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                     リチウムイオン電池 
リチウムイオン電池の動作原理

リチウム
 リチウム(Lithium)は銀白色の軟らかい金属で、ナイフで削ることができ、固体元素の中で比重(0.534)が最も小さい元素です。
1817年にはスウェーデンのアルフェドソン(J.A.Arfvedson)がペタル石の化学分析を行ったところ、約4%ほど未知の物質が含まれていて、炎色反応(リチウムを炎の中で熱すると赤い光を出す)で、それまでに無かった新しい元素であることが確認されました。
以前から知られていた物質(ナトリウムとカリウム)が動物や植物に含まれていて発見されたのに対し、この新しい物質は石から発見されたことから、ギリシャ語のlithos(石の意)に因んでこの新元素の名前はリチウムと名付けられました。
 リチウムは原子番号 3の元素で、元素記号はLiです。常温では安定な結晶で、比重0.534、融点180℃、沸点1330℃、銀白色の柔らかい金属ですが、水分があると常温でも窒素と反応し窒化リチウム(Li3N) を生じ、熱すると燃焼して酸化リチウム(Li2O)になるなど、反応の激しい物質で、電池に使用するには安全性に問題がありました。

 リチウムを電池に使用すると原理的には高い電圧が出せると考えられていましたが、電池に使用するには安全上の問題から電解質に水分が含まれていない等の条件を満たす必要がありました。電解質に水を含まない有機溶剤がはつめいされ、これを使用し、電極(陰極)に金属リチウムを使用した電池が発明されましたが水分の除去や漏洩が十分でなく実用には至りませんでした。
 リチュウムイオンを吸収・放出する金属酸化物が発明され、それを利用したのがリチウムイオン電池で、1979年にジョン・グッドイナフ (J.B.Goodenough) と日本の水島公一による特許が取得され、高い電圧と大きなエネルギーを取り出すことができることが実証され、急速に実用化が進展しました。

リチウム電池の歴史

歴史
金属リチウム電池
1948年Bargess BatteryのJoseph J. Coleman,Demotrias V. Louzosは電解質に有機溶剤を使用した水を含まない電解質(nonaqueous Solvents)電池を発明(us2597451)しました。
1966年にはStandard oil Coの(Robert A. Rightmire)達によって金属リチウム電池に関する特許(us3462312)が取得されました。
1980年代に金属リチウムを負極活物質に用いた金属リチウム二次電池が製品化されましたが、リチウム陰極表面でのデンドライト(樹枝状晶)の成長によって、陽極と陰極が短絡して発火する事故やサイクル寿命の低下などのもんだいがあり、その対策が困難なことから、広く用いられることはありませんでした。しかし、金属リチウム電池の理論的な容量(Whr/g)はリチウムイオン電池(炭素系)の10倍以上にもなることから将来の二次電池として有力視されています。

 

デンドライト(樹枝状晶)
 リチウム電池では放電時にリチウム金属が電子を放出して(酸化)リチウムイオンになり、充電時にはリチウムイオンが電子を獲得して(還元)リチウム金属が析出する反応が起こりますが、その時に析出物が樹木の枝の結晶になることを言います。
 リチュウムが枝状の結晶になると陰極のリチウム酸化物が電極板から脱落して電池が機能しなくなったり、成長したリチウム金属の枝の結晶が陰極と陽極を隔離しているセパレーターを貫通して短絡(ショート)を引き起こすと、爆発や発火事故を引き起こすことがあります。

 

リチュウムイオン電池(構想や動作原理の詳細ははリチウムイオン電池を参照してください)
 このため金属リチウムに代わる材料の探索が進められ、負極にグラファイト、電解質溶媒として炭酸エチレンなどを組み合わせることにより、安全な電池が得られるようになりました。
 そのきっかけとなったのは、1979年にオックスフォード大学(Oxford University)のジョン・グッドエナフ (J.B.Goodenough) と水島公一(Koichi Mizuchima)がリチウムイオンを吸蔵するリチウム遷移金属酸化物を電池の陽極に使用することを提案してからです。1981年には特許(us4302518、us4357215、s55-136131)を取得しています。
 ジョン・グッドエナフは日本の東京大学からオックスフォード大学にきていた水島公一に実験を担当させ、その実験でコバルトとニッケルの酸化物から陽イオンのデンドライトを起こさずにリチュウム層を取り除くことに成功しました。逆にリチュウムを挿入する(電池)ことで二次電池が形成され、その電池の電圧は約4ボルトで大量のエネルギーを取り出すことができました。しかし、英国の電池メーカは興味を示差無かったようです。興味を示したのは日本の電器メーカーでした。半導体記憶装置のバックアップ電源として長寿命の電池の必要性に着目していました。
1980年にはベル研究所(Bell Telephone Laboratories, Incorporated)のサマー・バス(Samar Basu)によって黒鉛にリチュウムを吸蔵(LiC6)させる方法を使用した二次電池の特許(us4304825)が取得されました。

