トースタの歴史  top  家電機器の歴史の概要  トースタのデザイン  トースタの歴史年表

 トースト(Toaster)とはパンを約155℃に加熱すると褐色になりますが、これはメイラード反応で生じるメラノイジンと呼ばれる褐色の色素が生成されるためです。 メラノイジンは多様な高分子化合物からなる混合物でパンの味や食感、香りをよくしてくれます。 メイラード反応の例にはパン(トースト)やご飯の「おこげ」の他に コーヒー豆の焙煎、黒ビールやチョコレートの色素、肉や魚の「焦げ」、味噌の色素、三温糖の着色などがあります。
  パンを焼くことはかなり古い時代から行われていて、18世紀ごろには蝶番の付いたフォークでパンをはさみ炎にかざして焼く方法がありましたが、石炭ストーブが使用されるようになると針金で作った籠にパンを入れてストーブの上に乗せる方法が出現しました。

最初の電熱トースタ(Toaster)は(ニクロム線発明以前)
1893年に英国のクロンプトン社(Crompton & Company)から売り出されましたが、ヒータ線には鉄線を使用していましたので、鉄線の酸化が激しく、火花が出たりして長時間の使用には耐えられませんでしたが、電熱を利用してパンをトーストしたのです。このトースタは片面焼きで、人間が焼き加減を見ながら、ひっくり返す必要がありました。

1904年にシンプレックス・エレクトリック社(Simplex Electric Company)のカタログにはトースタが描かれていました。
それは平板上の多目的加熱器で、消費電力が異なり、大きさだけが異なる2つのトースタがあり、宣伝文句には「ケーキ作り用鉄板またはトースタ」と記載してあるようです。
この鉄板では一定の温度を保つことが困難で、ケーキ作りには向かなかったと思われますが、レストランやホテルでのトースタとして多く使用されたようです。

この当時の電気は電灯専用でしたので、一般家庭用には夕方から夜にかけて供給されるのみで、朝食時にはまだ電気が供給されていなかったことかことからトースタとして使用したいときには電気がきていませんでしたので、朝食用にトースタを使用できませんでした。
ところで、このトースターにはまだ1905年に発明されるニクロム線のヒータは使用出来ませんでしたので、鉄線に酸化防止の対策がとられて、十分に安定して使用できたようです。その対策の内容は明確ではありませんが、鉄線に酸化防止用としてエナメル処理が施されていたと推定されています。


1905年にはPacific Electric Heating Companyは[EI Tosto]の商品名で電気トースタの生産販売を開始しました。

1905年にアルバート・マーシュ(Albert Marsh)はニクロム(Nichrome)線を発明し、電熱の利用が容易になりトースタに使用されます。

1905年にはGE社とWH社は雲母板に電熱線(ニクロム線)を巻いたヒータの上に金網のトレイにパンを乗せて、焼き加減は手で調整するトースタストーブ(toaster stove)を発売しましましたが、一般家庭には電灯用の電力のみでしたので、主にレストランやホテルで使用されました。
1909年に GE社は家庭用のトースタの特許(950058)を申請し、モデルD-12(model D-12)をホットポイントの商品名(ブランド)で販売しました。このころから一般家庭に24時間電気が供給される地域が広がりはじめたことから、
これが商業的に成功した最初のトースタになりました。(GE社は1908年頃からトースタを販売していましたが、1909年に保険会社のテストでGE社やWH社のヒーターがむき出しにしているオープン型のトースタには火災の危険性があると報告され、更にパンの片面が焼けたら、反対側を焼くために手でひっくり返す必要がありましたので販売数はそれほど伸びていませんでした。)
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1912年にロイド・コップマン(Lloyd Copeman)は Electric Stove Companyを設立して電気ストーブ(1911年に特許(1005811)を取得)の販売を開始します。(この会社は1917年にWH社に売却、WH社はコップマンの発明したトースターを生産販売しました)
1913年にハゼル・コップマン(Hazel B. Copeman)はパンに触れることなくひっくり返す装置を発明し、特許(
1108552)を取得します。彼女はロイド・コップマンの妻で、パンを乗せた台が横に開く発明はポップアップ式が市場に出るまで多くのトースタに採用されました。
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1914年にロイド・コップマン(Lloyd Copeman)はパンの両サイドを同時に焼くトースターを発明し特許(Toaster. No. 1,108,554; August 25)を取得しました。このトースタは3枚の発熱板の中間に2枚のパンが入り同時にパンの両サイドを焼き焼きあがるとパンを横に取り出す方式で、パンに触ることなくトーストできる「Automatic」と呼ばれていました。
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1915年にGE社は最初のトースタのデザイン特許(D48123)を取得しました。これによってトースタが大量生産ビジネスに成長してきたことを示しているようです。
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1919年チャールズ・ストライト(Charles P. Strite)はタイマーによってトースト終了時に自動的にパンが上部に飛び出す、ポップアップトースター(pop-up toaster)を発明し特許(us 1387670)を申請し1921年に取得しました。1921年にWaters-Genter Companyを設立し生産販売を開始しています。 1925年にはポップアップトースタを改良して1926年に一般家庭向けのトーストマスタ(Toastmaster)と呼ばれるポップアップトースタを販売するようになりました。これが最初の家庭用の実用的なトースタになりました。
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初期のトーストマスタ

1926年の末にはWaters-Genter Company はMcGraw Electric Company(GE社の子会社)に吸収合併され、後に、McGraw-Edisonになりますが、トーストマスタの商品名で販売は続けられました。

トースタの販売拡大を支えたもう一つの改革がありました。
 1912年にオット・ローダ(Otto Frederick Rohwedder)がパンを切り分けるスライサ(bread slicer)を発明し、1928年7月7日 にパンメーカ(Chillicothe Baking Co)がスライスしたパン(Pre-sliced bread)を発売すると発表し、それ以来スライスしたパンの販売が増加し、1930年代には米国で一般化するようになりました。これが、トースタの販売に拍車を掛ける要因になりました。
(米国でのトースタの販売台数が1922年に 40万台でしたが、1930年には120万台に増加しました)

1936年にアルフレッド・フカル(Alfred F. Fukal)はトースタのデザイン特許(D98247)を取得し、この特許でサンビーム社(Sunbeam Model T-1 Toaster)が生産販売を開始します。
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1939年 McGraw Electric Companyは(Jean Otis Reinecke)のデサインでクロムメッキのトースタを販売を開始し、好評であったことから各社とも模倣するようになりました。
以降トースタの生産は急速に拡大し、1947 年に販売開始したmodel IB14 は人気が高く1961までに700万台の売り上げを記録し、1980年には社名をToastmasterに変更しました。

1942年サンビーム社(Sunbeam)はシカゴ・フレキシブル社(Chicago Flexible Shaft Compan)のルドビック・コーチ(Ludvik Koci)のデザインした斬新な外形のトースタ( model T-9)を生産販売するようになりました。
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機械部分の特許(2271485)

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