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マメジカとワニ:インドネシアの民話

ジャワマメジカの知恵

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▼▼▼ 2012/02/28更新 ▼▼▼

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インドネシアの民話「マメジカとワニ」

▲▲▲ 2012/02/28更新 ▲▲▲

 今年(1999年)7月に上野動物公園で「ジャワマメジカ」なる動物が公開された、というニュースを聞いた方も結構いらっしゃることと思います。
 このマネジカ(イ語:Kancil、英語:Mouse deer)が登場する民話を一編ご紹介しましょう。このマメジカは小さくて力は弱いけれど、頭の良いヤツとして登場します。知恵と機転を利かせて、ワニをやり込め・イッパイ食わせるという設定。


 ある暑い日の昼下がり、喉が渇いたマメジカが川の辺に水を飲もうとやってきました。その川は深く、そしてワニがいることをマメジカは知っていましたが、あまりの暑さにそのことを忘れていました。

 マメジカは前足を川の中に入れると、水を飲み始めました。すると、片方の足に痛みが走ります。それはワニが噛み付いている為でした。マメジカは痛みに堪え、鳴き声を上げるのを我慢しました。そして、近くにあった丁度自分の足と同じくらいの太さの小枝を見つけ、それを手繰り寄せると、こう叫びました。「ワニよ! 君は僕の足に噛み付いたと思っているようだけど、それは小枝だよ。僕の足はこっちさ!」

 マメジカは叫ぶと、小枝を動かしました。ワニは大慌てでマメジカの足を放すと、その小枝にガブリと噛み付きました。その間にマメジカは素早く水辺から離れ、ワニを馬鹿にして笑いました。ワニは悔しがりましたが、どうしようもありません。ワニは「次は絶対に逃がさないぞ」と呟くのでした。

 数日後、マメジカは喉の渇きを癒す為に再び同じ川の辺にやってきました。しかし、先日のこともあるのでマメジカは用心深くワニがいないか まわりをよく見回しました。でも、今日は物音もせず、水面に動くものもありません。

 突然、マメジカは大きな枝のようなもの~ワニに似ている~が川に浮いているのを見つけました。「さて、あれはワニか?ただの枝か?」マメジカは自問しました。そして大声でその枝に向かって話し掛けました。「君はワニなのか?それとも単なる枝か?」

 その枝は黙ったままです。動くこともしません。

 するとマメジカは枝まで聞こえるような大きな声で独り言を言いました。「さてさて、あれがワニならば、ずっと浮いていることだろう。逆に枝ならば、そろそろ沈んでしまうはずだ。」マメジカはじっと目を凝らして枝がどうなるか見つめました。すると、枝はゆっくりと沈み始めました。水面を波紋がゆっくりと伝わって行きます。マメジカは心から大笑いしました。「ワニよ! 君は全く愚かだ。枝が自ら沈むわけはないだろう!?」

 ワニはマメジカの言葉を聞くと恥じてその場から消え失せ、2度と姿を現しませんでした。

 こうして、マメジカは再び水にありつくことが出来ました。


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