トップ映画<2012年映画ベスト&ワースト10

2012/12/27
 結局文明は生き残り、早いもので今年も年末になりましたので、ベスト10とワースト10を発表したいと思います。大学生というのは1年の8割が暇な時間で構成されている人種で、今年は65本の新作映画を観ました(2012年12月27日現在、旧作リバイバルを除く)。過去最高の劇場鑑賞本数となりましたが、サークルで映画製作をしていたこともあって結構抑えめでした。いやー、永遠に学生でいたいですね。それにしても1年に百本近く映画館で観るコアな映画ファンの時間の使い方が知りたいです。

 さて、今年の映画は10本では収まりきれなかったので、洋画、邦画別のベスト10に分ける事にしました。先ほど述べた65本の映画が対象となります。また、『スターウォーズ/エピソードI 3D』や『カリフォルニア・ドールズ』などのリバイバル上映は除きます。あとやはり人の考えという物はコロコロ変わるものなので、Twitterに投稿した時や上半期ベスト10を発表した時よりも評価が変わってる作品もあります。

【2012年度ベスト10】


順位
洋画ベスト10
邦画ベスト10
総合ベスト10

アベンジャーズ
桐島、部活やめるってよ
アベンジャーズ

ロボット
鍵泥棒のメソッド
桐島、部活やめるってよ

ディクテーター/身元不明でニューヨーク
アウトレイジ ビヨンド
ロボット

ザ・レイド
先生を流産させる会 アウトレイジ ビヨンド

アタック・ザ・ブロック
夢売るふたり
ディクテーター/身元不明でニューヨーク

ドライヴ
ヒミズ
ザ・レイド

ダークナイト ライジング
悪の教典
アタック・ザ・ブロック

サニー/永遠の仲間たち
わが母の記
先生を流産させる会

007/スカイフォール
苦役列車
ドライヴ
10
バトルシップ
おおかみこどもの雨と雪
ダークナイト ライジング

【短評】


 まずは洋画から。

 1.はロキと戦うキャプテン・アメリカにアイアンマンが援護に入るという冒頭のシーンで今年のベスト1と確信しました。その後もカタルシスを得るシーンを連発、席から立ち上がって叫びたい衝動を抑えるのに必死でした。例えば巨大戦艦が海から現れ飛び去る、たったこれだけのシーンで鳥肌が立ち、目頭が熱くなり、心が勃起する。ジョス・ウェドンという監督は男の子というもの非常によく理解できている演出家です。また、この手の映画にしては脚本の作りがとても丁寧だったのも加点ポイントで、異なる世界観に存在するヒーローたちをバランスよくまとめることに成功し、2時間40分という長尺も上手い具合にアクションとドラマを交替させる事により全く飽きる事もありませんでした。ここ5年くらいのマーベル映画の『アベンジャーズ』商法に正直好感は持っていなかったのですが、こんなドリームチームを作るための布石だったと思えば、逆に各ヒーロー達の単品の作品評価もあがってしまうくらいの大傑作でした。

 下の動画は素晴らしすぎるクライマックスでの長回しショット。


 2.上半期ベストから順位を上げましたが、『ロボット』はこれまでの人生でもベスト3に入る楽しい劇場体験でした。マサラシステムで鑑賞しまして、これは一般的にいう「映画を観る」行為ではなく、インドの映画館の様に映画に合わせて叫んだり拍手したり歌ったり踊ったりする「映画に参加する」鑑賞方法でした。とはいってもやはり日本の観客は大人しいので、流石に歌ったり踊ったりしている人はいませんでしたが、上映前に映画評論家の町山さんとギンティ小林さんによるトークショーで充分暖められた空気の中、冒頭のOPクレジットからもうクラッカーを鳴らしたり拍手したりの大盛り上がりで、3時間の上映時間中はまるでライブのようでした。
 映画の内容も常人では考えられない奇想天外な内容で、それでいてVFXやアクションなどにはハリウッドで活躍する超一級のスタッフを投入するという、謎な贅沢感を味わえる映画でした。インド映画独特の雰囲気にハマり、今年は更に『ラ・ワン』『ボス/その男シヴァージ』も観てこれらも面白かったのですが、やはり『ロボット』の完成度には今一歩及びませんでした。

マサラシステムはこんな雰囲気です。(動画は『ロボット』ではなく、『ボス/その男シヴァージ』より)


