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2001.05.20第三版
劇団からっかぜ 座学資料
「舞台照明」
劇団からっかぜ
written by Sin Hirai

== 目次 ==

 □ 理論編

1.めくるめく官能の世界へ
・あなたの過去を教えて
2.そこが感じるところ
3.あなたの性格を知りたい
4.色気たっぷり
5.うしろからまえからどうぞ
6.君の瞳は100万ボルト
7.はじめてなの

 □ 機器編

1.好きなあなたのためならば
2.君の名は
2−1.男?女?
2−2.ドレスアップ
3.約束(デート)の場所は
4.私の全てを知って

 □ テクニック編

1.うふん、テクニシャン
1−1.あなたの全てがほしい
1−2.色男、金と力はなかりけり
1−3.ラブレター・フォー・ユー
1−4.三角関係
1−5.その気にさせる雰囲気に
1−6.あなたごのみの私にして
2.肉体派
2−1,気持ちを確かめなくっちや
2ー2.熱い眼差し
2−3.想いをうち明けよう
2−4.ゆれる心
2−5.計画を立てて
2−6.行動あるのみ
2−7.どこが感じる?
2−8.これで感じる?
2−9.胸がドキドキ
2−10.若いのね
2−11.イクときは一緒に

 □ 実技編

1.触って良いよ
1−1.やさしくしてね
1−2.大きくなったり、小さくなったり
1−3.全てあなたの思うまま
2.明かりを消して
2−1.48手
2−1.色事師
1999.04.05 初版
2001.05.20第三版
*本書の著作権は、劇団からっかぜにあります。無断での引用、コピーを禁止します


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理論編


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1.めくるめく官能の世界へ ―照明へのいざない

皆さんは、舞台を見ていて「Wow!」と思わず口にしたことがありませんか?そのドキッとした瞬間のほとんどが、明かり(照明)が大きく変化した瞬間です。
人間は外部からの情報を得るために五感を利用しますが、その中でも視覚から得られる情報が最も大きなウエイトを占めます。そして、その情報は人間の感情に大きな影響を与えます。
例えば、闘牛士は牛の前で赤い布をひらひらさせますが、あれは牛を興奮させているのではなく(牛は色盲で色はわかりません)観客を興奮させているのです。バーやクラブの内装に紫が多く使用されているのも紫には催眠効果があり、人を怪しげな気持ちにさせるからです。
舞台において、視覚効果の大きな部分を占め、なおかつ瞬時に変化させることが出来るものが「照明」なのです。照明効果によって観客の感性に直接的に訴えかけ、興奮させたり、不安にさせたり、悲しがらせたり、ほっとさせたり、喜ばせたりすることが出来ます。
さあそれでは「照明―めくるめく官能の世界」へ一緒に旅立ちましょう。

・あなたの過去を教えて ―照明の歴史
舞台照明の歴史を、ごく簡単に述べますと、次のような流れになります。
1)自然光(日光・月光)
厳密な意味では照明とは言えませんが、芝居が屋外で行われた時代は、人工の照明ではなく自然光を利用した照明が行われていました。日本の歌舞伎においては明治以降まで屋内であっても自然光を利用した照明が行われていました。
2)松明(たいまつ)・篝火(かがりび)
>闇は人間の本能を呼び覚まします。お祭りから発達した芝居もその幻想の世界に見る人を巻き込むために夜間行われることが多くそのために照明として松明や篝火が利用されました。日本においては、現在でも篝火能として残っています
3)ろうそく
芝居が屋内で行われることが多くなると、照明として「ろうそく」が利用されるようになりました。ろうそくは光量が少ないので多量に点灯できるシャンデリアが発達しました。シェークスピア時代の照明はほとんどがろうそくでした
4)ガス灯、ライムライト
石炭から分離された石炭ガス(主に一酸化炭素)を使用したガス灯は、ろうそくの約10倍程度の明るさを持っているため一時期照明用の明かりとして利用されましたが、多数使用すると、劇場内が酸素不足になることもあったと言われています。ライムライトは、酸素と水素(またはエーテルやガソリン)を燃やして出来た炎を生石灰に当てて強い光を出す物で、劇場用の照明としては、後述のアークライトと重なる時期まで利用されました。
5)電気による明かり
電気が利用できるようになると、電気による照明が行われるようになりました。電気を利用した照明の利点は点灯・消灯が容易に行えることにあります。このことにより、照明の効果としての役割が飛躍的に増したと思われます。ただし初期の電球は光量が少なく電球以外の灯具であるアークライトが利用されました。アークライトは、2つの炭素棒に電圧を掛け放電させることにより強い光を出す物です。(電気溶接の火花のようなもの)1960年代まで映画館で映写機の光源として使われました。
6)電球およびそれに類するもの
電球が発達するにしたがって、照明器具のほとんどが電球(白熱灯)になりました。このことにより照明の効果としての役割は他の効果と同等の地位を確保しました。電球の利点は、点灯・消灯のみならず光量のコントロールが容易に出来ること、他の明かりに比べて発熱量が少ないため明かりの前に色つきのゼラチンなどを置くことにより光に色が付けられることにあります。白熱灯の他にハロゲンランプ、また特殊な蛍光灯(ブラックライト−紫外線灯)なども利用されるようになってきています。現在の舞台照明と言うとほとんど全てが電球に類するものを利用します。


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2.そこが感じるところ ―照明の役割

照明の舞台における役割は、次のようなものがあります。
1)舞台および役者を見えるようにする。
これが照明の最も大切な役割です。どんな素晴らしいお芝居でも真っ暗やみの中で行われたのではお芝居になりません。他の効果が何らかの理由で無くとも役者がいればお芝居は出来ますが、明かりが無ければお芝居は出来ません。観客は役者の顔を(表情を)観ようとします。顔が暗いと観客は何とか見ようと努力して疲れてしまいます。よほど芝居の出来が良くないかぎり観客は芝居についてきてくれません。特殊な効果をねらうとき以外は役者の顔が見えるようにしなければなりません。
2)季節・時間・場所等の環境的雰囲気をつくる
春なのか、夏なのか、秋なのかそれとも冬なのか、また朝か、昼か夕方か、夜か、場所は屋外か、屋内か、海岸か、山奥かなどの環境的雰囲気を創り出すことも照明の大きな役割の1つです。
3)装置・衣装等を補助して盛り上げる
装置、衣装などを補助して盛り上げるのも照明の役割です。ほとんどの装置、衣装は本物ではありませんが、それをいかに本物に出来るかが照明の腕にかかっています。ベニヤに書かれた宮殿をいかに豪華な宮殿に見せるか、紙で作られた王冠をいかにきらびやかに見せるかが照明にかかっています。
4)役者の心理的表出を補助する
役者の心理的表出を光の方向、強さ、色などで補助します。照明の創造性が最も必要とされる部分で、演出意図、芝居の流れ、役者の心の動きにそって、役者の雰囲気を盛り上げその表出を際立たせる必要があります。

