星の宮幼稚園保護者殿

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インフルエンザQ&A

平成13年度版
(平成13年11月 改訂版)

国立感染症研究所感染症情報センター
厚生労働省健康局結核感染症課
日本医師会感染症危機管理対策室

[簡単に理解したい方のために]

Q .1: インフルエンザと普通のかぜはどう違うのですか?
Q. 2: インフルエンザにはどんな種類がありますか?
Q. 3: インフルエンザにかかるとどんな症状が出るのですか?
Q. 4: インフルエンザにかかったらどうすればよいのですか?
Q. 5: インフルエンザにかからないためにはどうすればよいのですか?
Q. 6: インフルエンザの予防接種は効果がありますか?
Q. 7: インフルエンザの予防接種は何回受ければよいのでしょうか?
Q. 8: インフルエンザの予防接種が1回でもよいのはどのような場合でしょうか?
Q. 9: 乳幼児や高齢者はどんなことに気をつければよいのですか?
Q.10: インフルエンザの予防接種の費用はどうなるのですか?
Q.11: インフルエンザワクチンで著しい健康被害が発生した場合は、どのような対応がなされるのですか?
Q.12: 新型インフルエンザが現れるとどうなるのでしょうか?

[より詳しく知りたい方のために]

(インフルエンザ総論、ウイルス)
Q. 1: インフルエンザはかぜとどう違うのですか?
Q. 2: インフルエンザの流行の歴史について教えてください
Q. 3: インフルエンザウイルスについて教えてください。
Q. 4: インフルエンザウイルスのH、Nの番号は何を表しているのですか?
Q. 5: インフルエンザウイルスの変異について教えてください。
Q. 6: インフルエンザにかからないためにはどうすればいいですか?

(臨床症状一般・診断治療)
Q. 7: インフルエンザの症状と診断方法について教えてください。
Q. 8: 合併症について教えてください。
Q. 9: インフルエンザ脳炎・脳症と解熱剤について教えてください。
Q.10: インフルエンザにはどんな治療法がありますか?
Q.11: インフルエンザの治療薬や予防薬はありますか?

(予防接種)
Q.12: インフルエンザの予防接種はいつごろ受けると効果的でしょうか?
Q.13: インフルエンザの予防接種は効果がありますか?
Q.14: インフルエンザの予防接種は何回受ければよいのでしょうか?
Q.15: なぜインフルエンザの予防接種の回数が変更になったのでしょうか?
Q.16: インフルエンザの予防接種が1回でもよいのはどのような場合でしょうか?
Q.17: 昨年インフルエンザの予防接種を受けたのですが今年も受けた方がよいでしょうか?
Q.18: 特に予防接種を受けた方がよいのはどのような人でしょうか?
Q.19: インフルエンザの予防接種を受けることが好ましくないのはどんな場合ですか?
Q.20: 妊婦はインフルエンザの予防接種を受けることができるでしょうか?
Q.21: インフルエンザワクチンはどのようにつくられているのですか?
Q.22: 卵アレルギーのある人にインフルエンザの予防接種はできるでしょうか?
Q.23: インフルエンザの予防接種をしたときの副反応にはどんなものがありますか?
Q.24: インフルエンザの予防接種の費用はどうなるのですか?
Q.25: インフルエンザワクチンで健康被害が発生した場合は、どのような対応はなされるのですか?

(インフルエンザの流行)
Q.26: 今年流行するインフルエンザはどの株ですか?
Q.27: 今、私の住む地域ではやっているインフルエンザはどの株ですか?
Q.28: どのくらいの人がインフルエンザにかかっていますか?
Q.29: インフルエンザ流行のピークはいつですか?
Q.30: インフルエンザは外国でもはやっていますか?

(予防接種法改正関係)
Q.31: 今回の予防接種法の改正でインフルエンザの予防接種はどのようになるのですか。受けやすくなるのですか?
Q.32: 予防接種は誰でも受けられるのですか?
Q.33: もうすぐ65歳になるのですが、いつから予防接種を受けられるのでしょうか?
Q.34: 予防接種法に基づく接種対象になると、必ず予防接種は受けなければならないのですか?
Q.35: 予防接種を受けたいのですが、いくらかかるのでしょうか?
Q.36: 住民票と異なるところに長期滞在しているのですが、現在地で予防接種を受けることはできますか?
Q.37: 同居している痴呆の方にも予防接種を受けさせることはできますか?
Q.38: 私は50歳で、予防接種法の対象外なのですが、インフルエンザの予防接種を受けることができるのでしょうか?


お問い合わせ先
インフルエンザ相談ホットライン(平成13年11月12日〜平成14年3月29日)
(国立感染症研究所感染症情報センター)
 〒162-8640 東京都新宿区戸山1-23-1
 電話:03-5285-1231ファックス:03-5285-1233 電子メール:influenza@nih.go.jp
厚生労働省健康局結核感染症課
 〒100-8916 東京都千代田区霞ヶ関1-2-2
 電話:03-5253-1111(内線2388) ファックス:03-3581-6251
 ホームページURL:http://www.mhlw.go.jp
日本医師会感染症危機管理対策室
 〒113-8621 東京都文京区本駒込2-28-16
 電話:03-3946-2121(代表) 03-3942-6485(直通) ファックス:03-3946-2684
 ホームページURL:http://www.med.or.jp


[簡単に理解したい方のために]

Q .1:インフルエンザと普通のかぜはどう違うのですか?

