Mid Movies

:日本のスクリーンで、:日本で発売されたDVD、:ep放送などテレビで視聴、:日本語字幕なし)

Bardaasht
(2004)

監督:E. Niwas

Bobby Deol, Lara Dutta,Rahul Dev,
Ritesh Deshmukh
*両親を早くに亡くし兄弟で生きてきたが、弟の素行問題で兄弟喧嘩する。弟は家を飛び出すが、ドラッグ所持で銃殺されたとの知らせが。真実を知るために兄は立ち上がる。

インドの警察をこんなに悪く描いて大丈夫か?

タイトルは「忍耐」という意味。すっかり忘れていたがこの作品を観るのは2度目。後半、セリフの多い法廷シーンがあるため、私の英語力では詳細まではわかりかねたが、それを差し引いても最後まで飽きることなく引っ張っていけるなかなかの秀作。ストーリー的には古典的な手法ではあったが、それなりに引き込まれた。

アクション映画でインド映画とハリウッド映画の一番の違いは、ハリウッド映画がアクションそのものを主体とするのに対し、インド映画は必ず人間関係が背景にあるということではないかと思う。この映画では兄弟愛がベースになる。

確かにアクション自体はハリウッドの方がはるかに勝っておりかっこいいと思う。ハリウッドの主流が飛び道具(拳銃)であり、インド映画でももちろんそれは使うが、基本的に人間同士の力技(格闘技系)が主流になり、飛び道具使用はずるい・・という雰囲気があるような気がする。

また、もともとインドの警察の良い評判はあまり聞かないが、監督が個人的に恨みがあったのかと思うくらい、警察を相当悪者に描いている。

とりたてて大ヒットした映画ではないが、バイオレンス物が好きではない私でも結構楽しめ、個人的には悪くはない作品だったと思う。
Bride & Prejudice
(2004)

監督:Gurinder Chadha

Aishwarya Rai,Martin Henderson
*友人の結婚式に出かけたバクシー一家。そこで4人姉妹の長女はイギリス在住のインド人男性に見初められ、また次女のラリター(アイシュワリヤ)もイギリス人男性バクシーに出会うが、2人はうまくいかない。みんなで出かけた旅行先での新たな男性の出現や親戚の男性が嫁探しに家に居候したり、ラリターを中心にした姉妹の結婚はどうなる?

おもしろい話だったのにもったいない

印英共同作品のため「そのうち日本で公開されるかも」という淡い期待を抱いてずっと見ないでいたのだが、その気配は全くないのであきらめてDVDを買った。

インド、イギリス、ロサンゼルスと場所を変え、文化の違いや4人姉妹の恋愛模様を描こうとした内容はとても興味をひくのだが、いかんせん全体で2時間弱、うちミュージカルシーンを除くと実質1時間半ほどでは登場人物の描き方が不十分であり、どれもこれも中途半端になってしまった。

アヌー・マリクの音楽やダンスシーンはすごくいい。これが普通のインド映画であれば間違いなく高評価なのだが、この映画ではむしろ浮いてしまった。‘歌って踊ってのインド映画’が必要以上に強調されてしまった感じだ。ストーリーに大きな起承転結がなくさっぱりしている分余計にそう感じた。

また『ラガーン』の挿入歌でイギリス人女性がオペラっぽく歌う曲がありその時はあまり気にならなかったのだが、この作品でもその傾向が見受けられた。イギリステイストにするとオペラっぽくなるのだろうか?謎だ。

この作品、欧米式なのは上映時間だけで中身はインド映画だ。しかしインド映画に肝心の人間模様が描ききれておらず、せっかくインド人とイギリス人の恋愛という面白いテーマがぼやけてしまったのが残念だ。

さらっと見る分には決して悪くはないが、インド映画ファンの私にはもう一つもの足りなかった。
Dil Ne Jise Aapne Kahaa
(2004)

監督:Atul Abnihotri

サルマン・カーン,プリティ・ジンタ,ブミカ・チャウラ
リシャブとバリーは愛のある結婚生活を送っていたが、バリーは交通事故死してしまう。女医だったバリーは死ぬ前に心臓移植が必要な自分の患者ダーニーに自分の心臓を提供する旨を同僚医師に告げていた。失意のリシャブ、そして元気になったダーニーはまるでバリーの心が宿ったかのようにリシャブに魅かれていく。

面白かったけど、女性としてはちょっと複雑な心境かも

心臓移植によって心まで宿るという現実にはあり得ないが、なんとなくあってもおかしくないような気にさせるストーリー。まあ先が読める展開ではある。

この監督は先日『Hote Hote Pyaar Ho Gaya』でカジョールの相手役を務めたアトゥール。やっぱりこの人はこの先俳優よりも監督としてがんばった方がよさそうだ。監督デビュー作としては悪くなかったと思う。

ブミカという女優さんは初めて見たが、ちょっとたれ気味の潤んだ瞳とぽってりとした下唇が魅力的な女性。日本人男性ウケしそうだ。下あごの割れがちょっと気になるが。

前半はずっとサルマンとプリティのラブラブぶりに終始する。それによってプリティが死んだことの悲しさを強調しようという狙いなのは読めたが、ちょっとラブラブし過ぎ。プリティの登場はほぼ前半のみで後半はブミカと、完全にヒロインが分かれた形になった。

この映画でいただけなかったのは、どちらのヒロインとも危篤に陥っているシーンだというのに、化粧が濃くて血色が良く、どう見ても瀕死の状態には見えなかったことだ。泣きじゃくるサルマンの横で色鮮やかなチークに口紅、アイシャドウばっちりのメークはちょっと興ざめだった。いくらいつの時でも美しさを保つボリウッド女優とはいえ、明らかにメイクの失敗だ。

ダーニーのリシャブに対する不思議な感情と、どうしてもその気持ちを受け入れられないリシャブの気持ち・・・というストーリーで後半引っ張ってきた割にはラストはあっけなかった。本人が好きなのか元妻の面影を引きずっているのか、女性としてはちょっと複雑な気がした。
Khakee
(2004)