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3.あなたの性格を知りたい ―光の性質

照明をする場合には、光の性質(特質)を多少知っておくことが必要です。光には次のような性質があります。
1)光は見えません?
光には直進性があり、光そのものを横から見ても見えません。光が見えるのは光源(光を発しているもの)を直接見たときか、光がものに当たって反射した時です。光を光子と考えると、光子が私達の網膜に達した場合です。私たちが光を感じるのはほとんどが物に当たって反射した時です。
2)黒い光はありません。
>光の存在を打ち消す光はありません。例えば、明るい舞台の一部を黒いスポットライトを当ててそこだけ黒くすることはできません。反対に黒い舞台にスポットライトを当ててそこだけ明るくすることはできます。
3)物の色は反射
>物の色は、光が当たった時その色だけを反射し他の色を吸収するからです。白光色(太陽の光や明るい電球などの光)は、全ての光の色を含んでいます。(つまり、全ての光を混ぜ合わせると白光色になる)、その白光色に照らされたものがどの光を反射し、どの光を吸収するかで、物の色が決まります。
白はほとんどの光を反射し、黒はほとんどの光を吸収します。赤は赤い色のみを反射しその他の色を吸収します。
4)光の三原色
赤・青・緑の光を混合すると白い光になります。この3つの色を「光の三原色」と言います。理論的にはこの3色で全ての色が作り出せます。
・補色に注意
補色というのは、混ぜ合わせると白になる光のことで、赤に対して青緑、青に対して黄色などがあります。人間の目は補色修正機能があり、赤い光の中にいると赤を白と認識するような修正機能があります。 (青緑を感じる機能を強化します)そのために、赤い光から急に白い光に変わった場合、白が青みがかって見えます。特にその効果を狙った場合の他は注意が必要です。
5)対象物との関係
3)で述べたように、あるものが見えるのは光を反射したときです。赤は光の中の赤を反射しますが、例えば青い光の中で赤いものはどう見えるでしょうか、青い光と言うのは赤い光を含んでいませんので反射すべき赤はありません。何も反射しないと言うことは黒と言うことです。衣装がせっかく鮮やかな赤い衣装でも青い光の中ではほとんど黒に見えますし、反対に赤い光の中ではほとんど白に見えます。色を使う場合は充分に注意しなければなりません。
・役者の皆様へ
舞台上の自分に明かりが当たっているかどうかは、灯具の方を向いたとき、まぶしいか、まぶしくないかで判ります。前からの明かりがまぶしくない場合は演技エリアをはずれています。意図している場合の他は必ずまぶしく感じるエリア内でお芝居をしてください。

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4.色気たっぷり―色彩について

光に色をつけるには、ライトの前に色のついたプラスチックのフィルム(プラステート)をゼラ枠(またはプラステート枠 ―昔プラスチックのない頃は薄いゼラチンに色をつけした物を使用していたため今でもゼラ枠と言うことがある)にはさみ、挿入します。
プラステートには色によってナンバーが決まっていて、色をいう場合にはナンバーでいいます。光に色をつけることにより、環境、心理等色々な効果をつくりだすことができます。
次に色のグループと代表的なナンバー、その色の表す環境のイメージ・心理のイメージを述べますが、これは個人の感性に関わる部分ですので、実際に自分で色を見て感じる必要があります。
ナンバー 環境的イメージ 心理的イメージ
10番台
#16
ピンク
 
朝焼け、桜
ストリップ劇場
やさしさ、はかなさ
きれい
20番台
#22

 
朝焼け、夕焼け
火事、炎
情熱、怒り、衝撃
30番台
#34

アンバー
夕焼け、秋
電灯のついた部屋
甘い、終了
暖かい
40番台
#45

 
夏、日差し
電灯のついた部屋
躁(そう)、暑い、不安定
 
50番台
#53

 
森、林、草原
やさしさ、弱さ、不安
 
50番台後
半から60
番台前半
#58
青緑


 
海、湖


 
さみしさ、静けさ


 
60番台後
半から70
番台
#64
#72
#77
#78






 
空、水、夜、闇





 
静けさ、悲しさ、孤独
 ショック、冷たさ




 
80番台
#86

 
キャバレー
お坊さん
怪しい、高貴
 
 
表の他に、次のような特殊な使い方をするプラステートがあります。
#0・・・無色透明のプラステートで、形や色を部分的に貼りつけたりする場合の台紙として使われます。
#00・・・磨りガラスのような半透明のプラステートで、凸レンズのスポットライトの光を柔らかくする場合などに使われます。
これらの色をどのように使うかが照明の腕と言えます。あまりに華々しく色を使うと役者の演技を殺してしまうこともあります。反対に的確に使われた色は劇的な効果を与えます。色を使用する場合に、最も注意しなければならないのは、3− 5)で述べた装置・衣装との関係です。舞台装置、衣装担当と十分な打ち合わせが必要となります。

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5.うしろからまえからどうぞ―光の方向性

光の方向性も、環境・心理に色と同じような効果を持ちます。例えば、朝・昼間・夕方では光の方向は違うはずです。光の方向性を強調するためには、影(陰)を利用します。短い影は昼間を、長い影は夕方(朝)を感じさせます。心理的にも光の方向(影の出来方)によって色々な感じが表せます。
1)真正面からの照明 …能面のような無表情、冷たさ、堅さを感じさせます。
2)真上(多少前)からの照明(サス) …顔の陰をハッキリさせ、表情を強調する効果があります。スポット演技(舞台のその部分だけの照明)に使用されることが多く、役者にとって気持ちよく演技の出来る照明です。
3)上の多少後ろよりの照明(バックサス) …役者の体の輪郭を協調し、役者の体での表出を印象づけます。
4)前下からの照明(前からの舐め上げ) …不気味な感じになり、不安や、恐怖を感じさせます。
5)後ろ下からの照明(後ろからの舐め上げ) …衝撃的な登場に多く使われ、ショックや期待、恐れ、敬いなどを感じさせます。
装置に対する光の方向性も大事なことです。例えば、舞台奥に天国に続く階段があり、最初の数段が作り物で後は書割だったとすると、書割の階段が創る影(影も書割で描かれています)と作り物の階段が作る影は同じ方向に同じ濃さで出る必要があります。
光の直進性のため、顔に当てるつもりの前明かりでも、約30度以上の角度から当てると、役者の顔に陰が出来ます。役者の表情を見せるためには、前明かりはなるべく低い位置から当てる必要があります。ただし、あまり低い位置から当てると、エリアが創れません。舞台前面に当てるつもりが舞台奥まで明るくなってしまいます。ひどいときにはホリゾントに明かりが当たってしまいホリゾントの効果をじゃましてしまいます。演技エリアと顔当てのバランスを十分に考えることが必要です。
また、セットや地ガスリに当たった光の反射が不必要な所に当たる(これをハレーションと言います)ことがありますので、明かりの角度、方向には十分な注意が必要です。