 普通のかぜとインフルエンザを混同してはいませんか。普通のかぜの症状は、のどの痛み、鼻汁、くしゃみや咳などが中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはほとんどありません。
 一方、インフルエンザの場合は39℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が強く、あわせて普通のかぜと同様の、のどの痛み、鼻汁などの症状も見られます。更に、気管支炎、肺炎、小児では中耳炎、熱性けいれんなどを併発し、重症化することがあるのもインフルエンザの特徴です。また、インフルエンザは流行が始まると、短期間に乳幼児から高齢者まで膨大な数の人を巻き込むという点でも普通のかぜとは異なります。更に、冬季は他のシーズンに比べて死亡者が多いのですが、インフルエンザが流行すると、高齢者での死亡率がふだんより高くなるという点でも大きな違いが見られます。

図 インフルエンザによる死亡者数

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資料:厚生労働省「人口動態統計」

Q. 2:インフルエンザにはどんな種類がありますか?

 抗原性の違いから、インフルエンザウイルスはA型、B型、C型に分類されます。インフルエンザの発症が防げるかどうかは、それぞれの人のからだがそれぞれの型に対して、防御のための抗体を持っているかどうかが鍵を握ります。現在、ヒトの世界で広く流行しているのは、Aソ連型ウイルス、A香港型ウイルス、B型ウイルスの3種類です。

Q. 3:インフルエンザにかかるとどんな症状が出るのですか?

 典型的な症状として、突然の高熱、悪寒からの発症が典型的です。鼻汁、鼻づまり、くしゃみ、せき、のどの痛みなどといった普通のかぜでもみられる症状のほかに、関節痛、筋肉痛等も加わります。気管支炎や肺炎、小児では中耳炎、熱性けいれんなどを合併することもまれではありません。
 また、高齢者や呼吸器・心臓などに慢性の疾患を持つ人は、重症化することが多いので十分注意する必要があります。近年、小児ことに、幼児がインフルエンザにかかると、ごくまれに脳炎・脳症を併発して死亡するといった問題も指摘されています。

Q. 4:インフルエンザにかかったらどうすればよいのですか?

・ 単なるかぜだと軽く考えずに、早めに医療機関を受診して治療を受けましょう。
・ 安静にして、休養をとりましょう。特に睡眠を十分にとることが大切です。
・ 空気が乾燥するとインフルエンザにかかりやすくなりますので、部屋の湿度を保ちましょう。
・ 水分を十分に補給しましょう。お茶、ジュース、スープなど飲みたいもので結構です。

 なお、早めに治療することは、自分のからだを守るだけでなく、他の人にインフルエンザをうつさないという意味でも大変重要なことです。
 最近、インフルエンザウイルス治療薬として抗ウイルス薬が使用できるようになりました。また、インフルエンザにかかったことにより、他の細菌にも感染しやすくなりますが、このような細菌の混合感染による肺炎、気管支炎などの合併症に対する治療として抗生物質が使用されます。
 これらの薬の効果については、インフルエンザの症状が出はじめてからの時間や体の状態により異なりますので、使用する、しないは医師の判断となりますので十分に医師に相談することが重要です。なお、市販のかぜ薬は、発熱や鼻汁、鼻づまりなどの症状をやわらげることはできますが、インフルエンザウイルスや細菌に直接効くものではありません。

Q. 5:インフルエンザにかからないためにはどうすればよいのですか?

 予防の基本は、流行前に予防接種を受けることで、これは欧米では一般的な方法になりつつあります。また、罹患した場合に重症化する可能性の高い人には、重症化防止の方法としても有効です。インフルエンザは、インフルエンザにかかった患者の咳などで空気中に拡散されたウイルスを鼻腔や気管など気道に吸入することによって感染します。インフルエンザが流行してきたら、人込みは避けましょう。特に高齢者や慢性疾患を持っている人や、疲れたり睡眠不足の人は、人込みや繁華街への外出を控えましょう。罹患したとき重症化する可能性が高くなります。
 空気が乾燥すると、インフルエンザに罹患しやすくなります。外出時にはマスクを利用したり、室内では加湿器などを使って適度な湿度を保ちましょう。常日ごろからバランスよく栄養をとることも大切です。帰宅時のうがい、手洗いは、かぜの予防と併せておすすめします。

Q. 6:インフルエンザの予防接種は効果がありますか?

 予防接種を受けないでインフルエンザにかかった人の70%から80%の人は、インフルエンザの予防接種を受けていれば、インフルエンザにかからずにすむか、かかっても症状が軽くてすむという有効性が証明されています。特に高齢者の場合は、インフルエンザによる入院・死亡を減らすことが証明されています。
 WHOが推奨した株を基本にして我が国の流行状況などから予測して作られた我が国のインフルエンザワクチンは、この約10年間、予測と流行したウイルス株はほぼ一致しており、有効なワクチンが作られています。

Q. 7:インフルエンザの予防接種は何回受ければよいのでしょうか?

 現在、日本で行われているインフルエンザの予防接種に使用するインフルエンザHAワクチンについては、平成12年4月に中央薬事審議会において最近の研究成果を踏まえ、接種回数の見直しにつき審議が行われました。その結果に基づき、平成12年7月から薬事法上の用法・用量が以下のように変更されました。

 
およそ1〜4週間の間隔をおいて0.5mlずつ2回皮下に注射する。ただし、6歳から13歳未満のものには0.3ml、1歳から6歳未満のものには0.2ml、1歳未満のものには0.1mlずつ注射する。 0.5mlを皮下に、1回又はおよそ1〜4週間の間隔をおいて2回注射する。ただし、6歳から13歳未満のものには、0.3ml、1歳から6歳未満のものには0.2ml、1歳未満のものには0.1mlずつ2回注射する。

Q. 8:インフルエンザの予防接種が1回でもよいのはどのような場合でしょうか?

 65歳以上の高齢者に対しては1回の接種でも十分効果があるとする研究結果が得られており(次章Q.16を参照して下さい)、1回接種でよいと考えられます。
 13歳以上64歳以下の方でも、近年確実にインフルエンザに罹患していたり、昨年インフルエンザの予防接種を受けている方は、1回接種でも追加免疫による十分な効果が得られる方もあると考えられます。接種回数が1回か2回かの最終的判断は、接種する医師の判断によりますので、接種の際にはこれまでのインフルエンザにかかったことのあるなし、ワクチン接種のあるなしとその時期、そして現在の体調などを担当医師に十分伝え、相談して下さい。

Q. 9:乳幼児や高齢者はどんなことに気をつければよいのですか?

 乳幼児、ことに幼児でのインフルエンザの合併症で気を付けなければならないものとして、脳炎・脳症の問題が指摘されています。その徴候として水分をとったあとすぐに吐いてしまい元気がない、意識がはっきりせずうとうとしている、けいれんを起こすなどがあります。この様な症状がみられるときなどにはすぐに医療機関に相談して下さい。
 高齢者は流行前に予防接種を受けましょう。これはインフルエンザ予防の基本となります。また、インフルエンザが流行しているときは、人込みへの外出は避けましょう。特に、疲れている時や睡眠不足の時に無理に外出するのは避けましょう。
 また、同居している人、世話をしている人も予防接種を行うなどの対策をとって、ウイルスを持ち込まないようにすることをお勧めします。

Q.10:インフルエンザの予防接種の費用はどうなるのですか?

