All Works of HIMEKAMI

 =オリジナルアルバム&シングル(1995年〜1997年)=

は『HIMEKAMI Station』推薦曲、は当サイトの管理者が個人的に好きな曲を示します。
曲名の読み(ふりがな)は当サイトの管理者が参考のため付記したものに過ぎず、
正式な読み方を保証するものではありません。

「All Works of HIMEKAMI」目次に戻る

「All Works of HIMEKAMI」主要作品リストに戻る


目次


マヨヒガ

 1995.07.21 発売  PCCR-00154(CD)  発売元:ポニーキャニオン

ヒップホップやハウスの手法を大胆に取り入れ、
作風のうえで大きなターニングポイントとなった作品。

タイトルは「まよいが」と発音する。
柳田国男『遠野物語』63・64話に登場する、山奥の不思議な家のことで、「迷い家」が語源らしい。
偶然迷い込んだ人の話によると、そこは鉄瓶に湯が沸いてたりするにもかかわらず人の気配がない。
そしてそこの食器を手に入れると金持ちになるが、その家は探しても見つからないという。
ライナーノートにはその話が転載されている。
作風はそれまでのアルバムから大きく変化しており、なかでも
 ・ハウス/ヒップホップ系リズムトラックの使用。曲の最後まで同一パターンをループさせることが多い
 ・ヒューマンヴォイス(生唄とサンプリング両方)の使用
が特徴的。このサウンドキャラクターはその後ずっと引き継がれている。
特に前者は星吉紀の影響によるもので、リズムパート制作は徐々に吉紀が主導権を握るようになっていった。
アルバムに明確な通しテーマが見えてこないのは、ソロになって初めてのこと(サウンドそのものが通しテーマ?)。
ジャケットは横尾忠則の奇っ怪なイラスト。かなり濃い。

(1)明けの方から   あけのほうから 
アルバム制作期間のおよそ1/3が費やされたという渾身の作。
男たちの威勢の良いかけ声+アナログリズムマシンのヒップホップなパターンにのせて
畠山孝一社中が唄う秋田県民謡『秋田大黒舞』の一節が強烈なインパクト。
続いてサンプリングされた声の断片がところどころ効果的に挿入される。
(畠山社中のコーラスが地声であることにも留意)
尺八のようで尺八でない音によるメロディーは民謡でありながらブルースでもある。
曲のベースになるコードはD♭M7onF-Cm7onFの繰り返し(渋い)で、どこまでも曲が続いていく感じ。
ライブで披露されるときはイントロで畠山社中が『秋田大黒舞』1コーラスを歌いきる。これは『浄土曼陀羅』で聴ける。
 
(2)琥珀伝説   こはくでんせつ
アップテンポだが本来はゆったりした3拍子。
リズムは生ドラムのサンプリング音が主体で従来の姫神サウンド。
許可(シュイ・クウ)の二胡をフィーチャー。
曲は国内有数の琥珀の産地、岩手県久慈市をイメージしたか?
(ちなみに星吉昭は以前の久慈市長と知り合いだったらしい)
 
(3)雪   ゆき 
サンプリング−サウンドコラージュの手法を存分に駆使。
ばあちゃんのつぶやき、ストリングスの激しいシーケンスフレーズ、
ダンサブルなリズムループ、極端にこぶしが回るシンセ尺八、ビートを刻むタンバリン、
畠山孝一の少しなまった(これがいい!)歌声、女の人のこぶし、ばあちゃんの童歌、
……等々の音が次々に乱れ飛ぶ。
東京の気鋭のミュージシャンにリミックスさせたらどんなになるだろうと想像してしまう。
雪にしてはちょっと騒々しいのが難。
 
(4)花鳥巡礼   かちょうじゅんれい
うって変わってメロディアスかつ優雅な曲。
1コーラス目でメロを奏でるオリエンタルな弦の音色(楽器名不明)が何ともいえん。
2コーラス目のメロは二胡。郷愁を誘う。
高い音でからからと鳴るパーカッションも印象に残る。
 
(5)白鳥招来   しろとりしょうらい
NHK教育テレビ『ふるさとの伝承』テーマ曲。
典型的な姫神節。姫神せんせいしょん時代を思い出して懐かしい。
こういう曲は日本人以外には絶対作れまいと思う。
なお実際に番組のオープニングで使われたヴァージョンは、アレンジが異なりリズムがおとなしい。
残念ながらCD化はされていない。
 