監督:Rajkumar Santoshi

アミターブ・バッチャン,アクシェイ・クマール,アイシュワリヤ・ラーイ
テロリストの護送という任務を任命されたアナン警視以下4名のメンバーは事情を抱えたり、クセのある連中だった。事件に巻き込まれた謎の美女ともにムンバイに向かうが、その行く手を阻む非情のテロリスト、アングレ。しかし事件の本当の黒幕は他にいた。

期待どおり見応えのある作品

以前から観たいと思っていたこの作品は期待どおりに最後まで見応えのあるものだった。多少の不自然さはあるものの、大きく違和感を感じるものではなかった。

インド映画のスターシステムはともすれば毎回同じようなメンバーをシャッフルするだけで、新鮮味が感じられないことがある。また、スターが出ているからといって必ずしもヒットするわけではない。無名の俳優を起用して予想外のヒットを出すこともある。

しかしスターと脚本がはまったときは、これこそインド映画の醍醐味を感じることができる。お馴染みの俳優が画面に登場すると、まさにキタ━━(゚∀゚)━━!!という感じである。人気あるスターというのはだてにスターなわけではなく、実力も兼ね備えているのだということが再確認できるような作品だ。

正義感はあるもののこれまで大きな手柄をあげていなかった定年間近の警察官にアミターブ・バッチャン、プレイボーイな不良警官にアクシャイ・クマール、非情なテロリスト、アジャイ・デーヴガン、謎の美女にアイシュワリア・ラーイと俳優らの個性を生かしたそれぞれのキャラクターの描き分けもうまく、適材適所でよかった。

ストーリー的に挿入された曲数は多くないが、どれも悪くなかった。
タイトルのkhakeeとはいわゆるカーキー色のことで、インドの警察官の制服がカーキー色であることから、警察官そのもののことを指している。

インド映画で警察官ものは少なくないが、今回のような人間味あふれた作品は日頃ラブストーリー中心に観ている私にとって、改めてインド映画の奥の深さを感じさせられた。  
Kyun...! Ho Gaya Na
(2004)

監督:Samir Karnik

アイシュワリヤ・ライ、ヴェヴェーク・オベロイ
ディヤは試験のため知人の家に滞在し、そこの息子のアルジュンに魅かれるようになる。アルジュンはお調子者であったが親の決めた女性と結婚しようと思っていた。実は彼の両親は最初からディヤと結婚させるつもりだった。それを知らないディヤはアルジュンに愛を告げたが、アルジュンは彼女の気持ちにとまどい、傷ついたディヤは実家に戻ってしまう。彼女がいなくなって初めてアルジュンはディヤの存在の大きさに気がついた。

まさに‘キュン’とする話だったのに後半が・・・

典型的ボーイミーツガールの話。

この映画撮影時付き合っていたのかこの作品がきっかけになったかは不明だが、プライベートでもアイシュとヴィヴェークは恋人関係であった。そんな色眼鏡で見るとおもしろさも1割増しになる。

前半はお互いの気持ちが交錯する、とてもかわいらしい純愛物語であった。この時点では私的にはとても好きなストーリーだった。しかし後半がいけなかった。話がアミターブ・バッチャンが持つ施設とその子供たち、もう一人の男スニル・シェティーの登場によって、前半と流れが変わってしまった。ストーリー上で「え???」と観客が違和感を感じた時点でその作品の良さが大幅に減少してしまう。

これは同じくアイシュが主演の『Jeans』の時もそうだったのだが、後半力尽きてしまった感じ。喜怒哀楽が詰まったマサラムービーは成功すると観客の感情を揺るがしてひときわ感動も大きくなるのだが、一歩間違えるととっちからかった印象を受ける。

アイシュは美しすぎるがゆえお人形さんみたいだと言われることも多いが、彼女の感情を込めた瞳での演技はすごいと思う。今回の映画ではアイシュの瞳は演技を超えたプラスアルファが絶対にあったと思うのだが。彼女の美しさと目力に随分と助けられたものの、最後のまとめ方は強引過ぎた。ラストの方でいい雰囲気が戻ってきただけに残念だ。

音楽は今をときめくShankar-Ehsaan-Loy。とてもインド映画らしい主題歌っぽい歌もよし、アメリカンミュージカル風あり、クラブ風あり、ラフマーン風ありとバラエティーに富みなかなか楽しませてくれた。
Masti
(2004)

監督:Indra Kumar
Aftaab Shivdasani,Vivek Oberoi,Ritesh Deshmukh
大学時代の親友3人組は卒業後再会したが、自分の妻に対してそれぞれ不満を持っていた。楽しむ(=Masti)、つまり浮気しようとするがうまくいかない。そこに謎の美女が現れ、殺人事件に巻き込まれていく。

火遊びの代償は殺人犯!?ばかばかしいけど笑っちゃう。

最初はベタなギャグや下ネタ、今どき日本では使われなくなったコントシーンにありがちな間の抜けた効果音にヒキ気味に見ていたが、そのあまりにもばかばかしさがおもしろくなってきて、うっかり途中から映画に引き込まれてしまった。こんなのがずっと続くのかと思いきや、飽きてきそうなところで物語がややミステリーを帯びてくるので、結局最後まで引っ張られた。

セリフで笑わせるところも多いが、見ているだけでわかりやすいギャグも多いので、この映画を字幕無しで観た時から言葉の問題はそんなに気にならなかった。ミュージカルシーンもなかなかいい。

インド人は風刺的なコメディやシニカルな笑いよりもこの映画のギャグのようにコテコテの笑いの方が好きなようなようだ。

基本的にインド映画の終わり方はシンプルなハッピーエンドが多い。余韻を残してこちらの想像に任せるといったまどろっこしいところがないのは私好みなのだが、それにしてもここまで引っ張っておいてそれはないだろう・・・と肩透かしをくらったような終わり方だった。しかしこうした強引なまとめ方は最近結構多い気がする。