 65歳以上の方及び60歳以上65歳未満の方で心臓やじん臓、呼吸器等に重い病気のある方(60歳以上65歳未満の方で、対象となるかどうかわからない場合は、市町村にお尋ね下さい)は、予防接種法による接種対象となりますので、詳しくは予防接種法改正関係をご覧下さい。
 また、そのほかの方の接種は、従来どおり、ご本人と医療機関との契約と言うこととなりますので、費用も全額自己負担となります。

Q.11:インフルエンザワクチンで著しい健康被害が発生した場合は、どのような対応がなされるのですか?

 予防接種法による接種の場合、予防接種と健康被害に因果関係がある場合は、予防接種法による被害救済の対象となります。詳しくは予防接種法改正関係をご覧下さい。
 また、予防接種法によらない接種によって健康被害が生じた場合は、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法による被害救済の対象となります。健康被害の内容、程度等に応じて、薬事・食品衛生審議会(副作用被害判定部会)での審議を経た後、医療費、医療手当、障害年金、遺族年金、遺族一時金などが支給されます。詳細な内容は、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(TEL:03-3506-9411)にご照会ください。

Q.12:新型インフルエンザが現れるとどうなるのでしょうか?

 インフルエンザの流行の歴史をみると、かつてのスペインかぜ(A/H1N1(ソ連)亜型)が現れたときは、大規模な流行と甚大な数の死者を出しました。新型インフルエンザが流行した場合、アメリカでは8〜20万人の死者がでると予測されています。わが国では3〜4万人の死者が出ることが懸念されます。
 1997年、香港で新型インフルエンザ(A/H5N1型)ウイルスによる患者の発生が報告されました。入院加療を受けた18症例中6例が肺炎の合併などにより死亡しました。このウイルスはヒトからヒトに感染したものではなく、恐らく感染しているニワトリからヒトに感染したものと考えられます。香港政府は1997年12月末、140万羽のニワトリを殺処分しましたが、幸いにして1997年12月以降は新たな確認例は報告されていません。
 しかし、このままH5N1ウイルスがヒトの前から姿を消してしまうのか、あるいは再び勢いを盛り返して流行するかは予断を許さず、さらにまたどのようなメカニズムでトリのウイルスが直接ヒトへ感染を起こしたのか、解明が必要です。またこうした経路以外の感染の可能性なども十分に予想されます。なお、人への感染は確認されませんでしたが、平成13年5月にも香港でH5 N 1ウイルスが原因と考えるニワトリの大量死があり、44万羽のニワトリの殺処分が行われました。
 従って、今後も新型インフルエンザに対する監視を続け、その新しいワクチン・治療薬の開発・研究と対応の準備を進めていく必要があるのです。


[より詳しく知りたい方のために]

(インフルエンザ総論、ウイルス)

Q. 1: インフルエンザはかぜとどう違うのですか?

 普通のかぜとインフルエンザを混同してはいませんか。普通のかぜはライノウイルスやコロナウイルス等の感染によって起こります。症状としては、のどが痛む、鼻がむずむずする、水のような鼻汁が出る、くしゃみや咳が出るなどが中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはあまりありません。一方、インフルエンザの場合は39℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状が強く、あわせて普通のかぜと同様の、のどの痛み、鼻汁などの症状も見られます。更に、気管支炎、肺炎などを併発し、重症化することがあるのもインフルエンザの特徴です。また、インフルエンザは流行が始まると、短期間に乳幼児から高齢者まで膨大な数の人を巻き込むという点でも普通のかぜとは異なります。更に、冬季は他のシーズンに比べて死亡者が多いですが、インフルエンザが流行すると、65歳以上の高齢者での死亡率がふだんより高くなるという点でも大きな違いが見られます。

図 インフルエンザによる死亡者数

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資料:厚生省「人口動態統計」


 ちなみに、よく似た名前を持つインフルエンザ菌という細菌がありますが、これは以前インフルエンザの原因と間違われたためについた名称で、インフルエンザの原因ではなく、別の病気の原因となります。

Q. 2:インフルエンザの流行の歴史について教えてください。

 インフルエンザの流行は歴史的にも古くから記載されていますが、科学的に立証されているのは1900年ごろからで、数回の世界的大流行が知られています。中でも、1918年に始まった「スペインかぜ(A/H1N1(ソ連)亜型)」は被害の甚大さできわだっています。当時、インフルエンザによる死亡者数は全世界で2,000万人とも4,000万人ともいわれ、日本でも約40万人の犠牲者が出たと推定されています。その後、1957年にはA/H2N2(アジア)型が、1968年にはA/H3N2(香港)型が世界的な大流行を起こしています。次いで1977年にはA/H1N1(ソ連)型が加わり、現在はA型であるH1N1とH3N2、及びB型の3種類が世界中で共通した流行型になっています。