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6.君の瞳は100万ボルト―電気の知識

電気の知識というと頭の痛くなる人が多いでしょう。目に見えないし、しびれるし。しかし現在の照明が電気的な照明である限り、電気のことは避けて通るわけには行きません。
しかし安心してください。知らなくてはならないことは、次に述べるたった2つのことのみです。
1)電気はつながっていないと流れない。
テレビや洗濯機のコードがコンセントに差し込まれていないと(つながっていないと)電気は入りません。当たり前のことですが、照明のトラブルの90%以上は電源が入らないことです。この場合、必ずどこかでコードが外れている・コードのどこかで断線している・電球のフィラメントが切れている・スイッチが入っていないなど、つながっていないのです。
点灯しない場合は、コンセントが外れていないか確かめる、スイッチが入っているか確かめる、別の灯具に変えてみる、それで点けば電球を確かめる。別の灯具でもつかなければ、コードを取り替えてみる。それで点けばコードの不良。コードを変える。それでもつかなければ、電気が来ていない、スイッチ等を確かめる。
2)ワット(電気容量)の計算
計算というとまた頭が痛くなってきますが、電気容量に制限のある会場で照明をする場合、どれだけの灯具を 1度に使用できるかを知るために必要です。もし、会場の電気容量を超えて電気を使うとブレーカーがとんだり、ヒューズが切れたりします。
計算方法は、とっても簡単で次の式を覚えるだけです。
計算式は:
W(ワット)=A(アンペア)×V(電圧)
会場で使用できる容量は、アンペアで表されています。例えば、普通の家庭では、使用できる電気容量は30Aです。電圧は、通常100Vと決まっていますので、30 ×100で3000W(3KW)まで使用できます。灯具は使用電球によって消費ワット数が決まっていて、T1の場合は500Wです。ですから3000Wの家庭ではT1を6個同時に点灯できることになります。
言い方を変えますと、500WのT1は、5A(500W÷100V)の電気を使うため、30Aでは6個使えるということです。
当劇団の稽古場は、60Aまで使用できますので、T1を12個(灯)同時に点灯できます。
難しいと思われた方は、こう考えてみてください。A(アンペア)を数量、V(電圧)をお金とします、通常私たちが使う電圧は100Vなので、100円玉とします。60Aと言うことは、100円玉を60個持っていることになります。つまり6000円持っていると言うことです。500Wの灯具は500円と考えます(1KWの灯具は1000円です)。6000円で500円のものが幾つ買えるかということなのです。

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7.はじめてなの―実際の照明

照明の仕事は、大きく分けて2つあります。1つは「プランナー」と呼ばれる照明のプランを立てる仕事で、これはほとんどの場合一人で行います。もう 1つは「オペレータ」と呼ばれる仕事で、実際の公演で調光卓などを操作して明かりを入れたり切ったり調整したりする仕事です。オペレータは一人とは限りません。フォロースポット等を使用した場合、専用のオペレータが必要になります。当劇団のような小さな集団では、プランナーとオペレータを一人で行うことも珍しくありません。
7−1.プランナーの仕事
1)台本を分析し、どのような場があり、どのような明かりが必要かを考え、イメージを膨らませます。
2)演出・装置・衣装と打合せイメージの統一を図ります。
3)稽古を良く見て、役者のミザンスを理解します(役者がどこで、どのように動き、どちらに顔を向けているか等)。また、演出の役者に対するダメを聞き、どのような世界が必要とされているのかを知ります。
4)装置から装置図を受取ります。
5)装置をもとに、各場面の必要とされている明かりを書きます。(この時、半透明の紙に書いておくと後でまとめる時に便利です。)
6)それぞれの場の明かりを一つにまとめます。
7)一つにまとめた明かりをもとに、どのような灯具でどの方向から明かりを作れば良いかを考え、「照明仕込み図」を書きます。
8)オペレータに「照明仕込み図」をもとにイメージを伝えます。
7−2.オペレータの仕事
1)プランナーから仕込み図を受取り、どの場面でどのような明かりを作るのかを把握します。
2)稽古に参加し、どこでどのような明かりが入るのかを役者のタイミングと共に捉えます。
3)稽古の中で明かりの流れをイメージし、シュミレートします。
4)アイデア等を演出と打合せをします。
5)ミザンスが決まってきたら、仕込み図を芝居に合わせて修正します。
6)明かりが仕込める場合は仕込み、稽古に合わせて明かりを入れます。
7)「Qシート」を作ります。
*「Qシート」・・「Q(キュー)」とは、キッカケのことで、明かりの変更のキッカケや明るさ等を書き込んだ表。台本内に書き込んで「Qシート」とする こともあります。
8)公演直前に「明かり合わせ」を行います。
*「明かり合わせ」・・「シューティング」とも言い、目指した所に予定の明かりが当たっているか、明か りのバランスは良いか、等を役者、演出に協力してもらって、明かりの方向、大きさ、明るさ等を決めることを言います。もちろん、この結果は「Qシート」に反映されます。
9)公演で実際に明かりをいれます。
オペレータは、Qシートをもとに明かりを入れれば良いと思われがちですが、決してそんな事はありません。舞台は生き物です。役者のタイミングも表出もそのたびに違ってきます。オペレータはそれに合わせて照明を行う必要があります。オペレータは姿の見えない役者です。

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機器編

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1.好きなあなたのためならば −知らねばならぬ事柄

実際に、照明を担当するためには、照明機器の名前、設置場所、設置 方法、機器の取り扱い方法などを知る必要があります。ここでは、照明 を担当する場合知っておかなければならない機器の名称、取り扱い方法 について述べます。