『Bluff Master!』などもそうだったのだが、いわゆる夢オチ(「実は夢でした、チャンチャン。」という安直なオチ)にちょっと近い幕引きは時にはおもしろいけれど、この反則ぎりぎりのわざはよほど本編が練られていないとただのチープな映画に終わってしまう。

この作品の最後の腰くだけ感も、結構おもしろかったコメディにミステリーというひとひねりを加えたということで救われた。

全体的に飽きさせることもなく、また下ネタも下品になるギリギリのところでおさえており、そこそこまとまっていたと思う。
Swades
(2004)

監督:Ashutosh Gowariker

Shahrukh Khan, Gayatri Joshi
*NASAで働く主人公は両親を早くに亡くし、母親代わりだった女性に会いにアメリカからインドの片田舎に休暇で訪れる。すぐ停電になる、子供の教育の問題など、農村部の抱える問題に直面した主人公はひとつの対策としてある計画を思いついた。

NASAで働いていたってやっぱりインドが恋しい

「Swades」は母国、祖国の意味。「Lagaan」の監督。この監督はインドの田舎の風景を本当にきれいに撮る。ちょっとした旅行に行った気分になった。ストーリー自体は特に大きな起承転結もなく、淡々と進んでいく。

この映画で興味深いのは、インド人から見たインドの抱える問題を提起していること。世の中こんなに進んでいるのに田舎といえどもこのままではいけないのではないか。インド独自の文化は大切にしながらも、改革していくべき点はあるということを、インド人の視点から訴えている。

シャールク・カーンはこの映画で2004年度FilmFare賞の最優秀男優賞に輝いた。
なぜ最優秀作品賞を受賞した「Veer-Zaara」ではなくこちらの作品だったのかはわからないが、40代を迎えさすがに普通のラブ・ストーリーのヒーローはきつくなってきたが、彼の主役を念頭において作られたと思われる近頃の脚本は、いい具合に年を重ねてきたシャールクの魅力をうまく引き出している。もちろん、それを演じきるシャールクは若い時とはまた違った輝きをもって本当にかっこいい。

ARラフマーンの曲は悪くはないが、ミュージカルシーンへの入り方が唐突で、少し不満が残った。
Veer-Zaara
(2004)

監督:ヤシュ・チョープラー

シャールク・カーン,プリーティ・ズィンタ,
ラーニー・ムカルジー
*インド空軍のパイロットだったヴィールは雪山で遭難していたバスを救助し、パキスタンからインド出身の祖母の遺灰を故郷に戻すためにやってきたザーラーと出会う。何日かを共に過ごした二人だったがザーラーには婚約者がいた。結婚式の日、ザーラーを奪うためにパキスタンにやってきたヴィールだったが、彼女と彼女の家族を思いインドへ帰国しようとしたところ、スパイ容疑で拘束される。彼女の幸せのためにヴィールは真実を隠して22年間の幽閉生活を送る。女性弁護士のサーミヤは彼の無実を勝ち取るために彼の故郷へ向かう。そこで待っていたのは・・・

こみあげてくる感情と涙が止まらなくて

DVD は持っていたが、インド料理レストランでの上映会で改めて観た。少しでも大きな画面で観たかったのと、他の人とこの名作を観る時間を共有したかったからだ。
観たことがあるくせに、いや、見たことがあるからこそ「泣き」の場面が近づいてきただけで涙腺のスイッチが入る。すでに映画の中盤からかなりヤバイ状態になり、ずっとハンカチを握りしめていた。

私の場合インド映画で流す涙は悲しみの涙ではない。もちろん悲しい場面もある。しかしそれ以上に明日への希望を予感させる、あるいは人間の強い絆を感じさせる感動の涙なのだ。そのため心を揺り動かされた映画であればあるほどその後の余韻でしばしぼーっとしてしまう。頭の中では今見た映画のシーンがフラッシュバックのように浮かんでくる。それはいつも音楽と共に。

重厚感のある音楽に加え、印パ、恋愛、親子関係、男女教育の差別、これ以上メッセージを込めると重くなりすぎるが、製作者側もそのサジ加減がよくわかっている。ヤシュ・ラージフィルムは映画作りがうまい。

DDLJなんかもそうであるが、素直に人間の感情を表現した作品を日本人は「クサイ」と照れてしまいがちだが、そんな作品の罠にはまって号泣するのもいい。

つまらない作品もたくさんあるが、こういう作品に出会ってしまうからインド映画ファンはやめられない。  
レッド・マウンテン
(LOC Kargil)

(2003)

監督:JPダッタ

サンシ゛ャイ・タ゛ット,アシ゛ャイ・デーヴカ゛ン,サイフ・アリ・カーン,
スニル・シェティ,アクシャイ・カンナ,
アヒ゛シェーク・ハ゛ッチャン
*インド・パキスタン国境、カルギルに位置するLOC(停戦ライン)で紛争が勃発。敵は少数のゲリラかと思われていたが、背後にパキスタン軍の存在が。勇気ある兵士達は家族と離れ、果敢に戦いに挑んでいく。

最初から最後まで戦争映画。キャスティングが活かしきれず残念

基本的に戦争映画とか好きではないのだが、久々の日本語字幕つきインド映画DVDの発売、加えてこの豪華絢爛たるメンバーをみたら買わないわけにはいかない。むしろ普段あまり見ないジャンルだからこそ、字幕つきでじっくりみてみるのも面白い。

しかし、最初から少し嫌な予感はしていた。スターが揃いすぎた場合、描き方がどれも中途半端になり、せっかくの顔ぶれを活かしきれなくなるのではないか。女優陣も兵士の妻役などでラヒ゛ーナ・タンタ゛ン,カリーナ・カフ°ールラ,ーニー・ムカルシ゛ーなどが登場。いずれも1〜2シーンのみだが、インド映画ファンならわかると思うがもう目もくらむような豪華キャストである。案の定122分という上映で予想通りミュージカルシーンはなく、予感が的中してしまった。