Q. 3:インフルエンザウイルスについて教えてください。

 インフルエンザウイルスは直径1万分の1ミリ(100nm)の大きさの多形性のウイルスです。
 ウイルスは細菌やカビなどの微生物と異なり、生きた細胞の中でのみ増えることができるため、インフルエンザウイルスは空気中や土壌中など細胞の外側では増えることができません。ヒトに感染した場合は、鼻腔や咽頭粘膜の表面の上皮細胞に結合・細胞侵入し、その中で増殖します。
 インフルエンザウイルス粒子表面には赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という糖蛋白があり、A型では、HAには15の亜型が、NAには9つの亜型があります。これらは様々な組み合わせをして、ヒト以外にもブタやトリなどその他の宿主に広く分布していますので、A型インフルエンザウイルスは人畜共通感染症としてとらえられています。そして最近では、渡り鳥がインフルエンザウイルスのいわゆる「運び屋」として注目を浴びています。A型は数年から数十年単位で流行が見られますが、突然別の亜型にとって代わることがあります。これを不連続抗原変異(antigenic shift)または大変異といいます。HAとNAは、同一の亜型内でわずかな抗原性をさらに変化させるため、A型インフルエンザウイルスは巧みにヒトの免疫機構から逃れ、流行し続けます。これを連続抗原変異(antigenic drift)または小変異といいます。連続抗原変異によるウイルスの抗原性の変化が強くなれば、A型インフルエンザ感染を以前に受け免疫がある人であっても、再び別のA型インフルエンザの感染を受けることになります。その抗原性に差があるほど、発症したときの症状も強くなります。
 なお1997年には、香港でトリ型のインフルエンザA/H5N1型が初めてヒトから分離され、新型インフルエンザウイルスの出現の可能性として世界中の注目を浴びましたが、幸いにも人から人への感染はなく、その後A/H5N1型ウイルスのヒトでの感染は見出されていません。しかしすでにA/H3N2(香港)型が30年、 A/H1N1(ソ連)型が20年連続している状況は、いつ新型に置き換わってもおかしくない状況で、警戒が必要です。
 また、B型はヒトに感染し、A型と同様に流行を起こします。C型もヒトに感染しますが、大きな流行は起こさないとされています。

Q. 4:インフルエンザウイルスのH、Nの番号は何を表しているのですか?

 A型やB型のインフルエンザウイルスの表面からは、H蛋白(赤血球凝集素)、N蛋白(ノイラミニダーゼ)という2種類の蛋白がウニの棘のように突き出ています。これら2つの蛋白はスパイク蛋白と呼ばれ、ウイルスの感染に重要な働きをしています。ヒトがあるインフルエンザウイルスに対して免疫を持っていても、異なるスパイク蛋白をもつウイルスに対してはその免疫が効かず感染してしまいます。A/H1N1(ソ連)型インフルエンザにかかったあとA/H3N2(香港)型にかかったり、A型インフルエンザにかかったあとB型にかかったりすることがあるのはこのためです。
 A型インフルエンザウイルスは、H・N蛋白とも複数の種類があり、その組合せで更に分類されます。例えば、香港型といわれるウイルスはH蛋白が3、N蛋白が2という番号の組合せでH3N2となりますし、ソ連型はH1N1です。H1、H2、H3はヒトの間で感染が起こり、流行株となりえます。B型インフルエンザウイルスではそれぞれ1種類で、H,Nの組合せによる分類は行われません。

Q. 5:インフルエンザウイルスの変異について教えてください。

 インフルエンザウイルスは、A・B・Cの3型に分けられていますが、このうち流行的な広がりを見せるのはA型とB型です。A型ウイルスの表面には赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という糖蛋白があり、HAには15のサブタイプが、NAには9つのサブタイプがあります。
 HAとNAは、同じサブタイプの中でもわずかな変化が常に見られます。A香港型のインフルエンザウイルス(HAとNAの特徴からこれをH3N2と表します)でも、その年によってシドニー型といわれるものであったり、パナマ型といわれたりするもので、これを連続抗原変異(antigenic drift)または小変異といいます。車のマイナーモデルチェンジのようなもので、目先が少々変わるので、感染を受けた場合、今までの免疫で防げる場合もあれば、防げない場合もあります。したがってヒトは毎年のようにA型インフルエンザの感染を受けることもあります。そしてその変化が大きいほど感染しやすく、発症した時の症状も強くなります。
 A型はマイナーチェンジを続けながら数年から数10年単位で流行が続きますが、突然大きくその姿を変えて別のサブタイプに取って代わることがあります。フルモデルチェンジで、新型インフルエンザウイルスの登場です。これを不連続抗原変異(antigenic shift)または大変異といいます。1918年に始まったスペイン型(H1N1)は39年間続き、1957年からはアジア型(H2N2)に代わり、流行は11年続きました。その後1968年には香港型(H3N2) が現われ、ついで1977年ソ連型(H1N1)が加わりました。現在はA型であるH3N2とH1N1、およびB型の3種のインフルエンザウイルスが世界中で共通した流行株となっていますが、これまでのインフルエンザの変化の歴史を見れば、いつ新型インフルエンザが登場してもおかしくない状況にあるといえます。新型インフルエンザが現れれば、これに免疫を持っているヒトはいないため、多くのヒトがインフルエンザにかかり、またその合併症による被害が甚大であろうことが予測され、世界的に対策が進められているところです。

Q. 6:インフルエンザにかからないためにはどうすればいいですか?

 予防の基本は、流行前に予防接種を受けることで、これは欧米では一般的な方法になりつつあります。また、罹患した場合に重症化する可能性の高い人には、重症化防止の方法としても有効です。インフルエンザは、インフルエンザにかかった患者の咳などで空気中に拡散されたウイルスを鼻腔や気管など気道に吸入することによって感染します。インフルエンザが流行してきたら、人混みは避けましょう。特に高齢者や慢性疾患を持っている人や、疲れたり睡眠不足の人は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。罹患したとき重症化する可能性が高くなります。
 空気が乾燥すると、インフルエンザに罹患しやすくなります。外出時にはマスクを利用したり、室内では加湿器などを使って適度な湿度を保ちましょう。常日ごろからバランスよく栄養をとることも大切です。外出時のマスクや帰宅時のうがい、手洗いは、かぜの予防と併せておすすめします。

(臨床症状一般・診断治療)

Q. 7:インフルエンザの症状と診断方法について教えてください。

 症状については、突然の39℃を超える発熱、上気道炎症状、全身倦怠感等の全身症状が出現することが特徴的です。流行期(我が国では例年11月〜3月)にこれらの症状のあった場合はインフルエンザの可能性が高いと考えられます。B型よりもA型のほうが症状は強い場合が多く、潜伏期は1日から5日(平均3日間)とされています。通常、症状は約1週間で軽快することがほとんどですが、肺炎などを合併する場合もあり、注意が必要です感染直後にインフルエンザウイルスを検出するための簡便検査キットがあり、診断できます。咽頭などからウイルスが分離されたり、血液検査で抗体価の上昇が認められれば診断が確定されます。

