2004年 
伊吹山花紀行


10月 October
2004年 10月10日(土)


伊吹・秋風のオフ会 : あるぼぼさん、パートナーさんKEKOさん、才谷屋



秋は黄金色に
秋の登山を楽しむ方々が、思いのほかたくさん通り過ぎて行った伊吹山3合目。
頬をなでる涼風が心地よいのです。

左の建物が
伊吹高原ホテル、食事・休憩・トイレ利用が出来ます。
右の建物が3合目
ゴンドラ駅です。



琵琶湖が朱に染まっています。
紅の御柱が、琵琶湖・長浜沖に立ったように見えます。

山頂から3合目に戻る頃、涼風は、厳しい冬の息吹へと変わっていました。




午前10時頃、3合目の様子

あるぼぼさん・パートナーさんとは終日同行、
KEKOさんは3合目だけご一緒しました。

画面中央
ゲンノショウコ・ヤマラッキョウと格闘するKEKOさん (*^_^*)。



3合目で見られる花たち
(☆:株がたくさんあって、興味の無いひとでも花が目に入る状態のもの)

アカツメグサ  アキノキリンソウ(☆花終期〜残り花)
アザミ(コイブキアザミ?・花終期)
イブキトリカブト(トリカブト/盛期過ぎ〜残り花)
イヌタデ(花盛期〜盛期過ぎ)  エゾフウロ(花の散歩道奥・盛期すぎ)
オトコエシ(残り花・一株)  キンミズヒキ
ゲンノショウコ赤花(☆盛期〜盛期過ぎ)  ゲンノショウコ白花(盛期過ぎ)
コシオガマ(盛期若干過ぎ)  シラヤマギク(残り花)
シロツメグサ  シロヨメナ(☆盛期過ぎ〜花終期)  センブリ(8分咲き)
タンポポ(西洋)  チカラシバ  ツユクサ  ツリガネニンジン(花終期)
ツルニンジン(種・成熟途中)  ツルリンドウ(赤い果実)
トリカブト(イブキトリカブト/盛期過ぎ〜残り花)  ナギナタコウジュ
ノコンギク(☆盛期過ぎ)
ハクサンフウロ(花の散歩道奥・盛期過ぎ〜花終期)
ヒメジオン  ミズヒキ(残り花)  ヤクシソウ(花終期)
ヤマハッカ(盛期過ぎ)  ヤマラッキョウ(☆3分咲き〜花終期)
ヤマラッキョウ白花(花の散歩道・下手入り口近く)
リュウノウギク(花盛期)  リンドウ(盛期過ぎ)



4〜5合目で見られる花たち

アカツメグサ  アキノキリンソウ
アザミ(コイブキアザミ?・花終期)
イブキトリカブト(トリカブト/残り花)  イヌタデ  エゾフウロ
クサフジ(残り花)  ゲンノショウコ赤花(☆花盛期〜盛期過ぎ)

ゲンノショウコ白花  シロツメグサ  シロヨメナ  チカラシバ
ツユクサ  トリカブト(イブキトリカブト/残り花)

ナギナタコウジュ(盛期過ぎ)  ノイバラ果実(赤)  ノコンギク
ハクサンフウロ(
20輪のミニ群生)  マユミ果実(赤・あまり見られない)
メナモミ(花は終わりきっている)  ヤクシソウ  ヤマハッカ(花終期)

ヤマラッキョウ  リュウノウギク(咲き始め〜花盛期)






秋の日差しの中で、ゲンノショウコの花。


コースタイム
(花を撮影しながらなので、すごく遅いです)

登山口ファミリーマート(あるぼぼさんグループと合流)8:10 →
(林道経由) →3合目8:25(
KEKOさんと合流)
→ (3合目中央散策/あるぼぼグループとはぐれる) → 登山再開(単独行)9:27
→ 4合目標識前9:37 → 5合目標識前(あるぼぼグループと再合流)9:50 →(休憩)→
スタート9:55 → 6合目標識前10:20 → 7合目標識前10:39 →(休憩)→
スタート10:52 → 8合目標識前11:10 →(休憩)→ スタート11:15
→ 9合目標識前11:32 → 山頂到着(〜恵比寿屋さんで食事・休憩)11:45
→ 山頂部散策開始(今回周遊はせず)12:30 → 9合目から下山開始12:57
→ 8合目標識前1:22 → 7合目標識前1:41 → 6合目標識前 → 5合目標識前2:10
→(休憩)→ スタート2:20 → 4合目標識前2:32 → 花の散歩道入る(上手から)2:37
→ 花の散歩道出口(下手)3:04 → 3合目駐車場着3:25