(6)山の神   やまのかみ
うねるようなスケールの大きい曲。幾重にも連なる山々のイメージ。
作風としては従来の作品の延長上にある。
それでもアナログリズムマシンのスネア音(軽い)を使っていたりする。
間奏のオルガンが聞き所。ロータリースピーカー思いっきり回ってます。
 
(7)日高見国   ひたかみのくに
ファンキーかつ歯切れの良いリズムループにのせて、かなり変態的な音色が飛び交う。
ライブでの鹿踊りに向いている、と個人的には思う。
ただこの曲のどこが『日高見国』なのかしっくりこない。
終わり方が唐突でよい。
 
(8)都母之謡   つものうたい 
傑作。「東北の民謡はブルース」の言葉をまさに体現。東北地方の底知れぬ奥深さを感じさせる。
レゲエを思わせるリズムに乗せて、クラリネットともソプラノサックスとも違う
独特のダブルリード系の音(YAMAHA VL1?)の一人舞台。特に後半のバックトラックとの絡み具合は
もう何とも言えず気持ちいい。コード進行もかなり凝っている。
コンサートで演るときはぜひウィンドMIDIコントローラーを使って「口で吹いて」演奏してほしい。
ちなみに「都母」とは現在の青森県七戸町の一部を指し、
坂上田村麻呂が征夷の際『日本中央の碑』を残したと伝えられてきた場所。
碑は昭和24年に近くの青森県東北町で偶然発見されたが、まだまだ謎が多い。
 
(9)蒼月、中天にありて   そうげつ、ちゅうてんにありて
テレビ朝日の単発ドラマ『愛と死の決断!ハンガリア舞曲をもう一度』
(えらいタイトルやな。)エンディングテーマ。
アルバム『炎』の頃の作風に似ており、どうも構成にめりはりがなく、
何度でも聴きたいという魅力に欠ける。
 
(10)風のうた   かぜのうた
当時星吉昭の故郷を走っていた「くりはら田園鉄道」のテーマ曲として、
シングル『海道を行く』のB面『群星』をリメイクしたものをそのままアルバムに収録。
そのためか、この曲だけほかから浮いている気もする。
『群星』はいかにも「打ち込み」ましたという機械的なアレンジだったが
今回は跳ねるような軽快なアレンジに変わっている。
悪くはないが個人的には前の方が好きだ。
途中入るSE音は栗原の平野を駆け抜ける風か?

ページの最初に戻る


見上げれば、花びら(シングル)

 1996.06.21 発売  PCDR-00007(8cm-CD)  発売元:ポニーキャニオン

姫神単独では初めてとなるCDシングル。

意表を突くタイミングのシングル発売、おまけにカラオケ付き(ということは歌ものだ!)ということで当初私は面食らった。
テレビ番組がらみではあるが地味な番組だ。狙いとする購買層がいまいちわからない。がまあ良しとしよう。
2曲目のインストヴァージョンはNHK総合テレビ『にっぽん点描』のメインテーマに使用されたが、
テレビで流れていたのとは若干アレンジが異なる。
ジャケットは『風の縄文』とほとんど同じで横尾忠則の作。

(1)見上げれば、花びら   みあげれば、はなびら
(2)見上げれば、花びら(INSTRUMENTAL)
ともにアルバム『風の縄文』の項を参照。
 
(3)見上げれば、花びら(オリジナル・カラオケ)
このカラオケ、アルバムには未収録。将来貴重なトラックになるのは確実。

ページの最初に戻る


風の縄文

 1996.07.19 発売  PCCR-00219(CD)  発売元:ポニーキャニオン

「豊かな縄文世界」をモチーフとして姫神の新境地を開いた作品。

星吉昭は以前から縄文の文化に関心を抱いていたが、
青森の三内丸山遺跡の発掘成果に刺激を受けたらしく、従来の「その日暮らし」的なイメージとは違う、
三内丸山に代表される「豊かな理想郷」としての縄文観をこのアルバムに託した。
同様に理想郷を描いた『まほろば』と違い、本作では原始の活き活きとした躍動感が前面に出ている。
サウンドの特徴は、モンゴリアンヴォイスをフィーチャーしており、
リズムも単純なリズムループから一歩踏み込んで、重厚で独創的なビートに昇華させている。
ジャケットは前作に引き続いて横尾忠則が手がけ、
三内丸山で出土した十字架状の有名な土偶のバックに森、滝、花畑、亀(なぜに?)などを配している。
またライナーノートに星吉昭本人の写真が掲載されたのは、海外盤を除けば初めて。