Q. 8:合併症について教えてください。

 抵抗力の弱い高齢者・乳幼児、気管支喘息等の呼吸器疾患、狭心症等の循環器疾患、糖尿病、腎不全、免疫不全症(免疫抑制剤による免疫低下も含む)などを患っている方では、インフルエンザにかかると合併症を併発する場合があります。高齢者では細菌の二次感染による肺炎、気管支炎、慢性気管支炎の増悪が起こりえます。また、乳幼児では中耳炎や熱性けいれんが起こりえます。その他の合併症としては、ウイルスそのものによる肺炎や気管支炎、心筋炎、アスピリンとの関連が指摘されているライ症候群などが挙げられます。合併症の状況によっては入院を要したり、死亡する例もあり注意を要します。時に大流行を起こしたり、合併症が重く出現することがある点で多くの犠牲者が出る場合があります。近年、我が国では、まれながら小児でのインフルエンザに関連したと考えられる脳炎・脳症の存在が明らかとなり、現在研究班が構成され病態の解明を進めています。

Q.9:インフルエンザ脳炎・脳症と解熱剤について教えてください。

 インフルエンザの経過中に、意味不明の言動、幻視、意識がはっきりしない、けいれん等の症状が現れることが稀にありますが、その場合、急性脳炎・脳症を起こしている可能性を考える必要があります。
 厚生労働省では、インフルエンザ脳炎・脳症が起こる仕組みや治療方法を研究するため専門家による研究班を組織し、平成11年からこの疾患に関する調査を進めてきました。これまでの調査では年間100-200例ほどの発症ですが、その1/3は死亡、約10%は日常生活に支障をきたす程度の後遺症が残る重症合併症です。発症者の多くは、1〜5歳の幼児です。
 その調査の過程で、ジクロフェナクナトリウムという成分を使った解熱剤(販売名「ボルタレン」などで知られているもので、内服剤と坐剤があります。)を投与された脳炎・脳症の患者さんが死亡した割合は、解熱剤を投与されなかった患者さんやジクロフェナクナトリウム以外の解熱剤を投与された患者さんが死亡した割合より多い傾向がみられたことが指摘されました。
 また、病理解剖をさせていただいたインフルエンザ脳炎・脳症を起こした患者さんの脳の所見からは、解熱剤の投与の有無にかかわらず、脳血管の細胞が著しく損傷していることがわかりました。ジクロフェナクナトリウムは一般に、血管の細胞の修復に働く体内の酵素を抑制する作用が他の解熱剤に比べて強いといわれており、インフルエンザ脳炎・脳症で本剤が使用された場合、その損傷の回復を遅らせる可能性も考えられます。
 厚生労働省は、これらの研究ではひとりひとりの患者さんについて解熱剤とインフルエンザ脳炎・脳症とのはっきりした因果関係を見つけだすことはできないものの、総合的に判断して、インフルエンザ脳炎・脳症の患者さんにはジクロフェナクナトリウムを投与しないように注意を喚起しました。

(参考リンク)
厚生労働省医薬品情報提供システム
医薬品・医療用具等安全性情報No.163「インフルエンザ脳炎・脳症患者に対するジクロフェナクナトリウム製剤の使用について」
 http://www.pharmasys.gr.jp/iyaku_anzen/PMDSI163d.html#16

Q.10:インフルエンザにはどんな治療法がありますか?

・ かぜだと考えずに、早めに医療機関を受診して治療を受けましょう。
・ 安静にして、休養をとりましょう。特に睡眠を十分にとることが大切です。
・ 空気が乾燥するとインフルエンザにかかりやすくなりますので、部屋の湿度を保ちましょう。
・ 水分を十分に補給しましょう。お茶、ジュース、スープなど飲みたいもので結構です。

 なお、早めに治療することは、自分のからだを守るだけでなく、他の人にインフルエンザをうつさないという意味でも大変重要なことです。
 1998年11月から抗インフルエンザウイルス治療薬が使用できるようになりました。また、インフルエンザにかかったことにより、他の細菌にも感染しやすくなりますが、このような細菌の混合感染による肺炎、気管支炎などの合併症に対する治療として抗生物質が使用されます。これらの薬の効果については、インフルエンザの症状が出はじめてからの時間や体の状態により異なりますので、使用する、しないは医師の判断となりますので十分に医師に相談することが重要です。なお、市販のかぜ薬は、発熱や鼻汁、鼻づまりなどの症状をやわらげることはできますが、インフルエンザウイルスや細菌に直接効くものではありません。

Q.11:インフルエンザの治療薬や予防薬はありますか?

 我が国では1970年代からパーキンソン病の治療薬として用いられてきた塩酸アマンタジンが、平成10年11月A型インフルエンザ用の抗ウイルス剤として認可されました(しかし、A型のみにしか効果はありません)。米国では重症化のおそれがあるとされるグループやワクチンの接種が出来ない者、医療従事者へのワクチン接種を補う予防薬としての位置付けが確立しています。
 しかし、我が国では抗ウイルス剤としての使用経験が少なく、また、アマンタジンを投与された患者の約30%でアマンタジン耐性のA型インフルエンザウイルスが出現するという報告もあることから安易な使用は慎むべきです。副作用としては、主として嘔気などの消化器症状やふらつき、不眠などの中枢神経症状が軽度ながら出現することがあると報告され、使用した場合の注意事項としては、車の運転を避けることなどが挙げられています。
 また、インフルエンザウイルスが細胞から細胞へ感染、伝播していくためにはウイルスの表面に存在するノイラミニダーゼの作用が不可欠ですが、この作用をブロックすることによってインフルエンザウイルスの増殖を阻害する抗インフルエンザウイルス剤ザナミビルが開発され、平成11年12月に認可されました。ノイラミニダーゼはA、B型に共通であることから、抗A、抗Bインフルエンザ作用があります。塩酸アマンタジンに加え、ザナミビル及びリン酸オセルタミビルについても、治療が保険適応となりました。しかし、これらは発症後40〜48時間以内に服用しないと効果がないとされいます。
 いずれにしても医師に十分相談のうえ、処方をうけて下さい。

(予防接種)

Q.12:インフルエンザの予防接種はいつごろ受けると効果的でしょうか?

 インフルエンザに対する予防接種は、効果が現れるまで約2週間程度かかり、効果は約5ヶ月持続することと、多少地域差はありますが、我が国のインフルエンザの流行は12月下旬から3月上旬が中心になりますので、12月中旬までに接種をすまされることをお勧めします。2回接種では、2回目は1回目から1〜4週間あけて接種しますので、1回目は早めに接種しましょう。

Q.13:インフルエンザの予防接種は効果がありますか?

