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「Swamp」

 

 車は海沿いの道をひた走る。

 深夜の道は怖いくらいに空いていて、ただ前だけ向いてハンドルを握る私は、ともすればこの世界に一人ぼっちになったような、そんな気分に陥る。

 隣をちらりと見やれば、遅くまで続いた会議に疲れたのか静かに寝息を立てる愛おしい人。

 さっきまで凛としていた姿からは想像できないくらいに無防備な寝顔。

 あまりに無防備なその姿に、自分の中からじわりと黒い感情がにじみ出す。

 ここ最近すれ違っていた生活は知らぬ間に私を圧迫し、必死で押さえ込んでいた劣情はすでに限界を超えていた。

 理性がじわじわと食いつぶされ、妙な孤独感が彼女を狂おしいまでに求めさせる。

 私はスピードを落とし、車を路肩に止める。

 停車の時のかすかな振動に、なのはが小さく声を上げ目を覚ました。

「ん……あ、ごめんねっ。わたし、寝ちゃってた?」

 軽く辺りを見回し、私と目が合うと申し訳なさそうに苦笑する。

「えーと、まだ隊舎じゃないよね。あ、もしかして、疲れちゃった?」

 大丈夫? と心配そうに私の顔を覗き込む。

 今、私がどんな感情で見ているかも知らずに。

 本当に大丈夫? と押し黙ったままただ見つめ続ける私の頬に、なのはの手が軽く触れる。

 ――それが、スイッチとなった。

 