(1)風の大地   かぜのだいち
モンゴル独特の発声法であるホーミーで幕が開くミディアムテンポの曲。
おっちゃんが「ん〜」という声と高い笛のような音を喉から同時に出しているのがホーミーで、
本作では他の音源からサンプリングして使用している。
中国の内モンゴル出身オットフォンバイラのスキャットが色を添える。
また、アルバム全体がそうだが、低音がブーストされていて迫力がある。
理想郷的な色彩が最も色濃く出た一品。
 
(2)見上げれば、花びら   みあげれば、はなびら 
姫神名義の曲では初めて日本語の歌詞が付いた。作詞は星吉昭。
歌詞には「津軽は雪深く寒い所だが、舞い落ちる雪を花びらに見立ててみれば、
まんざら捨てたところでもない」という郷土愛が込められている。
歌う「蝦夷合唱団」は時折音程がはずれるので、唄の舞台・青森県市浦村(現:五所川原市)の素人コーラスのようだ。
星本人も合唱に加わっているという話をどこかで聞いたことがある。
最初聞いたときは田舎の盆踊り唄のようだと思ったが、やがて気が付いた、
これは紛れもなく平成の「東北民謡」に他ならない。
星の造語である「北人霊歌」という言葉が最もふさわしく当てはまる作品。
個人的には、シングルカットするならプロモーションビデオを作ってほしかった。
 
(3)草原伝説   そうげんでんせつ 
タイトルのとおり、広々とした草原を思わせるスケールの大きい曲。
オットフォンバイラのヴォーカルが強力。
シャッフルがかったリズムは非常に心地いい。
2分10秒過ぎの間奏ではバスドラムのリバーブのかかり具合が1発ごとに違うのがはっきり分かる。芸が細かい。
後半の盛り上がりは実にドラマティック、オットフォンバイラ最後の雄叫びで最高潮に。
 
(4)風祭り   かぜまつり
祭りを表現するリズムは独特の16ビート。
フォルクローレ調のメロディーはかすかに哀愁を帯びている。
『草原伝説』でも聞けるポルタメントのかかったシンセ音が印象的。
なお、ベストアルバム『森羅万象』に収められているヴァージョンはこれよりも間奏が長い。
 
(5)花かんざし   はなかんざし
許可(シュイ・クウ)の二胡がゆったりとしたメロディーを奏でる小品。リズムは入っていない。
一服の清涼剤のようだ。
 
(6)祭り神   まつりがみ
ヒップホップ系のリズムループにシンセシンセした音がたっぷり入っているが
全体的にはかなり泥臭い仕上がり。
チンゲルトの地声のうなり声が、音程・音色とも「楽器」として立派に機能している。
それからすると、1997年の三内丸山コンサートでくらもちひろゆきが見せた熱演は、
申し訳ないがちょっと違うんじゃないかという気がする。
 
(7)たそがれ月   たそがれづき
シンプルなアレンジのスローナンバー。
私の中でははじめは印象が薄かったが、聞くごとに徐々に味わいが増してきている。
 
(8)山童   やまわらべ
姫神のアルバムには毎回毛色の変わった曲が1曲入っているが、今回は本作がそれにあたる。
私の文章力では「何とも奇妙な曲」としか言いようがない(すみません)。
名器KORG M1のプリセット音「Rhythm」をバックで延々とループさせている。
 
(9)天の湖   あまのこ 
なぜか昔の姫神せんせいしょん時代を想起させる曲。
開始0分33秒から46秒まで(その後もたびたび聞ける)のメロディーの音色が懐かしい響き。
姫神作品には珍しくエレクトリックギターの音が目立つ。
イントロなどで聞こえるSEは猿の鳴き声?
 
(10)森渡り   もりわたり 
手拍子の効いたリズムと二胡の調べはまさに太古の楽園を思わせる。
渋いベースラインもポイント高い。
オットフォンバイラの声は細川たかしに似ているがこれは偶然ではないだろう。
日本の民謡とモンゴルのそれとは発声法が似ているらしい。
 
(11)見上げれば、花びら(INSTRUMENTAL)
歌ものヴァージョンに比べてリズムがおとなしいが少々物足りなくもある。
こちらの方が『にっぽん点描』テレビヴァージョンに近い。

ページの最初に戻る


風の縄文II 久遠の空

 1997.08.20 発売  PCCR-00260(CD)  発売元:ポニーキャニオン

縄文モチーフ第2弾のアルバム。

「久遠の空」は「ときのそら」と読む。
前作との違いは姫神特有の清々しさが強調されていることで、歌詞を伴ったヴォーカルが前面に出ているのが特徴。
歌うのは、以前『火振り神事』に歌詞を付けて歌ったことがあるボスニア・ヘルツェゴビナ出身の女性歌手ヤドランカと、
姫神ヴォイスの前身にあたる、地声合唱団「エミシヴォイス」の面々。
このうちエミシヴォイスの中島和子は、伸びのある特徴的な声質を買われ、その後たびたびソロパートを受け持つことになる。
サウンド的にはフォークギターやストリングスなどをフィーチャーし、アコースティックな音が強調されているように思う。
個人的にはあまり縄文のイメージを感じない。