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2.君の名は ―照明に使われる機器

2−1.男?女? −灯具
照明に使用される機器の内、明かりそのものを発する機器を灯具と言います。灯具は種類と使用場所によって複雑に入り組んで呼ばれていますが大きく分けて次のようになります。
1)フラットライト(ストリップライト)
前にレンズの付いていない灯具です。
柔らかく境目のない明かりをつくります。
単独で傘の付いたもの(フラットと呼ばれる)と多数が連結されたもの(ストリップと呼ばれる)があります。
2)スポットライト
前にレンズの付いた灯具です。ある範囲内で光のあたる大きさを調整することが出来ます。強く明るい明かりをつくります。スポットライトはレンズの種類によって次の2つがあります。
(1)凸レンズ(フラノコンペックス)のもの → 通常のレンズで境界のハッキリした強い明かりで陰がクッキリと出ます。
(2)フレネルレンズのもの → 表面が凸凹したレンズを使ったもので凸レンズのものに比べ境界のハッキリしない柔らかい明かりです。
3)ピンスポット
1点に明かりを当てるために特別にレンズ効果を高めたスポットライトで最もシャープな明かりです。
*ピンスポットは、高光量のため、特殊な電球を使用している 場合が多く、手順を間違えるとすぐ玉切れをおこします。使用に当たっては、会館の担当者によく使用方法の説明を聞いておきましょう。
4)エフェクトマシーン
ライトの前面で種板と呼ばれるすかし模様の入った円盤をモーターで回し先玉と呼ばれるレンズでホリゾントに模様を映し出す灯具で種板を変えることにより、雪、雨、雲などの効果を得ることが出来ます。
*回転方向、スピード、フォーカス(焦点)が調整できるので、 これらを調整して出したい雰囲気を創ります。例えば、同じ 雨でも、氷雨から大雨まで、また、同じ雲でも、のどかな雲 から嵐の雲まで、これらの調整で出すことが出来ます。
同じような効果用マシーンで、ライトの前で円筒にスリットの入ったものが回転し、波の反射する明かりをつくるリップルマシーンと呼ばれるものもあります。
*ホリゾントや、遠見、張り物、人物などに当てて、水辺の雰 囲気を出します。
5)ストロボ
閃光(瞬間的な強い光)をだす灯具で、雷(稲光)、爆発、などに利用されます。また、連続的に発光させることにより、ストップモーション的な効果を得ることもできます。
なお、芝居で使用される灯具は、ほとんどが前にゼラ枠(2−2の項参照)が挿入できるようになっています。

*劇団にある灯具*
・T1(ベビスポ・弁当箱) → 500Wの凸レンズのスポットライトです。
・DF → 500Wのフレネルレンズのスポットライトです。
・キロスポ → 1KWの凸レンズのスポットライトです。
・ストリップ → 100W4灯連結(2回路)のフラットライトです。
・フラットライト → 200Wのフラットライトで、劇団「やまなみ」から寄贈していただきました。
・のんべえライト → 100〜200Wのフラットライトで劇団手作りです。
・筒型ハロゲン → 500Wのハロゲンランプを使用したフラットライトで布施さんの手作りです。

2−2.ドレスアップ −その他の機器
灯具ではありませんが、照明をする場合名前を知っておかなければならないものがいくつかあります。
1)プラステート →シート状の色の付いたプラスチックのフィルムで、光に色を付けるときに使用します。それぞれの色固有の番号で呼ばれます。(理論編参照)
1枚の大きさは約A2サイズで、使用する灯具のゼラ枠の大きさに合わせてカットして使用します
2)ゼラ枠 →プラステート枠とも呼ばれ、プラステートを挟み、灯具の前に付けて光に色をつけるもの。昔、プラステートの無い時代には、薄いゼラチンに色を付けて使用していたためこう呼ばれます。古い照明家の人の中には、いまだにプラステートのことをゼラチンまたはゼラと呼ぶ人がいます。
3)スタンド →舞台面に灯具を設置する場合(ステージスポット、ころがし等)やエフェクトマシーンの設置、また仮設会場などにおいて、灯具を設置するための機器です。足の部分が丸形のもの、3本足のもの等があります。ころがし用を除き高さを調節出来るものがほとんどです。
高さを高くして使用する場合(特に仮設舞台でフロントやシーリングの代わりに使用する場合)転倒しやすくなるため、スタンドの足下には立ち入れなくする、スタンドの真ん中より上部を壁や梁に結びつける等の転倒を防止するための安全策が必ず必要です。
4)つなぎ(つなぎコード) →コンセントと灯具の間が離れていて灯具のコードがコンセントまで届かない場合、間に使用する1.5m〜3m程度の延長コードです。
通常使用されるコンセントは、T型ですが、家庭で使用される平行型、フロアーコンセント(舞台面のコンセント)用のC型のものもあります。また、両方のコンセントの型が違うものもあり、「T型オス、平行メスのつなぎ」などと言います
5)調光卓 →調光卓はオペレーター(操作者)が実際に芝居の進行に合わせて明かりを点灯・消灯・調整することのできる装置で、フェーダーと呼ばれるレバーやスイッチが沢山ついています。

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3.約束(デート)の場所は ―場所による灯具の呼び方

劇場では、設置場所によって明かりの名称が決まっています。
・舞台上
(1)ホリゾントライト(アッパーホリ−UH、ローホリ−LH)
ホリゾントを染めるためのライトで、上から当てるものを「アッパーホリゾント」、下から当てるものを「ローワーホリゾント(ローホリ)」と言います。
「アッパーホリゾント」は、通常単独のフラットライトが使用されます。「ローホリ」には連結されたストリップライトが通常使用されます。
(2)ボーダーライト(ボーダー−B)
舞台上部に横に何列か設置されているライトで、ストリップライトが使用され、基本的に赤・青・緑の三原色および色の付いていないもの(電球そのままで、プラステートがかかっていないもの−生(なま)といいます)が仕込まれています。ボーダーライトは舞台客席側から1ボー、2ボーと順番に呼ばれます。
ボーダーライトは作業明かりか、暗転明かりに利用され、劇中に利用することは余りありません。
(3)サスペンションライト(サス−Sus)
舞台上のバトンに吊り下げられたライトで、演技エリアを作ったり、影を消したりするために使われます。灯具は現在はほとんどがフレネルレンズのスポットライトです。(小さな会場ではフラットライトのこともあります。)サスペンションライトも客席側から1サス、2サスと順番に呼ばれます。芝居に合わせて灯具の位置(上手、下手)、数量が変更されます。会館と呼ばれるような舞台での照明の仕込み(準備作業)の時間のほとんどがこのライトの設定に費やされます。
(4)ステージスポット(S.S)
舞台袖にスタンドで設置されたライトで、前からの明かりがあたらない場合や、横からの明かりがほしい場合に使用します。灯具はスポットライトで、使用目的に合わせて凸レンズか、フレネルレンズを選択します。
(5)ころがし
舞台上の低い位置に設置するライトを「ころがし」と呼びます。
・客席側
(6)フロントライト(フロント−Fr)
客席前よりの両側に設置されたライトです。上手にあるものを上手フロント、下手にあるものを下手フロントと呼びます。灯具は、凸レンズのスポットライトが主です。フロントの明かりは前からの明かりで(前からの明かりを「前明かり」、または「顔当て」とも言います)、演劇の明かりは基本的にこの明かりが中心になります。
(7)シーリングライト(シーリング−CL)
客席中央付近の上部に上手から下手まで設置されたライトです。演劇以外の舞台では多用される明かりです。正面からの明かりになりますので、平面的な明かりになります。使用する場合は注意が必要です。灯具は凸レンズのスポットライトです。
(8)ピンスポット(Pin)
これは灯具と同じ名前で呼ばれ、鋭い明かりのため照射角の変化を少なくするために客席後方のある程度低い位置に設置されています。灯具はもちろんピンスポットです。ピンスポットはフォロースポットとし使用することが多いため、オペレーターがつくことがほとんどです。役者が最もかっこよく見える明かりです。
(8)フォロースポット
舞台上の役者の動きに合わせて、役者を追いかける明かりをフォロースポット(フォロー、フォロスポと呼ばれることもある)と言います。灯具はピンスポットを使用することが多いのですが、凸レンズのスポットライトやフレネルのスポットライトを利用する場合もあります。フォロースポットには必ず操作するオペレータがつきます。シーリングの一部を利用する場合やシーリングの場所に小型のピンスポットを設置して利用する場合、ピンスポットを利用する場合があります。
以上のような呼び方が一般的ですが、会場または照明担当者によって多少呼び方が変わってくる場合もあります。例えばサスペンションから当てるスポットライトをS.S(サスペンションスポット)と書く場合もあります。この場合、ステージスポットをスタンドと呼んだりします。

