。ラジャはある日ガウリをみそめ、シャンカールの写真を自分と偽り結婚にこぎつける。ラジャの悪行の数々が次々と明るみになり、シャンカールはガウリと共に屋敷から逃げ出すが、ガウリは売春宿へ、シャンカールも崖から突き落とされる。しかし一命をとりとめたシャンカールは復讐を決意する。

これぞインド映画の醍醐味

久しぶりにインド映画らしいインド映画を観たという感じだった。
若きシャールク・カーンはよく走りよく体が動く。強靭な生命力をもって血まみれになりながら悪党に向かっていくその姿はこれぞヒーローといった感じ。

ヒロインはあくまでも美しく。
マードゥリーはすっぴんに近い状態でもすごくきれい。ただ彼女の顔は品があるので、ちょっとはすっぱな村娘の役とかはもうひとつしっくりこない気がするが。

そして圧倒的存在感のアムリーシュ・プリー。
悪役は極悪非道であればあるほど、ヒーローが引き立つ。彼の存在こそがこの映画の面白さの鍵を握っていた。

適度なお色気やお笑いもあり、バランスもよかった。
最近のインド映画はかなり洗練されており、ここまでこてこての勧善懲悪ものは少なくなってきているが、たまに観るとこうした泥臭い作品もなかなかいい。
Yeh Dillagi
(1994)

監督:Naresh Malhotra

カジョール,アクシャイ・クマール,サイフ・アリ・カーン
*サプナは大金持ちのサイガル家で忠実に働く運転手の勝気な一人娘。女たらしの次男のビッキーにプライドを傷つけられ、ムンバイで一流モデルになり彼を見返そうとする。売れっ子モデルになり、きれいになったサプナに心奪われるビッキーとサプナの仕事先で偶然出会い魅かれていく堅物の長男ビジェイ。3人の恋愛はどうなる?

時代以上に古いなぁ

12年前の作品になるが、アクシャイ・クマール、サイフ・アリ・カーンは現在大活躍中の俳優である。見慣れた顔ぶれなので若いということ以外はあまり違和感がないのだが、作品全体としてみると時代を感じさせられる。ちなみに1994年というと『Hum Aapke Hain Kaun』というスーパーヒットが飛び出した年である。

インド映画で圧倒的に多いテーマはラブストーリーだ。時として斬新的なストーリーもあるが、あとは似通った設定も多い。そんな中で観るものの心をうつのは、いかに登場人物が魅力的に描かれているかだろう。この映画に関しては残念ながらどの人物もあまり魅力的ではなかった。

カジョールは勝気な女性が適役なのだが、この作品では勝気な中での優しさがもうひとつ感じられず、しかもよくよく考えると結局兄弟2人をもてあそんだのか?ともとられかねない。あまりにもあっけなく大スターになったうえ、きれいになったという設定は単なる厚化粧でカジョールには似合わなかった。

サイフもカジョールの一言で心と行動をすべて改めてしまうというお約束そのまま、思わず笑ってしまった。

ミュージカルシーンの入り方も唐突だったし、最後の方の曲は90年代どころか70年代かと思われるような、さらに古きインド映画の世界に迷い込んだようだった。最後に極太眉毛のカリシュマ・カプールが登場し、これまた時代を感じさせる。

でもこういう作品ってある意味インド映画のスタンダードだ。
中途半端に古いところが今見るとホントださださで、それは当時はおしゃれであったろう雰囲気をかもし出していて逆になんとも言えぬ深い味わいだ。
1942 A LOVE STORY
(1993)

監督:Vidhu Vinod Chopra

マニーシャ・コイララ,アニル・カプール,
ジャッキー・シュロフ
*インド独立の5年前、イギリスの占領下の時代。ナレーンはイギリス軍と手を組む政治家の父を持つ。ラッジョーはイギリス軍の指揮官を暗殺する計画を持つ革命家の娘。恋に落ちた二人だったが境遇が違いすぎた。イギリス軍は指揮官の暗殺計画とラッジョーの父の正体を知り、町は緊迫していく。

愛国映画の名作は、美しい音楽と涙と共に

インド映画ではイギリスからの独立や占領下を舞台にした映画がよくある。『ラガーン』などもその一つだが、この作品も典型的な愛国映画だが、非常によくできた映画だ。私がインド映画を見始めた初期の頃、字幕無しで見て泣けた映画の一つで印象に残っている。今回は久しぶりにep放送で見たが、やはり良かった。

いきなりクライマックスから始まるのだが、前半はひと目惚れから始まる典型的なインド映画のラブストーリー。この時代の作品には珍しく唇を合わせるキスシーンがある。この映画の挿入歌はどの曲も一度は聞いたことがあるような、今ではスタンダードになっている名曲揃いだ。「Ek Ladki Ko Dekha」とか「Kuch Na kaho」とか、この曲ってこの作品の挿入歌だったんだ、と再確認した。

後半になってジャッキー・シュロフが登場。ちょっと甘くてファニーな感じのアニル・カプールから一気に独立運動の緊迫さが彼の登場によって伝わってくる。残虐なイギリス軍の仕打ちに次第に見ている日本人の私までがインド人側の気持ちになってくるのだから、インド人が見たらより一層気持ちが高ぶってくるのではないだろうか。

監督は『Munnabhai M.B.B.S.』ほか、テロリストを描いた『アルターフ』のストーリーや『Parineeta』の脚本なども手がけている。
今見ても古さを感じさせない名作の一つだと思う。
NAGINA
(1986)
NIGAHEN
(1989)

監督:Harmesh Malhotra

『NAGINA
』Sridevi,Rishi Kapoor,Amrish Puri
『NIGAHEN』
Sridevi,Sunny Deol,Anupam Kher

『NIGAHEN』は『NAGINA』のPART2
シュリデヴィ、蛇女になる!

と言っても、蛇は神の化身。
内容的にはどちらも悪者をやっつける単純なストーリーではあるが、キャストが主演のシュリデヴィをはじめ、相手役にリシ・カプール、サニー・デオル、敵役がアムリシュ・プリ、アヌパム・ケールと豪華どころ。コミック的ではあるが、それを愛らしく演じてしまうのがシュリデヴィのすごいところ。

彼女はダンスがうまいので、どの作品もダンスシーンが多めに盛り込まれているのだが、これらの作品も蛇をイメージしたくねくねと生めかしく、キレのあるシュリデヴィダンスが十分に堪能できる。そして小さな顔の3分の1はあろうかと思われる瞳から放たれる目力に圧倒され魅きこまれる。

看板をはれる女優は何人もいるが、シュリデヴィはその中でも抜きに出ている。マドゥリーやアイシュワリアもすばらしが、逆に整いすぎていて近寄りがたさというか、親近感が感じられない(もちろん、それはそれでいいのだが)。

シュリデヴィの場合は「愛くるしい」という表現がぴったりで、老若男女すべての層に受け入れられる魅力を持っている。このようにキュートにキワモノを演じられる女優はそうそういない。

蛇がいたるところで出てくるので蛇嫌いな人にはすすめられないが、
一歩間違えばさむくなるような子供騙し的な話も、この人が演じると本当にカワイイ。漫画チックな内容でもこういった作品なら面白く観られる。