LOCでの各ポイントを奪還すべく兵士が勇気をもって戦うというストーリーは終始、銃・爆撃・殺し・殺されというシーンばかりで、正直後半イヤになってしまった。レッド・マウンテンとはすなわち赤く血に染められた山ということ。
普通インド映画では戦争映画といえども恋愛エピソードの1つや2つ入っているものだが、登場人物が多すぎてそれぞれのエピソードが希薄。それゆえ主役級が死んでもあまり悲しくならない。キャスティングと銃撃戦にお金をかけすぎたためか、ロケはずっと岩山ばかりで映像で楽しむこともできなかった。

実はこの作品、原作は4時間もある。それを日本向けにミュージカルシーンをすべてぶったぎり、内容も縮小して半分にしてしまったというわけだ。いくらなんでも半分はひどい。登場人物が描ききれていないと感じるのも無理はない。どうせ観るなら字幕無しでも原作の方がよいだろう。

しかしなんでこの作品だったのだろうか?『アルターフ』のDVD化の時も感じたことなのだが、間違いなく男性の視点で作品選びが行われている気がする。別に戦争ものが悪いというわけではないが、まだ開拓されていない日本のインド映画市場に持ってくる作品としてはどうかと。もう少し万人受けする作品にした方がいいのではないかと思う。
Kuch Naa Kaho
(2003)

監督:Rohan Sippy
アビシェーク・バッチャン,アイシュワリヤ・ラーイ 
ラージは従妹の結婚式のためにニューヨークからインドに来たが、叔父に執拗に結婚を勧められ、叔父の会社で働くナムラタに付き添ってもらい無理やりお見合いをする。しかしいつの間にかナムラタのことを好きになってしまう。告白をしようと決意した時、彼女に息子がいることを知る。

ほぼバツイチ女性(子持ち)とのつき合い方

ep放送の映画の本編の前にたいてい15分間、その日に放映する作品の解説番組がある。たいしたことがないと思われる映画でも高評価を下す解説のインド人男性が珍しく最高評価をつけなかった。「インドではまだ早すぎる」というコメントが興味深かった。

日本では女性のバツイチなどはもはや珍しくもなんともなくなってしまったが、インドではまだ題材としては抵抗があるのだろうか。

男性の浮気はコメディ映画などでよくテーマにされるが、女性の再婚(それも死別ではなく)は逆に目新しい感じがして個人的には面白く観ることができた。

全体的にきれいにまとまっていたと思う。歌もなかなかいい。
唯一、2人ががけから足を滑らせてウォータースライダーのごとく流れていくシーンだけがあまりにもインド映画くさくてちょっと浮いていたが、そこから歌への持っていきかたがよかったのでよしとしよう。

しかしアイシュはテロリストの女やレイプされた女性、バツイチ子持ちとか、意外とクセのある役柄が多いが結構うまくこなしていると思う。彼女の目力のある演技はすばらしい。

インドとのカルチャーの違いを感じたのは、「Yes」という言葉の変わりにインド式に首をかしげるシーンがあるのだが、どうしても日本人だと最初「No」に見えてしまう。だいぶ慣れてきたはずなのだが、とっさに迷う。
Munnabhai M.B.B.S.
(2003)

監督:Rajkumar Hirani

Sanjay Dutt, Arshad Warsi,
Gracy Singh
*ムンナはゴロツキの親分だったが、両親には医者と偽っていた。しかしそのウソがばれ、本物の医者になることを決意する。ムンナと子分達が病院内で騒動を起こしつつも、その人柄に次第に皆が惹かれていく。

イカスぜ!ムンナ兄貴

インド映画は普通約3時間弱あり途中でだれる所もありがちなのだが、最初から最後まで軽快なテンポでストーリーが進む。正義感あふれるあまりムンナは病院内でさまざまな騒動を引き起こすが、笑いの中にも中にもほろっとさせ、さらに現代医療に対する問題点も含まれていると思ったのはほめすぎか。

インド映画にありがちな出来すぎのストーリー展開ではあるものの、ベタなギャグを使いつつ、泣かせるポイントもしっかり押さえてあり、飽きることなく見ることができた。

ムンナ兄貴をはじめ、人情味あふれるキャラクターたちは私たち日本人にもよく理解できる。特に1番の子分役サーキットがいい味を出していて、ムンナ兄貴を引き立てている。先ごろ亡くなったサンジャイ・ダットの実の父スニール・ダットがこの映画内でも父親役として出演している。

続編も決まっているようだが、是非公開までこぎつけてほしいものだ。
Pinjar
(2003)

監督:Chandra Prakash Dwivedi

ウルミラ・マトゥンデカル,
マノージ・バージパイ,
サンジャイ・スリ
*プーローは婚約も決まり幸せな日々を送っていたが、昔からの因縁がある家のラシードにさらわれてしまう。いったんは逃げ出すものの、結婚前の女性がそんなことになって戻ってきては家が崩壊すると追い出される。失望の中、プーローはラシードの元に戻るが・・・

宗教間の対立と「女」と言う性

1946年当時、イギリスからの独立、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒との確執。そして挿入歌にもあった「なぜ女として生まれてきてしまったのか」という女性の地位が低い時代。

とてもいい映画だったと思う。20世紀FOXとなっていたので国際的なマーケットに乗ったのかもしれない。しかし女性から見るとちょっとつらかった。ウルミラの演技がとてもすばらしく、それが余計にこちらのつらさを増幅させた。『女盗賊プーラン』のプーラン・デヴィ役の女優がプーランとおぼしき姿で登場する。この映画もかなりショッキングなシーンがあった。

