ペットボトル、ドライアイスを使ったラムネつくりにおける事故

★解説ドライアイスは固体の二酸化炭素であることは周知の通りであるが、これを水に溶かして炭酸水にしサイダーをつくる実験は歴史が古く、昭和30年代からの事故の記録が残っている。飲食物をつくる実験はとくに人気があり、時には流行を作ることがある。特に昭和56年に教育TVの「小六理科・炭酸水」で紹介された後全国各地で同様の事故が相次いだ。マスコミの影響力の大きさとその責任をあらためて痛感する事故である。
 近年、ガラス瓶がペットボトルに移行し危険な実験という認識が薄れており、大きな事故の原因となっている。
 また、家庭にある物で簡単にできるため、学校外での事故が多いのも特徴的である。現在、中学校では選択理科の教材などで利用されることがあるが、ガラス瓶やペットボトルを用いずに、フタが無く開放されたナイロン袋などに直接ドライアイスと水を入れるなどして爆発を未然に防ぐよう注意をしてほしい。

 

ドライアイス

S34.6.8

兵庫県 尼崎市

高校生ら3人の男子生徒が自宅の前でラムネビンにドライアイスをつめて遊んでいたところ、噴出した炭酸ガスの圧力で突然爆発。ガラスの破片で、1名は顔、手などに2ヶ月の重傷、他の2名は顔・手に2週間の軽傷を負った

 

ドライアイス

S35.7.2

兵庫県 神戸市

市立I中学校1年生男子生徒が自宅で、しょうゆのビンにドライアイスをつめて理科の実験中突然爆発。ガラスの破片が飛び散り、同生徒は左眼を失明、右ひざと右手に重傷を負い、また近くで見物していた母親も首にガラスの破片が刺さり重体。話によると、5日前の理科の授業で、水の入った茶碗にドライアイスを入れて砂糖を混ぜるとソーダ水ができると教えてもらっていたために家で実際にやってみようと思いついたらしい。担当の理科教諭は「ドライアイスが気体に変わるときにものすごく膨張することを教えていなかった」と教師としての責任を感じていた。

 

ドライアイス

S36.6.10

東京都 台東区

F中学3年生男子生徒が自宅で、ケチャップの空き瓶に金魚を一匹いれ、冷凍にしようとドライアイスのかけらを二ついれて硬くふたをして10分ほどたったところ「ドカーン」と大きな音をたてて爆発。同生徒はビンの破片で手や顔に全治1ヶ月のケガを負った。また見物していた同級生も手に十日間の傷を負った。同生徒は、固体が気化するときに体積が激しく膨張する性質を知らなかったということである。

 

ドライアイス

S37.7.25

兵庫県 神戸市

市立K中学校2年生男子生徒が自宅の裏庭で母親が買ってきたアイスクリームに入っていたドライアイスをインクビン(30cc)にいれて遊んでいたところ、突然爆発した。同生徒はビンの破片がのどに突き刺さり、近くの病院に運ばれたが出血多量で間もなく死亡した。母親が美容院に行き、一人で留守番をしていた時の出来事だった。同生徒は学校の成績も良く、特に理科が得意で実験好きな少年だったという。

 

ドライアイス

S37.10.3

大阪府 大阪市

市立N中学校の体育会開催中、2年生の男子生徒がグランドの片隅で売店のアイスクリームボックスからドライアイスを持ち出し、ラムネビンに押し込んで遊んでいるうちに爆発した。同生徒はガラスの破片が腕や顔に突き刺さり2週間のケガをしたほか、近くにいた3人の生徒も2〜3週間のケガをした。

 

ドライアイス

S38.8.26

兵庫県 宝塚市

市立N中学校3年生の女子生徒が自宅の炊事場で弟と、ラムネのビンにドライアイスと砂糖水をつめてラムネを作っていたところビンが爆発してこなごなになった。この事故でそばで見物をしていた隣人の8歳男児の右首と両腕に破片が突き刺さり、病院に運ばれたが頚動脈を切り出血多量で死亡した。また実験をしていた2名も両腕に破片が突き刺さり1週間のケガ。調べによると、同生徒は、成績も良く理科が得意で、1週間前に授業で理科の先生からサイダーの作り方を教わったので実験をしたらしい。ドライアイス20gと砂糖水をビンにいれさかさまにしたところビンの中のガラス玉が口に詰まったので弟がビンをゆすって割り箸で玉をつついたとたん爆発した。

 

