「昔の女(ひと)に会った」は、スプーン曲げ、植地浩志(うえちひろし)のショートストーリーです。




■フィクションです■




あれっ!『佳代ちゃん』かい?・・・。わたしは、思わず、或(あ)る、コンビニのレジの前で立ち止どまった。彼女は、実は、わたしより先に、気付いていながら、意図的に知らないフリをしていたわけだ・・・。。

あいかわらずの『テレ屋さん』だなぁ・・・。わたしは、特に、そのコンビニ(コンビニエンス・ストア)で、買うものがなかったので、『セブンスターを・・・』と告げながら、彼女がタバコをレジを打つ際に、小声で彼女に、ささやいた。


「むかいのサテン(喫茶店のこと。)で、待ってるから・・・

『佳代ちゃん』とは、『佳代子』というのが正確な名前だ。名字なんて、まあ、関係ないから、いっつも、『佳代』とか、『佳代ちゃん』と、呼んでいた訳だ。

わたしと、『佳代子』の、はじめての出会いは、数年前に、さかのぼるだろう・・・。

あのころの『佳代子』は、まるで、"すてばち"な生き方をしていたし、やること、なすこと、なんでも、ほうりなげてしまうっていう、根気の無い、自堕落(じだらく)な生活を過ごしており、さらには、自宅には、めったに帰らずに、友人宅を、泊まりあるき、まるで、自分で、自分を破壊していくような暮らしをしていたものだ。


はじめての出会いは、『佳代子』が、ゾク(族:暴走族の意)の集会で、いきがった数名のレディースに、取り囲まれ、さらには、その背後に居る「品性下劣」な男たちに、まわし(輪姦)を、されそうになっていたときだ。

『佳代子』も結構、気が強いし、ちゃちなケンカでは、負けたことのないほどだ。しかし、その割には、あまりにも、顔が綺麗過ぎた(美し過ぎた)のだろう。

"アタマかずばかり揃えた"或(あ)るレディースに、計画的に、取り囲まれて、存分に、いたぶられたあとで(ダチ連合の強姦野郎グループ)マワシに、まわされる(輪姦される)窮地(きゅうち)に、陥(おちい)っていたのだ。

たまたま、わたしは、相対する族(ゾク)の頭(カシラ、アタマとも称する。)と、昔なじみだったために、「品性下劣な強姦野郎」たちに、『佳代子』をまわさないように指示したわけだ。

しかし、グループ内には、それぞれオキテってのが有って、なかなか・・・と、ウンとは言わなかった。

しかし、どうしようもない状況になると、異常に度胸が据(す)わり、目線の奥に凶暴な光が輝くというのが、わたしの特徴であることを知っていた、その族(ゾク)の頭(カシラ)は、言いづらそうに言った。


「ちょっと、まずいんすよね。。『佳代』は、前から、狙われてたし、今夜は、ナシ付けるって、野郎たち(品性下劣な強姦野郎たちのことだ。)が、いうこと、聞くかなあ・・・。。

  わたしは、凶暴な光を持つ眼で、グループの頭(カシラ、アタマとも称する。)に、言いはなった。

「おい。頭(カシラ、アタマとも称する。)って、おだててりゃあ、いい気になりやがって、それが、わたしに対する言葉かっ!」

・・・・・!!

頭(カシラ、アタマとも称する。)は、その場でうなだれて、ひとことも発することができないようであった・・・。

わたしと、そのグループの族(ゾク)の頭(カシラ)との会話の断片を聞きつけた「品性下劣な強姦野郎たち」が、かけよってきて、自分たちの、族(ゾク)の頭(カシラ)に、くちぐちに言った。

頭(カシラ)、なんですかー?、、、、この野郎(わたしのこと)が、なんぞ、アヤ付けてきてまんのか?

・・・・・!!

族(ゾク)の頭(カシラ)は、その「品性下劣な強姦野郎たち」を、ひとりづつ、往復ビンタを加えたあとで、それぞれに、おもいっきりケリを入れた・・・・。

そしてカシラは、「品性下劣な異常性欲野郎や、とうていマブイとは言えないレディースメンバー」を一喝(いっかつ)した。

「ダボ(ばか)ゥ!!この、ヒトを誰やと思うてんねん。ジュク(東京都新宿区)で瞬時に”例の親方”のウデをへしおられた方やぞーっ!テメーラも同じになりたいんかいっ!?」

族(ゾク)の頭(カシラ)は、その「品性下劣な強姦野郎たち」を、ひとりづつ、往復ビンタを加えながら、それぞれに、おもいっきり、ケリを入れ続けたのだ・・・・。。。

わたしは、そんな光景を観ながら、静かに言った・・・。

「オイ!それくらいに、しときや・・・・。奴(やつ)ら、使いモンにならなくなったら、それぞれの彼女が泣くんじゃないのかい?」

そのグループの族(ゾク)の頭(カシラ)は、わたしに、いいわけめいて言った。

アニキ!「えろう、すいまへん。あとでキツく、しめときますさかい。こいつら、まるでオンナにもてませんねん。」

わたしは、さらに、冷静に言った。

「ふーん、そうなのかい。コイツら、けっこう、イケメンぞろいじゃんか?」

・・・・・

そのグループの族(ゾク)の頭(カシラ)は言った。

「駄目(だめ)ですねん。こいつら、言うだけで、オンナに声かけることもできせんし、メンは良くても、なにしろ『品(ひん)』ちゅーもんが、まるでありませんねん。かんにんしてくれやす。」