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4.私の全てを知って―照明器具類の構造と使い方

基本的な注意を1つしておきます。照明器具を扱う場合は必ず「軍手」をはめて下さい。これは、やけど・感電・汚れの防止、及び電球の寿命のためです。灯具は短時間の点灯でもそうとう熱くなっています。(電力の約90%は熱になっています)これを素手で扱いますと、やけどをするばかりでなく、思わぬ事故につながります。(アッと思った瞬間に灯具を落としたり、脚立から落ちたりします)また、素手で電球を触ると電球に手の油がつき、電球の寿命を極端に短くします。
灯具を扱う場合は、基本的に必ず軍手をして下さい。
1)構造と機能
灯具の機能としては、フラットライトは光の方向を決める機能が、スポットライトにはそれに加えて、照射範囲を決める機能(フォーカス)もあります。(照射範囲を広げることを「開く」、狭めることを「絞る」と言います)
これらの灯具の構造と機能を知っておくことが、実際の照明をやるに当たって必要なこととなります。
T1を例にとります
(1)蓋…電球を取り替えたり、内部の清掃の時に開けるための蓋です。T1は上部にありますが、前(レンズ側)にあったり後ろ(レンズと反対側)にあったりします。上下に大きく分かれるものもあります。
(2)レンズ…光を集光するためのレンズです。T1は凸レンズですが、DFなどフレネルレンズのものもあります。
(3)プラステート枠を挿入する部分です。
(4)吊り金具…ハンガーを使ってバトンに本体を吊り下げる金具です。
(5)ミラー球…後ろ半分を鏡にした照明専用の電球です。光の出る方向が決まっています。
(6)フォーカス調整用ネジ…明かりの範囲を小さくしたり、大きくしたりするための調整ネジです。この部分を緩めると「A」の部分が前後に動かせますので内部の電球をレンズに近づけたり、遠ざけたりして明かりの大きさを決め、再び締めつけます。T1以外のものは、器具の後ろにレバーが出ていて、それを前後させることにより調整します。
(7)電球位置調整用ネジ…レンズの中心に対する位置を調整するためのネジです。このネジを緩めて内側のパイプ(電線の入っているパイプ)を上下したり、回したりして電球の位置を調整します。DFにはこの機能がついていないため内部の電球を直接調整します。(DFの電球ソケットは調整できるようにバネで押さえられています。)
(8)上下調節用蝶ネジ…光の上下の角度を調整するためのもので、左右両側に着いています。このネジを緩め、角度を調整した後に再びかるく(灯具が侍従や振動で動かないで、意識して力を加えれば動く程度に)締めておきます。T1以外の灯具では蝶ネジではなく握りネジが使われています。また、片方にしか付いていないものもあります。
(9)ハンガー…灯具をバトンにつるすためのものです。
(10)灯具取り付けネジ…灯具の吊金具をハンガーに差し込み、このネジで固定します。この時、灯具の吊金具の溝にネジがしっかり入っていることを確かめてください。このネジをほんの少し緩めて光の左右の方向を決めます。緩めたネジは必ず締めておいてください。(あまりきつく締めないで、力を加えれば灯具が左右に動くぐらいにしておきます)
(11)バトン取り付け用ネジ…このネジを緩めてバトンにはめてネジをしっかりと締めつけてハンガーをバトンに取りつけます。
2)灯具の使い方
(1)灯具をおろした状態で電球レンズを乾いた布で拭き、汚れや埃を取ります。
(2)電源を用意し点灯することを確かめます。凸レンズのスポットライトの場合、フォーカスを最も絞り(光の輪を小さくすることを「絞る」といい、大きくすることを「開く」といいます)壁やホリゾントを照らしてみます。電球のフィラメントが映るので、フィラメントが明かりの中心になるべくはっきり写るように電球位置調整ネジを緩めて調整します。フレネルレンズの場合は写りませんので、消灯した状態で蓋を開け、レンズとミラー球の鏡の部分が平行になっていることを確かめます。
(3)ハンガーを取り付けバトンに取りつけます。この時、落下帽子のため必ず灯具の吊金具とバトンをバインド線またはワイヤー等で弛みを保たせてしっかりと結び付けてください。これを忘れると大事故になりかねません。
(4)電源をつなぎ必要な明かりになるよう上下(上下調整ネジを緩めて行う)左右(灯具取り付けネジを緩めて行う)明かりの大きさ(フォーカス調整ネジを緩めて行う)を調整します。

