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思いつきなのフェイSS

 

 それはいつものデート……だったはずなんだけど。

「なのはっ、これなんてどうかな?」

「んー、そうだね、いいと思うよ」

「あ、でも、こっちもいいよね」

「うん」

「じゃあじゃあ、これは?」

「悪くないと思うよ」

「あ、まじめに考えてないでしょー?」

「そ、そんなことないよ」

 食事のついでにデパートの中を覗こうと言い出したのは私なんだけど。

 ついうっかり、エリオとキャロの入局祝い考えた?なんて言っちゃったものだから、さっきからフェイトちゃんはこんな感じでお祝い選びに夢中。

 

 まさか、フェイトちゃんのテンションがこんなにあがるとはね……

 

 多少過保護かなーと思う部分はあっても、普段はもっと落ち着いているので、さすがの私もこの変貌ぶりにはちょっとびっくり。

 ……でも、しょうがないか。ずっと大事にしてきた子たちだもんね。

 本当は二人とももっと平和な職についてほしかったのに、それでも本人の希望なら、とこうしてちゃんとお祝いしてあげるのは、やっぱりフェイトちゃんらしい。

 とても楽しそうに二人のお祝いを選んでいるフェイトちゃんに、私は一つ、思いつく。

「フェイトちゃん、わたし、ちょっとお手洗いいってくるね」

「あ、うん」

 フェイトちゃんに断って、わたしはその場を離れ、さっきまでいたアクセサリー売り場へ行く。

「えっと……あ、これだね」

 それは、さっきフェイトちゃんが手に取っていた小さなブローチ。

『これ、すごい可愛いね。う……でも、お値段もなかなか』

 フェイトちゃんの言葉を思い出し、私は財布の中身を確認する。……うん、何とか足りるね。

 お店の人にお願いして手早く包んでもらう。

 受け取った包みをそっとバッグに収め、フェイトちゃんの元へと戻る。

「お待たせ。なにかいい物見つかった?」

「あ、なのは。うん、これとこれならいいんじゃないかなって」

「うん、そうだね」

 嬉しそうに言うフェイトちゃんに、わたしはまた適当に相づちを打つ。

 だって、たぶん今のフェイトちゃんと同じくらい私の心も浮き足立ってる。

 渡したら、どんな顔をするんだろう?喜んで、くれるかな?

 今すぐにでも渡したい衝動を必死にこらえ、買い物を終えたフェイトちゃんと並んで夕暮れの道を歩く。

「なのは、なんかすごい楽しそう」

「そう?たぶん、フェイトちゃんと一緒だよ」

「え?」

 よくわからないといった表情で首をかしげるフェイトちゃんに、わたしは思わず吹き出す。

「え、なに、どうしたのー?」

「あはははっ、ほんとになんでもないんだよー」

 笑いが止まらない私に怪訝そうな顔をするフェイトちゃん。

 

 ……うん、さっきのフェイトちゃんの気持ち、少しわかった。

 大事な人にプレゼントをあげるって、自分もすごく嬉しいんだ。

 

「フェイトちゃん、部屋まで競争しよっ!よーい、どん!」

「ちょ、なのはずるいっ!」

 なんだかたまらない気持ちになったわたしは、慌てるフェイトちゃんを横目に、赤く染まる家路を軽やかに走り出した。