1〜2合目・のいる風景   No1



    ゲ ン ノ シ ョ ウ コ   ( 現の証拠 )

      花期 : 7月〜10月          場所 : 登山口(林道辺り)〜山頂
      草丈 : 30cm〜60cm
(花の直径1.5cm)


      花の少なくなった10月の野に、ゲンノショウコの花姿が点在していました。

      ゲンノショウコはお腹の薬(医薬品)として有名で、短時間煎じたものは下

      剤として、20〜30分程煎じたものは下痢止めとして使われます。煎じる時

      間を調節することで抽出成分を選び、正反対の薬効を引き出すのです。


      3合目のゲンノショウコは、式典で使われる絨毯のような「深い赤色」。小

      さい花ですが、強く印象に残るものです。山頂までの登山道全域で見られ

      ますが、3合目のものが一番色調が濃くて、山頂に近い所では若干薄くな

      ります。ただし「上になるほど薄くなる」というものでも無く、場所・場所によ

      り色調が変化します。


      花とともに種房も目立ち初め、花期はもう終盤。下段写真の右側はタネを

      飛ばす前のもの、左側はタネを飛ばした後のもの、投石器のような仕組み

      でタネを辺りに散らします。 ゲンノショウコは多年草なので、根は冬を越

      して来年も生命を見せ続けます。タネも発芽しやすく、育てやすい植物で

      す。タネを散らした後の姿が「お神輿の屋根」を連想させるため、ミコシグ

      サとの別名でも呼ばれます。


        ゲンノショウコは秋に花の盛りを迎えるもので、赤花は主に西日本(以西)で見られ、白
        花は主に東日本(以北)で見られます。伊吹山では赤花が優勢ではありますが、赤・白
        混合で咲く姿が見られます。お腹の調子を整える薬草(医薬品)として知られるゲンノシ
        ョウコですが、赤花と白花では効果に違いは無いと思われます。(イカリソウも、赤花・白
        花で効果に違いは無いと言われます)岐阜の野山を散策する事が多いのですが、岐阜
        中央部(郡上市)では白花ゲンノショウコが主流でした。

        フウロソウの中では(エゾ・ハクサンと比べれば)若干小ぶりの花ですが、優しく微笑み
        かけるように咲いていました。8月上旬は2合目には白花、3合目には赤花と色分けさ
        れていましたが、9月に入ったこの日は白赤交じり合って咲いていました。下痢・便秘と
        もに改善効果がある薬草で、相反する症状に作用するのが面白いところです。下痢の
        治療には20〜30分沸騰させて煮込んだ液を飲む使用方法で、便秘の改善には短時
        間でさっと煮込んだ液を飲みます。


面白いですね、ゲンノショウコの種飛ばし。
投石機みたい、タネを少しでも遠くに飛ばそうとしています。
左側がタネを飛ばした後、
右側がこれからタネを飛ばすものです。

左側のものが「おみこしの屋根」を連想させるので、
ゲンノショウコは「ミコシグサ」とも呼ばれます。










    エ ゾ フ ウ ロ   ( 蝦 夷 風 露 )

      花期 : 5月末〜10月               場所 : 2合目〜山頂
      草丈 : 25cm〜30cm(花の直径2cm)



