うどんこ病
うどんこ病 欧州系品種であるネオ・マスカット、ヒロ・ハンブルグ、ピオーネや欧州系と米国系の中間品種である巨峰は、一般的に うどんこ病に弱く、毎年かなりの発病が見られる。 果実が発病すると商品価値が下がるので被害は大きい。ハウス、ガラス室栽培のブドウでは主な病気のひとつにあげられている。 ・ 病徴と診断 葉、新梢、果実に発生する。葉や果実の表面に白い粉が盛り上がった丸い斑点が見えれば、この病気と見てよい。白い粉は病原菌のかび(分生胞子)で、かびが消えたあとは、葉では緑黄色になり、果実では腐りはしないが表面にジグザグの黒い線が残って、見た目に汚くなる。 ・ 発生条件 芽の鱗片で菌糸の形で越冬した病原菌は、春になって芽がふくらみ、新梢や果穂(かすい)に伝染し発病する。そこにまた、多量のかびができて、風で広がっていく。 ガラス室ブドウでは新梢に病斑ができ、菌糸または胞子が作られて、翌年の伝染源に成ることがある。 気温が10℃以上になると発生が見られるが15〜25℃で湿度が32〜83%の条件であると最もよく発生する。他の病気とちがって、湿度が低いほうが発生に適しているため、施設(ガラス室、ハウス)栽培で発生が多い。 そのため発生は、花が咲く直前の6月中旬ごろから見られ、果実が小指大になる7月上旬頃までが最も感染、発病しやすいので、この期間がやや高温乾燥であると、被害が大きくなる。8月は高温であるため発生が一時やみ、9月になって、気温が下がり始めると再び発生するようになる。 ・ 防除法 1. ブドウの発芽前に、露地栽培では4月上旬〜中旬に1回、石灰硫黄合剤7倍液を10a当たり150〜250l散布する。ガラス室ぶどうも同じでよいが、カイガラムシ類が少なくて、うどんこ病とハダニ類の防除が主体ならば、オマイト水和剤1,000倍液でよい。 2. 発芽後は開花10日前と開花直前に1回ずつと、以後露地栽培では落花後から7月中旬まで10日置きに3〜4回、ガラス栽培では落花後1〜2回、ボルドー液、トップジンM水和剤1,500倍液ベンレート水和剤2,000〜3,000倍液、または水和硫黄剤1,000倍液を散布する。散布量は10a当たり200〜400lぐらいである。ただし、ボルドー液は、ガラス室ブドウには使用しない。また、水和硫黄剤は、ガラス室ブドウのグロー・コールマンには薬害があるので避けるほか、気温が30℃以上の高温のときに散布すると、どの品種も薬害があるので注意が必要である。 ブドウで使用するボルドー液の濃度
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葉の病徴 初期(ネオ・マスカット) | ||||||||||||||||||||||||||||||||
葉の病徴(ネオ・マスカット) | ||||||||||||||||||||||||||||||||
果実の病徴(マスカット・オブ・アレキサンドリア |