
門司港レトロはすっかり有名になりましたが、若松にもレトロな建物がいくつも
残っています。若松は門司港ほど観光地化されておらず、建物の古さが自然体で
佇んでいるのが魅力です。


福岡方面から若松へは、鹿児島本線で折尾まで上り、筑豊本線に乗換えとなります。
折尾駅は東筑軒のかしわめしで有名ですが、折尾では今でもホームに駅弁の売り子
さんが出てきて、在来線でも売りに来てくれます。もちろん売店でも購入できます。


若松の中心になるのは本町商店街でしょうか。むかしながらのアーケードが続きます。
本町では出雲そばの出雲屋のそばをいただいてきました。その本町商店街から海の方へ
向かうと、戸畑への渡船の乗り場があります。その付近にレトロな建物が数多く残っています。

本町から5分足らず歩くと、すぐに海が見えてきます。海を挟んで見る戸畑の町は
すぐそこです。戸畑の町の背後には帆柱山もくっきりと見えます。

若松のランドマークはやはり若戸大橋でしょう。赤いアーチが青い海にくっきりと
浮かび上がります。ふもとのレトロな建物とのコントラストも見事です。

若松駅から渡場を目指して歩くと、一番最初に見えるレトロビルは石炭会館です。
外観は塗り替えをされていてそれほど古さを感じませんが、中に入って見ると
そのレトロさに圧倒されます。

この周辺にはレトロな建築物が密集しています。どれも今でも使用されているのが
頼もしいところです。石炭会館は明治末期、他は大正時代から今日まで80年以上
現役を続けています。






レトロな建物を過ぎれば、ほどなく戸畑への渡場へ着きます。海側は船着場、道路側は
バスターミナルになっていて、この付近ではちょっとした交通の要所といえます。
渡船の待合所には独特のローカル色があり、昔ながらの雰囲気が残っています。


若松から戸畑までの渡船は北九州市営で、運賃は大人片道50円です。
地域住民の気軽な足として使われており、自転車などを持ち込む人も見かけます。
対岸の戸畑までの所要時間はわずか3分弱。景色を楽しむ間もなく
あっという間に戸畑へ接岸していまいます。

若戸渡船は朝6時から夜の10時半まで、平日は1日75便が海峡の間を行き来します。
洞海湾は波も穏やかで船はさほどの揺れもなく、夕方の渡船は仕事帰りの労働者や
学校帰りの高校生などを乗せて、西陽を横殴りに受けながらゆったりと進みます。

船の雰囲気を味わおうと最後まで船内に座っていると、余韻を味わう間もなく
またたく間にひとり残らず降りて行ってしまいました。地元の人々にとってこの
船の中の3分間は、日常のルーチンのひとかけらとして、たとえ海を渡るという
行為であっても、電車やバスでも乗るような気軽さで心をとどめることなく、街に
家路に急ぐのでしょう。日常での移動は陸の上でしか行わない私にとっては、
何と贅沢な移動の仕方でしょうか。
(2003年3月21日更新)