      可憐な花姿、優しいピンクが枯れ始めた野を彩ります。長い花期で伊吹

      山のお花畑を下支えしています。同属のゲンノショウコ(フウロソウ属)はお

      天気屋サンが過ぎて、「雨天・曇天・午後4時以降」は花びらを閉じてし

      まって、どうもやる気が伝わりません。それに比べてエゾ・ハクサンの両

      フウロソウは、雨が降っても開花してくれるので感情移入しやすいので

      す。


      「スイスの山で見られる花」という本を見ていますが、その中にはアケボ

      ノフウロに似た、色の濃いフウロソウが写っていました。「世界はつなが

      っている」といえば使い古された陳腐な言葉ですが、一枚の写真に世界

      のつながりを感じました。伊吹山には織田信長の命令で作られた薬草

      園があったとの言い伝えがあります、南蛮人をメンバーにしたと言うこと

      から、ハーブ園とも呼べるものだったのでしょう。派遣された南蛮人は伊

      吹山に広がるフウロソウを見て、生命に対してどのような思いを抱いたの

      でしょうか。ヨーロッパに広がる山辺の花とほぼ同じ物が、世界の果て「

      日本」に咲くのを見てどう思ったのでしょうか、「キリスト教絶対主義、欧

      州絶対主義、すべての生命・創造物は自らの神が与えたもの」という意

      識が揺らいだ者もいたのではないでしょうか。その時代に生きて、そして

      死んでいった者たちの心を、遙か後生から愛おしく思うのです。


        「風と露」と書いてフウロソウと読ませる、命名者のセンスがきらり光っています。6
        月に入ると3合目に広がるエゾフウロ、人にも植物にも得意な時期(季節)が有る
        ようで、3合目では6月と9〜10月にはこのエゾフウロが目につき、盛夏にはハクサ
        ンフウロに勢いがあるのです。花は2cmでフウロソウ属としては大きいほう、ツボミ
        (花の付け根にも)や茎には毛があります。同時期に咲くハクサンフウロにはそれら
        の部分に毛がなく(またはほとんど無い)、つるっとした状態なので容易に区別でき
        ます。葉の形にも若干の違いがあります。薬草・ゲンノショウコ(下痢・便秘の症状
        の改善に用いる)の仲間で、含まれる成分も似通っています。薬草としての利用は
        無く「比較的簡単に育てられる山野草」として知られます。欧州〜西アジアが原産
        のゲラニュウム・サングィネウム(和名:アケボノフウロ)には多くの園芸品種もあり、
        世界中の人々に愛されています。


エゾフウロとも、そろそろお別れの季節です。

上段の写真で分かるように、エゾフウロの花の付け根には
うぶ毛が生えています。

ハクサンフウロには毛が無くて「つるり」とした印象を受けます。


(ゲンノショウコ、イブキフウロ、ヒメフウロ、グンナイフウロにも毛が確認出来ます。)










    セ  ン  ブ  リ    ( 千 振 り )

      花期 : 8月〜10月              場所 : 3合目
      草丈 : 15cm〜30cm(花の直径1.5cm)



