Update 2015.06.11

ローレンツ変換・ローレンツ収縮・時間の遅れ
の簡単な導出(美しい式をめざす)

ローレンツ収縮 長さの収縮や時間の遅れをローレンツ変換を使わないで世界一簡単な方法で導く.動いている箱の中で光を往復させて、それを箱系と静止系で観測してみると?
ローレンツ変換 世界一簡単なローレンツ変換の導き方.光速度不変の原理と相対性原理を使えば驚くほど簡単に導出できる
ローレンツ収縮 理論どおりローレンツ変換からローレンツ収縮と時間の遅れの式を世界一簡単な方法で導く

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http://www.geocities.jp/hp_yamakatsu/index_relativity.html
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■ 特殊相対性理論とは
特殊相対性理論(special theory of relativity)は,
特殊相対性原理(special principle of relativity)と
光速度不変の原理(principle of invariance of light velocity)からなる.
(岩波「理化学辞典」「数学辞典」より)
 
◆ 特殊相対性原理とは
互いに等速運動する慣性系において,それらの間の座標変換で物理法則が形を変えないというのが,特殊相対性原理である.
 
◆ 光速度不変の原理とは
互いに等速運動するすべての慣性系の観測者(座標系)に対し,光速度はつねに一定の値をもつというのが,光速度不変の原理である.
 
 
■ 時間の遅れの簡単な実証例(ローレンツ変換を使わないで)
【ポイント】光速度不変の原理だけから驚異的な公式が導出できる.
S系の軸正方向に速度でS'系が等速運動している.S'系で鏡を使って光を軸にそって往復させる.
 
 
 
S'系では,次式が成り立つ.
    
    where ;S’系での往復時間
S系では,軸成分がとなり,次式が成り立つ.
    
    where ;S系での往復時間
    




    where  
 
■ ローレンツ収縮の簡単な実証例(ローレンツ変換を使わないで)
【ポイント】光速度不変の原理だけから驚異的な公式が導出できる.
S系の軸正方向に速度でS'系が等速運動している.S'系で鏡を使って光を軸にそって往復させる.S'系での片道距離をL’,S系で収縮したその距離をLとする.
 

S’系では,次式が成り立つ.
    
    where ;S’系での往復時間
S系では,発光源も鏡も移動しているので,次の式が成り立つ.
    
    
    
    where ;S系での往復時間
整理すると,
    
    
だから,
    
    
    where  
 
■ 時間の遅れとローレンツ収縮の判りやすい解釈
簡単な解釈というよりも正確な説明をする.

観測系(地球)をS系,ロケット系をS'系とする.地球に対して動かないものはすべてS系である.

固有時間はどの系でも厳密に同じであることに注意.S系とS'系に人間が住んでいて自分が自分を観測すれば厳密に同じように年をとるのである.

静止している慣性系(S系)が等速運動している慣性系(S'系)を観測するとき,これはお互いにだが,自分の時計と自分のモノサシでしか測ることができないし,さらには,収縮しているロケットを直接測ることはできない.

観測の方法は後で詳細に説明する.とりあえずは,長さの収縮と時計の遅れの数値だけ説明する.

S系から見ると,地球から銀河系の中心までの距離は,2万8千光年である.亜光速のロケットで行っても2万8千年も掛かる(銀河系systemは地球を含む銀河の意味であり観測系frameの意味ではない).

ロケットは亜光速で地球の側を通り,銀河系の中心に向かう.地球とロケットはお互いに観測できるので,ロケットが地球を通過した時刻を合わせることができる.

ロケットの速度は,ほぼ光速で,
     (9の数は8個)
とする.固有長,固有時間の比は,
    
となる.
 
S系(地球)での28 000年は,S'系(ロケット)では,
    
    
である.
 
S'系(ロケット)から見れば,銀河系がローレンツ収縮する.S系(地球または銀河系)での28 000光年は,S'系(ロケット)では,
    
である.観測の立場を入れ換えたので,プライム付を逆にした.
 
S'系(ロケット)の立場で,掛かる時間を算出すると,
    
となり,前の結果と一致する.
 
亜光速のロケットから見れば,の場合,地球から銀河系の中心までの距離は,2.8光年しかなく,時間は,2.8年しか掛からない.これを地球から見ていると,約2万8千年も掛かる.

ここまでの説明で,地球とロケットがお互いを観測できると誤解されやすいが正確には2者だけで観測ができるわけではない.時空図だけ見ているとそれができるような錯覚つまり神の視点になりやすいので注意する.

ロケットが編隊を組んでいるとしよう.S'系(ロケット)の距離で2.8光年おきに並んでいる.S'系(ロケット)の時間で2.8年おきに地球を通過し,また1基前のものが銀河系の中心に到達する.S系(地球)から見ると,0.00028光年おきに並び,銀河系の中心まで,1億基も並ぶ.そして0.00028年おきに地球を通過または銀河系の中心に到達するように見える.