 インフルエンザの予防接種で、インフルエンザによる重篤な合併症や死亡を予防し、健康被害を最小限にとどめることが期待されます。厚生科学研究費による研究「インフルエンザワクチンの効果に関する研究(主任研究者:神谷 齊(国立療養所三重病院))」の報告によると、65歳以上の高齢者について約45%の発病を阻止し、約80%の死亡を阻止する効果があったとしています。また副反応については高齢者であっても重篤なものはなかったとしています。インフルエンザに対する治療法も実用化されましたが、感染前にワクチンで予防することがインフルエンザに対抗する最も有効な手段です。特に65歳以上の方や基礎疾患を有する方(気管支喘息等の呼吸器疾患、慢性心不全、先天性心疾患等の循環器疾患、糖尿病、腎不全、免疫不全症(免疫抑制剤による免疫低下も含む)など)はインフルエンザが重症化しやすいので、かかりつけの医師とよく相談のうえ、接種を受けられることをお勧めします。なお、当然のことですが、インフルエンザの予防接種では他のかぜウイルスによる「かぜ」(かぜ症候群)を防止することはできません。

Q.14:インフルエンザの予防接種は何回受ければよいのでしょうか?

 現在、日本で行われているインフルエンザの予防接種に使用するインフルエンザHAワクチンについては、平成12年4月に中央薬事審議会において最近の研究成果を踏まえ、接種回数の見直しにつき審議が行われました。その結果に基づき、平成12年7月から薬事法上の用法・用量が以下のように変更されました。

 
およそ1〜4週間の間隔をおいて0.5mlずつ2回皮下に注射する。ただし、6歳から13 歳未満のものには0.3ml、1歳から6歳未満のものには0.2ml、1歳未満のものには0.1ml ずつ注射する。 0.5mlを皮下に、1回又はおよそ1〜4週間の間隔をおいて2回注射する。ただし、6歳から13歳未満のものには、0.3ml、1歳から6歳未満のものには0.2ml、1歳未満のものには0.1mlずつ2回注射する。

Q.15:なぜインフルエンザの予防接種の回数が変更になったのでしょうか?

 もともと欧米諸国では、新しい型のインフルエンザウイルスが出現しない限り、年少児を除いて、ほとんどの人がインフルエンザウイルスに対する基礎免疫を獲得しているので、1回の接種で追加免疫の効果があるとされています。これらを参考にし、我が国も、接種回数に関する見直しが行われました。
 今年65歳以上の高齢者に対しては、国内での次のような研究結果が報告されました。
 厚生科学研究費による研究「インフルエンザワクチンの効果に関する研究(主任研究者:神谷 齊(国立療養所三重病院))」において、高齢者(65歳以上)に対するインフルエンザワクチン1回接種法による有効性の評価を行った結果、接種を行った後の抗体価の上昇は良好でした。
 また、これらの高齢者に接種した際の重篤な全身反応はなく、局所反応も軽微でした。1回接種での発病阻止効果は45%前後、重症化は十分に阻止する事が可能で、死亡に対する予防効果は約80%でした。

Q.16:インフルエンザの予防接種が1回でもよいのはどのような場合でしょうか?

 65歳以上の高齢者に対しては1回の接種でも十分効果があるとする研究結果が得られており(Q.15を参照して下さい)、1回接種でよいと考えられます。
 13歳以上64歳以下の方でも、近年確実にインフルエンザに罹患していたり、昨年インフルエンザの予防接種を受けている方は、1回接種でも追加免疫の効果で十分な免疫が得られる方もあると考えられますが、この点に関しては国内での十分な調査研究はまだなされておりません。またインフルエンザウイルスの変異が大きくみられたような場合には、2回接種が必要となります。
 接種回数が1回か2回かの最終的判断は、接種する医師の決定によりますので、接種の際にはこれまでのインフルエンザにかかったことのあるなし、ワクチン接種のあるなしとその時期、そして現在の体調などを担当医師に十分お伝え相談して下さい。

Q.17:昨年インフルエンザの予防接種を受けたのですが今年も受けたた方がよいでしょうか?

 毎年接種することをお勧めします。と言うのも、インフルエンザウイルスは毎年変化しながら流行するため、今年流行が予測されるウイルスにあったワクチンを接種しておくことが有効です。
 ワクチンが十分な効果を持続する期間が約5か月と短期間であることを考慮すれば、毎年インフルエンザが流行する前に接種を受け、免疫を高めておくことが必要です。
 また、シーズンごとに流行する株が異なることが多いため、ワクチンも変わることが多いです。今シーズンは昨シーズンと比べて、B型が変わっています。

Q.18:特に予防接種を受けた方がよいのはどのような人でしょうか?

 第一に65歳以上の高齢者が挙げられます。また、乳幼児や基礎疾患を有する方(気管支喘息等の呼吸器疾患、慢性心不全、先天性心疾患等の循環器疾患、糖尿病、腎不全、免疫不全症(免疫抑制剤による免疫低下も含む)など)は、インフルエンザの重症化を防ぐためにワクチンによる予防が望ましいと考えられます。また、これらの方と接する機会が多い方も「インフルエンザを感染させない」との観点から予防しておく方が望ましいかと考えます。いずれの場合も、かかりつけの医師と相談のうえ、流行期に間に合うようワクチンを接種することをお勧めします。また、上記の方にインフルエンザをうつさないようにするため、同居やお世話をしている人にもワクチン接種をお勧めします。

Q.19:インフルエンザの予防接種を受けることが好ましくないのはどんな場合ですか?

 ワクチン接種には不適当と考えられる方は以下のように示されています。

<予防接種実施規則第6条による接種不適当者(抜粋)>

(1) 明らかな発熱*を呈している者
(2) 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
(3) 当該疾病に係る予防接種の接種液の成分によってアナフィラキシーショックを呈したことが明らかな者
(4) その他、予防接種を行うことが不適当な状態にある者
 *:通常は、37.5℃を超える場合をいいます。

このほかに生理機能の低下した高齢者、著しい栄養障害者も医師にご相談ください。

Q.20:妊婦はインフルエンザの予防接種を受けることができるでしょうか?

