半導体の種類とバンド構造(バンド理論)   top map map55 トランジスタの原理

1.半導体の種類

 物質は電気を通すか通さないかによって導体・半導体・不導体(絶縁体)に分類されます。 半導体は電気を通す導体や電気を通さない不導体(絶縁体)に対して、それらの中間的な性質を示す物質で、周囲の電界や温度によって電気電気的特性が敏感に変化する性質を持っていています。
  特に微小な不純物を添加した場合、不純物の種類と量によって特異な性質を示します。まったく不純物を含まない純粋ない半導体を真性半導体(Intrinsic Semiconductor)といいます。これにある特定の不純物を極少量添加(ドーピング)したn型半導体とp型半導体があり、電気を流す仕組が異なります。

n型半導体とp型半導体を接合(pn接合(ダイオード))すると、電流を一方向のみに流す整流作用があります。さらに、n型半導体またはp型半導体の間にn型またはp型半導体をはさんで接合したもの(npn、pnp接合(トランジスタ))では小さな電気信号を大きな電気信号に変換する増幅作用があります。
 接合型とは異なる原理で増幅作用を実現したものに電界効果トランジスタがあり、極狭い領域を通過する電子を電界の力を利用して増減させるものです。
 これらの半導体素子の性質をうまく利用したダイオードやトランジスタ等を小さなシリコン基板上に多数作りこんだものを集積回路(しゅうせきかいろ IC, Integrated Circuit)といい、計算機をはじめ、通信機器や家電製品の中に組み込まれ、今日の情報社会を支える最も重要な部品です。

注1 増幅(ぞうふく amplification)とは電流・電圧等の小さな信号を大きな信号にすることです。
注2 半導体(はんどうたい Semiconductor)とは電気を通す導体や電気を通さない絶縁体の中間的な性質を示す物質をいい、周囲の電場や温度によって電気をどの程度通すかが敏感に変化する性質をもちます。
注3 素子(そし element)とは電子回路などで、一定の働きをする部品で、エネルギーの変換などをする能動素子(トランジスタ・圧電素子など)と、そうでない受動素子(抵抗・コンデンサーなど)があります。


真性半導体のバンド構造   
  まったく不純物を含まない純粋ない半導体を真性半導体といい、ケイ素(シリコン:Si)のみの結晶で、フェルミ準位は価電子帯の上にあり伝導帯に電子が無いことから電流が流れることはありません。伝導体から次の伝導体までの禁止帯の幅は絶対零度において約1.09eVでこの状態では電子の運動エネルギーも少なくこの幅を飛び越しことはできず、電流は流れません。しかし、常温では電子の運動エネルギーがこの幅を飛び越えることができるようになることから少し電流が流れるようになります。この現象が半導体の特徴です。

n型半導体のバンド構造
 真性半導体に、ケイ素より価電子数の一つ多い5価の元素(周期表XB列のリン、砒素、アンチモン等)の添加物(ドナー)をごく微量添加する(Doping ドーピング)ことにより、結晶中に原子同士の結合に使われず余った電子(自由電子)が生まれ、これが移動することによって電流が生じます。
この負(negative)の電荷を持つ電子が電気伝導を担う「キャリア」となるので「n型半導体」と呼ばれます。
結晶中に(ドナー)を添加してn型にすると、フェルミ準位は上昇し伝導帯に近づきます。


P型半導体のバンド構造 (正孔) 
 真性半導体に、ケイ素より価電子数の少ない3価の元素(周期表VB列のボロンやインジューム(アクセプタ))ホウ素(B)などを極微添加することにより、結晶内に電子の欠落した部分ができ、あたかも正(ポジティブ)の電荷を持った粒子のように振舞うことから「正孔(ホール)」と呼ばれ、これが移動することによって電流が生じます。
この正(positive)の電荷を持つ正孔が電気伝導を担う「キャリア」となるので「p型半導体」と呼ばれます。
結晶中に電子が不足する微量の不純物(アクセプタ)を添加してp型にするとフェルミ準位は下降して価電子帯に近づきます。


半導体のバンド構造