「森 有三のテニス道程」              トップページへ

第1章 テニス上達約束編                     

 

 私森有三は壁打ちテニスでほど良い疲れで高く吹き上げる噴水

見るとはなしにベンチに凭れて自動販売機で買ってきたカフィオーレ

飲みぼんやりとしていた。

この公園にはテニスコート6面と壁打ち練習場がありまたその隣には

動式練習場がある、私は壁打ち練習場で40分位壁打ちをした、

本来は1人30分と掲示して有るのだが次の人が居なければ続けても

管理人は何言わない

 

 この壁打ち練習場に来るようになって2ヶ月になる、この1ヶ月は月

水金と1日置きに来ている、また時間も昼前が待つ人も少ないないこと

が判った他の曜日は3人位待っているので時間と曜日は自然とこのよう

になった。

 この頃は何時も会う顔もあり2人位は順番待ちで軽く会釈するように

なったが今日は誰も居なかった。

 

 2ヶ月程前に会社を定年退職となり暇になったのを期に一念発起始め

は見たもののボールは思った所へは飛んでいかないのだ、何度も壁の

に行き奥の藪に入り幾度と無くボールを取りに行く羽目になった。

 

 この頃は打ったボールが自分の所へ跳ね返って来るようになったので

面白くなり今日は次の人が居なかったので40分もの間練習出来たのだ

った。

 

 壁打ち練習後は帰る途中に噴水が有り休むベンチガあるので一休みし

てから帰るのだ、今日も一休みカフィオーレを飲み干しベンチの横に倒

れいてたラケット方向を見たらプードルか゜クンクンとラケットを嗅い

でいたので持ち上げるのを止め少し様子を見ていると「こーれこーれ、

リリー駄目よ」と優しく穏やかな声で女性が近かずいてきた。

 

 その女性が倒れていたラケットバックを取り私に渡して呉れた、倒れ

たのはプードルが倒したのだろうと思ったのだろうか。

私は軽く会釈して受け取った、「ごめんなさいね」とにこやかな笑顔だ、

年齢は50歳を過ぎたかなーと感じた位だ、髪は長いが後ろで束ねてあ

る、ショートパンツは鮮やかなオレンジ色だ化粧は少しして居るかなー

感じる程度である。

 

 ラケットを受け取る時にほのかに何か昔嗅いだ記憶のあるような香り

がした感じがした。

私は「ありがとう」と言ったが次の言葉が出なかった。

「テニスって楽しいでしょう」と言って来たが、「はあ、始めたばかり

なんで」と答えるのが精一杯だった。

 

「失礼致しました」と言い「リリー行くわよ」と優しい声でプードルを

呼びテニスコート方向に行ってしまった。

 そんな事から1ヶ月位か過ぎた、壁打ち練習も慣れボールも何度も続

けて打てるようになった、今日夏日の暑さなので早めに終えて帰ろうと

入り口に向かったら、この前にプードルを連れて散歩していた女性がラ

ケットを持って次の順番を待っていた、軽く会釈して「貴女も練習です

か」と言うと「少し練習して於かないとねー」と言い自分と入れ替わっ

たので彼女の練習を少し見ようと思い外のベンチに座り彼女の練習振り

を見た。

 

 ラケットは軽く振っているのだがボールは早いまた打ったボールは必

ず彼女の前へ戻ってくるのだ、何度打っても同じだ、どうして続ける事

が出来るのだろう自分はこの所10数回程度は続くが戻って来るボール

その都度違うのだ、上手だなーと思った。

そうだこの際彼女に聞いてみようと思い終わるのを待つ事にした。

 

 意を決して、練習を終え出てきた所へ近ずき「すみません、私に教え

て呉れませんか」と言ったら、彼女はにこやかに「良いわよ」

といとも簡単に言い近寄ってきた、今日はこの前の香りとは異なった香

りが感じられた。

「ありがとうございます何処かのテニススクールに入ろうかと思ってい

たので」と言いながら自動販売機で缶コーヒーを買い「コーヒーで良い

ですか」と渡すと「ありがとう」と言って受け取って呉れた。

 

