踊る大捜査線 THE MOVIE

★★☆ 08/05/03

 LOST、24と海外のドラマはどれもスケー ルが大きく、面白いものばかりなのになぜか日本のドラマは少女漫画やラブコメのドラマ化ばかりでつまらない。ドラマだけではない。バラエティだってそう、 ドキュメンタリーだってそう。これらが僕をテレビ離れさせた理由である。しかし、そんな偏見もある伝説のテレビシリーズにより覆された。それが「踊る大捜 査線」である。衝撃を受けた。レンタルではあったが、こんなにも面白いテレビドラマは見たことがなかった。やはり大切なのは“お金”ではない。テレビドラ マの核をなすのは優秀な演出家と脚本家なのである。

 そしてついに映画版。ワクワクしながらDVDを再生し、見終えたときにまず思った一言。とても面白い“テレビドラマ”である。これがテレビドラマだった ら最高の出来だが、映画としてはどこか物足りない。確かに、劇場版しくドリームランドを貸しきったり、ヘリコプターの使用や製作協力にROBOTの起用等 お金をかけているのはわかるが、やはり先に述べたとおり、お金ではないのだ。笑いもしたし、ハラハラさせ、心も動かしたがこれぐらいは出来ないと「踊る」 シリーズとしては成り立たない。逆に劇場版ならこれ以上のスケールが必要である。もちろんお金だけじゃなくて。

(以下追記11/04/20)
今の評価は★☆☆です。

踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!

★☆☆ 08/05/16

 前回の「踊る」の問題は脚本にあり。3つ同時 進行の事件なのに全く持って関連性がない。ふだんの「踊る」の君塚さんはどこへ行ったのやら。あの人の技量はまだまだこんなもんではない。でも、君塚さん の分まで本広さんや俳優陣ががんばってくれたから、結果面白い“テレビドラマ”として出来上がった。前回の反省を踏まえて今回の君塚さんはどう出るのか。 それが今回僕がもっとも期待した点であった。

 そして見終わった直後の感想一言。これぞ面白い“映画”だ。でも、注意すべき点は面白い“踊る大捜査線”ではないことだ。今回の問題もやはり君塚さんの 脚本にあったと思う。今回も事件が同時多発で進行していくのだが、やはり本作でも君塚さんはそれらを絡ませられなかった。いったいどうしたのだろうか。テ レビシリーズや歳末スペシャルの時は本当にすごいと思ったのだが。それともネタを全部使い切ってしまったのか?とにかく君塚さんが本領発揮できなければ、 “劇場版”はいつまでたっても“踊る”を超えることはできない。踊る3までにその病気(?)を治療してほしいものである。しかし、それでも本作が面白い映 画だと思えるは、本広さんの才能と俳優陣の演技力にただただ脱帽するだけである。前回活かしきれなかった予算を今回はちゃんとうまく使い込み、その巧みな 演出で僕の胸を熱くさせてくれた。もちろん、胸を熱くさせるには演出だけでは成り立たない。織田裕二は無論、湾岸署のメンバーの技量がやはり大きい。織田 裕二の怒鳴り、深津絵里の叫び、柳葉敏郎の捜査本部に走る姿、そのすべてに胸を打たれる。忘れてはいけないのは今は亡きいかりや長介。彼の涙が今までのシ リーズの集大成といっても過言ではなかろう。劇場でももらい泣きした人はいるはずだ。彼がこの作品の後、すぐお亡くなりになったと思うと、本作での彼の演 技には感慨深いものがある。正直、踊るの面白さは長さんによる所も大きかったはずだ。その長さんが亡くなってしまった今、3を面白くするには普段の君塚さ んが必要不可欠なのである。監督、お金、俳優はそろっているのだから後必要なのは脚本だけ。彼には3までには戻ってきてほしい。それが“踊る”が“踊る” を超えるための必要十分条件なのである。
(以下追記11/04/20)
今の評価は☆☆☆です。
>これぞ面白い”映画”だ。
ファン心理として書かざるを得ませんでした・・・・・・許してください。

踊る大捜査線 THE MOVIE 3 奴らを解放せよ!

