言葉の壁


インド映画を見る場合、映画館、DVDにかかわらず、言語に関しては3種類になります。

1.日本語字幕
2.英語字幕
3.字幕なし (現地のヒンディー語、タミル語など)

ヒンディー語などの現地語が字幕なしで楽しめる、
あるいは英語なら大丈夫という人であればほとんど問題ないでしょう。
しかし私を含め、そうでない人が大多数だと思います。
それでもインド映画を楽しむことは可能です。
ここからは個人的理解度と、その理解度での楽しみ方を述べてみたいと思います。

 日本語字幕・・・映画理解度ほぼ100%

もちろん、これで見ることがベストです。
ただし、海外DVDの中には日本語字幕といっても、翻訳機からそのままおとしているようなものもあり、
逆にわけがわからなくなり、まだ英語のほうがマシというパターンもあるようです。
これは例えばヒンディー語からいったん英語に訳し、
さらに日本語に翻訳するという手順を踏むことによって発生したりするようです。
英語サイトを翻訳ソフトで訳してご覧になったことがあるでしょうか?
最近の翻訳ソフトは高性能になってきているようですが、どうしても限界があります。
そうなれば日本語字幕付きといっても理解が難しいかもしれません。


国内で出されているDVDならほぼきちんとした日本語字幕がついています。
それでは良い日本語字幕がつけば完全に理解できるかというと、
文化的、歴史的背景というものが加味されてくるので、100%というわけにはいかないでしょうが、
インド映画を翻訳されている方はインド全般に造詣が深い方が多いので、
インドのことを何も知らなくても、ほとんど問題なくインド映画を楽しめると思います。


インド映画をあまり見たことがない人は、まずは大手音楽ショップやレンタル店に置いてある
国内メーカーから日本語字幕つきで出されている作品から見るのをおすすめします。

 英語字幕・・・理解度40%〜70%

これは個人の英語能力によってかなり差が出てくるでしょうし、
映画の内容、つまり使われている英語の難易度によっても変わってきます。
なお私は英語が得意というわけではありません。なのでこの理解度は全くの個人的な感想です。
人によっては100%近い人もいるでしょうし、さらに英語が苦手な人はもっと低いかもしれません。

わからない単語もたくさん出てくるし、読んでいる間に次に進んでしまうし、
読めても訳せないことが多々としてあります。
セリフと字幕がずれていて、ストレスを感じることもあります。

でも英語字幕であろうが、ないよりはあったほうがかなりマシです。
わかった単語を拾っていくだけでも理解力が断然違います。
細かい所はわからなくても、ストーリーが大まかにつかめると思います。
「でも、本当に英語が苦手で・・・」という人も多いでしょう。
しかし人間関係が必ず絡んでくるインド映画において、father(父)、mother(母)など
簡単な単語がわかるだけでも非常に重要です。

また英語はインドの準公用語となっており、
インド映画は(というよりインドは)、英語が使われることも多いです。
特に最近では舞台そのものがアメリカやオーストラリアになっていたり、
インド以外に住むインド人らの観客を視野に入れての作品が多くなっているため
英語が作品中に使われることがより多くなってきました。
‘Hi’,‘Thank you’,‘I love you’ などは現地語より使われる頻度が高いかもしれません。
この程度の英語ならついていけるのではないでしょうか。

ただし言葉で笑わせるようなギャグに関しては、いくら英語字幕がついても
習慣やニュアンス、語感の問題がからんでくるので理解しづらくなります。

 字幕なし・・・理解度20%〜40%

この数字は大体筋がつかめたという程度です。
これで映画が本当に楽しめるのか疑問に思う人もいるでしょう。
しかしインド映画は比較的ストーリーがわかりやすいものが多いので、
言葉がわからなくても楽しめることができるのです。

字幕なしで見るのであれば、ラブストーリーやアクションものなどがおすすめです。
もちろん細かな設定までは理解できませんが、大筋がつかみやすいと思います。
ミュージカルシーンにうっとりし、ジャッキー・チェンもどきのアクションシーンを眺めているだけでも、
インド映画なら楽しむことができます。
言葉もわからないのになぜか理解できてしまう・・・
このあたりが他言語の映画との大きな違い、インド映画マジックなのです。

しかし複雑な背景が絡んでくると、当然理解度が落ちます。
言葉で笑わせるようなコメディや、動きのない法廷ものなどは筋をつかむことすら困難になります。
といっても、ずっと法廷シーンばかりやっているわけではないので、それなりに楽しめますが。

ここでミュージカルシーンが大きな助けとなります。
突然始まったかのように思われるミュージカルシーンは、
実はその映画のシーンを端的に表してくれているのです。
ビジュアルで理解のサポートをしてくれるため、字幕がなくてもそれなりに楽しむことができるのです。

