PEACEFUL TOMORROWS
平和な明日のための9・11遺族の会・ピースフルトゥモロウズ 
2002年9月11日の声明

過去は予言的である。――戦争は平和な明日を造り出すには劣悪な鑿(ノミ)である。いつの日か、平和は単に我々がはるかかなたに望むだけのゴールではなく、平和は我々がゴールに到達するための手段であるということが分かるようになるであろう。我々は平和的手段で、平和という目標を追及していかなければならない。過去の戦争における無数の死者、無数の戦傷者たちの悲嘆の訴えを心で受けとめるようになるまでに、我々は一体どのくらい死の戦争ゲームを続けなければならないのか。
(マーチン・ルーサー キング牧師)

ピースフル トゥモロウズのメンバーにとって、2001年9月11日は身近な人々を失った、想像を絶するような悲しみの日です。私たちはそれぞれ世界貿易センターやペンタゴンで、またペンシルバニアのシャンクスヴィル付近の93便航空機墜落で家族たちを失いました。最愛の人達をこのような暴力の最たる行為で失うということは私たちを深く打ちのめしました。それは1年どころか生涯立ち直れない程の深いものです。

 しかし、このような辛い喪失の日、週、月を重ねる中で、私たちは、同時に、信じられないほどの贈り物を受け取ったのです。私たちはこの個人的、かつ国家的悲劇への対応として戦争や暴力に訴えることに公にはっきりと反対を表明した、その故に、友人を得たのです。私たちは、全米から、そして世界中から、新しい友人たちの愛と同情を頂きました。そして、9月11日の罪に対する答えは戦争ではない、という私たちの見解を同じく分かち合う人々が、アメリカに何千人と、世界中に何百万人といるということを知ることができたのです。

 私たちの家族が受けた溢れるほどの支援、同情、惜しみない援助は、あの日私たちの心に空いた穴を満たすべく、長い道のりを私達に連れ添ってくれています。 私達の今日あるのは貴方がたの応援のおかげです。

  私たちは、また、テロや戦争による罪のない犠牲者たち、国境を越えてはるか遠くにいる犠牲者たちとも近しい仲間同志であるということを認識するに至りました。私たちに同情の手を差し伸べて下さった方々の中には世界各地の戦争や暴力で愛する人を亡くした方が大勢おられることを知りました。ヒロシマ、ナガサキから来てくれた人達、イスラエル、パレスチナ、アフガニスタン、イラン、コロンビア、アイルランドなどの地域の人々、ほかにも恐るべき喪失の体験をした人々。彼等が私たちを世界規模の大きな家族の輪の中に入れてくれたのです。私たちは彼等の支援を宝物のように思います。

 私たちにとって、9月11日は巨大な壁が崩れ落ちてきた日です。アメリカは不死身であるという幻想を守るに足りる十分な高さのバリゲードも、大きな爆弾もなく、その幻想を長引かせるための高尚な知恵もないということに私たちは気が付きました。

 あの日以来、私たちにとってはっきりしてきたことは、アメリカは国際社会に十分に参加しなければならないことです。すなわち、国際条約を尊重し、国際刑事裁判所に参加すること、国連憲章に従い、国連の規約に言動一致で臨むこと、等です。

 アメリカは、みんなで分かち合うこの不可分の地球の一部なのだという深い認識を中心に据えて、ピースフル トゥモロウズは使命を果たしていくつもりです。アメリカはもはや、一方的な行動を選択すべきではありません。私たちは21世紀に――交易の障壁、サービス、アイデア、人材などの交流に対する障壁――あらゆる障壁は消滅しつつある時代に生きています。この事実をふまえて世界の平穏を保つための新しい方法を急いで見付ける必要があります。私たちは報復行為を乗り越えて行動しなければなりません。暴力を助長する行為に対する説明義務を求めなければなりません。私たちは不正な世界を克服し、公正な世界を創造していかなければなりません。私たち、そして私たちの子孫は1つにつながった世界の中で生きていくことになるでしょう。私たちはもはやこの世界の外側で生きていくことは出来ないのです。

 しかし、2001年9月11日から1年たった今、あのとき亡くなった私たちの愛する人達は彼等の名において為されてきたことをどのように感じているでしょうか。軍事行動に突き進んだことをどのように考えているでしょうか。私たち個人の自由、市民としての自由が縮小されていくのをどう思っているのでしょうか。そして私たちが選択した結果についてどのように考えているのでしょうか。

 40人以上のアメリカ兵がアフガニスタンへの従軍で命を落としました。しかし、他国による警察活動、諜報活動、または外交ルートでも、アルカイダの重要人物の逮捕にほとんど成功していません。