  劇団における電源コードの扱い方
劇団では電源コードとして、キャプタイヤ・小判型・袋打ちの3種類のコードを使用しています。キャプタイヤは灰色または黒の丸い断面のコードです。小判型は灰色で楕円の断面積のコードです。袋打ちはコタツのコードのようなコードです。
どのコードにしても、収納・移動の為に巻き取らなくてはなりませんが、ロープのようにくるくると巻くと、使用するときにコードの巻き癖がついて上手く扱えません。そこで、劇団ではコードを巻く場合に次に述べる方法で巻きます。
(1)コードの紐のついているほうの端を左手の掌にのせます。この時、コードの端が親指と人差し指の間からすこし垂れるようにのせます。
(2)左手を握り、コードを軽く持ち、右手のコードを滑らしながら両手を広げます。
(3)右手のコードをしっかり握り、その部分を右手に渡します。この時コードは左手の小指の方から出ていますので、小指の方から戻すように渡してください。
(4)再び左手を握り、右手のコードを滑らしながら両手を広げます。右手のコードをしっかり握り、その部分を右手に渡します。この時、コードは左手の親指の方から出ていますので、親指の方から戻るように渡してください。
(5)これを、小指側・親指側と繰り返し、コードの最後まで着たら、左手で握った部分を紐で結びます。

3)調光卓関連
3−1. 調光に関する言葉。
(1)パッチ
どの灯具(灯具がつながっているコンセント)をどのフェーダーに割り振るかを決めることを、パッチと言います。昔はパッチ盤に直接パッチコードを差し込んで配線していましたが、現在はほとんどがコンピュータで処理されます。パッチ処理によりフェーダー割付表と各灯具が関連づけられます。
(2)コンポ
2つ以上の灯具を1つのフェーダーに割り振ることを言います。「この明かりと、この明かりをコンポでフェーダー3へ」のような使い方をします。
3−2.調光卓
・フェーダー
フェードイン(溶明)、フェードアウト(溶暗)を行うもので、調光卓にずらっと並んでいるレバー(ボリューム)です。
フェーダーは、向こう側にすると、そのフェーダーが担当している灯具が、明るくなり、手前にすると暗くなります
(1)プリセットフェーダー
調光卓は、横1列のフェーダーが1組の調光回路を構成しています。調光卓には、通常、横一列のフェーダーが、何段か並んでいて、現在調光している他に、次の回路等をあらかじめ設定しておき、切り替えて使用することが出来ます。そのために、これらのフェーダーは、次に述べる、マスターフェーダー、クロスフェーダー、グループフェーダーに対してプリセットフェーダーと呼ばれることがあります。調光卓の仕様を表すのに、2段12回路とか3段25回路とか言い、プリセットの段数と調光回路数を表します。
(2)マスター(メイン)フェーダー
調光卓の一番左側に1つだけ離れているフェーダーで、全ての回路を一度に調光するためのものです。
(3)クロスフェーダー
調光卓の左側に、[A][B]と書かれた2つ並んだフェーダーです。他のフェーダーと違って、[B]のフェーダーは、手前にすると明るく、向こう側にすると暗くなるようになっています。[A][B]ともそれぞれ、A,B切り替えスイッチで指定した各段のプリセットフェーダーの列全てを調光します。例えば[A]を一段目に設定し、[B]を二段目に設定してあるとします。一段目に夕方のシーンを、二段目に夜のシーンを設定してあるとしますと、[A]、[B]2つのクロスフェーダーを同時に動かすことによるり、夕方のシーンから夜のシーンにスムーズに変化させることが出来ます。つまり、明かりをクロスさせることが出来ます。
(4)グループフェーダー
明かりの内、いくつかのみを同時に変化させたい場合があります。この場合、変化させたいフェーダーをグループフェーダーに割り当てることができます。このとき使用するのがグループフェーダーで、調光卓の右側にあります。
・切り替えスイッチ
調光卓には、各種の機能を切り替えるためのスイッチが沢山ついています。この内よく使うものは、次のようなものです。
(5)A,B切り替えスイッチ
クロスフェーダーへの割り当てようのスイッチで、例えば、三段目のプリセットフェーダー群をクロスフェーダー[A]に割り振り、クロスフェーダー[B]は一段目に割り振る、と言うような使い方をします。
(6)直・調切り替えスイッチ
そのフェーダーに割り振られている灯具を調光するのか、直接点灯するのかを切り替えるためのスイッチで、仕込み時や、保守、点検時に使用するものです。直に切り替わっている場合はフェーダーによる調光は出来ません。


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テクニック編


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1.うふん、テクニシャン −照明プラン、仕込み図の作成方法

 実際の、プランナーの仕事は次の様になります。
1−1.あなたの全てがほしい −明かりの書き出し
・稽古に参加し、役者の動き、演出の思考を十分に把握します。この時、明かりを当てる場合の、必要性、雰囲気等を、役者が役創りをするのと同様にイメージを創り上げて いきます。例えば、このシーンはスポットライトが適 切とか、ここでホリゾントを真っ赤にしようとかです。芝居の流れ(内容)を十分に掴んでイメージします。
・舞台平面図に装置を書き込んだものを、必要なシーンの枚数(幕、景、ピース分または明かりの変化する回数分)用意します。
・各シーン毎に必要な明かりをラフに書き込んで行きます。(各 シーン一枚ずつ使用します)つまり、明かりのプランを立てていくことになります。
[幕開き]
[つうの登場]
このように、全てのシーンの明かりを書き出します。変化の少ない芝居でも数枚、変化の多い芝居ですと数十枚になることもあります。
1−2.色男、金と力はなかりけり −統合する
前項で、書き出した明かりを全てシーン毎に灯具を使用できると簡単なのですが、それでは膨大な量の灯具が必要となって しまいます。また、たとえ灯具が確保されてもそれぞれの明かりを調光する装置も大変な数になってしまいます。
そこで、全てのシーンを見ながら共通な明かりに統一していきます。劇団の稽古場のでは、灯具の数が決まっていますし(T 1が12台、DFが3台、筒型ハロゲンが5台程度しかありません)、電気容量にも制限があります(最大70A−500W の灯具が14台分)。また、調光も15回路程度しかありません。それらのことを加味しながら必要な明かりを統合していき ます。
だいたい、生の(色を使用しない)地明かり(エリア用の明 かり)と前明かり、色を使用する地明かり、特殊な明かりの3枚程度にまとめれば良いでしょう。
[エリア(なま)]
[エリア青]
[その他]
1−3.ラブレター・フォー・ユー −仕込み図を書く
前項のプラン図を元に、仕込み図を書きます。
・仕込み図に書く灯具その他は記号で書かれそれぞれ次のような記号が使われます(実際はもっと沢山、細かく決め られているのですが、この程度知っていれば十分でしょう)























 
名称・意味 記入 記号
ボーダー
 
アッパーホリ UH
ローホリ

 
LH

 


 
スポット(凸)
右図はサスの時
Sp
 

 
Sus
スポット(フレネル)
右図はサスの時
Sp
 

 
Sus
フラット
右図はサスの時
Fd
 

 

 
ピンスポット

 
Pin

 


 
フォロースポット

 


 


 
エフェクトマシーン

 


 


 
サスの方向を示す

 


 


 
 