      センブリの花が7分咲き、株数は結構多い印象でした。センブリに関して

      (他の山野草ももちろん)、株を切ったり抜いたりして持って帰ってしまう人が

      目立ちます、絶対にやめて欲しい事です。

      
      昨年11月初旬、伊吹山でセンブリが咲いているのは確認しましたが、花

      期の終わり近かった事もあり、花の印象など言える状態ではありません

      でした。そして今年、センブリの花の良い時期に訪れる事が出来ました。

      花びらは白、花の中心は黄色、シベの先は黒色、花びらのの裏側は薄

      紅、少ない色調ですが、清潔感が強調されて良い印象を与えるうまい色

      使いです。


      葉・茎・花を口にすれば飛び上がるほどの苦さ、その苦さが胃腸に働き掛

      ける事から薬草として「胃腸のくすり」として知られます。日本では室町時

      代以降親しまれる歴史の古い薬草で、インド・チベットでも使用例がありま

      すが、中国では殆ど使われません。日本でも当初は外用や、いわゆる害

      虫予防のために使われるのが主流だったようですが、何時の頃からか胃

      腸薬として内服されるようになり、その使い方が現代まで行き続けていま

      す。

      センブリは2年草で、2年目にようやく花を付けます。けれど開花したもの

      全草(根〜茎・葉〜花・蕾)を薬用に出来るため、盗掘・不正採掘の場合

      はタネが出来るまで野に残らず、日本のセンブリ(草丈20cm程)は減少

      の一途をたどっています。人気TV番組で罰ゲームとして「センブリ茶」を

      飲ませ若者に興味を持たせているのも心配の種です。


      2003年のテレビ放送で、センブリのアルコール浸出液を頭に塗ると「毛

      が生えてくる」という特集をしました。翌日から注文が引きを切らず、極

      端な品薄になってしまいました(才谷屋は薬草を扱う会社で勤務中♪)。

      業界のものから言わせると、新しい情報では無く、昔から言われている

      事で、センブリを配合した養毛剤は数多くあるのに、テレビで取り上げ

      られると、最新情報のように反響があるものなのだと驚きました。ちなみ

      にセンブリの標準・店頭販売価格は20gで¥1,300程、内服で使用すれ

      ば2ヶ月分位、それほど高い物ではありません。


        その昔、保健制度が整備されて無い頃、医者にかかる事が結構な出費を意味し、実
        際問題として庶民は医師の診断を受けられませんでした。医療は、幕末以前は漢方
        治療が中心、複数の薬草を組み合わせた漢方処方を治療薬として用いてました。漢
        方処方は中国の古典文章で定められていたもので、日本に自生しない薬草(生薬)
        も当然そこには含まれていましたから、それらは中国からの輸入に頼っていて、それ
        も薬の価格を上げる要因でした。戦国期には中国から、鉄砲や玉薬(火薬・硝石)に
        混じって薬草のセンキュウが輸入され、日本で高額取引されていました。そんなわけ
        で、庶民は身近に生えている植物で、病を治すしかなかったのです。代表的な物がド
        クダミ、ゲンノショウコ、そしてこのセンブリです。これらは漢方の本場中国ではほと
        んど省みられなかったものです。ただしこの3品は現在医薬品に指定されているもの
        で、効果は間違い無いと保証されています。

        民間薬草の飲み方としては3パターン、「粉末にしてのむ」「薬草を水で煮て、その汁
        をのむ(煎じる)」そして「湯呑みに入れた薬草に熱水を注ぎ、その水をのむ」という方
        法があります。最後に記した方法が「振り出し」と呼ばれるやり方で、このセンブリは
        「1,000回振り出しても苦さが残る」ほどと感じる印象から付けられた名称です。


感じの良い花、センブリ
花言葉「はつらつとした美しさ」です。



小さい花、気が付かずに通り過ぎてしまいそうです。










    ツ ル リ ン ド ウ   ( 蔓 竜 胆 )

      花期 : 8月〜9月                     場所 : 3合目
      草丈 : 30cm〜90cm(花の長さ2〜3cm)



      今までの伊吹山散策では花を見付ける事が出来ませんでしたが、今回

      3合目森林の最深部を歩いていると鮮やかな赤い彩り、ツルリンドウの
 
      果実でした。

      伊吹では弥高の山道脇、国見の山道脇でも多く見られるようです。花の

      様子はリンドウと酷似していますが、色あいは薄く、花は葉が出ている

      脇から下を向いて咲くのが違う点です。

      山地の木陰を好み、名前の通りツル性で右巻きに絡んで伸びます。











    ヤ ク シ ソ ウ   ( 薬 師 草 )

      花期 : 8月〜11月初旬             場所 : 3合目〜山頂
      草丈 : 20cm〜80cm(花の直径2cm)


      4合目標識少し手間では小さな群落で、毎年花姿を見せてくれるヤクシソ

      ウです。「やさしい」というよりも何か頼りない立ち姿、薬師の名を冠してい

      ますが、薬草としての利用は(現在は)ありません。ゲンノショウコと同様、

      早朝や曇天・雨天には花を開きません。


        「ヤクシソウ元気がないなあ〜、しなしなしている。むむ、面白いところから茎が出てい
        るなあ〜。」と葉っぱをひっくり返して見ていると、登山者は不審そうに後ろを通り過ぎ
        て行きます。ヤクシソウは自己を表現するのが苦手という感じの植物、咲き終わった
        花もうなだれるようにうつむいてしまいます。センブリと同じ2年草で、茎の先に7〜8
        個の花を付けます。ヤクシとはひとの健康をつかさどる神様「薬師如来」の事で、薬師
        は別名をイオウ(医王)と呼びます。 薬師如来の名を冠しているからには万病に効く
        薬になると思いきや、現在は薬草としての使用はされていません。う〜ん不思議、何故
        にこの名前になったのでしょう。 乾燥した頭花を胡麻油に浸け込み、この油を腫れ物
        に塗り込むと良いとされています。




 

(1)  (2)  (3)  (山頂  )  ⇒3合目奥に向かう

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