「えっ、ふぇいとちゃ……どうし……んっ」

 勢いよくなのはに覆い被さり、何か言いかけたその唇を強引に塞ぐ。

 身をよじり抵抗するなのはに、私は胸の痛みを覚えながらもさらに欲情してしまう。

 愛しい人を蹂躙するという、甘美な痛み。

 助手席側へと身体を移し、なのはにのし掛かるようにしながら乱暴にシートを倒す。

「ふぇ、フェイトちゃん!こんなとこじゃ、やぁっ……」

 うっすらと涙を浮かべ、不安そうに私を見上げる瞳。

 普段ならば私の理性を呼び戻すはずのこの瞳も、今はなぜか私の行為を加速させるだけだった。

 上着のボタンを外す間も惜しくて、胸元から手を差し入れブラウスの上から乱暴に胸を揉みしだく。

「や、やだっ!ダメぇっ」

「そう?その割にはここ、こんなに硬くしてるよ?」

 布越しにもはっきりとわかる、硬く隆起した丘の先端。そこを少し強めにつまみ上げる。

「あっ、んぅっ!!」

「ほら、やっぱり気持ちいいんだ?」

 眉を寄せ必死に快感をこらえるなのはの耳元で、意地悪く囁く。

 私の言葉になのはは首を振るけれど、かすかに漏れる吐息は明らかに熱を帯びていた。

 そしてその吐息に触れ、さらにわき上がる私の中の衝動。

 私は少し乱暴にリボンを解きジャケットの前をはだけさせ、ブラウスのボタンを次々と外していく。

 黒のインナーをたぐり上げると、白い素肌が露わになる。

 そっと手をはわせると、優しい温かさが伝わってきて、一瞬、泣きそうになった。

 だけど、次々とあふれ出す歪んだ欲望は、そんな想いも簡単に飲み込んで、ひたすらなのはを求める。

 私は喉の奥に引っかかる想いを無理矢理飲み込んで、なのはの身体に赤い印を一つ、落とした。

「なんで……」

 今にも泣き出しそうななのはの声に、胸に走った痛みと共に感じる高揚感。

 小さく抵抗するその両手を、片手で乱暴につかみ上げる。

「理由なんて無いよ。ただ、今すぐなのはが欲しいんだ」

 自分でも驚くくらいに低い声。それは飢えた獣の唸りに似ていた。

 喰い付くようになのはの唇を奪う。

 なのはは一瞬驚いたように身体を震わせたけれど、抵抗せずに、そっと私を受け入れてくれた。

 ぴちゃぴちゃと音を立てながら、普段よりもずっと激しく舌を絡ませ濃厚なキスを交わす。

 だんだんと大胆になってきたなのはに、私は一度唇を離した。

「嫌じゃ、無かったの?」

「びっくりしたのと、恥ずかしかっただけだもん……」

 私の意地悪な問いかけに、ふいっと視線を外し拗ねたように言う。

「ふうん……じゃ、嫌じゃないんだ?」

 ぺろ、と首筋を舐め上げてみる。

「んぅ……今日のフェイトちゃん、意地悪だよ」

「なのはが悪いんだよ、最近構ってくれないから」

「それはフェイトちゃんだって同……ひゃっ!?」

 反論しようとするなのはの胸にキスを落し、そのまま吸い付く。

「やっ、ふぇいと、ちゃん……部屋、戻ってからにしよ……やんっ」

「無理。もう我慢できないよ」

 びくびくと敏感に反応するなのはが可愛くて、堅くなった胸の先端を舌先で弄ぶ。

「やあっ、だ、めぇ……」

 言葉で否定はするもののすでに抵抗はなく、なのはの身体は与えられる快感を受け入れ始める。

「ホントにダメなのかな?」

「ダメ……だよっ」

 睨み付けるようになのはは眉を寄せるけれど、瞳の奥にある愉悦の色は隠せない。

 私がそっと脇腹を撫で上げれば、鼻にかかったような官能的な吐息を漏らす。

「なのは……可愛い」

「んっ……フェイトちゃんの、ばかぁ……」

 顔を逸らし、ひどく複雑な表情を浮かべるなのは。その目には今にもこぼれそうな涙が浮かぶ。

 ああ、このままではなのはを泣かせてしまう。

 だけど――この涙ですら気が狂うほど私には魅力的なんだと言ったら、彼女は怒るだろうか?

 乾いた口内に張り付く苦いような後悔を味わいながらも、じりじりと理性を焼いていく情欲に私は溺れていく。

 これほどまでに私を惹きつけて止まない君が悪いのだと、身勝手な理由をつけながら。

 ゆっくりと、じらすように指先で柔らかな肌にふれる。

 せめて、その身体は傷つけないようにと慎重に。

「や……ぁ……」

 触れるか触れないかのところを滑っていく指先に、なのはが小さな声を漏らす。

 必死にこらえようとしているせいか、その声はかえって艶めかしく、余計に私を昂ぶらせてしまう。

 喰いつきたいほどの衝動をこらえながら、彼女の喜ぶ場所をわざと避けて小さな快感を断続的に送る。

 彼女の理性をじわじわと追い詰めるように。

「フェイト、ちゃん……」

「ん?」

 彼女の瞳にちらついた感情にわざと気がつかないふりをして、意地悪く首をかしげる。

 理性を手放すきっかけを私に求める彼女。

 だけど、私はそれを許さない。

 彼女自身が欲望に溺れてしまう瞬間、それを見たくて執拗になのはをじらし続ける。

「んっ……」

 快楽に染まりつつあるのをみられまいと背けられた顔。

 私は少し強引にそれを向き直させると、そこからこぼれた吐息をすくうように口づける。

 浅く、けれどじっくりと、彼女の中の熱を誘い出すように。

 何度かついばむように唇を重ねると、そっとなのはの舌が私の唇に触れた。

 そこで一度私は身体を引く。

「ふぇいとちゃん」

 脳を溶かされるような、甘い声。

 すがるように見上げる瞳をじっと見つめかえしながら、私は待つ。

 何もかもを忘れて、なのはが私を求めてくれるのを。

 私の中の彼女が私を食いつぶしてしまうように、彼女の中の私が彼女を食いつぶしてくれるのを。

 