回りくどい書き方になってしまった。
『Dil Se』などにもあったが、その場所を牛耳る者たちによって若い女性がレイプをされ、人生がめちゃくちゃになってしまう。男たちのいっときの欲望により犠牲にされた女性達。そんな女性達を汚されたものとして受け入れない社会。
そうしたシーンが露骨に描かれているわけではないが、望まぬ妊娠を無理に堕胎させるシーンなどは思わず目をそむけたくなる。

幸いこの作品では最初悪党と思われたマノージ・バジパイが意外といい人で救われた。
いい作品ではあるが、1回でいいやという感じだった。
Tehzeeb
(2003)

監督:Khalid Mohamed

ウルミラ・マトゥンドカル,
アルジュン・ランパール,
シャバーナ・アーズミ
*テジーブの母は有名な歌手であったが家を空けることも多いため、寂しい思いをしていた。ある日テジーブは母が父を射殺する現場を見てしまう。沈黙を守り結婚して幸せな日々を送っていたある日、母が彼女の家に訪ねてくる。

2人の演技派女優が母娘の複雑な関係を見事に演じる

久しぶりに‘演技力’で楽しめた、最後まで見応えのある作品だった。インド映画で家族もの、親子ものを描いた作品は多いが、1番典型的なパターンは身分違いのカップルの結婚にそれぞれの家が反対するというもの。しかしこの作品は母と娘の関係を描いた、今までに見たことがないジャンルだ。他にも女性の自立といった問題にも触れている。派手さはないが、かなりの良作品。

表面的には平静を装いつつ、お互い今にも爆発しそうな本当の感情を秘めているという難しい関係。それをシャバナ・アーズミとウルミラという2人の個性的な演技派女優が見事に演じている。2人の間の張り詰めた緊張感が最後まで途切れることなく、それが見る者を映像に引き込んでいく。この作品の出来はこの2人につきる。

知的障害のある妹役のディヤ・ミルザー、夫役のアルジュンも邪魔にならない感じで2人を引き立てていた。ただアルジュンの浮気疑惑のエピソードはいらない。

ミュージカルシーンは単独では決して悪くはないのだが、あまりにも良い脚本の中で何曲かその流れを断ち切ってしまう所があり、ちょっと余計な感があった。

特に期待もせずに見てこういう当たり作品があると、ちょっと得した気になる。
Devdas
(2002)


監督:Sanjay Leela Bhansali

シャールク・カーン,アイシュワリヤ・ラーイ,マードゥリー・ディークシト
10年ぶりにロンドン留学から戻ってきたデブダスは隣に住む幼なじみのパロと再会し、お互いに恋心を抱く。しかし2人の結婚を身分の高いデブダスの両親は許さず、また身分の差を馬鹿にされたパロの親はパロを更に身分の高い家に嫁がせる。失意のデブダスは再び家を出、高級娼婦のチャンドラムキーに優しく接してもらうもパロを忘れることができず、心を閉ざし酒におぼれていく。

幻想的な夢を見ているような3時間

過去に2回映画化されたことがあるこの名作が、シャールク・アイシュ・マードゥリーといった3人の超人気俳優によってよみがえり、2002年度のフィルムフェア最優秀作品賞をはじめ、賞を総ナメにした。

以前字幕なしで観た時は華美すぎるうえ暗い話だなと思っていたのだが、今回日本語字幕つきの美しい映像で観て、それまでの印象がくつがえってしまった。
インド映画の魔法にかけられたような3時間であった。
私はインドの幻想的なおとぎ話にただ酔いしれていた。

はじめに感じた過剰なまでの華美さは、美しい映像で良く見ると豪華な内装や装飾、まばゆい衣装など眺めているだけでも楽しい。ひとつひとつのシーンがあまりにも美しすぎて、おおげさでなくまばたきをするのも惜しまれたほどであった。絢爛豪華とはこういうことを言うのだろう。

セリフがまるで詩をかなでるようであり、もしヒンディー語がわかったら物語全体が歌のように聞こえたであろう。この字幕はヒンディー語から訳したのか英語から訳したのかはわからないが、韻を踏むセリフもなかなかうまく日本語訳になっていたと思う。韻をふませつつ日本語にあった言葉を選ぶのはご苦労なことだったと思う。

またミュージカルシーンも「Dola Re Dola」を筆頭にどれもすばらしい。強いて言えばあの美しくダンスがうまいマードゥリーも全盛期のアイシュの前ではやや年齢を感じさせたが、眉毛ひとつ動かすシーンにもワザを感じさせて圧巻であった。

正直言って、ストーリー自体に胸につまされるものがあるわけではなかった。親の反対を押し切れずに愛しい人と別れたものの、未練が後を引き自滅していく・・・
単なる男の身勝手である。
でもなぜかインド人はこの『Devdas』という悲恋が好きなのである。ハッピーエンドが多いインド映画にあって、何回も再演されるということはそれだけインドの人々に支持されてきた証拠だろう。

監督のSanjay Leela Bhansaliという人は『Black』『ミモラ』も手がけているが、どの作品もどこか遠い幻の国の話のようである。でもこの夢物語に時代背景や場所の設定の追求は無用であろう。どれも非常にクオリティが高くすべてフィルムフェア作品賞を受賞している。インド映画の贅を極めたもはや一種の芸術作品は、日本の映画祭などで是非公開してほしいと思う。

ちなみにムンバイのフィルムシティに行ったとき、大物感漂うVijayendra Ghatgeという俳優さんに会った。その時は彼のことを知らなかったが、この映画でパロの結婚相手の役として登場した時は思わず「あ!」と声をあげてしまった。日本からの見物客に面白がってくれて3〜4分お話をすることができた。その彼のおかげで撮影現場に入ることができた。感謝。
Haan Maine Bhi Pyaar Kiya
(2002)

監督:Dharmesh Darshan

Akshay Kumar, Karisma Kapoor, Abhishek Bachchan
プージャとシヴは愛のある結婚生活を送っていた。二人で出張先のスイスに行ったとき、偶然シヴは大学時代のガールフレンドに会い一夜を共にしてしまう。それを知ったプージャはシヴと離婚し、俳優のラージの秘書となり働く。次第にラージはプージャに魅かれるようになった。ラージやプージャたちがロケでスイスのホテルに行くと、そこでシヴは独身のままマネージャーとして働いていた。