日本では
1980年に松下から二酸化マンガンを使用したリチウムイオン電池の特許(s56-103864)が出願され、1981年には三洋電機から黒鉛質負極材料を使用したリチウムイオンイオン電池の基本的特許(公告s62-23433:出願s57-208079)が出願されました。
1988年ソニーは特許(63-114065)でLiMn2O4を粉体としそれにグラファイトにバインダーを加え圧縮成型し乾燥して陽極を作る方法で、電池の安全を確保できる陽極材料の開発に成功しました。1991年には高いエネルギー密度を持つリチュウムイオン電池の量産化に成功します。 1994年には三洋と松下もリチウムイオン電池を実用化しました。

  その後、コバルトは高価なことから、それに代わる材料が開発され、陰極にLiMn2O4の使用が提案されました。この電池は大きなエネルギー貯蔵量がありいましたが、充放電を繰り返すと 電池の電圧が4ボルトから3ボルトに低下する問題がありましたが、マンガン酸化物を小さな粉体にすることで解決しました。

リチウムポリマー電池(Lithium-ion polymer batteries)
リチウムポリマー電池(ポリマー電解質リチウムイオン電池)は、形状自由性(シート型電池など)、無漏液性、金属缶省略による軽量化、低価格などの長所があり、有機溶媒電解液を使用しない真性ポリマー電解質を使用した電池と有機溶媒電解液を非流動化するために、ポリマーによるゲル化した電解質を使用する2つの種類があります。
1997年頃から米国で、1999年にはソニーや松下で電解質にゲル状のポリマーを使う電池が量産化されました。

真性ポリマー電解質
有機溶媒電解液を使用しない電池で1970年代にポリエーテルなどの高分子材料がイオン伝導性をもつことが発見され、電池への適用が提案(US 4357401)されましたが、イオン伝導性が低く、実用にはいたりませんでしたが、真性ポリマー電解質は金属リチウム二次電池のデンドライト対策として有望視されています。

ゲル電解質
1970年代末から80年代初頭にかけて電池の液漏対策として有機溶媒電解液を非流動化するために、ポリマーによるゲル化が発想されたもので、 90年代半ばに電解質液を多く含浸することでイオン伝導度が向上し実用化されるようになりましたが、含浸比率が向上するとゲル電解質の強度が低下し、製造過程や使用中の変形による電極間の短絡が問題となっています。

 リチウムポリマー電池は、外装に、従来の鉄やアルミの缶ではなく、レトルト食品に使用されるアルミラミネートフィルムが使われていることが特徴で、この電池は事故時の反応が穏やかであるため、電気自動車の電池として注目されています。

ポリマーリチウム電池
電解質をポリマー(固体高分子)薄膜にしたもので、ポリマーにリチウム塩を混入した真性ポリマー電解質やポリマーに有機溶媒電解液を混入させたゲル電解質のものなどがあります。電解質のポリマー化は、電池の軽量化、薄型化、形状柔軟性、漏液防止、製造工程の簡略化などが可能で、1997年に米国で商品化され、日本でも99年には量産体制に入っています。
ポリマーリチウム電池の例では正極と負極、ポリマー電解質が積層されて全体としてシート状となっています。


年表
1948年Bargess BatteryのJoseph J. Coleman,Demotrias V. Louzosは電解質に水を含まない有機溶剤を使用した電池を発明しました。
1966年にはStandard oil Coの(Robert A. Rightmire)達によって金属リチウム電池に関する特許が取得されました。
1974年には高性能電池に関する報告(ANL-8109, High Performance Batteries for Off-Peak Energy Storage and Electric Vehicle Propulsion, Progress Report Jan.-Jun. 1974,)がされるなど新しい電池への期待がありました。
1979年にオックスフォード大学(Oxford University)のジョン・グッドイナフ (J.B.Goodenough) と日本の水島公一によってリチュウムを吸蔵するリチウム遷移金属酸化物を電池の陽極に使用する特許(us4302518、us4357215、s55-136131)が取得され、リチウムイオン電池は安全性に優れ、金属リチウム電池には劣るが大きな貯蔵電力が得られることが認識されるようになります。

1980年代には金属リチウムを負極活物質に用いた金属リチウム二次電池が製品化されたが、金属リチウムの化学活性がきわめて高いため、発火事故が相次ぎ、広く用いられることはありませんでした。
1980年にベル研究所のBasuによってリチウムイオンを吸収、放出できるグラファイトを使用した陽極材料が開発されます。
1983年Michael Thackerayとグッドエナフはリチウム・マンガン系複合酸化物を開発し高価なコバルトを安価なマンガンに置き換えることに成功し、現在のリチウムイオン二次電池の構成がほぼ完成します。

1983年フリードリッヒ・カルレル()ポリオールのN-(ポリアルキルビべリジニル)ーカルバメート
1991年には日本のソニーによって量産化されました。
1996年にはグッドエナフのチームはリチウム・鉄系複合酸化物安全性や信頼性が更に改善されました。

1998年頃より、電解質にゲル状のポリマーを使うリチウムイオンポリマー電池が量産化されました。
1999年にはソニーや松下で電解質にゲル状のポリマーを使うリチウムイオンポリマー電池が量産化されました。