 3.は『ボラット』『ブルーノ』で有名な過激なユダヤ系ブラックコメディアン、サシャ・バロン・コーエンの最新作。作品を発表する毎に物議をかもす事でお馴染みで、中東の独裁者を演じた今回もアカデミー賞のレッドカーペットでTVレポーターに金正日の遺灰をぶっかけるという、プロモーションの時点で大きな話題を呼びました。モキュメンタリーの前2作と違い今回は劇映画でしたが、相変わらずのバカ演技や危険な発言で腹がよじれるほど笑えました。しかし、ただのバカ映画なだけでなく、ところどころコーエンの鋭い眼光が捉えた社会風刺が相見え、特に現代の民主主義政治の問題点を指摘するクライマックスの演説シーンは感動的ですらありました。
 また、『サウスパーク』にも共通して言えることで、こういったアメリカのコメディ映画には強烈な差別ジョークが出てくきます。その度に日本の良識ある観客は目くじらを立てて批判するけど、あれはその人種や宗教をバカにするのではなく、その差別が如何にバカバカしいものかを笑うものなので、こちらの潜在的な差別意識が見透かされているようで笑う度にドキドキしてしまいます。



 4.はインドネシア産アクション映画。ドラマ部分は冒頭5分でスマート(?)に終わらせ、後はずーーっとアクションという驚異的構成で話題となりました。東南アジアに伝わる古武術シラットが採用された事も目玉の一つで、出演者はほぼ全員その使い手(メインキャストのジャカを演じたジョー・タスリムはプロ柔道のチャンピオン)。そのため、SWAT隊がヤクザマンションに突入するという内容ですが、SWATだけでなくただの脇役や爺さんまでもが全員速くて恐ろしく強い。特にヤヤン・ルヒアンが演じたマフィアのボスの右腕マッド・ドッグはアクション映画史に残る悪役といっても過言ではありません。先述した通り、あまりにも内容が無い映画ですのでその点を批判されがちではありますが、これに燃えない男と一生分かり合えるか正直自信が持てません。ちなみに音楽製作はリンキンパークのマイク・シノダです。



 5.は上半期の洋画ベストに選ばせて頂きました。映画愛や遊び心のある作品を製作するエドガー・ライトの友人、ジョー・コーニッシュが監督したSFアクション。去年2011年はやたら宇宙人が地球にやってくる話が多く、それを撃退したのは海兵隊やアメリカ軍だったり、カウボーイだったり、純真無垢な少年たちだったりした訳ですが、なんと本作の場合はロンドンのDQN。最近でもロンドンにおける青少年の暴動が問題となり、本作で人を食い殺す宇宙からの怪物はそういった若者たちの荒んだ心が投影されたものでした。ジョー・コーニッシュが中学生におやじ狩りされた体験から産み出されたユニークなアイデアで、デンゼル・ワシントン似の主人公が怪物たちとの戦いを通して成長するストーリーに胸が熱くなりました。



 6.は昨年末から正月にかけてオーストラリアに旅行に行った時の機内上映で初めて鑑賞しました。大韓航空だったので日本語字幕が用意されておらず、理解できるか不安でしたが、台詞に頼らず極力映像によるストーリーテリングを試みていたので全く問題がなく、ニコラス・ウィンディング・レフンの演出力に脱帽しました。冒頭のカーチェイスは従来のカーアクションと違ってスピード勝負ではなく緩急をつけて警察の目をくらませる、という斬新かつスリリングなもので、それに呼応した様に全体的な映画のリズムが静と動の間を大きく揺れていました。美しいラブロマンスを観ていたかと思うと急に凄まじいバイオレンス描写に移り、古典的内容ながら次の展開が読めない不思議な魅力のある映画でした。
 主演二人の演技も絶賛に値し、ライアン・ゴズリングは今や若手NO.1の俳優となりました。そしてキャリー・マリガンの可愛さは異常



 7.は鑑賞時は大興奮だったのですが、後に公開された映画が傑作ばかりだったので若干影が薄くなってしまった印象は拭えないものの、大傑作『ダークナイト』の続編としては十分すぎる基準を満たしているのではないでしょうか。(もちろん超える事はありえませんが。)また、僕の誕生日に実施されたジャパン・プレミアに当選した時の喜びは人生ベスト級の誕生日プレゼントでした。ところでアメリカで起こった映画館銃撃事件が世界中に衝撃を与え、『ダークナイト』という作品が巻き起こした社会現象の大きさを再確認しました。