 インフルエンザワクチンは病原性をなくした不活化ワクチンであり、胎児に影響を与えるとは考えられていないので妊婦は接種不適当者には含まれません。しかし、妊婦又は妊娠している可能性の高い女性に対してインフルエンザワクチン接種をしたという国内での調査成績はまだ十分に集積されていないので、現段階では予防接種によって得る利益が不明の危険性を上回るという認識が得られた場合に接種を行う、ということが適切でしょう。米国の報告では、もし接種するなら妊娠のいかなる段階でもインフルエンザシーズンの前に行うのが望ましいとされています。今のところ妊婦に接種した場合に生ずる特別な副反応の報告はありません。

Q.21:インフルエンザワクチンはどのようにつくられているのですか?

 インフルエンザワクチンに含まれるウイルス株はインフルエンザの流行状況を考え毎年決定されます。日本で使用されているワクチンは、ワクチン製造用のインフルエンザウイルスを孵化鶏卵の尿膜腔内に接種して培養、増殖させ、漿尿液から遠心にて精製・濃縮したウイルスをエーテルで処理し、その副反応の原因と考えられる脂質成分の大部分を除去し、更にホルマリンで不活化(病原性をなくすこと)したHAワクチンです。
 ちなみに、インフルエンザワクチンは有精卵から作られるため、急な大量生産は出来ません。

Q.22:卵アレルギーのある人にインフルエンザの予防接種はできるでしょうか?

 できます。ただ、ワクチンの製造過程においてインフルエンザウイルスの増殖に孵化鶏卵を用いるためにわずかながら卵由来の成分が残存します。これによる卵アレルギーの副作用がごくまれに起こり得ます。近年は高純度に精製されているのでほとんど問題となりませんが重篤な卵アレルギーがある場合、例えば鶏卵を食べるとひどい蕁麻疹や発疹を生じたり口腔内がしびれる人に対しては、接種を避けるか、注意して接種する必要があります。

Q.23:インフルエンザの予防接種をしたときの副反応にはどんなものがありますか?

 一般的に副反応は軽微です。接種局所の反応が主であり、発赤、腫脹、疼痛をきたすことがありますが2〜3日で消失します。発熱、頭痛、悪寒、倦怠感などもまれに起こります。極めてまれですが、死亡例の届け出もあります。これまでの我が国での統計では、インフルエンザワクチンによる可能性があると認定された死亡事故は約2,500万接種あたり1件です。
 卵アレルギーの人には蕁麻疹、発疹、口腔のしびれ、アナフィラキシーショックなどが現れる可能性があります。また、ワクチンに安定剤として含まれていたゼラチンに対するアレルギー反応としてのアナフィラキシーが報告されていましたが、現在、ゼラチンを含まない製品へと改善が進んでいます。
 その他ギランバレー症候群、急性脳症、痙攣、紫斑などの報告がありますが、その関連については明らかな証拠は確認されていません。

Q.24:インフルエンザの予防接種の費用はどうなるのですか?

 65歳以上の方及び60歳以上65歳未満の方で心臓やじん臓、呼吸器等に重い病気のある方(60歳以上65歳未満の方で、対象となるかどうかわからない場合は、市町村にお尋ね下さい)は、予防接種法による接種対象となりますので、詳しくは予防接種法改正関係をご覧下さい。
 また、そのほかの方の接種は、従来どおり、ご本人と医療機関との契約と言うこととなりますので、費用も全額自己負担となります。

Q.25:インフルエンザワクチンで健康被害が発生した場合は、どのような対応はなされるのですか?

 予防接種法による接種の場合、予防接種と健康被害に因果関係がある場合は、予防接種法による被害救済の対象となります。詳しくは予防接種法改正関係をご覧下さい。
 また、予防接種法によらない接種によって健康被害が生じた場合は、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法による被害救済の対象となります。健康被害の内容、程度等に応じて、薬事・食品衛生審議会(副作用被害判定部会)での審議を経た後、医療費、医療手当、障害年金、遺族年金、遺族一時金などが支給されます。詳細な内容は、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(TEL:03-3506-9411)にご照会ください。

(インフルエンザの流行)

Q.26:今年流行するインフルエンザはどの株ですか?

 最近は、2種類のインフルエンザAとインフルエンザBの3種類の型のウイルスが検出されています。1999/2000シーズンの流行の中心となったウイルスはA/H3N2(香港)型とA/H1N1(ソ連)型が混合したものでしたが、A/H1N1(ソ連)型の方がより多く分離されています。A/H3N2(香港)型のサブタイプについてはこれまでと同様、シドニー型が中心でした。B型はごく少数の発生にとどまりました。
 2000/2001シーズンはB, A/H1N1 の混合流行で、A/H3N2 は小規模、Bがこれまでのワクチン株と異なる四川株が主流となりつつあります。
 以上から、今年のワクチンは、A/H3N2(香港)型のパナマ株(シドニー型に対応できる)、
A/H1N1(ソ連)型のニューカレドニア株、B型のヨハネスバーグ株(四川型に対応できる)を混合したものです。流行や検出の現状は、地域の感染症情報センター、保健所や国立感染症研究所のホームページで知ることができます。

○ 国立感染症研究所感染症情報センターホームページ:
 http://idsc.nih.go.jp/index-j.html

Q.27:今、私の住む地域ではやっているインフルエンザはどの株ですか?

 インフルエンザシーズンには、日本中からインフルエンザウイルスの情報が集められます。これらは患者の皆さんと全都道府県にあるインフルエンザ定点医療機関の協力によってウイルス検査のための検体が集められ、地方衛生研究所で検査されます。ピーク時には週1,000件以上検査され、その状況が逐次集められます。ウイルスの分離は時間がかかるので患者さんの発生数に遅れてそのデーターが集まってきますが、ウイルス検出の状況は地域の感染症情報センター、保健所や国立感染症研究所のホームページで知ることができます。

○国立感染症研究所感染症情報センターホームページ:
 http://idsc.nih.go.jp/index-j.html
参考:我が国のインフルエンザに関連する調査
1)感染症法に基づく定点医療機関からの報告数:小児科約3,000、内科約2,000、計5,000のインフルエンザ定点医療機関から週単位で保健所に報告されている。
2) 病原体定点からの流行株情報:定点医療機関の内約10%が病原体定点となり咽頭ぬぐい液などを採取し、地方衛生研究所で検査している。
3) インフルエンザ様患者発生数:保育所、幼稚園、小学校、中学校等におけるインフルエンザ様疾患が集団発生したことによる、休校数、学年・学級閉鎖施設数の状況を把握するために各施設から保健所に毎日報告される。この報告は各都道府県の感染症担当部局で週単位にまとめられ、全国の現状を知ることができる。

Q.28:どのくらいの人がインフルエンザにかかっていますか?

