見解
―設置審による「首大」案認可答申に接して―

2004年9月22日
開かれた大学改革を求める会(代表:西川直子)


【1】文部科学省の大学設置・学校法人審議会は、東京都の進める「首都大学東京」案に対して数々の問題点を把握しながらも、その設置を認める答申を文部科学大臣に提出したことが9月21日に報道されました。新大学計画をめぐる現状を冷静に考量するならば、この判断は拙速と呼ばねばならぬもので、きわめて遺憾です。

【2】しかしこの答申において5点にわたる「留意事項」が付されたことは、東京都の進めている新大学案が設置審によって明らかに「問題あり」と認められた証左であると考えます。(この他さらに3点のより根幹的な指摘が非公開で為されているはずです。)
 本来ならば、最低限これらの点が具体的に解決されてはじめて設置認可はくだされるべきです。ともあれ、指摘を受けた「留意事項」に対して東京都側は誠実な対処をするよう、大学設置者である東京都に対してはもちろんのこと、設置認可をくだす文科省にも強く求めます。

 ちなみにこの5点に即して、すでにこれまでことあるごとに公表してきた私たちの批判的認識を略記すれば以下のようになります。

1. 東京都大学管理本部は、現行の都立4大学がこれまで築いてきた教育・研究の蓄積を無視し、大学側との開かれた協議体制を築かぬままに新大学を発足させようとしている。
2. 「都市教養学部」がいったいどのような教育・学問を目指す学部であるのか不明である。教育・研究に必須の体系性がそこには認められない。
3. 単位バンク制には難点がきわめて多い。
4. 新大学は単位枠等の制約の緩やかさをあたかも利点のごとく喧伝しているが、その実は体系的な教育体制の否定に他ならず、責任ある大学教育を放棄するものである。
5. 学部と大学院の設計は一体に考えられるべきであるにもかかわらず、後者案はいまだに明確に示されていない。

 東京都大学管理本部、新大学理事長予定者、学長予定者らは、これまで私たちの声に耳を貸さず強引に進めてきた新大学案のどこに問題があるのか、これを機によく反省し自覚するべきです。

【3】東京都庁側と大学との間での開かれた協議体制、及び、現行大学に在学する学生に対する教育保障、という2点を主軸にこの間活動してきた「開かれた大学改革を求める会」では、これまで掲げてきた目標がまったく達成されていない以上、今後とも粘り強く従来の要求を主張しつづけてゆきます。
1. 新大学開学まで半年を残すばかりとなった現在にいたっても、いまだ解決されていない、それどころか認識すらされていない問題が山積されています。このまま2005年度新大学開学を強行するならば、新大学新入生は言わずもがな、現在在学している学生たちにとっても甚大な被害が及ぶことは誰の目にも明らかです。
 かくなる現実を承知しつつ来年度新大学開学の方針に従う東京都立大学総長以下執行部に対して、さらには冷厳なる現実を把握できていない大学管理本部、理事長予定者、学長予定者に対して、8月9日付声明を発した「開かれた大学改革を求める会」有志らは設置認可が最終的におりようとも引き続き、「新大学開学一年延長」を速やかに決断することこそが考えられうる責任ある最善の方策であるとの訴えを続けてゆきます。
2. 大学の独立法人化案が12月の都議会に諮られると伝えられていますが、大学の自治を重んずる現大学構成員の意見がここに充分に組み込まれてゆくよう、東京都に働きかけてゆきます。とりわけ、2010年度で廃止される予定の現行大学は法人化後にあってもこれまでと同等の学則のもとで運営される、という当然の措置がなされるよう強く求めます。
3. 今後現実に起きた被害に対しては訴訟等の手段を講ずることも念頭に置きつつ、事態を見つめてゆきます。

 以上。