電子レンジの歴史  top map54 家電機器の歴史の概要 マグネトロンの歴史 レーダーの歴史 
              
電子レンジの歴史年表 
パーシー・スペンサの特許 最初の電子レンジ特許 電子レンジのデザイン デザイン用語の解説
 

電子レンジ(Microwave oven)以前
マイクロ波(300MHz〜30GHz近辺)は電磁波の一種で、電子レンジは1945年ごろ米国のレイセオン社(Raytheon Corporation)のパーシー・スペンサ(Percy Spencer)によるレーダー研究の副産物として発明されました。ただ、電磁波で物が加熱されることは新しい発見ではなく、遥かな昔から知られていたことなのです。それは、太陽の光(電磁波)に当たると暖かくなること、炭火(赤外線)に手をかざすと暖かいのは体験として知っていました。
1801年フランスのルイス・ジャク・デ・セナード(Louis Jacques de Thenard)は細い金属線に電流を流し高温にして発光(電磁波の発生)させました。これは電気で電磁波を発生させたものですが、ここから電球が開発されます。(詳細は電球の歴史を参照してください)
1929年には電波によって微生物を除去する特許 (1863222 1932-6-14)が取得され(使用する周波数は6MHzから600MHz)、1930年には高周波(20から50MHz)の電界の中に置かれた物体が発熱する誘電加熱の特許(1900573 1933-3-7)が取得され、1932年には電波による治療に関する特許(1945867 1934-2-6)が取得されています。

第2次世界大戦では飛行機が戦争に使用されるようになり、その対抗策として飛行機の飛来を早く発見する目的でレーダーが開発(レーダーの歴史)されるようになります。レーダーに使用する周波数は高い方がより小さな物体を発見することができることから、マイクロ波発生装置(マグネトロンの歴史)の研究が進み、強力なマイクロ波の発生装置が英国で開発され、その成果は米国にも寄贈され、更なる改良研究が進められました。
1945年ごろ米国の軍需製品メーカのレイセオン社のパーシー・スペンサは偶然マイクロ波による急速な加熱現象を発見しました。これが電子レンジの始まりです。
1946年にパーシー・スペンサは特許(Method of Treating Foodstuffs)を申請し1950年に特許( 2495429 1950-1-24)を取得します。(詳細はパーシー・スペンサの特許を参照してください)
1947年には電子レンジによるポップコーンの作り方についての特許(Prepared Food Articurle and Method of Preparing)を申請し1949年に特許(2480679)を取得しています。

最初の電子レンジ(商品名 radarange」)
1947年にはレイセオン社はいくつかの電子レンジに関する特許(最初の電子レンジ特許)を申請し、最初の電子レンジ(商品名Radarange)が発売されましたが、売り上げは芳しいものではありませんでした。それは、高価(2000~3000ドル、現在の価格で約20000ドル)な上に、大型(重量600pounds,high62inches,2feetdeep and wide)で水冷式であったことから配管工事も必要であったことです。また、均一な加熱ができないという問題もありました。 しかし、 調理時間を短縮できることから鉄道や遠洋定期旅客船のレストラン用に少し売れましたが、利益を生み出すほどのものではありませんでした。
1948年の末にレイセオン社は電子レンジの製造を中止します。
1953年に生産を再開し、67年までに10000台を販売しましたがこれも利益を上げることはできませんでした。
1960年代の中頃にレイセオン社は電子レンジの生産設備を冷蔵庫メーカのAmana社に売却してしまいます。
1945年にはレイセオン社は航空機の機内食を暖めるために小型の電子レンジの原型を開発していたものをTappan社にライセンス生産させます。
1948年Tappan社はビルトインタイプの電子レンジを販売します。それも約1200ドルでまだ高すぎて売れませんでした。 安価な小型レンジを販売するのはそれから12年後になります。

日本の電子レンジ開発
1958年に日本の新日本無線鰍ェ加熱用小型で安価なマグネトロン(2.45GHz)が作られ、後に家庭用小型電子レンジ用のマグネトロンが作られます。
1961年に日本でも電子レンジが開発され、翌年に業務用電子レンジの生産を開始しました。
1961年12月には日本無線・レイセオン社の合弁会社として新日本無線鰍ェ発足しマグネトロンの生産を開始します。
1963年(昭和38年) 松下電器は電子レンジを開発し、販売を開始します。
1965年(昭和40年)松下電器は 初の家庭用電子レンジ発売。
1966年にシャープはターンテーブル方式採用の電子レンジ<R-600>を開発、わが国で初めて家庭用として発売しました。
1967年に東芝は永久磁石を内蔵したマグネトロン2M52を開発しました。
1969年に東芝はアルニコ磁石を採用したコンパクト化した2M53を開発しました。
同時期にマグネトロンに関するレイセオン社の基本特許の有効期限切れに伴い、日本でも松下電子、日立製作所、新日本電気が、電子レンジ用マグネトロンの生産を開始しています。
1969年には、日本国内の電子レンジ販売は、38万台に達し、普及が加速されました。
1971年に松下電器は業界初、8万円代のレンジを発売しました。

米国での家庭用電子レンジの開発
1964年Amaaは電子レンジの設計を再開したがレイセオン社のマグネトロンは軍事用の規格で作られていて価格が高く、その頃、日本で作られたマグネトロンの価格が10倍でしたので、日本のマグネトロンと同様なものを作ることにしました。 1967年にその安価なマグネトロンを使用した小型で安価な電子レンジは($500)を開発して販売を開始すると急速に普及し1970年には300-400ドルの電子レンジを40000台販売するようになりました。

米国の電子レンジ商戦
1971年には100-200ドルの安価な電子レンジが日本から輸入され急速に普及しました。
1975年には販売台数が100万台になり、ガスレンジの販売数量を上回りました。
1985年には販売台数が1000万台になり、そのほとんどが日本製の電子レンジでした。

電子レンジのデザイン(詳細は電子レンジのデザインを参照してください)
米国のデザイン特許で電子レンジに関するデサイン特許の最初のものは1963年のLitton社(d202185)のようです。Litton社は1972年までほぼ毎年新デザインを申請しています。
1968年には早川電気(現シャープ)がデザイン特許(d216284)を始めて申請しています。
1970年にはGE社がデザイン特許(d223641)を始めて申請しています。
1971年には松下電器がデザイン特許(d228056)を始めて申請しています。
1973年にはTappan社がデザイン特許(234667)を始めて申請しています。
1970年以降日本勢の申請が大半を占めるようになりました。