(1)風の彼方   かぜのかなた 
秋田銘醸「美酒爛漫」のテレビCMに用いられた、広々とした青空を思わせる佳曲。
遠い所へ行ってしまった恋人を追想するかのような歌詞とメロディーはノスタルジックで切ない。
アナログっぽいシンセ音とストリングスなどの生楽器が意外に調和しており、
なかでも旋律を奏でる矩形波の素の音(たぶんアナログモデリング)がいい味出している。
メインヴォーカルは中島和子。個人的には1分20秒過ぎの間奏で何と叫んでいるのか気になる。
 
(2)花の久遠   はなのとき 
シンセ音が少なく極めてアコースティックなサウンド。印象は「雅(みやび)」の一語につきる。
ヤドランカのイントロのささやきが妙に色っぽい。
彼女のヴォーカルは何語で何を歌っているのかわからない(単なるスキャットの可能性高し)が、
かえって様々なイメージがふくらむ。
終わり間近で聞けるエミシヴォイスのバックコーラスが印象的。
 
(3)祈り遥か   いのりはるか
オットフォンバイラのスキャットが入る。こぶしがころころ回って気持ちいい。
ループされるヒップホップ風のリズム(グラウンドビートっていうのかな)がローファイで渋い。
大陸的で心がゆったりとしてくるナンバー。
 
(4)この草原の光を   このそうげんのひかりを
テレビ朝日系『やじうまワイド』天気予報のBGMとして使われた(一部地域では放送されず)。
姫神特有の清々しいメロディーは『雪光る』を彷彿とさせる。ただ曲の構成が一本調子なのが惜しい。
この曲もシンセシンセした音とストリングスなどの生音のバランスがうまくとれている。
唐突に挿入される意味不明のコーラスはインパクトが強く、しばらく脳裏から離れない。
 
(5)春の風   はるのかぜ
ヒップホップ風のビートの利いたリズム。
矩形波系シンセ音による跳ねるような細かいフレーズが最大の聞き所。
そのあおりか、メロディーラインの印象が薄い。
 
(6)幻野   げんや
タイトルどおり幻想的な雰囲気が漂う。
尺八のような笛の音が最高。シンセサイズした音だとすれば絶品。
坂田美子の琵琶のパフォーマンスもGood。
 
(7)十三の子守歌   とさのこもりうた 
ヤドランカが日本語で歌う。美しいメロディーはまさに東北新民謡といった趣。
1コーラス目の伴奏はエレピのみ。間奏からシャッフル気味のビートが加わる。
二胡の「泣き」がポイント高い。
曲の構成はやや淡泊な気がする。後半引っ張ったりすかしたりしてもう少し盛り上げたい。
 
(8)風恋歌   ふうれんか
姫神には珍しく「恋」をモチーフにした歌もの。これも民謡風。中島がソロで歌う。
3拍子のゆったりしたメロディーだが、あえてパーカッシブでテンポの速いアレンジを施してある。
北原白秋-中山晋平の『砂山』(海は荒海向こうは佐渡や〜)にメロディーが似ているのが残念。
間奏では琵琶の代わりにディストーションギターが暴れ回ってもいいかもしれない。
 
(9)虹祭り   にじまつり
妙にポップなリズム。
特にイントロは80年代英国エレクトロポップ風でかなり違和感がある。
さらにコード進行・雰囲気は『春の風』にそっくり。
しかし三内丸山コンサート(1997年)で見た、この曲に合わせた鹿踊りはよかった。今でも脳裏に浮かんでくる。
 
(10)まほろば(atmosphere mix '97)
『まほろば』のタイトルチューンの第1主題を、軽快にアレンジし直したもの。
私はCD発売前の1996年小岩井農場コンサートで初めて聴いたが、変にリズムを入れない方がいいと思った。
オリジナルヴァージョンの中間部がすっぽり省略されているのもいただけない。リフレインもしつこいし。
しかし生のストリングスを入れたのはいいアイデアだと思う。

ページの最初に戻る

「オリジナルアルバム&シングル(1998年〜2002年)」へ進む


「All Works of HIMEKAMI」目次に戻る

「All Works of HIMEKAMI」主要作品リストに戻る