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光とは何か   固体の温度を上げるとなぜ光を出すのか

光とは何か

放射(Radiation)
 放射とは、エネルギーが電磁波として空間を伝わる現象で、放射には温度放射(Thermal radiation)とルミネセンス(Luminescence)があります。温度放射は物体がその温度に従って発散する放射で、ある温度で最大の放射をするのが黒体放射でプランクの式に従っています。温度放射以外の放射をルミネセンスといい、励起された原子や分子等が元の状態に戻るときに余分なエネルギーを放射として放出するもので、1億分の1秒以内に放射されるのを一般に蛍光(Fluorescence)といい、それより遅いのを燐光(phosphorescence)といっています。

光(Light)
 人間の目に入って明るさの感覚を生じさせる電磁波を光といって、 人間の眼で捉えることができる電磁波が可視光線です。しかし、広い意味では、紫外線赤外線を含む100nm(ナノ・メートル)から1mm(ミリ・メートル)の波長域を光といっています。
 照明等の光の「快適性」を問題にしなければならない場合、光の明るさだけでなく、光色(色温度演色性)、拡散の状態(影をつくる・つくらない) 等の光の質を考えなければななりません。

発光のメカニズム
物理的な発光では、励起した電子が元に戻るとき(電子遷移 electron transition)や電離した元素が再結合するときにおきる発光、制動輻射(制動放射)による発光、チェレンコフ光などが知られています。

励起電子の復帰による発光
 励起状態にある電子がより低い状態に復帰するときに軌道間のエネルギー差に相当する波長の光が発生します。
これが基本的な発光メカニズムです。

電離元素の再結合による発光
 電離していた元素(陽イオン)が電子を取り込んでもとの元素に戻るとき電子の持っていた余分なエネルギーを光(電磁波)で放出します。

分子軌道遷移(Molecular Orbital Transitions)
 分子の結合状態の変化に伴なって以前の結合エネルギーと新たな結合エネルギーの差に相当する波長の光が発生します。

制動輻射(制動放射 bremsstrahlung ブレムスシュトラールンク)による発光
 電子や陽電子(荷電粒子)が電界によって加速度を受けたときに放出する電磁波で、一般に、物質中を進行している電子や陽電子が原子核のクーロン力によって加速されたときに電磁波を発生します。
 放射光(Synchrotron Radiation)はシンクロトロンで電子加速する際放出される制動放射です。 その他に宇宙空間では熱制動放射(bremsstrahlung)と呼ばれ電子がある自由軌道から他の重い電荷を持った粒子の近くを通るとき軌道が曲げられるときに出す放射があり、自由軌道から別の自由軌道に遷移するという意味で, 自由−自由放射(free-free emission)とも呼ばれるものがあります。

チェレンコフ光(Cherenkov radiation)・チェレンコフ効果
 エネルギーの高い電子や陽電子が物質(誘電体)内を通過するとき、速度が物質内の光速度より大きい場合(光速の早い物質から高速の遅い物質の移動する場合に生じる)、放射する光をチェレンコフ光といいます。 水を使った原子炉の中が青白く光っているのがこの光です。

発光の本質
 そもそも、光(電磁波)はホトン(光子)の集合です、ホトンは電子から放出されたり、吸収されたりするもので、電子の周辺に群がっている?ように見える?のですが、ホトンの速度は当然、光の速度以上になることはできません、チェレンコフ効果では電子は粒子ですので慣性があり光速を超えてしまうことがありますいますが、電子の周辺にあったホトンは光速以上になれませんのでとり残されて電子からホトンが離れ(発光)てしまいます。これがチェレンコフ光です。
 電子遷移も外側の軌道から内側の軌道に移動するとき(移動速度については勉強中です)ホトンがとり残されてしまうと考えれば理解し易いかも。ついでに、放射光も電子が急に加速(進行方向の変更)されて付いていけなかった“とんま”なホトンかも??。

熱放射(Thermal radiation)
 温度が上がると分子や原子の運動が激しくなり、分子や原子に取り込まれている電子が強く揺さぶられ(励起)たり、振り落とされ(電離)たりするようになり、電子が元の状態に戻るとき、揺さぶられたときに貰った余分な運動エネルギーを光で放出することを熱放射といいます。その光は放電管で発生する光と同じですが、物体(固体)の中で発生した光は見ることが出来ません。しかし、物体(固体)の中でも光が粒子のように振舞い、電子と衝突して光の粒のエネルギー(波長)も変化する現象をコンプトン効果(Compton effect Compton scatteringコンプトン散乱)といいます。 
 また、光を放出している分子に光が衝突すると、その分子の放出している光の振動数が、衝突前の光の振動数と分子の光の振動数が足された振動数の光と、引かれた振動数の光が放出されます。これがラマン効果(Raman effect)です。


固体の温度を上げるとなぜ光を出すのか


 固体の温度を上げると、固体の中で熱放射が起き、発生した光が分子や電子と衝突してコンプトン散乱やラマン効果で光の振動数が変化します。それを無限に近い繰り返しの後で、固体の表面に光が出てきます。そのときの光の振動数の分布(光のスペクトル)が黒体の場合はプランク分布になります。

黒体(Black body完全放射体)
 黒体とは、外部からの放射(電磁波)などのあらゆる波長を完全に吸収する物体のことです。完全な意味での黒体(完全黒体)は現実には存在しないのですが、それに近い物質や物体は存在します。
 黒体からの熱などの放射を黒体放射といい、ある温度における波長の黒体放射の強度 をプランクの式から求めることができ、その分布をプランク分布といいます。
 ところで、固体に吸収された光は電子と衝突して温度を上げますが、温度が低いので目に見える光(可視光線)を出せません。沢山の光を吸収すれば、次第に温度が高くなり、温度が1000℃程度になれば光が出るようになります。
 例えば、太陽の中心部で発生した光は何万年も衝突を繰返して表面に到達し、表面温度は約5780 K(絶対温度ケルビン)で、ピーク波長は約500 nm(ナノ・メートル)です。
 人間の目は太陽光に最も順応しています。
  電球をみると、温度の高いときは白色のですが、温度が低くなると黄色っぽい光になりさらに温度が下がると波長の長い赤みがかった色に見えます。このように熱放射による光は温度によって最大放射強度の波長が変化し、そのことをウイーンの変移則といいます。

ルミネセンス(Luminescence)
 エレクトロルミネッセンス(ElectroLuminescence; EL)の他に、化学ルミネッセンス(chemoluminescence)生物 ルミネッセンス(bioluminescence)があります。
 エレクトロルミネッセンスは主に半導体中に於いて、電界によって電子と正孔を注入し、その再結合によって発光をさせる注入型ELと、電界によって加速した電子が何らかの発光中心に衝突し、その発光中心が励起されて発光する真性ELがあります。

 

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