一夜の過ちを犯してしまう男、それを許せない女

男だったら昔のガールフレンドと雪山のロッジで一夜を過ごすことになったら・・・普通こんなシチュエーションは絶対にあり得ないが、どんなに妻を愛していても、浮気の可能性があるということでは否定できないと思う。また、そんな夫を許せないという女の気持ちもわかる。

典型的だが普遍的な男と女の感情の行き違いだろう。
カリシュマというちょっと気が強そうな女優演じるヒロインが、そんな男にさっさと見切りをつけて自立して仕事を持つというところも潔くてよかった。こういうやや大人向けの話は意外と好きかも。

このありがちな話を面白くみせたのは出演俳優によるところが大きい。今をときめくアビシェーク・バッチャン、アクシャイ・クマール、そして結婚後あまりスクリーンで観る機会が少なくなったカリシュマ・カプール。

特にアビシェークは最近ではすでに余裕というか貫禄さえつけ始めているが、この頃はまだ初々しくておっかなびっくり演技しているような感じ。ちょっと嫉妬深い役柄も含めてカリシュマの方が終始アビシェークをリードしているように見えた。そういえばカリシュマとアビシェークは実生活でも婚約(後に破談)なんてこともあった。。。

インド映画はなぜかロケ地にスイスを選ぶことが多い。もちろんアメリカ、ロシア、オーストラリアなど世界各国でロケは行われているが、同じヨーロッパの中ならフランスでもイタリアでもいいんじゃないかと思うがなぜかスイスである。かつてインドを支配していたイギリスに次いで多い気がする。美しい街並みと山々の風景は、インド人が思い描いているヨーロッパ像なのかもしれない。

特別ヒットした作品ではないが、ストーリーがわかりやすいので日本語字幕がなくてもおおむね理解できた。
初々しいアビシェークと共に2時間ドラマを見る感覚で楽しめた。  
Pyaar Diwana Hota Hai
(2002)

監督:Kirti Kumar

ラーニー・ムカルジー,ゴヴィンダ 
*スンダルは画家を目指してデリーに来たが、そこで言葉を話せない女性に優しく接するパヤルに一目惚れ。自分も言葉を話せないふりをするが、二人の関係が親密になるほどにスンダルは本当のことが言えなくなる。

ちょっといいラブストーリー。ラスト、えぇ〜そ、そんなぁ〜

出会った時に言葉を話せないというウソをついてしまったばかりに、好きな人の前でなんとかごまかそうと悪戦苦闘するゴヴィンダのラブ・ストーリー。ゴヴィンダ主演のわりにはコメディはどちらかと言えば控えめ。

こういったラブコメは嫌いではない。出来も悪くはない。さてゴヴィンダのウソはどうやってばれて、どのようにラーニーと結ばれるのかと考えながら観ていたところ、ちょっと予想外の結末となった。

基本的にインド映画は圧倒的にハッピーエンドが多い。どんな困難があろうと観る側は「最後にはうまくまとまるんだろう」と気を許してしまいがちだ。今回の作品も決してアンハッピーではないのだが、すっきりと単純には終わらない、こちらの予想を裏切ってくれる終わり方だった。本当に油断がならない。

そういった意味では印象に残った作品だが、普通に終わってくれてもよかったかなぁ。ちょっと後味が悪かった。
アーリャマーンEPISODET:
帝国の勇者

(2001)

監督:ディンカー・ヤニ

ムケーシュ・カンナ、キラン・クマール、
ディーパク・ジェティ
*>>インド史上最高の視聴率を叩き出した怪物番組。伝説のヒーローが銀河を救う、スペース・マサラ・アクション!(DVDケースより)

「インド版スターウォーズ」なんて言ったら本家に失礼だ

あ〜やっちゃったな〜、というのが最初の印象。
最初から嫌な予感がしていたのだが、その予感は的中してしまった。スター・ウォーズのパクリというにはあまりにも違いすぎて似ても似つかない別の物になっている。

まず、ヒーローが老けているうえ小太りで全然かっこよくない。世界的高水準にあるインドのIT技術が映画・テレビに活かされていないのが以前より不思議だったが、この作品の戦闘シーンもひと昔前のゲームセンターの宇宙ものシューティングゲームのようである。ロボット関係にいたっては、お笑い番組のかぶりものにしかみえない。敵役はマグマ大使だった。

日本の子供向け特撮番組は世界的にトップレベルであり、それを物心ついた時から見ている私達にとってはトホホな作品だのだが、そうではないインドの子供達は素直にインド版スターウォーズとして、勘違いのままそれなりに楽しんだのだろうか。

映画で目が肥えているインド人がこの作品で楽しめたのか不思議だ。本当に高視聴率だったのだろうか?見るからに低予算だが、そういう問題ではない気もする。今回まだ完結していないのだが、エピソードUも販売する気だろうか。途中で終わっているのに全然続編が見たくないというのも珍しい。この作品をDVD発売するなら、他にいくらでもいい作品があるだろうに。遊びで借りるならともかく、正直、買わないほうがいいと思う。インドのSFXものはまだ時間が必要か。

唯一パパイヤ鈴木のダンスシーンはなごむが、もしかして単に日本人がインドのテレビに出たという記念作品かもしれない。・・・というようにツッコミどころ満載の作品だった。 
Kuch Khatti Kuch Meethi
(2001)

監督:Rahul Rawail

カジョール,スニール・シェーッティー
両親の離婚により生まれた時から離れ離れに育った双子のスイーティとティナ。しかしその離婚は財産目当ての叔母が仕組んだ罠だった。離婚のせいでに父は酒びたりの日々を送っていた。偶然出会った二人はなんとか家族元通りにするために画策する。