 彼女は缶コーヒーを開けながら噴水のある方向へ歩いていた、私は

女性とこの所公園散歩などをしたこと無いので何となく気が浮わ付いて

いるような気がした。

歩きながら私は定年退職して何か運動でもと思いながらこの公園を散歩

していたらテニスコートで私くらいの人達が楽しそうにテニスをしてい

るのを見て、仲間が居て楽しそうだと思い始めたがなかなか上手く行か

ないので先も言ったように何処かのテニススクールで習おうかと思って

いた、始めたからにはある程度上手くなりたいと伝えた。

 

彼女は何も言わず黙って聞きなから歩いて噴水のある所まて来た。

 ベンチに腰を下ろすと彼女は言った「私は上手では無いがテニスは知

ってるつもりだから教えても良いよ、だが守って欲しい事が有るの」と

言う、「はい」と言うと「私に教わった事は誰にも絶対に言ってはいけ

ませんよ約束して下されば教えます」と言う。

 

「はい、判りました約束致します」と返事するがどうしてだろうと思っ

た。

「必ず守って下さいね」と念を押された。「じゃーね」と言ってから

「フォアーを打つ時とバックを打つ時はラケットの握る位置が違うのよ

」と言いラケットの握る位置を教えて呉れた。

 

「ポールを打つ時はボールを良く見てラケットに当たる所が分るまで良

く見て打つのよ、ラケットの中心部に当てればボールは貴方の思った所

へ飛んで行くよ」

「ボールは自分の胸と並行に飛んで行くので足の位置が大切なの」と言

いながらラケットの握り方と身体の動きと足の位置を身を持って教えて

呉れた。

 

私は本でひと通りの事は読んでてたので言葉やしぐさなどは理解出来た

が実際は本の通りには行かないで困っていたボールを良く見て打ってい

たつもりだが言われて見ればラケットに当たるまでは見ていない、ラケ

ットに当たる前までは見ているがその後は見ていないような気がした。

 

「いろいろと言っても一緒には無理だからひとつ、ひとつずつ練習して

ね」

「テニスは思ったより奥が深いのよ練習していて判らない事がある筈だ

からその都度聞いてね」と言う何となく本よりも分かったような気がし

たので「ありがとうございます」と礼を言う。

「今日はここまでね」と言いこの前と同じ方向にプードルと一緒に行

ってしまった。

彼女が居なくなった後にほのかに残った香りは何の香りだろう、嗅いだ

覚えの有るような臭いだが何の香りかは思いだせない。

 

 一週間過ぎた今日は先週言われた通りに戻って来るボールを良く見て

打つように心がけたがラケットの中心部へ当たったかは良く分からなか

ったが緩やかなボールなら見えるようになったがボールの飛んでいく

向はばらばらに飛ぶので自分の所へは戻って来ない、と云うはラケッ

トの真ん中に当たっていない事だと思った。

先ほど付けた目印の赤色テープを狙い打って見たらテープの近くに当た

れば自分の所へ戻ってきた、そうなんだ的を思い打てばそこへボールは

自然と飛んで行くのだと云うことが分かってきた。

 

そこで目印を先程の所と少し離して目印を作り、目印2ヶ所に代わるが

わるにボールを打つことにして練習した、何度打っても自分のところへ

戻って来るので楽しくなった。

 そうか彼女に言われた事を実行すれば上手くなるかも知れない、今日

は誰も来ないのかなーと思い汗を拭きながら休憩用のベンチで休んでい

たら、「すみませーん」と入り口から声を掛けられ、その方を向いたら

1人の女性がにこやかに立っていた。

「すみませんがゲームしたいのだが1人足らないので良かったら一緒に

お願いできませんこと」と誘われた。

 

自分は今までゲームは行った事は無かったので「はあ、いいですよ」と

言ってしまったが余り自信は無かった。

「コートはDコートだから来てくださいね」と言い行ってしまった、

分は自動販売機でカフィオーレを買い飲みながらDコートへ着いたら

女性3人で楽しそうに話をしていた、誘いに来た女性とは違う女性が

あー良かったー」といって私を迎かいて呉れた。

女性3人とも年頃は似てるが50歳は過ぎているかなーと思いながら

「よろしくお願いします」と挨拶した。

 