 息の詰まるような時間の中、スローモーションのようにゆっくりとなのはの腕が私の首に絡む。

「フェイトちゃんが……欲しいの」

「こんな場所なのに?」

 意地の悪い私の言葉に、なのはは小さく頷く。

「どうしても、フェイトちゃんが欲しいの」

 恥ずかしそうに、でもはっきりと紡がれた言葉。

 そして柔らかな唇か私のそれに重ねられた。

 そこから伝わる小さな満足感と、新たな飢え。

 ぎりぎりまでこらえた彼女への欲求が一気に溢れかえる。

「なのはっ」

 短く彼女の名前だけをつぶやいて、そのままシートへとその身体を押しつけ思い切り深く口づける。

 出迎えた彼女の舌はとても熱い。

 その熱も、吐息も、口元を伝う滴さえも奪いたくて、ただがむしゃらに唇を重ねる。

 かちかちと歯のぶつかり合う音に混じったなのはの苦しげな吐息が、行為をさらに激しくさせる。

 身体をなのはに預けたまま、片手を胸元へと這わせていく。

 汗ばんだ肌が手のひらに吸い付き、触れたそこの柔らかさは私の鼓動をさらに跳ね上げる。

「んうっ……」

 重ねたままの唇から漏れる声。もっと聞きたくて、少し乱暴に胸を揉みしだく。

「ふぁ……やあぁっ!」

 刺激が強いのかひときわ高い声を上げなのはが身をよじるけれど、私は逃がさないようにしっかりとその身体を組み敷く。

「ダメだよ。もう逃がしてあげない」

 絡めていた舌を離し、耳元へ低く囁く。

 そのまま耳の後ろを軽く舐め上げ、あごのラインをたどって首筋へと舌を這わせる。

 窓から差し込む街灯のかすかな光に照らされたそれは、繊細なラインでひどく儚く映し出された。

 薄闇の中、おぼろげにしか捉えられない彼女の姿に不安を覚え、確かな存在を求めてその首筋に歯を立てる。

「んっ、痛っ……」

 一瞬苦痛にゆがんだなのはの顔。

 ちくりと走る小さな痛みとともに胸に広がったのは安心感。

 彼女を捉えたという、確かな証。

 ごめんね、と小さく謝りながらかすかに血のにじむそこを、今度はいたわるように優しく舌で撫でる。

「あっ……ん……」

 吐息に混じって小さく漏れる声に甘さが戻り、舌の動きに合わせて身体がかすかに震える。

 その快感を積み上げていくように柔らかな刺激を送りながら、唇を胸の方へと滑らせていく。

「んぁっ…………にゃっ……」

 なだらかな丘の麓をついばむと、少し幼いような声が上がる。

 小さな刺激も拾い上げて反応してくれるなのはに、嬉しくなって何度もそこを攻めていく。

「あっ……ふぇい、と……ちゃん」

 弾む息の中、とぎれとぎれに呼ばれる名前。

 その切ない響きに思わず身震いしてしまう。

 自分の送る快楽に溺れていくその姿。

 もっともっと、狂わせたくて。

 私は素早くなのはの足元に潜り込むと、両足を肩に担ぐようにしてなのはの体勢を変える。

 かなり窮屈な体勢だけど、場所柄贅沢は言えない。

 スカートをたぐり上げると、ショーツ越しになのはの敏感な部分へと口づけた。

「ひあっ!?ふぇ、フェイトちゃ……だ、めぇっ」

 びくん、と跳ねるように大きく身体を震わせ、なのはが悶える。

 その身体を抱え込むようにして押さえつけ、私はさらに舌で刺激を送る。

「はっ……あぁっ!そこっ……や、ぁ……」

 ぐいぐいと両手で私の頭を押しやり、なのはは必死に抵抗するけれど、送られ続ける快感にだんだんと抵抗が弱まる。

 その隙を突き、すっかり湿ってしまったショーツを脱がせ、あらわになったそこに直接舌で触れる。

 すでに濡れそぼっていたそこを舐め上げると、ちゅく、といやらしい音が立つ。

「やあっ、おとっ……たてちゃ、ダメぇ……」

 息が持たないのか、恥ずかしさのせいなのか、か細くなるなのはの声。

 だけど私はかまわず舌先をなのはの中へと差し入れる。

 温かなそこは刺激を送るたびに蜜をしたたらせ、その甘さは私を酔わせた。

 舌を溶かすように熱いそこから蜜をかき出すように何度も舌を出し入れする。

「だめっ!それぇ……やっ、あぁっっ!」

 くらくらするような嬌声とともに次々と湧き出すそれを、わざと音を立てながらすすり上げていく。

 ちらりと視線を上げると羞恥と快感のない交ぜになった、少し泣きそうななのはの顔。

 どくん、と痛いくらいに大きく心臓が跳ねる。。

 表情一つで私の心はいともたやすく奪われてしまう。

 

