新聞掲載の「意見広告」の補足です。
「意見広告」紙面では、交付金削減の仕組みを分かりやすく説明しようと考え、その
様子を図式化してみましたが、まだ分かりにくいところが残っているかも知れません。
そこでこの補足を加えました。
国の予算からは「運営費交付金」が国立大学法人に支給され、授業料は各法人の自己収入です。この「交付金」を削減するため、政府は授業料の「標準額」を引き上げ、「標準額どおりに授業料を値上げしなさい。そうすれば収入が増えますよ。値上げしなくても、交付金を減らすことに変わりはありませんよ」と言っているのです。
国立大学法人法第3条では、「国は、この法律の運用に当たっては、国立大学及び大学共同利用機関における教育研究の特性に常に配慮しなくてはならない」とあります。また、国会の法案審議のさいの政府答弁や衆参両院の附帯決議にも、国立大学が国民に付託された教育と研究を行う機関であることが、十分配慮されなければならないことが確認されています。
国会での予算組み替えを
(本会は他団体とも協力して、「意見広告」をもとに国会要請活動を致します)
要請のための両院文教委員一覧
(PDF形式(130KB)。Adobe Readerが必要です。)
「意見広告の会」は、“国会での真剣で厳密な議論”を要請してゆきます。
本日3日、授業料値上げ反対の『意見広告』を出しました。私達は意見の言い放しに終わらせるつもりはありません。次は、私達の意見を、国権の最高機関である国会での予算審議に反映させてゆくつもりです。そもそも『意見広告』の紙面にあるとおり、2年前の通常国会で、法人化によって学生の負担増はさせないと、行政府を代表して文部科学大臣、同副大臣が答弁し、それを確認する附帯決議もあげられているのです。国会答弁、附帯決議、そして私達の『意見広告』などを踏まえて、来年度政府予算案が、真剣にまた厳密に議論されるよう、監視と要請を強めていきましょう。また、来年度政府予算案は、国民全体に数兆円の負担増を強いるものとなっています。大学関係者、学生の方々だけでなく、広く社会の諸階層と協力し合って、この政府予算案そのものの大幅な組み替えを求めていきましょう。
今年度内に政府予算案が成立しない時、授業料標準額値上げの文部科学省令改定を3月31日までに行うことは不可能になります。そうした事態になれば、学生と保護者への周知義務からみて来年度の授業料値上げを強行することは著しく困難になるでしょう。
折しも今日は節分。明日から季節は春。社会の声が、国民の意思が、国会を動かす季節へと大きく転換させましょう。引き続き、『意見広告の会』からの要請にご協力のほどお願いいたします。
「意見広告」の呼びかけ (2005年1月22日発信)
みなさま。
私たちはいま、みなさまに以下のような「意見広告」掲載へのご賛同を呼びかけます。
私たちは
文科省の主導による
国立大学の授業料の値上げに反対します。
「呼びかけ」 (これは広告内容そのものではありません)
既に閣議決定された来年度予算政府案で、国立大学の年間授業料標準額が現行の52万
800円から53万5800円に、1万5000円引き上げられようとしています。政
府は、この引き上げられた額で予算計算を行い、そのため国立大学に配分される交付金
は、この値上げ分に従って減額されてしまいます。このため、各国の中でも異例に高い
我が国の国立大学の授業料が、このデフレ時代において、更に値上げされようとしてい
るのです。これは「教育の機会均等」をうたった「教育基本法」の精神に反し、多くの
若者たちの未来に暗い影を投げかけるものにほかなりません。また、既にOECD諸国
中最低水準である日本の高等教育・研究費政府支出の一層の削減は、我が国の文化と科
学に重大な悪影響を及ぼします。更にこのような削減が繰り返されるならば、財政基盤
の弱い地方の国立大学は、やがて統廃合の危機に直面せざるをえません。私たちの住む
地域から、県名や都市名を大学名として持ったなじみの深い大学が永遠に消え去ってし
まうかも知れないのです。
私たちはこのような内容を持った来年度政府予算案に強く反対し、その組み替えを要求
します。
「国立大学法人法案に反対する意見広告の会」は、2003年の法人法案審議の際に、
法案が成立すれば国立大学の学生納付金が大幅に上昇してしまうと危惧の念を表明して
きました。国会はそれに対して、下に示すような付帯決議を行っています。
その約束が破られようとしています。
本年は「国立大学法人化」の初年度です。今ここで、「授業料のアップ+交付金のダウ
ン」というシステムの存在を認めてしまったら、今日以降、この無責任なシステムは持
続的に機能してゆきます。それは我が国の高等教育と研究の崩壊をもたらします。
しかしながら、私たちの適切な意見表明は、国会・文科省・財務省・政府を厳しくチェ
