国┃民┃保┃護┃法┃の┃中┃身┃知┃っ┃て┃る┃?┃
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◆今村 和宏◆

「国民保護法案」とは? 

4月14日から国会で議論している有事関連7法案の一つです。マスメディアはあまり取り上げないので、なじみがないかもしれません。それに、「国民保護」と聞くと、「なにか危ないことになった時に国民を保護する法律ならいいんじゃないの?」と思いませんか? 

でも、中身を見てみると……。

1、法案では、日本政府が「武力攻撃が予測されるに至った事態」と認められると判断すれば、「戦時」になります。でも判断のための情報がアメリカ産だとしたら、日本の主体性はどれだけ確保されるのでしょうか。

2、しかもこの法案は、「戦時」だけを考えているのではありません。その前に社会を作り変えるのも目的です。「平時」、つまりふだんから、役所やテレビ局、赤十字病院などは「戦時」のための計画を作り、「戦時」にむけて組織を整え、訓練をしなければなりません(*1)。住民参加の避難訓練も実施されます(*2)。自主防災組織や地域ボランティアが協力を要請される場面も考えられます。法案が通ったその日から、わたしたちの日常生活はがらっと変わるのです。

3、「戦時」に備える意味を国民に理解させる「啓発」、つまり教育をすることになっています(*3)。学校やマスメディアはすでに「国防意識」や「愛国心」を強調してこの流れを先取りしているかのようです。極端に走りがちな日本のマスメディアや世論の前で、ひとりひとりの考えが守りきれるでしょうか。

4、保護の対象としてまっ先に対応しなければいけないはずの高齢者や障害者、外国人のために、特別な手立ては考えられていません。

5、たてまえでは、「国民の協力は自発的な意志にゆだねられ強制はしない」となっていますが(*4)、協力しないと、土地や家屋が没収されたり、罰金を取られたり、懲役を課されたりします(*5)。これでも、「協力は自発的な意志にゆだねられ」ているのでしょうか。

6、この法案で国民保護の中心にあるのは「避難」です。でも、意見を求められた鳥取の自治体は、住民の全員避難は不可能と答えています。避難用の幹線道路を自衛隊が優先的に使うべきと総理大臣が判断したら、住民の避難はさらにむずかしくなります(*6)。そのへんは政府も織り込み済みなのか、「屋内に避難する」(*7)とも書いてあります。

7、海や空からどこかの国が大規模な上陸作戦を展開することが前もってわかっている場合には、民族移動のような避難が意味を持つのかもしれません。でも政府は国会の答弁で、日本の近くにそうした能力のある国はないと答えています。また、なぜか「防空ごう」が出てきません。きっと空襲を想定していないのでしょう。

8、原子力施設が攻撃された場合への対処方法には現実味がありません(*8)。各地に原子力発電所がある日本では、ひとたび戦争が起これば、壊滅的な被害が避けられません。法案で提案されているように、単に運転停止の措置を採ったからといって、何ら危険回避はできません。つまり、そんな事態に対処する有効な方法などないから書けない、というのが正直なところで、原子力施設への攻撃は事実上、想定外になっているのかもしれません。
 
9、もしかして、アメリカの戦争に物も人も協力できる国作りを目指しているのでは、と疑いたくなります。じっさい、次のような法案がいっしょに出ています。
  ・「米軍行動円滑化法案」
  ・首相の判断で港湾・空港・電波などを米軍や自衛隊が優先的に使うことが
   できる
  ・「交通・通信利用法案」
  ・有事の際に役務も弾丸も米軍に提供できるようにする「ACSA改正案」
   など

こんな法律が、今国会で十分な議論もなく決まりそうです。法案を読み込んでいない議員も少なくありません。ここはみんなで様々な疑問を国会やマスメディアにぶつけて、しっかり議論してもらいませんか。このまま進んで将来、徴兵制が導入されることはないのかどうかも、この際きっちり確認してもらいましょう。

意見をマスコミや自民党、民主党にも送りましょう。マスコミ:議員などの連絡先は以下にあります。
http://www.geocities.com/ceasefire_anet/action.htm
http://peacefamily.or.tv/rescue3/
かなめは民主党です。民主党本部 FAX:03ー3595ー9961
そして小泉首相へあなたの意見を送ってください。
http://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html

国民保護法案と関連法(案)は、それぞれ
http://www.itoh.org/kagurazaka/lib/hogo.htm
http://www.itoh.org/kagurazaka/lib.html
に載っています。

全部を読むのは大変ですが、目次から関連のあるところに飛んで、そこだけ検討
する。それぞれの関心分野による分業はいかがでしょう。不明な点がある場合は

個別に御相談ください。可能な限り神楽坂会議チームでお答えします。以下のホ
ームページに随時情報をアップします。どうぞ気軽にお立ち寄りください。
http://www.ribbon-project.jp/yuji/

自分達だけでなく子供たちや孫たちの将来がかかっています。やれるだけのこと
はやりましょう。この法案を止められるのはあなたです。

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*1:第34条(都道府県の計画)、第35条(市町村の計画)、第36条(指
   定公共機関及び指定地方公共機関の業務計画)。第41条(組織の整備)
*2:第42条(訓練)
*3:第43条(啓発)
*4:第4条(国民の協力等)
*5:第81条(物資の売り渡しの要請等)、第82条(土地等の使用)、第8
   4条(立入検査等)
*6:「特定公共施設利用法案」
*7:第52条(避難措置の指示)、第112条(市町村長の退避の指示等)
*8:第105条(武力攻撃原子力災害への対処)、第106条(原子炉等に係
   る武力攻撃災害の発生等の防止、第107条(放射性物質等による汚染の
   拡大の防止)、第108条(タイトルなし)
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参考:
◎アクション用サイト:「国民保護法案」を御存じですか?
http://www.ribbon-project.jp/yuji/
◎資料検索用サイト:神楽坂会議ホームページ
http://www.itoh.org/kagurazaka
(文献集)<http://www.itoh.org/kagurazaka/lib.html>
◎週間金曜日4月9日号「有事法制と憲法 国民保護という落とし穴 すべての
人々の日常を蝕む」 対談 松尾高志・明珍美紀
◎日本弁護士連合会
04-03-18, 「国民保護法案」についての意見書(要旨)
http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/iken/04/2004_18.html
全文は以下。
http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/iken/data/2004_18.pdf

 

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