 ああ――どんなに優位に立とうとしたって、本当に君に捕らわれているのは私なんだ。

 ならばせめて、行為で君を縛らせて欲しい。

 腕の中に閉じこめて、私のことしか考えられないように。

 不安も喜びも、痛みも快感も、彼女に与えられるすべてを私から。

 君が何かを思うとき、必ず私の影がよぎる様に。

 

 そっとなのはの足元から抜け出し、制服を乱され荒く息をつく彼女を抱きしめる。

 濡れた口元を軽くぬぐい、目尻に滲んだその涙を唇ですくい取る。

「フェイトちゃん……」

「好きだよ、なのは。愛してる」

 言葉に乗せきれない想い。だけど言葉にするにはこんな短い単語しか見つけられなくて。

 結局また、行為でぶつけることしか考えられなくなる。

 あきれるほど貪欲で傲慢な私。だけど――

「わたしも……わたしも好き。愛してる、フェイトちゃん」

 優しく囁き返された言葉。

 こんな私を受け入れてしまう君だから、私はまた君に溺れてしまう。

 

 車内に響く荒い息づかいが、なのはのものなのか私のものなのかなんてもう、どうでもよかった。

 お互いの吐息を取りこぼすまいと、息をつくのも忘れて口づけを交わす。

 触れ合った部分が溶け合うんじゃないかと思うくらいに熱を帯びていく二人。

 いっそ境界線なんて無くなってしまえばいい――そんなばかばかしいことを思いながら。

 深く深く、なのはに触れていく。

 長い口づけのあと、鎖骨から胸元へと唇を這わせる。

 そこにいくつも小さな印をつけながら、そっと太ももを撫で上げ、なのはへと視線を投げる。

 さらなる熱に触れたい、と。

「あっ……ふぇいと、ちゃん……っ」

 躊躇するようななのはの瞳を見つめながら、私はじらすようにぎりぎりのところを優しく撫でていく。

 とろりとこぼれる熱い蜜はとめどなく溢れ続け、ぽたりぽたりとシートへ落ちていく。

「……なのは。ここ、凄いことになってる」

 軽く指先ですくい取るようにすると、ちゅく、と水音がたつ。

「こんなに感じちゃったんだ?」

「ぅあっ……やっ……はずか、し……」

 私の言葉に、なのはは赤みが増した顔をふいっと背けてしまう。

 きゅっと閉じられた瞼に私はそっと唇を落とし、優しく髪を撫でる。

「恥ずかしがらないで、もっと感じて欲しいんだけどな」

 くるくると入り口の周りを優しく刺激しながら、快感のさらなる高みへとなのはを誘う。

 淡く染まる柔らかな頬に、すり寄るようにして私の頬を合わせると、ふっとなのはのからだから力が抜けた。

「なのはの中に……触れてもいい?」

 額を合わせ、これ以上ないくらい近い距離で問いかける。

 大きく二つ深呼吸をしたあと、なのははちょっと眉を下げながら「うん」と小さく頷いてくれた。

 その唇にそっと口づけながら、優しくなのはの中へと指を沈めていく。

 ふるえるなのはの唇から小さく零れた吐息を拾って、キスを続けたまま指先で浅いところを何度も撫でて緊張を解く。

 熱くうごめくなのはの中。

 一気に突き上げたい衝動をじっとこらえて、なじませるようにゆっくりゆっくりと指を進める。

 一番奥にたどり着くと、なのはが大きく息をついた。

「動かして、平気?」

「うん……大丈夫」

 きゅっとなのはの手がすがるように私の腕を掴む。

 私は優しく微笑みながら、なのはの中に沈めた指先を動かしていく。

 ちゅ……ちゅ……と動きに合わせ水音が響く。

 それと同じように繰り返される、なのはの呼吸。

 一定のリズムを取るそれらはまるで溶け合うような錯覚を起こし、動きは共鳴し合うように激しさを増していく。

「あっ、あっ、んっ……はぁっ……あぁっ!!」

 私の動きと共に荒くなっていく、なのはの呼吸。