 8.はお隣韓国から送り込まれた刺客。ガンを患い余命幾ばくも無い友人のため、高校時代の仲良しグループが久しぶりに集まるという、よくそこら辺に転がってる邦画と一緒で、一見何が面白いのか理解に苦しむあらすじですが、鑑賞中は笑ったり泣いたりで大忙しの作品でした。劇中で韓流メロドラマを皮肉たっぷりに批判している様に、陳腐な演出に頼らず、難病物に関わらずバカに明るいトーンをベースにした語り口は昨年の『50/50』を思い起こさせます。80年代と現在の韓国が平行して描かれていますが、過去と現代の時間軸往復が秀逸で、通学路での360度パンの使い方は素晴らしかったです。若干ラストは「結局お金かい!」と気になる所ではありますが、流れに勢いがあり、その後のダンスシーンが素晴らしかったので大目に見るとします。

ちなみに題名の元ネタとなったのはこちらの曲。


 9.まあ、『スカイフォール』予習のためにシリーズを何本か借りて観ただけのにわかの僕が言っても説得力は無いかもしれませんが、全23作のシリーズの中でもトップレベルの面白さではないでしょうか。クリストファー・ノーランは元々『007』シリーズが大好きで、『ダークナイト』シリーズは『007』を『バットマン』で換骨奪胎したものであるのは有名ですが、ボンドが自分の影とも言える元MI6諜報員に翻弄される本作は、その内容からもヴィジュアルからも本家が逆に『ダークナイト』の影響を受けているような印象がありました。クレイグ版『007』シリーズ自体ノーラン映画の様な重苦しさをまとっていました(実際『カジノ・ロワイヤル』のリブートは『バットマン・ビギンズ』の成功なくしてはありませんでした)が、本作は旧シリーズとの交差点となる原点回帰とも呼べる作品で、ラストシーンに旧来のファンは笑みが止まらなかったはずです。

アデルの主題歌『Skyfall』も素晴らしい。


 10.いや、皆さんが今何を言いたいか分かりますよ。僕も下書の時点では『ドラゴンタトゥーの女』をあげるつもりでしたし、『バトルシップ』よりマシな今年の映画なんて二つの手じゃ数えきれないんじゃないんですか。でも、やっぱこのバカ映画の楽しさは出来るだけ多くの人に知って欲しい!祭りは楽しんだもん勝ち。




続いて邦画編。

 1.は2回観たのにも関わらず涙が止まらなくなりました。この映画の素晴らしさは各ブログや批評で語られ尽くしているのでひとまず置いておくとして、この群像劇を観ると誰もが高校時代に引き戻されてしまいますが、僕が一番感情移入したのは実はバレー部のゴリラと風助くんなのでありました。ライムスター宇多丸の影響で、一般的にゴリラは嫌われているようで、友人にも「それは無いわ…」と引かれる有様ですが、お前ら言っとくけど、ゴリラ相当頑張ってるからな!?部内で最も弱かったのに何故か部長をやらされていた自分の事や、高校の寮で同じ部屋でいつも帰寮する度に練習内容でキレてたバレー部の親友の事を思い出しながら観てしまい、他人の事とは到底思えませんでした。予告編にもある、風助くんがゴリラの胸ぐらをつかみ「この程度なんだよオレは、この程度なんだよ!」とキレるところは涙腺ダム決壊シーンで、次のカットで涙目になる実果ちゃんが更にそれを増長させます。ちなみに実果ちゃんはこの映画の中で僕が一番好きな女の子で、多分高校時代に同じクラスにいたら十中八九惚れてました。その実果ちゃんが…
 って長くなるのやめます。このように『桐島、部活やめるってよ』を映画好きな友達と語り合う事が今年のマイブームでもありました。またDVDが発売された辺りに『桐島〜』についてじっくり書きたいです。


 2.敬愛する内田けんじの最新作。前2作と比べると構成の意外性はやや抑えめですが、それでも相変わらず見事な脚本力でまたもや騙されてしまいました。当初はこんなに順位を高くするつもりは無かったのですが、今年監督した映画がうちの大学の学生コンペで内田けんじと先ほどの『桐島〜』監督の吉田大八に観てもらい、講評をいただいたうえに内田けんじとは写真まで一緒に撮ってもらったという素敵すぎる体験をしたので、その思い出込みで一気にランクアップさせちゃいました。