わたしは、レディースと、その「品性下劣な強姦野郎たち」の間に、はさまれたままの『佳代子』に言った。

「どーでもいーから、こっちに来い。」


しかし、気丈な『佳代子』は、勝負をつけようとして、相手のレディースをにらみつけたままーだった。

わたしは、意図的に、しびれをきらしたように、やや、声をあらげて言った。

「『佳代子』っ!!来いって言ったら、すぐに来いっ!なーにやってんだ。もう、相手にしてやらないぞ!」


『佳代子』は、しぶしぶ、取り巻かれていたレディースや、「品性下劣な強姦野郎たち」の間から、でてきて、わたしの傍(そば)に来た。

そのグループの族(ゾク)の頭(カシラ)は、付け加えるように言った。

・・・・・

「アニキ・・・・。。すんませんでした。いづれ始末は付けますけん。」

・・・・・

わたしは、冷静だった。

「無駄なことをするんじゃあない。」「テメーが、そのグループの族(ゾク)の頭(カシラ)」だろーが!」

・・・・・

「アニキっ。どないしたら、かんにんしてもらえまっしゃろか?何人か、シメシ付けますか?」

わたしは言った。「テメーのバカは、あいかわらずだな。今夜は日がよくねーよーだぜ。早く帰れ」


そのグループの族(ゾク)の頭(カシラ)に率いられていた数十台の四つっぱ(四輪車、自動車)や、数十台の集合マフラーまがいの排気管を装着したマシンが、つぎつぎに、エンジン始動を、開始しはじめた。


わたしは、「そのグループの族(ゾク)の頭(カシラ)」に、ねんのために、厳重に注意をした。

「だけどなぁ」・・・わたしは続けた・・・。。

「暴走なんかせずに、少数グループにわかれて、まっすぐ帰れ!事故るんじゃあ、ねえぞ!」

「それと『佳代』には、二度とちかづくんじゃあねえぞ!」

そのグループの族(ゾク)の頭(カシラ)は、わたしの言ったとおりに、グループのメンバーに指示を出した。

・・・・・

四輪のマシーンも、自動二輪も、アクセレーターを絞り、三々五々、帰途についた。

・・・・・

わたしは、ひとりごとのように言った・・・。

「奴(やつ)らの気持ちがわからないって、わけじゃあないが、集団で走ると危ないんだよな・・・・・。。。」

ポツンと、とりのこされていた『佳代子』は、しょざいなげに、つぶやいた・・・。

「いいのに、あたいなんて、どうなったって・・・・・」

わたしは、『佳代子』に言った。

「つまんないこと言ってないで、青山か、六本木でメシでも食べよう・・・。」

『佳代子』は嬉しさを隠しながら、わたしの、スカイラインGTに搭乗した。

その世は、赤坂プリンスで『佳代子』と、あつい夜を過ごした。

赤坂プリンスホテルの東の空が白んでくるまで、『佳代子』は、絶叫をあげ続けた・・・。

・・・・・

あれから、何年たったっけ・・・・。。

コンビニの仕事があがって向かいのサテン(喫茶店)に来た『佳代子』は、昔とかわらない美貌だ。

・・・・・

話は、わたしから切り出した。

『佳代』と、こんなところで会うなんて思わなかったさあ・・・・。

・・・・・

『わたしもよ!』・・・『佳代子』は言った。

・・・・・

ひさびさに会う『佳代子』と、昔の『佳代子』の違いは、しいて言えば、「『アタイ』が、『わたし』にかわったことくらいだろう・・・・・。

・・・・・

「どうしてんだい?」ー、わたしは、ざっくばらんに切り出した。

・・・・・

「ううんっ。。別に、かわんないけど、わたし、なんだか、とりのこされちゃったみたいで・・・・。。」

・・・・・

軽い気持ちで言ったはずなのに、『佳代子』の頬に、真珠のような涙が溢れるように流れるのは、彼女の、いまの境遇を、さっしてあまりあるものだ。

しかし、ヘンテコな同情や、はんぱな言葉は、あいてを傷付けるだけだ。

わたしは言った。

・・・・・

「そんなこたぁ、ないさ。みんな同じ、むなしい『こころ』を、隠して生きてるだけさ・・・・」

・・・・・

「いい?もう一度、あなたの、お部屋に行きたいの・・・・。。」

・・・・・

わたしは、サテン(喫茶店)の伝票(でんぴょう) を持つと、立ち上がり、『佳代子』に言った。

「あとで、来いよ」

・・・・・

「うんっ!!着替えてから行くから待っててっ!!」

時が過ぎても、かわらないっていう「ひとの気持ち」ってのもあるものさ・・・・。

サテン(喫茶店)を出ると、まだ陽(ひ)が高い・・・・。

・・・・・

セブンスターに、カルティエで火を点けると、わたしは、ポケットに手を入れて、歩き始めた・・・・。

高かった陽(ひ)が、かげりはじめる・・・・。



夕焼けの空は、何故か、わたしの「うつろ」な「こころ」を癒してくれるようだ・・・・。。






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■特記■

暴力・暴走・強姦・輪姦・暴言・「いじめ」等、厳禁です。(法律以前の話です。)




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