 インフルエンザは以前は届出伝染病でしたが、感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)の施行された平成11年4月から、インフルエンザを報告する定点医療機関を増やし、法に基づいた報告がされるようになりました。このほか、全国の保育所、幼稚園、小学校、中学校等における休校数、学年・学級閉鎖施設数の状況を把握するための「インフルエンザ様疾患発生報告」があります。この10年ほどを見ると、多い年では約128万人(1997/1998シーズン)が報告されており、また2000/2001シーズンでは約12万人が報告されています。
 流行や検出の現状は地域の感染症情報センター、保健所や国立感染症研究所のホームページで知ることができます。

○ 国立感染症研究所感染症情報センターホームページ:
 http://idsc.nih.go.jp/index-j.html

Q.29:インフルエンザ流行のピークはいつですか?

 近年の流行のピークは、1月から2月で、12月から増え始め、4月には終息することが多いようです。

Q.30:インフルエンザは外国でもはやっていますか?

 インフルエンザは世界中で流行していますが、温帯地方では冬に(南半球では7〜8月)、熱帯・亜熱帯地方では雨季を中心に流行が見られます。流行株は国によって若干の差はありますが、大きな差はありません。世界の流行状況は、WHOが発行しているホームページ:http://oms2.b3e.jussieu.fr/flunet/で知ることができます。

(予防接種法改正関係)

Q.31 今回の予防接種法の改正でインフルエンザの予防接種はどのようになるのですか。受けやすくなるのですか。

 これまで、インフルエンザの予防接種は、全額自己負担して受けることとなっていましたが、今回の予防接種法の改正により、インフルエンザが予防接種法の対象疾患となりました。これにより、(1)市町村長が予防接種機会を設けることとなったこと、(2)対象者には積極的に通知がなされること、(3)接種場所も通知されること、(4)接種にあたって、一部公費負担が導入されることにより、全体として費用負担が減じること。(一部負担額は市町村によって異なります。)という変化が生じます。

 また、予防接種により障害などの健康被害が生じた場合は、予防接種法に定められた医療費や各種手当などの給付を受けられるようになります。具体的には、健康被害の内容、程度に応じて、市町村長が設けた予防接種健康被害調査委員会、厚生労働省の疾病障害認定審査会(感染症・予防接種審査分科会)での審議を経たあと、医療費、医療手当、障害年金、遺族年金、遺族一時金などが支給されます。支給額は医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法に準じた額となり、ワクチン自体の副作用による健康被害のみならず、予防接種の体制や予防接種行為に存在した過誤を原因とする健康被害についても救済の対象とされるため、手厚い補償が行われます。
 詳しくは以下のアドレスの厚生労働省ホームページ政令掲載部分をご覧下さい。
 http://www.mhlw.go.jp/topics/bcg/tp1107-1b.html

Q.32 予防接種は誰でも受けられるのですか。

 今回予防接種法の対象となるのは65歳以上の方及び60歳以上65歳未満の方で心臓やじん臓、呼吸器等に重い病気のある方などです(60歳以上65歳未満の方で、対象となるかどうかわからない場合は、市町村にお尋ね下さい)。その他の方はこれまでどおり自らの意志に基づいて接種費用を自己で負担して受けることができます。

Q.33 もうすぐ65歳になるのですが、いつから予防接種を受けられるのでしょうか。

 65歳の誕生日から接種を受けることができます。

Q.34 予防接種法に基づく接種対象になると、必ず受けなければならないのですか。

 そんなことはありません。予防接種法によるインフルエンザの予防接種については、自らの意思で接種を受けるかどうかを判断していただきます。強制されることはありません。

Q.35 予防接種を受けたいのですが、いくらかかるのでしょうか。

 定期の予防接種の費用については、予防接種は疾病から被接種者自身を予防するという個人の受益の要素があることから、市町村の判断により経済的理由により負担できない方を除き、実費を徴収することができることとされています。
 具体的な額、実費を徴収されない方の詳細については、お住まいの市町村にお問い合わせください。

Q.36 住民票と異なるところに長期滞在しているのですが、現在地で予防接種を受けることはできますか。

 予防接種法による接種は、市町村が実施するため、住民票のある市町村が指定する医療機関などで受けていただくのが原則です。しかし、市町村によっては住民票と異なるところに滞在している方に便宜を図っていることもありますので、詳しくはお住まいの市町村にお問い合わせください。

Q.37 同居している痴呆の方にも予防接種を受けさせることはできますか。

 予防接種法に基づく予防接種は、ご本人が接種を希望する場合のみに行いますので、痴呆などによりご本人の意思が確認しにくい場合は、家族や、かかりつけ医の協力により特に慎重にご本人の接種意思の有無の確認を含め、接種適応を決定する必要があります。最終的に確認ができない場合には、予防接種法に基づく接種はできません。
 意思確認が全くできない場合は、予防接種法による接種は行えません。ただし、このような方の家族が強く接種を求められる場合、予防接種法によらない任意の予防接種として行うことを妨げるものではありません。
 また、上記理由や、身体的状況等から予防接種を行えなかった場合等においては、その後、インフルエンザにり患、あるいはり患したことによる重症化、死亡が発生しても、担当した医師にその責任を求めることができないことを周知することが大切です。

Q38 私は50歳で、予防接種法の対象外なのですが、インフルエンザの予防接種を受けることができるのでしょうか。

 予防接種法の対象外の方は、これまでどおり自らの意志に基づいて接種費用を自己で負担して受けることができます。
 また、ワクチンが原因で予防接種により障害などの健康被害が生じた場合は、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法による被害救済の対象となります。詳細な内容は、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(TEL:03-3506-9411)にご照会ください。


 

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