 3.前作よりも更にエンタメ色の強い続編。北野武が監督デビューした『その男、凶暴につき』は本来故・深作斤二がメガホンをとる予定で、またたけしと深作斤二の間には切っても切れない縁があります。『アウトレイジ』はその深作斤二の日本映画史に残る傑作ヤクザ映画『仁義なき戦い』シリーズの影響を間違いなく受けていますが、今度の『〜ビヨンド』はその中でも個人的に一番好きな『仁義なき戦い/代理戦争』とよく似ていた気がします。山王会、花菱会、マル暴の三つ巴が織りなす知略ゲームにはアドレナリンが大放出され、適度に抑えられたたけしお得意のバイオレンス描写がそれに拍車をかけました。日本映画界を代表する俳優たちが一堂に会しているのも観ていて楽しく、そういった意味では『アベンジャーズ』『エクスペンダベルズ』と似た映画なのかも知れません。



 4.大学入って実際に映画を撮るようになって、映画の見方が変わったかと問われると自信はありませんが、作品を作る事と何かを伝える事の難しさは分かる様になった気がします。『先生を流産させる会』は実際に愛知で起きた事件を基にした映画で、不謹慎だと公開時ネット上で炎上騒ぎが起きました。まぁ、言うなれば『タクシードライバー』『八墓村』『タイタニック』『ヒーローショー』『冷たい熱帯魚』といった具合にこれまで事実や事件を基にした映画は数えきれないくらい作られてきた訳ですが、これらの映画と違って『先生を流産させる会』は低予算の自主映画なので、並々ならぬプレッシャーがあったに違いありません。しかし難しい題材を扱っていながら、内藤瑛亮監督の見事な手腕でキチンと面白い映画に仕立て上げ、観賞後は深く胸に浮き刺さるメッセージ性もあり、自主映画の底力というものを感じて震えました。『先生を流産させる会』という事件の名前をまんま使ったタイトルも、真正面から挑んでいるようで素晴らしい。内藤瑛亮監督の今後の活躍に期待です。



 5.西川美和が結婚詐欺に手を染めてゆく夫婦を描いた作品。基本的に松たか子と阿部サダヲの夫婦に焦点が当てられてはいるが、冒頭のクレジットでこれから詐欺にあう女性たちが全員登場し、本作は彼女達の群像劇になっている点も面白いです。というか女性監督から見た女性といういきものがモロに描かれており、非常に生々しかったです。先に述べた松たか子と阿部サダヲのコンビが素晴らしく、特に阿部サダヲは普段のハイテンションな演技からは想像できない繊細な役を見事にこなしました。笑福亭鶴瓶や新人の江原由香といった脇を添える演技陣にも存在感がありました。



 6.今や注目すべき監督の一人となった園子温は、3.11を受けて既に完成していた脚本をわざわざ書き直し、被災地まで行って『ヒミズ』を撮影しました。その描写に賛否は分かれましたが、僕は園監督の態度はとても真摯なものだと思いますし、津波の跡が作品の頽廃的イメージをより一層強めていました。『ヒミズ』の主人公住田はこれまでの園子温作品の登場人物同様、家庭に欠陥のある少年でしたが、他の園作品と決定的に違うのは、周りに彼をサポートしてくれる人がたくさんいてくれていること。そして原作とは決定的に違う作品の終わり方ですが、これまでの園子温の映画からは到底考えられない展開ですし、あの感動的なラストには3.11を受けての園監督のある種の決意表明にも見えました。



 7. 大島優子が試写会で号泣し、直後の会見でこの映画を批判したことが話題となりました。バイオレンス映画ファンは声をそろえてこれを叩き、また2ch界隈では「どうせまた宣伝だろ」と鼻で笑う人も多かったのですが、実際にこの映画を観たら全力で大島優子を慰めたくなりました。40人もの生徒を一人一人丁寧にぶっ殺していくのははっきり言って気持ちの良いものではないです。いくら抵抗しても生徒達が無残に散っていく絶望的な展開には嫌悪感とストレスをずっと感じていたのですが、しかしエンタメとしての作りこみが徹底されており、悔しいけどとても面白かったと認めざるを得ません。まあ、『殺し屋1』などの三池崇史の悪趣味映画と比べると本作はまだマシな方かもしれません。ちなみに三池監督作品は去年もベストとワースト両方にランクインさせましたが、今年も『愛と誠』『逆転裁判』を発表し、相変わらずの不安定ぶりを発揮していました。



 8.文豪、井上靖の母との思い出を綴った自伝の映画化。義理の息子の本木雅広がオセロ中嶋と法廷で争っている間、樹木希林は痴呆を患った母親役を見事に演じ切りました。林の中を参列するシーンでのやわらかい自然光を筆頭に、母性愛を感じさせる柔和な画作りも印象的でした。あと宮崎あおいがやっぱり可愛い、チクショー。