ドライアイス

S56.10.13

東京都 新宿区

区立I小学校6年理科4時間目の授業中、理科室で34人の生徒が「水溶液の性質」の実験をしていた。指導要領ではラムネに二酸化炭素が入っていることを石灰水で確かめるところまでであったが、授業の終了間際に担当の女性教諭(29)がNHK「小六理科 炭酸水」という番組でやっていたのと同じ方法で、ラムネのビンに砂糖水とドライアイスをいれ、ビンをさかさまにしてビー玉で栓をするという要領で、児童に約5mm角のドライアイス1〜2個を配って実験をさせていたところ、そのうちの一本が爆発した。そばにいた5人の児童が顔や腕に2日〜1週間のケガをした。同様の事故が10/12に広島県広島市の小学校で1件、10/13に佐賀県三養基郡で1件起こっている。この二日間で計15名の先生・児童がケガをしたことになる。番組では使用するドライアイスの量やビンの取り扱いについて詳しい説明をしておらず、これが事故につながった可能性が強い。あらためてマスメディアの影響力を痛感する。

 

ドライアイス

S57.4.24

大阪府 大阪市

市立S中学一年生男子生徒が自宅近くの路上で、友人と以前TV番組で見たのと同じ方法で、ラムネビンに水と粉末ジュース、近くの燃料店で買ったドライアイス人差し指の先ほどの大きさに割っていれ、ビンをさかさまにしてビー玉でふたをして10分放置することでラムネ水をつくり2回成功して回しのみをした。3回目の実験で、出来上がったビンを取り上げた瞬間「ボン」という爆発音とともに半径2mの広さにビンが砕け散った。破片の一片がTシャツを突き抜けて腹部に刺さった。一度TVなどで公開されたものは、修正が全体に行き渡るのは難しいといえる。

ドライアイス

H11.8.30

 

奈良県 大和高田

小学校内にある学童保育所でペットボトルにドライアイスと水を入れソーダ水を作ろうとしていた小学三年生の女児がペットボトルを蓋をして数回振ったところ、「パーン」とボトルが破裂、破片が額に刺さり、大ケガをした。この実験は、小学館発行の「小学三年生」9月号に掲載されていた「ドライアイスソーダのつくり方を参考にしたらしい。本にはふたに小さい穴をあけるようにと注意が書かれていたがこの児童は穴をあけずに行っていたらしい。事故後、小学館では、水は容器の4分の1程度にすること、ドライアイスは一立方センチのものを一個だけ使うなどの注意を呼びかけた。

ドライアイス

H14.8.13

 

兵庫県 神戸市

神戸市西区の公園で地面に置いてあったペットボトルを持ち上げたところ突然破裂し小学二年の男児が右手にかすり傷、左目に重傷をおった。

 現場には、一本分のペットボトルが粉々になって落ちていた。男児らによると、「白い煙のようなものと水が飛び散った」という。

三日後、警察では、近くで同様の遊びをしていた中学生男児二人を補導し事情を聞いたところ、学校で友人に「大きな音がする」と聞き、初めて試してみたという。「破裂まで時間がかかるのでしばらく現場を離れた。音がして戻ると、子供が泣いていたので逃げた。」と話していた。

市消防局では、この事故を受けて同じ500mlのPETボトルに40〜50gのドライアイスと、300ml〜400mlの水をいれ、各々条件を変えて爆発実験を行った。実験の結果、破裂までの時間は、7秒〜44秒で、「パーン」という大音響とともに破片が四方に飛び散ったという。破片やキャップは最高で25m以上も飛んだといい、破裂の威力を物語っている。

もともと危険なことは興味をひきつける力をもっている。しかし、閉じた容器内の圧力が高まってくると爆発するということは、実験の基礎基本でもある。最近の子供達には結果を推測する力が欠けており、現代教育の盲点とも言えるのではないだろうか。


ドライアイス

H16.4.17

 

富山県

次に記す情報は、富山県の眼科医様からいただいたものです。患者の心情を伝える貴重な教材として、また潜在危険を予測した安全指導を教育に活かし、同じ事例がふたたび繰り返されることのないよう教訓とするために掲載させていただきました。なお、病院名等は個人情報保護のため割愛させていただきます。

  「17歳女性(当時高校2年生)が、飲み残しのジ ュー スが入った500ccペットボトルにドライアイス片を入れて振っていたところ、 ボトルが膨張してきたため、キャップを緩めた瞬間、キャップが顔面に飛んで来たそ うで す。その直後、右眼から出血し、気が遠くなってきたため救急車で当院救急外来 へ搬送されて来ました。右眼は角膜が破裂し、虹彩・水晶体が脱出し、持続性の出血 をき たしていました。緊急手術を行い、破裂した角膜を縫合しましたが、網膜の損傷 も激 しく、結局失明しました。入院中、自責と落ち込みが激しく自殺の心配もありま した が何とか気持ちを持ち直し、現在は義眼を装用し外傷部分を隠せるようになった ため、 表情も出て来た様です。私は、眼科医としてペットボトルの誤った使い方により 、こ の様な悲惨な事故に遭遇する恐れのあることを啓発すべきと考え、近く研究会に この件を報告しようと思っています。」

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