私もインド映画見始めの頃は、最後まで主人公の名前すらわからないことがありました。
なぜなら、インド人のありがちな名前というのを知らなかったからです。
いくつか作品を見ていくと、インド映画のパターンというか、見るコツのようなものをつかんでいけます。
字幕なしの映画のラストで泣けるまで、そう時間はかかりませんでした。
よくわからずに見ているのに泣けてしまう・・・これはとても不思議な感覚でした。
ちなみに「Rangeela」という作品でした。
ほんのわずかでもヒンディ語などがわかれば、さらに楽しむことができるでしょう。

字幕なしでみる機会というのはDVD以外では
インドを含む海外の映画館でというケースが多いと思います。
それなら映画館の雰囲気や観客の反応を見るという楽しみ方もあります。

 私自身はどうやって鑑賞しているか?

日本語字幕がついた作品が少ないので、もっとインド映画を観たいということになると
どうしても日本語字幕がない作品にチャレンジしていかなくてはなりません。

そうは言っても「英語が苦手なのに英語字幕や、まして字幕がない映画なんて楽しめるわけがない。」
と考える人は多いと思います。慣れると案外平気なものですが、最初はやはりとまどいます。
そこで英語が(もちろんヒンディー語も)不得手な一人である私がどのようにして観ているかを
参考までに載せてみました。

英語字幕は一応目に入れています。
短いセリフでもわからない単語は出てくるし、口語として省略されているセリフだと逆にわかりづらいことがあります。
ましてちょっと長いセリフになると字幕を読んでいる途中で次に進んでしまうので、
文章としてはほとんど理解していないかもしれません。
なんとなく目に入った単語を追っているといった感じでしょうか。
こうした細切れの単語や短文での理解も何もないよりはかなりの助けになっています。

しかしそれよりは映像、つまり役者さんたちの表情や動きの方を重点的に見ています。
いいシーンであれば、字幕は無視して映像のみを追うことも多々あります。
日本語字幕の時のように映像を見るのと同時に字幕を理解することが難しいので、
字幕を読もうとするとどうしてもそちらに神経がいってしまいます。
すると肝心のシーンを見逃してしまうので、そういう時は映像に集中します。

重要なセリフやその単語の意味がわからなければ先の理解が難しいといったところでなければ
DVDを止めて英語を読み直したり単語を調べるようなことはあまりありません。
それよりはストーリーの流れを重視しています。
2回目以降に見る時には止めながら意味を確認することもあります。

セリフを話す口調から登場人物たちが今どのような感情であるかはおおむね想像がつくと思います。
先に述べたとおり最近では英語を使っているシーンが結構多いので、これらも理解の助けになります。
字幕がない作品であればなおさら耳が頼りになります。

細部はあまり気にせず全部を理解しようとしない。
眺めるように映画を観ておおまかなストーリーの流れがつかめればとりあえずOKでしょう。

ミュージカルシーンだけ楽しむといったこともありだと思います。
要はその人なりの楽しみ方をすればいいのではないでしょうか。
もちろん言葉がわかればより楽しめることに間違いはありません。
しかし、
よくわからないと思いながら観ているうちにいつの間にか映画の世界に引き込まれ、
笑ったり泣いたり感動している自分に気づく・・・という瞬間、そんな作品との出会いが必ず訪れるはずです。

 クリケットの壁

cricket クリケットをご存知ですか?
名前は知っていても、ルールの詳細までご存知の人は
日本ではまだ少数ではないかと思いわれます。
野球に似ていて、発祥地のイギリス、オーストラリアなど旧大英帝国植民地だった国などで盛んです。

インドで最も人気のあるスポーツは間違いなくクリケットです。
よって、クリケットが映画に登場するシーンは結構あるのですが、普通はあまり詳細に描かれることはありません。

しかし、「ラガーン」という映画はまさに作品の中心がクリケットの試合のシーンで占められていました。
もちろんルールなどわからなくても楽しめる良い作品なのですが、
正直、スコアボードが映らないと勝っているか負けているかすらわからない。
1日で終わらず、何日かにかけて戦うということも知りませんでした。
ルールがわかっていたら、さらに1割増しで楽しめたような気がします。

この映画は2001年度、第74回アメリカアカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされたのですが、
4時間近くにもわたる上映時間の長さと、野球の国でクリケット ということがアメリカ人に受け入れられず、
受賞を逃したのではないかと密かに思っています。
なお、インドのアカデミー賞、フィルムフェア賞では最優秀作品賞を受賞しています。

lagaan日本語字幕つきで購入できます。