 9.去年の『マイ・バック・ページ』に引き続き山下敦弘の試写会に当選しました。前田敦子が出演していることで注目されていましたが、結局大コケしてしまったのは残念です。この映画は何といっても森山未來のボンクラ演技が素晴らしく、「純粋にダメ男を描きたかった」と試写会で述べていた山下監督の意図と見事にマッチしていました。本当にダメ男を愛を持って描くことだけに焦点を絞った映画ですので、内容の無さへの批判が多い(というか原作者自身がボロクソに叩いている)のも事実ですが、僕は終始笑っていましたし、何だかんだ言って全てを失った男の成長物語(森山未來の対となる人物を演じたマキタスポーツもとても良かった)になっていたので、断固支持します。



 10.細田守は好き過ぎて正当な判断が下せないので、順位を低くしました。前作の『サマーウォーズ』より作りが丁寧で大変満足した一方、細田監督ならもっと面白く出来るはずだ!という気持ちもあります。画的な話をすれば花が雨と雪と雪山を滑るシーンの迫力と美しさに涙を流しそうになりました。この感覚こそが映画館に映画を観る意義だと思います。





 続いてワーストに移りますが、こちらは洋邦一緒です。

【2012年度ワースト10】


順位
作品名

カルテット!

神秘の法

映画紙兎ロペ つか、夏休みラスイチってマジっすか!?

荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE

MY HOUSE

マジック・ツリー・ハウス

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望

スノーホワイト

ダーク・シャドウ
10
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

【短評】


 1. 浦安市民先行上映時に既に観ていたため去年もワーストに選んだので二年連続ワースト1を見事に達成しました。内容のつまらなさは一万歩譲るとして、その内容と全く関係無く311で液状化の被害にあった浦安市の写真を、感動的な音楽に乗せて不出来の言い訳のようにエンドロールに延々と流す驚愕の演出に浦安市民として並々ならぬ怒りを覚えました。ドヤ顔で松崎市長がカメオ出演しているけど、テメー恥ずかしくねーのか!?2012年は剛力彩芽のごり押しが話題となりましたが、その発端としても罪深い作品。
 また個人的な事ではありますが、こういった作品への怒りをツイッターにぶちまけていたところ、どう考えたって『カルテット』のステマアカウントにしか見えない大量の謎アカウントに嫌がらせのようにRTされ、『カルテット』の公式アカウントにもしつこく絡まれたりもしました。今まで散々色んなクソ映画を観てきたが、実人生に物理的に被害を及ぼす映画はは初めてです。よってこの映画は二年連続ワーストどころか、僕の人生ワースト映画として永遠に記憶されることでしょう。死ね!

 2.幸福の科学の映画は初めて観たので、あまりのバカっぷりに最高に楽しめました。だからある意味今年のベストに加えても良いのですが、こんな馬鹿げた事を本気で取り組んでいる事を思うとただならぬ恐怖を感じるので、やはりワーストにしました。『カルテット』は二年連続ワーストなので、実質的なワーストはこの作品になります。

 3.つまらなさという意味では真のワースト。似たような映画では『秘密結社鷹の爪 THE MOVIE』は大好きだし、TOHOシネマズで観れる『紙兎ロペ』の短編も好きだったですが、劇場版は一つとして笑えるネタが無かったのでキツかったです。永遠に感じた85分でした。

 4.原作漫画が好きだったので観に行きましたが、正直予告編の段階で地雷臭がしていました。原作、というか中村光漫画の笑いは、ページをめくった時に一番最初に目に飛び込んでくる大ゴマのインパクトの面白さにあるのに、映画版ではそうしたインパクトを再現しようという努力はせず、単に原作の台詞をまんま読む事でボケとツッコミをしていただけなので、コスプレ集団の下手な同人映画のようで観ていて恥ずかしかったです。
 また終盤で小栗旬演じる村長が、「ここまで(上映時間が)87分過ぎた、これも所詮は長くて退屈な前口上に過ぎない」とメタ的に観客に呼びかけるのですが、制作側がこんな態度だもん、そりゃ面白くなるわけがありません。

 5.堤幸彦映画の特徴は、登場人物にペラペラと何でも喋らせる稚拙な演出にあり、よく槍玉に挙げられています。その堤監督が本当に撮りたかったと言われる『MY HOUSE』では、冒頭でホームレスが黙々と家を築くシーンが延々と10分ほど続きます。……そういう事じゃないと思うんだけどなぁ……。