 アフガニスタンでは、何千人もの罪のない人々が爆撃にさらされ、何百万人もの生命が20年に及ぶ戦争の結果、貧困、飢餓の危険に晒され続けています。そしてその状態は、アメリカの最近の攻撃で悪化させられています。私たちピースフル・トゥモロウズのメンバーはアメリカによる空爆で愛する人々を失った罪のないアフガンの家族たちを訪ねました。 この家族たちのカブールの暫定政権は未だ不安定のままであり、アフガニスタンの女性の解放の状態は不確実です。2002年6月16日のニューヨークタイムズによると、FBIおよびCIAの職員はアフガニスタン空爆がアメリカをより安全にしなかったと認めました。実際、アルカイダの部隊を他国へ散らすことによって、テロへの攻撃の効果を悪化させているかも知れないとも述べています。9月11日の出来事と何の関係も証明されていない国であるイラクへの侵略が「テロに対抗する戦争」として予定されています。これはより多数のアメリカ兵とより大勢の一般市民が死ぬであろうことを意味しています。私たちの安全保障、経済、テロリズムの根本的原因の解明、他国との友好関係等を探ろうとしないままで。

 国内では、9月11日の悲劇への軍の反撃に寄せる国民の信頼が異常なまでに高まっています。我々の国家も9・11攻撃はどのようにして、なぜ起こったのか、将来起こりうる同じようなテロから我々を守るにはどうすべきか、より有効で、中立的な探索を始めるべきです。私たちの国内問題――失業、健康管理の不備、学校の貧窮、飢餓――これらは軍事予算が増え続けていくのに合わせて増え続けています。テロへの戦争は現実を置き去りにして進んでいます。戦争以外の選択を追及しないままで、軍事的答えのみを追及することは法外な浪費であり、限られた行動様式であることを悟るべき時だと思います。爆弾を落とすのを止めるとき、真実の行動が始まります。テロリズムはもっとも新しく、大きな問題として私たちの前に立ちはだかりました。それは同時に、私たちに身近な問題――原理主義、軍国主義、貧困、人種差別、無知、不平等、憎しみ、絶望、激怒――等に根ざした症状として表われています。これらに、私たちはまだ充分、目をむけていません。そして、私たちがそれらに目を向けるまでは、それらはまだ、変化を引き起こすために、ますます自暴自棄の攻撃をすることで、暴力やテロを使って、その存在を私達に知らせ続けるでしょう。私たちは空爆を止め、これらの困難な問題に立ち向かうべきときです。大勢の声を聞き始めるときです。戦争に変わる効果的な道を探求し始めるときです。

 今日、ピースフル・トゥモロウズのメンバーは私達に国が間違った方向に向きを変え始めているのではないかと懸念しています。しかし私たちは、精力的な対話や、疑問、批判を意欲的に行うことを通して正しい道を歩いて行きたいと思います。地球のどこに住んでいようと、いかなる家族も、私たちが9・11に経験したような苦しみや喪失感を体験すべきではありません。私たちは、アメリカは軍事力の強さだけでなく他の様々な強さ−法律的、道徳的、精神的、知的強さ−を持っています。私たちは、これらすべての強さが活用されなければならないと思います。私たちの国では、民主主義のもとで、軍服を着た人達だけでなく、すべての人が何らかの奉仕をしています。

 2002年9月11日に、私たちは国への愛を肯定する仲間を、1年前に亡くなった人達をあがめる仲間、世界各地の戦争で命を落とした人々を悲しむ仲間達を招きます。9月11日の記念式が、これ以上の暴力や戦争に仕するのではなく、平和や癒しに仕するよう願っています。そして私たちは、あなたがたが政府の危険な話を耳にされるときは、あなた自身の独自の能力と技量をもって聞かれますようお願い致しま
す。
 私たちの声をみんなで発することによってのみ、私たちは正義への道を見つけることができるでしょう。正義を通してのみ、私たちは平和を見つけることができるでしょう。私たち自身の平和、9月11日に愛する家族、友人、働き手を失って悲嘆の中に暮らしているアメリカ人たちの平和を。アメリカの爆撃や23年間の戦争で愛する人を失って嘆き悲しんでいるアフガニスタンの人々の平和を。

 そして、世界各地の同じような体験を持つ人々や家族達の平和を。私たちは彼等を私たちの兄弟、父母、子ども、孫として受け入れます。9月11日の80ヶ国、3000人の犠牲者たちは私達に教えてくれます。私たちは世界中皆つながっているということを。私たちの嘆きは彼等の嘆きです。私たちの世界は彼等の世界です。私たちの運命は彼等の運命なのです。

 

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