インド映画はひとり二役が大好き

インド映画お得意のひとり二役もの。そっくりなことによって周りの人々が混乱するというのはどの作品も共通だ。わかってはいても結構笑ってしまうことも多いが、ある程度内容の予測ができるからこそ、逆に難しいテーマかもしれない。

シュリデヴィの『Chaal Baaz』は面白かった。サルマン・カーンの『Judwaa』、シャールク・カーンの『Duplicate』などもなかなか。アイシュワリア・ラーイの『Jeans』はなんと双子同士のカップルの話であった。

そんな中でこの作品は全体的にはうまくまとまっており、可もなく不可もなくといったところか。いつも思うのだが、いくら双子といえども普通家族はわかると思うのだが。

でも実はこの作品の本当のテーマは双子のどたばたというよりは、素直に自分の気持ちを表現できなくなってしまった大人の男女の心の葛藤にあったのかもしれない。

ちなみに先日観た『Pyaar mein Twist』も今回の作品で父親役を演じたリシ・カプール主演であり、大人の恋愛とすでに成長した子供たちとの問題についての話だった。

特に特筆すべきこともない映画ではあったがCGの使い方はなかなかうまかった。  
Lajja
(2001)

監督:Rajkumar Santoshi

マニーシャ・コイララ,マードゥリー・ディークシト,ジャッキー・シュロフ,アニル・カプール
ニューヨークで裕福に暮らしていたヴァイデヒーだったが、夫のラグーは奔放な生活と暴力をくり返していた。夫婦関係を一方的に解消したラグーだったが、事故で子供ができない体となる。ヴァイデヒーが彼の子を身ごもっていると知り再びよりを戻そうとするが、彼の目的が子供だけということを知った彼女は彼の追っ手から逃げ続け、その先々で様々な境遇の女性たちと出会う。

インドにおける女性の地位についての明確なテーマをもった作品

主人公をはじめ3人の象徴的な女性が登場し、オムニバス的に話が進んでいく。

インドでは女性側が持参金を持って嫁入りするために、婿側の家族がそれにつけこんで持参金の上乗せやプレゼントを要求する話(マヒマ・チャウドリー)。愛する男性の子を身ごもるが不倫疑惑で世間の非難を浴びた劇団の女性(マードゥリー・ディークシト)。息子が身分違いの大金持ちの娘と付き合ったため不幸が訪れてしまった進歩的な考えの女性(レーカー)。

他にも妹の結婚の持参金を作るために売春をする姉、嫉妬深い夫の言いつけどおり窓際にも立てない若い妻など、いろいろな立場の女性が登場する。そして主人公自身も心身ともに夫のドメスティックバイオレンスの犠牲になっていた。

「自分たちの母である女性を蔑視するような慣習はおかしい」というテーマの元、女優陣の演技力ともあいまってみな個性的に描かれている。男性陣もジャッキー・シュロフ、アニル・カプール、アジャイ・デーヴガンという豪華な顔ぶれ。
テーマーがはっきりしているゆえ、「○○女性映画際」などの上映に向いていそうだ。

しかしあくまで個人的な好みを言わせてもらえば、あまり好きな作品ではなかった。それは私がインドの現状を問題視したメッセージ性の強い作品よりも、スクリーンの中に娯楽を求めているからだ。
自分も女性ゆえ女性蔑視や差別を扱っている作品は確かに文化的な意味合いでは興味深いのだが、リアルに描かれていればいるほど、見ていて胸につまされてしまうのだ。
ただこうした作品は仮にヒットはしなくても世に送り出していく意義はあると思う。

ミュージカルシーンはみなすばらしかった。
マードゥリーをはじめ、ウルミラやソナリがゲスト出演してのミュージカルシーンは彼女らの個性を生かした振り付けでとてもよかった。

最初の舞台はニューヨークのマンハッタンだったが、相変わらずアメリカの自由の描き方が酒びたりで男女関係にルーズというインド映画のセオリーどおりだった。インドが一番というのはいいのだが、世界中にインド人がいる現在、もはやこの価値観は逆に古い感じがする。  
Moksha
(2001)

監督:Ashok Mehta

マニーシャ・コイララ,
アルジュン・ランパール 
*正義感に燃える弁護士のヴィクラム。貧しい人にも弁護を受けられるような組織を立ち上げようとするが、お金がない。父をはじめ、回りは全く理解を示してくれない。恋人のリティカの協力の元、ヴィクラムがお金を集めるために考えた計画とは・・・?

アルジュンのプロモーション・ビデオと考えればよし

あり得ない話だ。正義感に燃えすぎるため、金策のために銀行強盗を計画してしまうのだ。弁護士がフツーそんなことするか?
初めてこの映画を見たときは字幕無しだったうえ、後半はほとんど法廷シーンだったのでよくわからなかった。今回ep放送の字幕つきで観たが、やはり何だかなぁといった感じ。でもPlanet Bollywoodなんかだと思ったより評価が高い。理想に向けた自己実現のために壊れていく主人公・・・みたいなのって評論家ウケがいいのだろうか。あまり一般ウケはしなさそうだが。

ミュージカルシーンもアマゾネス集団が登場してアルジュンがなぜか奴隷のように岩を引っ張るシーンなど、脳内妄想イメージがもうひとつ理解に苦しむ。どうでもいい話だが友人役の練馬、もといネリマって名前はインドによくあるのか?

