トランジスタの原理  Aコース  top map map55 半導体の歴史概要説明 

トランジスタの原理
 半導体とは、電気を通す導体や電気を通さない絶縁体に対して、それらの中間的な性質を示す物質です。
 このような性質を持った物質は、周期表WB列の半金属であるゲルマニュームやシリコンで、これらに不純物が混ざっていないものを真性半導体といいます。周囲の電界や温度によって電気を通す性質が敏感に変化します。
  真性半導体に微量の不純物を添加したものは電気を通しやすくなりますが、不純物の種類によって電気の通り方に差があり、これを組み合わせると電流を一方向にしか通さない(整流)ダイオードや小さな信号で通過する電流を制御できる(増幅)トランジスタを作ることができます。
 半導体のこのような性質を理解するにはシリコン結晶中の電子の働きを理解する必要がありますが、それらの理解を助けてくれるバンド理論と呼ばれる理論があり、ここではそのエキスを使って説明することになります。


シリコンの原子モデル(中性子14個、陽子14個、電子14個)
 融点 Melting Point: 1410.0 °C (1683.15 °K, 2570.0 °F)
 沸点 Boiling Point: 2355.0 °C (2628.15 °K, 4271.0 °F)



シリコンの結晶構造
 固体分子(単原子分子を含み生ます)が集合したもので、その内、分子が規則的な配列(結晶格子)を持っているものが結晶です。シリコンの結晶は外郭に4個の原子があることから、三角錐の各頂点とその重心にシリコン原子が配置されるダイヤモンド構造と呼ばれる結晶構造をしています。結晶はこの三角錐を基本として、三角錐の各面が相互に接着して、いくつも連結したものです。



シリコンの性質  融点(Melting Point) 1410.0 °C (1683.15 °K, 2570.0 °F)、沸点(Boiling Point) 2355.0 °C (2628.15 °K, 4271.0 °F)

エネルギーバンド(エネルギー帯)
 ブラッグによってエックス線の反射で結晶構造に特有の干渉模様が観測され結晶中の原子は規則性を持って配列していることが確認されました。結晶中の原子核と原子核との距離(r)は原子の直径よりも小さく、外側にある電子の軌道は歪むことになり、単独で存在する原子の周りを回っている電子は フェルミ粒子であることから特定のエネルギー状態しかとることができませんが、原子が集まった結晶の場合、ある幅のあるエネルギー準位(エネルギー帯)を持つことになります。それは、結晶中の原子の周りにある電子は近くにある他の原子の周囲にある電子と相互に結合し結晶格子 (けっしょう こうし, Crystal lattice)を形成しています。結晶格子を構成します。結合した電子は相互に干渉しながら振動しているため、電子の取りうるエネルギーには飛び飛びの「値」ではなく連続したある幅(バンド Band)が生じ、この領域をエネルギーバンド(エネルギー帯)といいます。エネルギーバンドとエネルギーバンドの中間に電子が存在できないエネルギー状態がありこれをエネルギーギャップ(禁止帯)といいます。

   

半導体の種類
 物質は電気を通すか通さないかによって導体・半導体・不導体(絶縁体)に分類されます。 半導体は電気を通す導体や電気を通さない不導体(絶縁体)に対して、それらの中間的な性質を示す物質で、周囲の電界や温度によって電気電気的特性が敏感に変化する性質を持っていています。
  特に微小な不純物を添加した場合、不純物の種類と量によって特異な性質を示します。まったく不純物を含まない純粋な半導体を真性半導体といいます。これにある特定の不純物を極少量添加(ドーピング)したn型半導体p型半導体があり、電気を流す仕組が異なります。


n型半導体とp型半導体を接合(pn接合(ダイオード))すると、電流を一方向のみに流す整流作用があります。さらに、n型半導体またはp型半導体の間にn型またはp型半導体をはさんで接合したもの(npn、pnp接合(トランジスタ))では小さな電気信号を大きな電気信号に変換する増幅作用があります。
 接合型とは異なる原理で増幅作用を実現したものに電界効果トランジスタがあり、極狭い領域を通過する電子を電界の力を利用して増減させるものです。
 これらの半導体素子の性質をうまく利用したダイオードやトランジスタ等を小さなシリコン基板上に多数作りこんだものを集積回路(しゅうせきかいろ IC, Integrated Circuit)といい、計算機をはじめ、通信機器や家電製品の中に組み込まれ、今日の情報社会を支える最も重要な部品です。

注1 増幅(ぞうふく amplification)とは電流・電圧等の小さな信号を大きな信号にすることです。
注2 半導体(はんどうたい Semiconductor)とは電気を通す導体や電気を通さない絶縁体の中間的な性質を示す物質をいい、周囲の電場や温度によって電気をどの程度通すかが敏感に変化する性質をもちます。
注3 素子(そし element)とは電子回路などで、一定の働きをする部品で、エネルギーの変換などをする能動素子(真空管・トランジスタ・圧電素子など)と、そうでない受動素子(抵抗・コンデンサーなど)があります。

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