1基目が地球を通過したときすべての時計を初期化しよう.S'系(ロケット)の時間で2基目が地球を通過するのが2.8年後である.S系(地球)の時間で2基目が地球を通過するのが0.00028年後である.2万8千年後に1基目が銀河系の中心に到達し,1億基目が地球を通過する.

ただし,同時に起こる事象を一人の観測者が同時に見ることはできない.S系(地球)では地球と銀河系の中心に観測者をおき,それぞれ目の前をロケットが通過した時刻を記録し,持ち寄ってみれば同時だったということが分かるということである.

S'系(ロケット)では,最初のロケットが銀河系の中心を目の前で観測した時刻と2基目のロケットが地球を目の前で観測した時刻が,持ち寄ってみれば同時だったということが分かるということである.

この説明を応用したものに「ガレージのパラドックス」がある.ガレージの固有長より車の固有長の方が長く,亜光速でガレージに入るとき,(ローレンツ収縮した結果の)車の動長はガレージの固有長より短いとしたとき,車がガレージに入ることができるのかというパラドックスである.

パラドックスを解消する説明は別記事にゆずるが,観測方法だけ説明する.理想的なスーパーカメラでもガレージに入り切る車を写真におさめることはできない.ガレージの入り口とそこから車の動長分だけの距離を離れたところに別々の観測者を置き,入り口の観測者は車の後端の通過時間をもう一人は車の先端の通過時間を自分の時計で計測し,後で時計を持ち寄ったら同時だったということである.

2人の観測者は自分の目の前に起きた事象の時間を自分の時計で計測しただけである.地球とロケットが1対1でお互いを観測するとまた違った事象が観測できるがそれは「双子のパラドックス」の記事を参照してほしい.

■ ローレンツ変換の簡単な導出
ローレンツ変換とは,「観察者に対して,動いているものの長さは縮んで(収縮して)見え,それの時計(時間)は遅れて見える」現象の関係を表す.
光速度不変の原理から慣性系の間の座標変換すなわちローレンツ変換を簡単に導くことができる.
 
◆ ガリレイ変換からローレンツ変換へ
互いに等速運動する2つの慣性系を考える.慣性系Sの軸正方向に速度で慣性系S'が等速運動している.でS系とS'系の座標軸と座標原点が一致するように座標系を選ぶ.にS系の座標原点(この瞬間はS'系の座標原点でもある)で光を放出する.
光速度不変の原理からS系でもS'系でも光は球面となって広がっていく.その球面方程式は,次のようになる.
    
    
古典的な座標変換つまりガリレイ変換は,次式である.
    
これを拡張して,相対論的な座標変換を次のように仮定する.
                                (1)
この逆変換を,相対論的に,プライムの付いたものと付かないものを置き換え,に置き換えたものにする.つまり,同じ形にするのである.
                               (2)
球面方程式の座標は,次のようになる.
                                    (3)
                                   (4)
(3)式,(4)式を(1)式,(2)式に代入する.
                                (5)
                                 (6)
(5)式,(6)式をで除してから,を消去すると,
     
これが,ローレンツ変換の係数である.
 
ローレンツ変換は次のようになる.
 
          
    where  
自然単位の式と同じ形にするため,を定義し,を1つの変数のように扱う.の次元は距離(長さ)である.
 
ローレンツ逆変換は次のようになる.
 
          
    where  
 
■ ベクトル成分のローレンツ変換式
前出式をすっきりした形にする.座標軸のベクトル成分を上付添字で表す.つまりテンソル表記にする.変換先の運動系の座標系をその上付添字にバーをつけて表す.
 
ローレンツ変換式は,
 
    
書き下すと,
    
    where  
 
ローレンツ逆変換式は,
 
    
書き下すと,
    
    where  
 
逆変換行列は,変換行列の逆行列である.
 
 
    
書き下すと,
    
 
■ 時間の遅れの簡単な導出(ローレンツ変換を使って)
 
S系の軸正方向に速度でS'系が等速運動している.S'系の原点がS系のを通過したときの時刻を観測する.ローレンツ変換から
    

where 
    
これから,運動する系の固有時間の進みがの割合だけ遅くなるように観測されるということが主張できる.
 
■ ローレンツ収縮の簡単な導出(ローレンツ変換を使って)
 
S系の軸正方向に速度でS'系が等速運動している.S’系で長さの棒をS系の時刻で観測する.ローレンツ変換から,
    
    where 
    
これから,運動する物体の固有長は運動方向にの割合だけ収縮するように観測されるということが主張できる.これをローレンツ収縮という.
 
(注記)ミンコフスキー時空図上でローレンツ変換を使って,時間の遅れとローレンツ収縮を導く方法は,シュッツ「相対論入門」1.14練習問題16にある.上と比較してほしい.
 
 
 
 
■ シュッツ「相対論入門」1.14練習問題 16
ローレンツ変換式を用いて,(a) 時間の遅れ,(b) ローレンツ収縮の公式を導け.まず,比較すべき事象のペアをみつけて,次にローレンツ変換を使って本文でのように不変双曲線を用いて問題を解け.
解) 図1.14を用いて,
(a)     ,where 
    
    
(b)     ,where 
    
    
 

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