この監督、古くは『Khal Nayak』『女盗賊プーラン』、最近では『No Entry』など硬派からコメディーまでなかなか実力派。普通回想シーンがモノクロームになることが多いが、この映画では「現在」がモノクロームで描かれている。そしてラストに再びカラーに戻る時、ストーリーはクライマックスを迎える。というように、映像の使われ方がとても印象的。

いや〜、いい男ってモノクロームが本当にキマル!もうね、この映画はストーリー云々は抜きにしてひたすらアルジュンのかっこよさだけを眺めるのが多分正解。
同じ1972年生まれのジョン・アブラハムには頭一つ抜かされた感もあるが、是非演技力とダンスを磨いて今後ともがんばってほしい。
Hadh Kar Di Aapne
(2000)

監督:Manoj agrawal

ゴーヴィンダ,ラーニー・ムカルジー
*ラージは友人の妻の浮気の証拠をつかむように頼まれる。一方妻は同姓同名の友人をヨーロッパに行かせ、インドで夫の浮気の様子を見張る。それを知らないラージは替え玉のアンジェリに一目惚れ。そのヨーロッパのツアーには麻薬密輸団も紛れていた。

久々に観たゴーヴィンダのコメディーだったが・・・

ゴーヴィンダとラジニ・カーントの作品はちょっと似たところがあると思う。本人達は決して2枚目ではないのだが、作品が進むにつれてカッコイイヒーローに見えてきてしまう。だから多少の強引な展開も、本人達の魅力とパワーでこちらに有無を言わせない。

今回のこの作品も筋の強引さがいたるところで見受けられる。まぁコメディー作品にはよくあることだが、肝心のお笑いの部分がもうひとつのりきれなかったので、あり得ない面白さが感じられず、単なる無理なストーリー展開といった印象を受けた。

もう一つの原因としてラーニーがゴーヴィンダワールドにいまいちはまりきれていなかった気がする。ダンスのうまいゴーヴィンダはミュージカルシーンに独特の味がある。決してラーニーのコメディやダンスが悪かったというのではないが、ひとクセあるゴーヴィンダ作品では共演する相手を選ぶのかもしれない。

この点、結婚後スクリーンに登場することが減ったカリシュマ・カプール、ミュージカルシーンではラヴィーナ・タンダン、ウルミラなどとは息が合っていた。

彼の作品には「慣れ」が必要かもしれない。はまればある意味、とてもインド映画らしいのだが。
Har Dil Jo Pyar Karega
(2000)

監督:Raj Kanwar

サルマン・カーン,ラーニー・ムカルジー,
プリティージンダ
*歌手志望のラジュは自動車事故のプジャを助けた。彼女は大金持ちの娘だったうえに、家族はラジュをプジャの駆け落ち相手と勘違いし、命を救ってくれたと感謝をする。瀕死の状態を脱したプジャはラジュに恋をするが、ラジュはプジャの姉妹同然の親友、ジャンビと相思相愛になる。3人の恋の行方は?

ちょっと強引な展開だが、サルマンの魅力でひっぱる

いきなりサルマンの水着姿の歌から始まり、つかみはOK。
サルマンの主演作品は彼のマッチョな体をアピールするシーンがお約束になっている。もちろんこちらもソレを期待している。

この作品、恋あり笑いありと全体のバランスは決して悪くはないのだが、ちょと筋が強引すぎる。事故で植物人間状態だったプジャが急に元気になったり、家族が何の疑いもせずラジュをプジャの駆け落ちの相手と信じたり、そもそもなぜプジャは自殺までしようとしたか、本当の駆け落ち相手の説明が大雑把なのでストーリー的には?マークがつく。

しかしそんなストーリーのツメの甘さもサルマンの魅力で打ち消した。この人は本当に華がある。画面に登場しただけでパッと光がさす感じ。こういうのをスター性があると言うのだろう。一時はスクリーンの復帰は絶望的かと思われたが、やはり彼にとって俳優は天職なのだろう。最近はコメディーでヒット作を連発している。

現在のトップ女優、ラーニーとプリティーがまだ初々しくてカワイイ。植物人間状態を瞳だけで演じたラーニーの演技力は『Black』で大きく開花する片鱗を見せている。
作曲家役で登場する作曲家のアヌー・マリク、映画の最後にシャールク・カーンが意味無く登場するサプライズつき。
Hamara Dil Aapke Paas Hai
(2000)

監督:Satish Kaushik

アニル・カプール,アイシュワリヤ・ライ,ソーナリー・ベントレー
一見幸せそうに見えるアビナッシュ一家であったが、プリーティはレイプされた過去から家にいられなくなり彼の好意で同居させてもらっていた。一方のアビナッシュも父が愛人に生ませた子供を引き取り育てていた。お互い好意を持ちつつもプリーティは過去の負い目があり素直になれない。そこにアビナッシュに好意を抱く幼なじみの女性が現れた。

ナヴァラサがすべてつまったとてもインド映画らしい作品

インド映画はかくあるべきといった作品であった。インド映画をかじった人ならご存知だろうが、インド映画にはナヴァラサという人間の持つ喜怒哀楽などの9つの情感が含まれているとされる。それらが大変バランスよく含まれていた。

主演の2人はもちろんビッグスター、歌と踊りも良かった。
ストーリーとあまり関係のなさそうな町民によるお笑いシーンもインド映画では典型的。演じるのはアヌパム・ケールにジョニー・リーヴァルとこれまた最強のメンバー。こうした展開が良いか悪いかは別として、インド映画のスタンダードな見せかたではある。

レイプされた被害者である女性が世間からも家族からも阻害されてしまうという、姉妹すらも結婚できなくなり、家庭すらも崩壊しかねないというのはインドでの通念なのだろうか。そのくせ間男の存在でお笑いをとったり、愛人に子供を生ませたりといったことを対比して描いている。一歩間違えばどろどろしそうな内容だが、重い印象は受けなかった。

確固なる貞操観念(日本では既に死語?)と、それと対照的に結婚してしまえば何でもありといった描き方は、インド人ではない女性の立場としても興味を持って観ることができた。監督がどこまで意識していたかはわからないが、ラブ・ストーリーが基調になってはいるが、もしかしたらインドの結婚の意識を問うという結構深いテーマを持っている作品なのかもしれない。

アメリカ帰りの幼なじみはステレオタイプではあったが、ソナリがこんなにはじけた役柄ができることにちょっとびっくりした。あまりにも人が良すぎる役のアニル・カプールであるが、彼はこれが持ち味。プロデューサーは彼の兄であるボニー・カプール。