 それがさらに私の動きを激しくさせ、車はきしきしと小さく軋む。

 車内に充満するなのはの匂いは私の最後の理性をも飲み込み、ただひたすらなのはを求め、指先で何度も彼女を押し貫いていく。

 ぎゅっと眉を寄せ、こらえているのは痛みか、快楽か。

 そのどちらでもいい、なのはにもっと刻み込みたかった。私の凶暴なまでの想いを。

「なのは、なのは……なの、はっ……」

 何も考えられず、息を切らしながら馬鹿みたいに愛しい人の名前を何度もつぶやく。

 掴まれた腕は激しさが増すと共に痛いくらいに握りしめられていたが、かえってそれがなのはをより感じさせてくれるようで私はさらに激しく突き上げる。

「やっ……フェイトちゃっ……もうっ……」

 なのはの言葉と共に締め付けを増したそこが、行為の終わりが近いことを教える。

 もう少し、なのはを感じていたかったけれど私自身ももう止まれそうにない。

 少しでも触れ合っていたくて息も絶え絶えにキスを交わす。

 うまく息ができなくてなんだかくらくらしたけれど、それでもなのはの唇を離したくなかった。

 舌を激しく絡め、乱暴になのはを頂点へと押しやっていく。

「んっ、だめっ……ふぇいとちゃん、もう、わたしっ、わたしっっ……ああぁっっ!!」

 速めた指をぐっと奥に突き立てた瞬間、びくっ、とひときわ大きな震えが走り、なのはの身体が弓なりに反る。

 断続的に起こる小さな震えが収まるのを待ってゆっくりと指を引き抜くと、その身体から一気に力が抜けていった。

 

「なのは……」

 優しく声をかけ、額に張り付いた前髪をそっとかき上げる。

 荒い息が少しずつ収まっていき、うつろだった目が私を捉えふっと和らぐ。

「フェイト、ちゃん」

「ん?」

 呼ばれる声に微笑み返すと、ぎゅ、と強く頬をつままれた。

「ケダモノ」

 ちょっと怒ったような声。

 反論できない私は「ごめん」と小さく謝る。

「すごく、びっくりしたんだから」

 もう片方の手で反対側の頬も思い切りつままれ、そのまま引っ張られる。

 私はどうすることもできず、されるがまま。

 そのまま見つめ合っていると、ぷっと突然なのはが吹き出した。

「にゃはは、フェイトちゃん、変な顔」

「な、なのはが引っ張るから」

 訳がわからないまま抗議すると、今度は優しく両頬を手のひらが包んだ。

「さっきのフェイトちゃん……怖い顔してた」

「……うん」

 飢えに任せ、なのはを蹂躙した私。

 けれどそれは気の迷いなどではなく、確かな私の感情。

「そんなに、寂しくさせてた?」

「ん……でも、なのはのせいじゃ、無い」

 度の過ぎた独占欲。単なる私のわがまま。

 でも……自分の行為に後悔しながらも、それでもなのはを欲して止まない自分は消せない。

「フェイトちゃん」

 うつむく私の顔を引き寄せ、なのはは軽くキスをくれる。

「好きだよ。強がりなフェイトちゃんも、寂しがりなフェイトちゃんも」

 優しい目が真っ直ぐに私を見据える。

「だから、大丈夫」

 それは、不安に駆られた私に向けたものなのか、後悔に苛む私に向けられたものなのか。

 ただ、それ以上何も言わずに優しく抱きしめてくれる腕が嬉しくて私は目を閉じる。

 

 ずっと、守っていこうと決めた人。

 だけど、柔らかく笑う君は誰よりも強くて優しいから。

 私の見せかけだけの余裕など簡単に底をついてしまう。

 彼女の愛情に溺れながら、その手をひたすら求め、もがく日々。

 その底なし沼は抜け出すにはあまりに甘美で。

 静かな闇のなか、私はまた君に沈み込む。

 

 

  

                                              ――終。