☆☆☆ 11/04/14

 いきなりだが、読者の皆様に謝罪をしたい。まず上記二件のレビューを見ていただきたい。高校生の時に書いたレビューであるが、僕は嘘をついていた。

 
友人の勧めでテレビシリーズのDVDを借りた僕はすっかり“踊るワールド”にはまってしまった。スペシャル版は勿論全て見たし、Wikipdeiaのトリビア欄なんか暗記するほど読んだし、友人と毎日のように『踊る~』の話をした。踊るオタクというよりはもはや踊るマニアだ

「この世で一番面白いドラマは『踊る』!!」

こんな状態で劇場版二作も見てみた。するとどうだろうか、TVドラマとはまた違う衝撃に襲われた。お、面白くない!!いや、面白いんだが……面白くない!!自分でもよくわからない混乱に陥ったのである。

 客観的に当時のことを振り返ると、大好きな『踊る~』を否定したくないというファン心理が働いていたのだろう。試しにYahoo!映画を始めとして各映画レビューサイトをめぐってみる。どのサイトを見ても平均点を見ても5点満点中3点未満。驚愕した。皆『踊る~』が嫌いなのか?そして、生まれたのは間違った感情だった。

 違う、『踊る~』はつまらなくない、間違ってるのはこいつらだ!!そして急いで上記二つのレビューを書きあげ、平均点を上げるべく二作とも★★★★☆でYahoo!映画に投稿した。否定してるんだか、肯定しているんだか良く分らない今よりも拙い文章からその歪んだファン心理が伝わってくる。もはや新興宗教のそれに近い。

 
しかし、二度のスピンオフを経て、『踊る~』の歯車が確かに狂いつつあることは心の底では感じ取っていた。批判的レビューも根拠があって納得できる。それでも、いや、だからこそ信じていた。『踊る~3』が作られたら傑作になるに違いない!数々の批判を乗り越え、過去を反省し、日本映画史に残るような傑作が出来上がるに違いない!!

 ……前置きが長くなった。さて、ようやく本当に待ちに待った『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』を見た。なんて酷い映画なんだ!!出来の悪さに驚愕した。ドラマ版から変わらぬスタッフ・キャスト、ドラマ版よりも多い製作費、いっ たい何が起こったというのだ?確かに今までの僕はファン失格だったかもしれない。欠点に目をそむけ、批判する者を非難した。思い出すだけで恥ずかしい。そ のようなファンの多さがまた駄作を生んだ原因かもしれない。だから今度は徹底的に批判しよう。それがファンとしての責務だから。

 以下ネタばれありなので注意していただきたい。


・笑えない『踊る大捜査線』
 『踊る~』映画といえば、冒頭が見所であった。というか、結末に向かうにつれクォリティが低くなっていくことを考えれば、冒頭が最大の見所で あった。1作目では張り込みのシーンかと思えば、実はゴルフの接待、二作目では豪華客船で事件かと思えば、ただの予行演習だった。いずれも緊迫感→コミカ ルへの移行がすごく巧くて笑いを誘う。さて本作。何やら真剣に捜査会議をしているかと思えば、ただの引っ越しシーンだった、というコミックシーンなのだ が、全く笑えない。

「さて、被疑者は……」
「青島君、引っ越しに被疑者いない
「……そうでしたね」

この脚本は小学生が描いたのだろうか?『踊る~』シリーズの独特の台詞のキレが無い。そして笑えないのに、この引越のシーンがグダグダと30分ぐらい続く。

 全編を通してこんな感じのグダグダ感で、笑えないのに製作サイドが必死で笑わせようとしているのが伝わってくるから見ていてかなり痛い。いつもなら問答無用で笑えてしまうスリー・アミーゴスも、作中緒方が「やりすぎ」と指摘ていた通りで、記者会見のシーンは寒いコントを見せられているようだった。

・緊迫感のない『踊る大捜査線』
 製作費はかかっているので、スケールだけはでかくなっていく。銀行強盗、バスジャック、新湾岸署占領。これだけワクワクさせる要素を盛り込んでいるのに全く盛り上がれない。 盛り上がっているのは劇中の登場人物だけで、脚本が観客を置いていっているので何が起きているか訳が分からない。銀行強盗をしても何も盗まない、バス ジャックをしても財布は運転手にすべて持たせている。「盗めよ!!」思わず青島やすみれさんと共に叫んでしまった。事件の異常性を強調したいのだろうが、 その意図も最後までいまいち分からず(説明はされるが)、犯人がただのアホにしか見えない。拳銃を盗んだ意図も事件性も不明。もっと他に賢い使い方はなかったのか?

