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私たちの青森を守ろう ~大間町~ |
佐藤美佳子
昆布の町・大間町
8月ともなれば、本州最北端の町・青森県下北半島の大間町でも強烈な日差しの晴天日が数日続きます。その日をねらって半島をとりまく各漁村は、昆布漁でにぎわいます。
早朝4時から多くの船が沖に出て漁をします。7時すぎ、昆布を山と積んだ船が帰ってきます。海岸には、わらや小石をびっちりしきつめ、そこで沖からあがった昆布を大急ぎで干します。昆布干しは一家総出の大仕事です。
乾いた昆布は根を切り形を揃えて押しをかけて出荷します。大間でとれる昆布は真昆布という種類で、肉厚でだしがよくでます。水揚げの四分の一をしめるこの昆布は、大間では大事な水産資源です。
しかし、ここ数年は森林の伐採が原因といわれる「磯焼け」という現象で生産量が落ちてきています。
大間町の原発計画
また、大間町では原子力発電所の建設計画が推し進められています。1983年、特殊法人・電源開発(現在、民間企業としてJ-POWERと名乗る)による新型転換炉(ATR)原発の立地予定地が大間町に決定されました。当初は、1988年に着工、1994年に運転を開始する予定でしたが、高額の建設費用に電力業界はこの計画に難色を示し、1995年、改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)原発に計画を変更しました。
この大間原発は完成すれば、出力が138万3000キロワットと、国内で最大級となり、全炉心でウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX)燃料を使うプルサーマル計画に沿った方式を軽水炉としては世界で初めて採用するというものです。
しかしこのプルサーマル計画は、昨年、東京電力による一連の「トラブル隠し」、つまりデータ改ざんが発覚したことで、導入先となる予定だった新潟県と福島県が受け入れについては白紙撤回し、現在、暗礁に乗りあげています。
海を守る女性
大間原発の計画が進められるなかで、港湾施設などの準備工事が行われています。工事絡みで動くお金や電源三法交付金を当て込んでいる業者・町・周辺市町村そして青森県も原発計画を推し進めています。
大間原発を計画する電源開発は、原発用地の約98%を買収しましたが、原子炉付近の用地買収にメドが立っていません。そこの土地を所有する漁業を営む女性が、「原発が動けば魚も売れなくなり漁業がダメになるのは目に見えている。子や孫のためにも原発をつくって欲しくはない」と土地売却に応じないからです。
昨年4月に電源開発は地権者であるこの女性に、1億円の“解決金”を打診していたと報道され、また10月には、土地買収に用意された7000万円を建設会社員らが短銃を使った自作自演の強盗劇で横領するという事件までもが起きました。
強盗劇事件後、電源開発はやむをえず炉心位置を変更。予定した位置から(地権者の土地から)200m移す、と新聞には書かれていました。しかし実際には50~60m程の移動に見えると地権者はわたしに言っています。表向き「移動」と公表しているのかもしれません。
この地権者にたいして、「炉心変更したんだから、あなたの土地に価値はない。もう土地を守る必要もないから売ってしまったら……」と原発推進側は説得に来ています。さらに、強盗劇を演じた被告の兄までが、「2億円でどうだ」と言ったそうです。
原発をめぐる金に群がる者たちは手を変え品を変え地権者に近づいてきています。
しかし、たび重なるいやがらせ・脅迫に屈服することなく、この女性は「金をいくら積まれても土地を売るつもりはない。海が汚れたら、大間は終わりだ」と大間の海を守り続けています。
核のない青森を
今年も昨年のように昆布がたくさん採れるとよいのですが、今年は不漁になる可能性があります。自然のものですから採れる年、採れない年があるのは当然のことですが、原発の工事が進むにつれ、採る場所も限られ、さらに昆布不漁となると漁師にとっては厳しい年になりそうです。
昨年は原発予定地の湾岸工事が進んでいる場所にもりっぱな昆布が繁っていたそうです。それを目の前にしても採ることができない。
「知り合いが、くやしいなぁ、くやしいなぁ、といっていたんだよ」という話をわたしは海を守る地権者から聞きました。
豊かな自然と原子力開発は共存できません。安全な食べ物は豊かな自然の中で育ちます。私たちは核のない青森を望んでいます。
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