「アップ致しますか」と聞いてきたが私はアップとは何かと思い分らず

怪訝な顔していると。

「壁打ちしてたからいいわね」となりジャンケンで順番らしい番号で私

は最初に負けたので4番となった。

「最初は1と2、3と4で」となりゲームになった。

 その女性達は気合を入れて打ち込んで来るので壁打ちとは異なり大変

に楽しかったが自分にはひとつ問題が出てきた、自分はサーブが良くな

いと云うか甘いと云うか簡単に強く打ち込まれて返すレシーブに難儀した。

 

終わってから「まだ壁打ち練習中なので済みませんでした」と言ったが

女性たちは「いいのいいの今日は良くなくても次が良ければねー」と

誘って呉れた女性が他の2人に同意を求めるしぐさをした。

「今日は楽しかった」と礼を言い自分は彼女達より先にコートを後にした。

 

 そんな事が有ってから壁打ち練習でサーブの練習に重点を置いて

練習した、サーブはレシーブ打ちより疲れたがサーブはゲームの始

まりだ、甘い緩やかなサーブは打ち込まれてレシーブに苦労するのは

分ったので時間の半分はサーブの練習をした。

帰りにはゲームをして居る人達のサーブを観察すると上手だなと感じる人

のサーブを良く見ると高い所から強く打っている、自分はこの前強く打っ

た時はネットに掛ったりオーバーしたりで次のセカンドサーブが打ち込ま

れたのだ。

 

壁打ちで練習はしたが実際にサービスコート内に入って居るかは明確で

はない。

「あーあ今日は疲れた、だけど先程見た人のサーブは良く曲がりすいー

とサービスコート内に入る上手なものだなー」とつぶやきながら何時も

の噴水のベンチでぼんやりと噴水を見るとはなしにカフィオーレを飲ん

でいたら足元へプードルが来た、ふっと横を見たら真黄色のショートパ

ンツが目に入ったが直ぐにこの前にボールの打ち方を教えて呉れた女性

であることが分った。

「こんにちは」と先に言われてしまった。

 

自分も「こんにちは」と言い続けて「ああー良い所へ来てくれた、今ど

うしたものかと悩んでいた所だった」

「あーら何かしら」

「いやーサーブが出来なくてなー先週ゲームしたのだけれど打ち込まれ

て困ってた所だった」

「そうですか、今日も言うけど私に教わったとは誰にも言っては駄目ですよ」

私は黙って頷いた「壁打ちの所にネットラインがあるでしょうそのライ

ンの真ん中の上40センチの所に目印を付けて、その目印に当てるよう

に打つのよ、ラケットは野球ボールを力一杯投げるように打ち込むと良

いよ」

 

「あっ丁度良かった壁打ち練習でも目印付けて練習してるから」

「今言ったのはフラットサーブなのスライスサーブはラケットを薄く

握って打てば良いよ」といって握り方を教えて呉れた。

 

そうか先程見た曲がって入るのはスライスサーブかと思った「サーブも

ラケットのどの所に当てて打てば良いかを良く見て打つのよコートは入

れる場所を確認するだけで良いの打つボールだけを見て打つのよ「はい

練習してみます」と返事をする。

「テニスの事で何か困ったと思ったら、それを強く思うのよ、そしたら

以心伝心で私に伝わるから」と言い「じゃーね」と行ってしまった。

なんだか変なこと言ったような気がした、それにまだ思い出せないが心

に残る香りを残して行った。

 

 次の日今日はサーブの練習しようと思いながら先週目印を付けた所と同

じ所へ赤いテープを30センチ程横長に貼った。

最初は軽くレシーブ練習をしてからサーブの練習に入った、高くトスし

て「ボールを遠くへ投げる気持ちで打てと言われたので、そんな感じで

打って見ると目印のテープへ当たった、何度も打ってみて「そうかこん

感覚で打てば良いのか」と思い分った感じがした次はスライスだなと

ラケットの握りを確認して打ってみたがスライスと云う感じはしなかっ

たが何度も打っている内にもっと強く打たなければスライスしないのだ

と思ったので強めに打って見たら少しカーブしたので「分ったこの感じ

で打てば良いのだ」と思った。

 