 ドラマ版では真下が撃たれ、1では青島が刺され、2ではすみれさんが撃たれる。ネタが尽きたのだろうか、今度は青島がガンになる。 今までの登場人物の危篤は仲間が一致団結する契機を与える感動的なシーンになっていたのだが、今回はウケを狙ってそれが嘘だと直ぐバラすので感動も何もな い。せっかくすみれさんが涙ながら青島に対してメッセージを送るシーンは深津絵里の名演技だったのに、腫瘍が嘘だとわかっている観客はちっとも泣けない。 それどころか見事な珍シーンになってしまっている。「命」をテーマにしているが、本作で描かれる命はものすごく軽くて飛んで行ってしまいそうだ。

 珍シーンと言えば、他サイトで話題になっている通り、青島が仲間を救い出すために閉鎖された湾岸署を杭で打つシーンが凄い。長い・退屈・下らないの上にスローモーション。感動を誘う音楽が流れるが、これでもか、というぐらいイライラさせてくれる。一番笑ったのは小栗旬が演じる鳥飼が負傷するシーン。被疑者の自宅にあるPCの「あけるな危険」と書いてあるファイルを開けて自爆するのだ!!ドリフのコントみたいだ。いかりや長介に対するオマージュだったのかもしれないが。

 クライマックス部分で湾岸署の防衛システムをハッキングにより解除を試みるシーン。無理だと主張するプログラマーが昇進を約束され、キーボードの上に手を置く。タイムリミットまで時間も僅かでかなり緊迫したシーン。さあ、どうなる!?
「あの、電源を落としたらどうでしょう?」
「……」
プシューと鋼鉄の扉が開くが、この瞬間僕の中で何かがガチャと締まる音がした

・進歩しない『踊る大捜査線』
 前2作から気づいていたことだが、所轄と本店の関係が一向に改善しない。警察社会をリアルに描くのが『踊る~』のプロットであるが、流石にこの展開は見飽きた。いつものように青島が口をはさむと「所轄は黙ってろ!!」と叱られ、湾岸署とエリートの間で揉め事が起こる。鳥飼(小栗旬)の登場でその関係に進展がみられたかと思いきや、いてもいなくても変わらないキャラなので結局最後まで争ったままだった。むしろ半端な登場なので逆に本作の失速の一因となった。室井さんは7年間、テレビが終わって13年間いったい何をしていたのか?と思ってたらエヴァをパロった会議室でひたすら会議。しかもその会議の内容がどーでもいーことばかりなのである。
「国民を人質にとられたようなものだ!!」
君たち警察はそこまで無能なんですか?室井が頑なに犯人の要求をのむのを拒否していた意味もプライドも分らない。

 その室井は口では「後はまかせたぞ、青島!!」と呟いていたが、青島(織田裕二)と室井(柳場敏郎)が顔を合わせるシーンは一度しかない。二人の不仲説を決定づけたが、このトラブルで脚本もめちゃ苦茶になってしまったのではないか?と疑いたくなった。二人の役柄だけは進歩しているが、作品の質は退化してしまった。

・終わらない『踊る大捜査線』
 誰もが知ってる『踊る大捜査線』のテーマ曲、「RYTHM AND POLICE」。いつも冒頭で流れるが、今作では流れなかった。この点についての批判も多いが、第一話を再現しているらしい。青島も昇進し、新しい仲間が できて刑事課も新しくなった。新『踊る大捜査線』に向けてのスタート、その姿勢には好感が持てる。それなのに何故……。スタートダッシュには躓いてしまっ たが、持ち直してゴールまでたどり着くのを静かに待ちたい。期待せずして。

(以下追記11/04/20)
怒りのあまり今までで一番長いレビューになってしまった。今考えると『3』は『2』よりは面白いかもしれないなー。でもやっぱり最低です。

交渉人真下正義

☆☆☆ 08/06/02

「今回は踊るを壊す!というコンセプトから始めたので、僕としては『踊る』とのつながりは真下正義というキャラだけにして、後はやりたい放題にやろうと。(以下略)」
(『DVDでーた』2005年12月号本広克行監督のインタビューより引用)