 6.児童向け文学のアニメ映画化で、子どもを舐めた子ども向け映画の典型。一番笑っちゃったのが、魔法の本で古代ローマのポンペイに飛ばされた兄妹が噴火に直面し、なんとか無事に逃げ出した後、兄が「僕のせいで妹を危険な目に遭わせてしまったんだ!」と他人を寄せ付けないレベルでショックを受けている場面。まあ、恐らく自分がもっとしっかりしていれば、的なことを言おうとしているとは思いますが、そういった描写が無い上説明不足なので、あたかも彼は噴火を止められなかった事を悔いている様に見えます。

 7.過去の映画シリーズで散々絶望してきたので、TVシリーズに近い雰囲気を持つ『THE FINAL』は実はそんなに嫌いではありません。それどころか青島と室井さんが一緒に捜査に当たる場面などでは熱くなりましたし、「ついに『踊る』から傑作誕生か!?」とすら思いました。しかし、「犯人の気持ちになって考えろ…!」と、青島がシックスセンスに頼って推理するところから雲行きが怪しくなり、CMのためだけに青島が盛大にコケるカットでこの映画の出来にハラハラし、そしてあの凶悪すぎるクライマックスでは開いた口が塞がりませんでした。

 8.ファンタジー大合戦ものが好物なので、当初は評価を大甘に★2つにしていましたが、後に同じ題材を扱ったターセム・シンの『白雪姫と魔法の鏡』が公開され、こちらの方が愉快で楽しく、おとぎ話の実写かとしても正しいあり方だったので、『スノーホワイト』の評価を大幅に下げざるを得ませんでした。また、監督と主演女優の浮気問題も話題になりました。

 9.ティム・バートンっぽさを全然感じさせない…。意外性を狙ったクライマックスも突拍子の無いものに見えてしまいましたし、こちらも『フランケンウィニー』の方が秀作だったのでワーストにのさせて頂きました。ジョニデとバートンはもはや結婚すれば良い。

 10.『破』が新たに提示した『エヴァ』のあり方に大きな期待を抱いて観に行ったのに、見事に庵野に踏みにじられました。「これこそが『エヴァ』だ!」というファンの声も聞きますが、長年内向的だった少年が遂に自立したと思ったらまた殻に閉じこもる、という予想だにしなかった後退にフラストレーションが溜まります。また、何の解説もされないまま新しい用語が続々と登場して劇中のシンジくんさながらついていけませんし、同じく謎が先行する旧来のTVシリーズとは違ってその割には細部のディティールが作り込まれていないのものばかりだったのも楽しめない要因でした。何とか次の『||(読めん)』で気持ちよく完結して欲しいですが、この調子だとそもそも次で終わらせる気がちゃんとあるのかすら疑問です。


【総評】

 何度もツイッターで書きましたが、今年の映画は本当に面白いものが多く、映画館に行けば当りを引く豊作な年でした。惜しくもベスト10にない映画で特に面白かったのは、『ドラゴンタトゥーの女』『ザ・マペッツ』『ブライズメイズ』『るろうに剣心』『白雪姫と魔法の鏡』『北のカナリアたち』『エクスペンダブルズ2』『ニュータウンの青春』『アナザー・ハッピー・デイ』『フランケンウィニー』などがありました。

 逆にワーストの方は、今年はそんなに目立って酷い映画は無かったと思います。邦画も好調でした。ただ、ベストの方にアニメは洋邦含めて一つしか無く、ワーストには3つもランクインしているので、アニメが不作だった年かもしれません。未だに続くPIXARの不調も気になる所です。世間での評価が低いのに僕が好きな作品には『TIME』や『ガール』があります。逆に世間での好評にもかかわらずそこまで楽しめなかった作品は『アイアン・スカイ』『ホビット』です。全体的に試写会やタダ券などで観た映画が多かった気がします。

 また、昨今はDVDやBDなどのホームメディアが充実し、果てはHULUなど格安の値段で映画を観れるネットサービスまで人気となり、映画ファンの間でも入場料金の高い劇場に足を運ぶ人がより一層少なくなりました。しかし、先の『ロボット』で述べたマサラシステムや、大迫力のIMAXシステムの普及など、興行としての映画の楽しみを堪能した一年でもありました。ただ、3D映画擁護派の僕でもそろそろその必要性に懐疑的になってきたので、来年は『アバター』鑑賞時と同じような没入感を味わえる作品と出会いたいものです。





Presented by Taiyaki