古典的なオームの法則を検証する  top map map2  電気の基本法則 電気の法則物語 電気抵抗とは何か? 金属の電気伝導の機構

導線の中に流れるで電流(電子)を量子論的な観点から考察し、オームの法則で示される電気抵抗がどのような意味を持つのかを具体的な数値を通して考えてみたいとおもいます。
 銅原子の原子番号は29で、K殻の1s軌道に2個の電子があり、L殻の2s軌道に2個、2p軌道に6個、M殻の3s軌道に2個、3p軌道に6個、3d軌道に10個、N殻の4s軌道に1個の電子を持っています。

(銅原子の原子モデル拡大図)

導線に量子論的なオームの法則を適用してみると、銅原子(Cu Copper)は原子番号29で1s軌道に2個、2s軌道に2個、2p軌道に6個、3s軌道に2個、3p軌道に6個、3d軌道に10個、4s軌道に1個の電子を持っています。

この内自由電子になるのは一番外側のN殻に即している4s軌道の1個の電子だけです。
この銅の結晶中に存在する銅原子と自由電子の数(体積密度)は次の計算に示すように、 8.46×10の28乗個/立方mになります。

自由電子の移動速度はフェルミ速度(Fermi velocity)υFになり、次の計算に示すように、1.57×10の6乗m/s(光速の約0.5%、1/200)になります。

金属の電気伝導の機構の式(9)から電子の衝突から次の衝突までに移動した距離(自由航路、自由行程)の平均、平均自由行路(mean free path) Lfpは3.9×10のマイナス8乗メートルになります。

半径1mm長さ1mの銅線に1ボルトの電圧をかけた場合の電子の移動速度(ドリフト速度υd drift speed)を求めます。

まず、この銅線の抵抗を計算し、電流を求め、銅線内の電流密度を求めます。

電流密度を電子の体積密度と電子1個当たりの電荷(電気素量)で除して電子の移動速度(ドリフト速度)を求めます。

金属の電気伝導の機構の式(9)に、このドリフト速度を代入して電子が衝突し、次の衝突までの時間(緩和時間)の平均を計算します。

この平均緩和時間から平均自由工路を求めます。

 

金属の電気伝導の機構の式(7)に、ドリフト速度を代入して平均緩和時間と平均自由行路を計算します。

式(1)のフェルミ速度から、式(2)の平均自由行路から平均緩和時間を計算します。

さて、原子の大きさは約1×10のマイナス10乗(mメートル)で、銅原子の半径(計測値)r = 135 (pmピコメートル) =135×10のマイナス12乗(mメートル)です。
  電子が銅原子の大きさだけの距離を進む間に衝突する回数は原子の直径を平均自由行路で割るのですが、式(9)の値を使用すると

2r/Lf =270÷1.05×10の4乗= 2520000回
 フェルミ速度を考慮すると
2r/Lfp =270÷3.9×10のマイナス4乗=69×10マイナス4乗回

この計算結果から、銅の固体中を電子がどのように移動しているかを推察しようとしていたのですが、銅線に電圧を掛けた状態での電子の移動(ドリフト速度)では、測定された抵抗値に相当する衝突の回数が原子1個分の大きさに相当する距離を進む間に200万回も衝突することになり、フェルミ速度を考慮しても 、電子が1回衝突するのに銅原子の大きさの100倍以上の距離を移動しなければならないことになりますが、このどちらも現実味がありません。従って、古典的な電子の衝突によって電気抵抗を説明することはできないのです。