・ボーダーは、矢印の上にボーダーナンバーと色ナンバーを記入する。アッパーホリはUHと色ナンバーを記入する。
/ 2B−#W、#78、#22、#45
/ UH−#72、#67、#22
・ローホリはLHと色ナンバーを記入する。
 LH−#72、#67、#22 
・スポットライトには、色を使用する場合は色ナンバーを横に書く。またサスとして使用する場合方向が有れば矢印で方向を示す。
・エフェクトマシーンは使う種板を横に書く(例えば、雨)
1)使用できる灯具と、バトン位置等を考えながらどこにどの様な器具を使いどの様な色を入れればよいかを考えます。
2)灯具等に制約がある場合、まず特殊な明かりから(スポットでの演技)確保します。
3)次に前明かりを考えます。
4)生のエリア明かりを考えます。
5)色効果用の明かりを考えます。
・仕込み図の例
・灯具間に引いてある線は、基本的に同一の回路に接続される(1つの フェーダー−調光レバー−に接続される)ことを示しています。
仕込み図は、プランナーの芝居に対する想いが籠められています。あまり形式にこだわることなく、わかりやすく書いてください。
1−4.三角関係 −舞台照明の基本(平井新バージョン)
色々と考えてプランを(仕込み図を)書くのですが、なかなかうまく行かない場合や、灯具の不足、電気容量の不足等で、なんともならないことがあります。そういうときに役に立つ平井新バージョンの照明のノウハウをお教えします。(20年間、灯具の不足、電気容量の不足に堪え忍び編み出した方法です)
1)エリア明かり(サス)をあきらめます。
サスは、よけいな影を消し、観客、役者に演技エリアを認識させ舞台空間を形創る為に必要ですが、これをあきらめ、前明かりのみで処理します。これでそうとう楽になります。
2)色をあきらめます。
小さな会場でも、舞台をある色に染めるためには少な くとも3灯以上の灯具がいります。舞台照明の基本は 役者が見えることなので、色を使った劇的な照明はあ きらめます。プランナーの演劇的能力をそぐことにな りますが、背に腹は代えられません。涙をのんで色を あきらめてください。ただし、ただあきらめるのでは なく、4)のような方法がないかを考えてください。
3)舞台を3つのエリアにわける。
この場合のエリアとは、前明かりで創られる演技エリアのことです。そのお芝居で必要なエリアはいろいろあるでしょうが、基本的に上手、中央、下手の3つのエリアのみにしてしまいます。不思議なことですが、この3つのエリアの切り替えで何とか演技エリアの切り替えが出来るものです。
多少灯具に余裕のある場合は、中央を前後に分けて4つのエリアにするか、後ろを2つのエリアに分けて5つのエリアにします。
理想的には、上手、中央、下手を前後に分けて6つのエリアをつくれば完璧です。よほど特殊な芝居でない限り6つのエリアがあればほぼ問題なく照明が出来ます。
[3つに分けた場合]
[4つまたは5つに分けた場合]
[6つに分けた場合(これで完璧)]
4)象徴や錯覚を利用する。
3)で、色をあきらめると言いましたが、確かに舞台 全体を色づけするには沢山の灯具が必要になります。 そこで、少ない灯具で色を付けるには、象徴や錯覚を 利用します。例えば、夜のシーンで舞台全体を青く染 められない場合、街灯の周りだけ青く染めます。家の 壁や、窓から見える遠見などでも同じ効果があります。 ホリゾントが赤く染められない場合は、赤い鋭い一筋 の光をホリゾントに当てるだけでも大きな効果があり ます。このように、どこか一カ所、色を使うことによ って象徴させたり錯覚させたりできないかを考えま す。
5)クロス・シューティング
大きな会場で客席と舞台が離れている場合は、あまり気にしないでも良いのですが、小さな会場で舞台と客席が近い場合、顔当ての明かりの方向に注意が必要です。
客席と舞台が遠い場合は、正面からの明かりの方向と観客の目線の方向はあまり違いませんが、客席と舞台が近い場合、舞台の上手、または下手の役者に正面からだけの明かりでは反対側の観客からは陰が出来てしまいます。
 そこで、前明かり(顔当て)を少なくとも2灯、出来れば3灯で対象に向かってクロスするように当てます。こうすることにより客席のどの位置からも役者を観ることが出来るようになります。
1−5.その気にさせる雰囲気に −役者のために
照明の基本が、観客に役者を見せることにあるのは当然ですが、それ以外に、ある雰囲気、状況を創り出すためのものでもあります。これは、観客の為だけでなく、舞台上の役者のためでもあるのです。衣装や、小道具、装置が、観客の為だけでなく役者に、ある世界を提供するのと同様に、照明も役者にある世界を信じさせることが必要です。
1−6.あなたごのみの私にして −芸術の創造
灯具の数、電気容量等あまりに制約が多いと、つい出来るようにやる(こうしかできない、これで精一杯)ようになってしまいがちです。しかし、照明も芝居という芸術を構築している1要素です。プランナーのその芝居に対する芸術的こだわり(オ リジナリティやポリシー)が必要です。芝居を壊してしまうような突飛なことはともかくとして、これが、自分の照明だというものの追求は常に必要です。