 僕は本編を見る前にこのインタビューを見ていたので、なんだかとても嫌な予感がしたのだ。そしてその予感は見事的中、シリーズ最大の駄作を生んでしまっ た。踊るを壊す?だから自分の好きなようにやっていいのか、本広さん。自分の好きなネタを適当に色々入れておいて、後は自分が満足できれば?というか、踊 るを壊すというコンセプト自体ファンが納得するはずがない。

 そもそも何故に脚本が君塚さんではないのか。このシリーズが何故こんなにも大ヒットしたのか元をたどってみると、誰も見たことがない刑事ドラマを作ろ う、という目標の下、脚本家の君塚良一が濃密な取材を重ね、徹底的に現実の警察社会を忠実に描いた「リアルさ」が売りのドラマだったからである。さらに、 君塚節のコメディ調でコメディ作品としても面白い作品であった。映画2作では彼は本調子ではなかったが、やはり踊るには彼の存在を必要不可欠。その証拠 に、本作と同じく尾崎将也が脚本を担当した「初夏の交通安全スペシャル」はどこか物足りない作品となってしまった。本作はそれよりもひどい。クモE4- 600なんて存在を、踊るのファンが許せると思うか?しかもやっていることは全く交渉になってない。ただの推理ゲームだ。最初は対立していた片岡とも、ゴ チャゴチャやっているうちにいつのまにか仲直り。途中過程もあの踊る特有のドキドキ感が全くない。本編だったらあの音楽が鳴るだけでも心臓が高鳴りすると いうのに...。コメディシーンもそんなに可笑しくない。

 一番許せないのは犯人。声紋一致して犯人割り出したと思ったら、また謎に包まれ、そしてあのラスト。奇麗事を言って片付けているが、正直、こんなものは 脚本の逃げだ。やるなら何故最後までやり通さない?非常に後味が悪い。幕も適当に受けを狙って閉じる。踊るの作品なのにもう一回見ようとは決して思えな い。「踊るを壊す。」こういうことを言ったらどういうことになるのか、ちゃんと把握してほしいものである。

(以下追記11/04/20)
監督が「壊す!!」って宣言して本当に壊れた映画というのも珍しい。

容疑者 室井慎次

★★☆ 08/05/03

 やっと我等の君塚さんが帰ってきた!本作の脚 本の出来は劇場版「踊る」シリーズ中最も優れているといっても過言ではあるまい。テレビシリーズのヒネリの効いた流れが復活した。映像的には地味だが、室 井の衝撃の過去も明かされ、それまでの物語に一層深みを与える。柳葉敏郎は室井の新境地を開拓できていた。また、室井の相棒役の工藤に柳葉と同じ劇男一世 風靡に所属していた哀川翔を起用したのにもニヤリとさせられる。久しぶりの登場であるスリーアミーゴスも笑えた。さらに、本編との関わりが同じスピンオフ である「交渉人 真下正義」よりも濃くてファンとしては見ててうれしかった。

 残念であったのは新宿北署のセットが湾岸署のセットと比べるとお粗末すぎることだ。湾岸署のような警察署は無いとしても、玄関開けてすぐ捜査本部はどう かと。一番の問題点は、先に少し触れたが、派手すぎると感じた「交渉人~」に対し、本作の場合は地味すぎることだった。「踊る」からアクションとコメディ を排除してしまおうという試みは評価できるが、逆にちょっとシリアスすぎてしまった。脚本家としては君塚良一が一番だが、やはり踊るの監督としては本広克 行が適任であろう。この二人が揃っていないと駄目なのだ。

 そう考えるとスピンオフシリーズで一番すごいのはトリビアでやっていた二人が揃った「警護官 内田晋三」かもしれない。(Youtubeで見たが、実際 かなり面白い)でも本作で君塚良一の復活を目の当たりにすることが出来たので、「踊る大捜査線The Movie3」はおおいに期待できる。

(以下追記11/04/20)
今考えるとやっぱりこれもつまらなかったな。でも歴代劇場版『踊る〜』の中では一番すき。
★☆☆です。


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