ックします。彼らは必ず「批判」を意識しています。
今回の授業料の値上げは、平成17年度予算審議によって決定します。予算案が変われ
ば、授業料の値上げはストップします。崩壊を食い止めましょう。
全国のみなさま。
私たちの意見広告は、みなさまの浄財のご提供(賛同金)によってはじめて成り立ちま
す。
以上のような立場の私たちの「意見広告」へ、ご賛同・ご支援を、改めてお願い申し上
げます。
「国立大学法人法・意見広告の会」(仮称)
<参議院付帯決議抜粋>
学生納付金については、経済状況によって学生の進学機会を奪うこととならないよう、
将来にわたって適正な金額、水準を維持すること。
国は、高等教育の果たす役割の重要性にかんがみ、国公私立全体を通じた高等教育に対
する財政支出の充実に努めること。
高等教育及び学術研究の水準の向上と自立的な発展を図る立場から、地方の大学の整備
・充実に努めること。
<以上呼びかけ人>
(北海道大学)中村郁 渡邉信久 (弘前大学)佐藤公彦 奈蔵正之 (福島大学)西
内裕一 (新潟大学)世取山洋介 (富山大)浜本伸治 (金沢大学)西田美昭 鈴木
恒雄 (群馬大学)近藤義臣 (筑波大学)鬼界彰夫 (千葉大学)栗田禎子 小沢弘
明 三宅晶子 (東京外国語大学)岩崎稔 (東京学芸大)藤本光一郎 (一橋大学
)鵜飼哲 (自由の森学園)増島高敬 (東京大学)浦辺徹郎 川本隆史 神野志隆光
小森陽一 佐藤比呂志 醍醐聰 田端博邦 野村剛史 蜂巣泉 横山伊徳 (名古屋
大学)池内了 小林邦彦 高倍鉄子 植田健男 (三重大学)山中章 (京都大学)駒
込武 間宮陽介(島根大学)廣嶋清志 (山口大学)牧野哲 (松山大学)大内裕和
(愛媛大学)赤間道夫 (佐賀大学)豊島耕一 (大分大学)中野昌宏 (宮崎大学)
橋本修輔 (鹿児島大学)水上惟文 (琉球大学)永井實 (一般)湯淺精二
*呼びかけ人より
いま日本では、「小さな政府」と「大きな国家」の動きが怒濤のような勢いで進んでい
ます。教育はこの2つの動きを映し出す鏡のようなもの、自由化と統制化の波に翻弄さ
れているといっても過言ではありません。
このようななかで、運営交付金の削減と国立大学法人の授業料値上げが有無をいわさ
ぬ形で押しつけられています。多くの大学はいち早く反対を表明しましたが、自業自得、
収入の大幅減になってもいいのかというのが文科省の言い分です。
いま、日本の大学授業料は世界でも最も高い水準にあります。すなわち公的支出(の
対GDP比)は他国に比べると圧倒的に低く、家計の負担は圧倒的に高いというのが現状
です。授業料の引き上げを許せば、その影響は私立大学にも及ぶでしょう。「小さな政
府」がさらに進められれば、授業料の引き上げは繰り返され、大学は教育・研究の場で
あるよりは、自転車操業を行う経営体に転落してしまうでしょう。「大きな国家」のた
めにはそれでもかまわないというのなら、日本の将来はすでに見えています。わたした
ちは、「米百俵」の事例を逆手にとって、これに反対します。
(京都大学 間宮陽介)
皆様もご存じの通り、来年度から国立大学の標準授業料を値上げする予算案が国会に
上程され(ようとし)ています。私は、この値上げが文部省による国立大学統制の露骨
な手段であり、今後いっそう締め付けが強まる前触れであると考え、断固反対の態度を
表明したいと考えています。
その理由の第一は、国立大学の授業料収入を前倒しにして運営費交付金を削減してい
ることで、これでは実質的に授業料値上げを各国立大学に強要していることに他ありま
せん。これを認めれば、今後も効率化係数に上乗せした予算の削減を許容してゆくこと
になるでしょう。
理由の第二は、授業料の値上げは国民の高等教育を受ける権利を狭めていくことに他
ならず、それは国家として確実に文化の力が衰えさせていくことにつながるためです。
なぜ、公共財としての大学が存立しているのかを考えるならば、国立・私立を問わず国
家からの補助を大幅に増やすことこそが求められている政策であるはずです。日本の高
等教育における予算のGNP比率が欧米の約半分であることを思えば、この要求は何ら
不当なものと言えないでしょう。
そして最後に、何も批判しないまま黙認していくことが罷り通っている現代において、
何事であれ違和感を持つ事柄に関して自分なりの意見を表明していくことの大事さを強
く感じています。果たして、授業料を値上げすることが国家にとって必要かつ緊急のこ
とであるでしょうか。そのことをしっかりと問いかけてゆくべきだと考えています。
(名古屋大学 池内了)
***
*以下具体的な「意見広告の方法」です。
意見広告の方法
国立大学の授業料(標準額)値上げに反対し、「授業料アップ」と「交付金ダウン」の
仕組みを読者に明らかにする。
新聞紙面半面で所期の目的を達成するため、賛同者氏名の掲載はせず、「意見」中心の
紙面とする。