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2.肉体派 −仕込み、オペレートの実際

実際のオペレータの仕事は次のようになります。
2−1,気持ちを確かめなくっちや −プランナーとの打ち合わせ
プランナーから仕込み図を受け取り、プランナーのイメージを良く聞きます。当劇団の場合は、プランナーとオペレータを兼ねることが多いのであまり必要ないかも知れませんが、フォロー等を使用する場合はオペレータが必要となりますので、イメージの統一は大切なことです。(仕込み図の出来上がりが遅い場合があるので、このことがオペレータの仕事の最初とは限りません。次の2−2からの作業が先になることが多くあります)
2−2.熱い眼差し −稽古への参加その1
芝居の稽古を良く見ます。役者の生理的なタイミング、感情的なタイミングを捕まえられるように、また演出のイメージを捉えられるように稽古に参加します。稽古に合わせて自分の中で明かりのキッカケをイメージします。
2−3.想いをうち明けよう −稽古への参加その2
ある程度稽古が進んだら、口頭で稽古の中に明かりのキッカケを入れていきます。また同時に「Qシート」を創っていきます。口頭でキッカケを稽古の中で入れることにより、演出からのダメを受けます。
*「Qシート」の書き方は、自分が理解できるように書けば良いのですが、よく使われる言葉を次に上げておきます。また、矢印による記述もよく使われます。
・フェードイン(F.I)・・ゆっくりと明かりが入ることを言います。
・フェードアウト(F.O)・・ゆっくりと明かりが落ちる(暗くなる)事を言います。
・溶暗(ようあん)・・フェードアウトと同じ意味ですが、ニアンス的にフェードアウトよりもっとゆっくり暗くなるイメージがあります。
・カットイン・・急激に明かりが入ることを言います。
・カットアウト・・急激に暗くなることを言います。
・暗転・・・暗い中で場面転換することを言います。もしこの 時、舞台上での作業(セットの転換、役者の出入り、板付き)がある場合は、暗転明かりと呼ばれる最低限の明かりが必要になります。通常はブルーの地明かり(エリア明かり)をごく弱く入れます。この時、観客 の雰囲気を切らないため、一度真っ暗にしてから地明 かりを入れ、作業終了後もう一度真っ暗にしてから次の場面の明かりを入れます。
・Qシート例(台本に書き込んだ場合)
・Qシート例(Qシートを新たに作った場合)
*別に決まった書き方はありませんので、自分の分かりやすいように書式を作ってください。
2−4.ゆれる心 −仕込み図の修正
役者のミザンス(動き)がある程度固まってきたら、役者の動きと、物理的な位置を把握します。仕込み図が書かれたとき と役者の位置関係が違っている場合があるので仕込み図を修正します。仕込み図と大きく違っているような場合は、プランナーに相談します。
2−5.計画を立てて −仕込み準備
仕込み図を元に各灯具の調光卓のフェーダーへの割付表を書きます。各灯具の調光卓のフェーダーへの割り振りは、感覚的に分かりやすく割り振ってください。例えば、ホリゾントの3色がフェーダーのいろんな所にバラバラに割り振られていると細かな調整にとても不便です。1つのエリアに対するサスと前明かりは同じ様な所へ割り振っておいた方が良いでしょう(サ スはサスだけ、前明かりは前明かりだけと言う割り振りもあります)どの明かりがどのフェーダーに接続されているかを体で覚えるぐらいに(手が自動的にそのフェーダーに行くぐらいに)何度も練習します。
・フェーダー割付表例


公演名:アンネの日記
シーン癲     
2−6.行動あるのみ −仕込み
仕込み図を元に灯具の吊り込みを行います。また、必要ならばフェーダー割付表にしたがって各灯具から調光器までの配線を行います。大きい会場なら(パッチ盤のある会場なら)パッチを当てます。(各灯具をフェーダー割付表にしたがって割り付けます)
2−7.どこが感じる? −各シーンの作成
各シーン全ての明かりを創ります。各シーン毎に自分で舞台に立ってみて明かりが当たっていることを確認します(明かりが当たっているかどうかは、前明かりを見てまぶしいか、まぶしくないかで判ります)また、役者の協力を得て実際に舞台に立って貰い、思うところに思うような明かりが当たっているかを確認します。出来た各シーンのフェーダーを「Qシート」、フェーダー割付表に記入します(この場合フェーダー割付表は必要なシーン分用意します)。稽古場以外の公演では、「明かり合わせ(シューティング)」の短時間で行わなければならないこともあります。
・フェーダー割付表に記入した例


公演名:アンネの日記
シーン癲。院   

2−8.これで感じる? −演出からのダメを受ける
稽古に明かりを入れ、演出からのダメを受けます。結果は「Qシート」、フェーダー割付表に反映させます。稽古場以外の公演では、通し稽古1発勝負のこともあります。
2−9.胸がドキドキ −本番
本番に明かりを入れます。
「Qシート」、フェーダー割付表にしたがって明かりを入れていくわけですが、「Qシート」、フェーダー割付表は、あくまでも覚え書きまたは参考資料のようなものです。舞台の進行、 雰囲気、状態に従って、必要な、また適切な光量、タイミングが必要になります。芝居で必要とされている光量、タイミング は数値化された物でなく今、この場で、この舞台で必要とされている光量、タイミングでなければなりません。
2−10.若いのね −ミスに関して
舞台本番に置いて、照明は非常に大切な役割を果たします。 極端に言えば、装置の一部がなくても、小道具の1つがなくても、特殊でない限り衣装がなくても芝居は出来ますが、明かりがなくて真っ暗だと芝居は出来ません。このように大切な照明ですが芝居は生ものですミスを犯すことも多々あります。ミス を少なくするために次のことに注意してください。
・ミスを引きずらない
ミスを犯すと、そのことが気になって(あわててしまって)パニックに陥ることがあります。ミスはミスとしてさらりと流し、 次のこともしくは今のことに集中してください。
・あまり先を考えない
ミスらないために、先へ先へと考えたり用意したりしてしまいがちですが、そうすると、舞台上の芝居の流れと離れてしまいキッカケやタイミングを外しがちになります。オペレータも舞 台空間を共有する役者の一人です。芝居の流れに従って心を動かすことが大切です。特殊な場合を除き1つだけ先のことを用意するだけで十分です。
2−11.イクときは一緒に −オペレータの役割
しつこいようですが、オペレータは舞台空間を役者と共有する必要があります。オペレータは、姿の見えない役者です。Qシート通りの機械的なタイミングや明るさを操作するなら機械で十分です。オペレータは一人の役者として舞台上の役者のイキ(心、感情、想い、リズム)に心を合わせる(役者のイキが感じられる)必要があります。稽古の中でそのイキを十分に掴む必要があります。どんなに照明のオペレータ室が舞台から遠くても、舞台上の役者のイキは感じられるものです。役者が「ここで」と思った瞬間に照明が変化する。このことが、役者にとって非常な快感であると共にオペレータの快感でもあり、芝居が生きる瞬間でもあります。


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実技編


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1.触って良いよ −機器の取り扱い

1−1.やさしくしてね −灯具の整備
・T1またはDFの電球を脱着してみます。
・レンズ、電球、本体を布で拭きます。
・電気を入れて点灯することを確かめます。
[メモ]
1−2.大きくなったり、小さくなったり −灯具の調整
・T1,DFを利用して左右の角度調整をしてみます。
・同じく、上下の角度調節をしてみます。
・フォーカスを調整して光の範囲を調整をしてみます。
[メモ]
1−3.全てあなたの思うまま −調光卓の操作
・調光卓を実際に操作してみます。
[メモ]

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2.明かりを消して −光の性質の確認

2−1.48手 −光の方向性の確認
・サス、バックサス、SS、フロント、シーリング、コロガシからそれぞれ光を当ててみて、どのように見えるかを確かめます。
[メモ]
2−1.色事師 −色の性質の確認
・光の三原色を見てみます。
・色によって対象物がどう見えるかを確かめます。
・ホリゾントの効果、タッチライトの効果を見てみます。
[メモ]
−−−−−−−−−「舞台照明」終了−−−−−−−−−−

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