フラットとスライスを変わるがわる打っても目印の少し上辺りに当たる

ようになった「ようし分ったぞ」と自信みたいなものを感じた。

 今日の壁打ちはあっと思うくらい時間の過ぎるのが早かったが余り疲

れた感じは無く充実感が有った、何時ものカフィオーレを飲みながら

何時もの噴水のベンチで休みながらふっと思った、自分は彼女にお願い

るのには一瞬の閃きみたいなもので後先は思わなく言ってしまったよ

うな気がしたが彼女は何でいとも簡単にOKしたのかなー、気安い人だ

なーと思った。彼女の教えの通りに実行したら意とも簡単に思うように

ボールが飛んで行ってくれる感じで自分が打ったのではなく勝手に

ボールが飛んでいって呉れてるような感じだ、自分はそんなに早く

上手になる訳無い、いや自分には素質が有るのかなーいやそんな事無い

彼女の教えの通り練習し始めたら良くなったようだと思いぼやーとして

いた。

 

「あーらこの前のお兄さん」と言って声を掛けて来たのは、この前1

人少ないと言って誘われてゲームをした内の1人でゲームの時は何も話

はしなかった女性で3人の内で一番若いかなーと思った女性だ。

 

この女性はテニス用のパンツにテニス用で有名メーカーのTシャツで胸元

からのボディラインがすっきりしたテニススタイルでテニス用バックを

肩から掛けていた。

「今日も1人少ないと思うの1人来るか来ないか分らないよ、良かった

ら一緒にプレーしません?」と言う時かすかに頭を横に下げた。

「はあはいありがとうございます」

 

 

「あー良かった、お兄さんのレシーブ良いよね」と言って持ち上げてく

れた。

二人並んでテニスコートへ向かったこの前のサーブの打ち方を教えて呉

れた女性と通った道を今日は別の女性と並んで歩いた。

 

 コートに着いたら二人はもう来ていてウォーミングアップに入ろうか

と云う所だった、誘ってくれた女性が先にコートに着いたので二人に

「この前のお兄さん噴水のベンチに居たで誘って来たの」と言って呉

れたので二人に軽く会釈して「お願いします」と言うと。

「ちょうど良かったわね」と言って二人はにこやかに軽く会釈して喜ん

でくれた。

「お願いしまーす」と言うので誘って呉れた女性とウォーミングアップ

をする。

先ほど「お兄さんレシーブ良いね」と褒めて呉れたがこの女性のレシー

ブは鋭く早いボールだ返すのに精一杯だった。

 

程なくゲームをする事になり最初はウォーミングアップした女性とペア

になりその後互いにペアを変えて楽しんだ。

 帰る時になり「お兄さん今日はサーブ良かったね」と言ってくれた。

「この前はさんざんだったので今日練習したんだ」

「そうなんだ熱心だね、私達この頃三人なの一人居なくて困ってんのよ

ねー」と他の二人に向かって言うと。

 

他の1人が「私達にまざって下さらない」と他の二人に同調を求めるよ

うに自分に向かって言う

他の二人も「是非お願い」となり女性3人組の仲間になる事になってし

まった。

「でお兄さん何曜日が都合いいの?」

「んーん水曜日が良いかなー」

 

「あらっ私達も水曜日をテニス日としてるから丁度よかったー」

「でお兄さんのお名前と連絡先教えて」

私は森有三という事と携帯電話の番号を伝えた彼女たち各々か゛携帯

電話を出して私の言った番号を記録した。

 

あっと云う感じで2時間が過ぎたここのコートは1時間単位で貸してい

るようで彼女達は2時間借りたようだった。

 このグループの取り纏めは一番若いと思う今日誘ってくれた女性のよ

うである。

この前に誘ってくれた女性は今日は何も私には話し掛けてこなかった。

「あのね森さん来週の水曜日はBコート12時からなんだけど良いかし

ら」

私はこれと言った用事はまったくない、用事は自分で作って出かけて行

くだけだなのでOKした。

 

そして水曜日に11時に公園に着きオートテニスと云う自動テニスマシ

ーンでレシーブの練習をした。

その自動マシーンは緩やか、中速、高速、スライス、混合、などあり

自分で選択してスタートボタン押せば選択したボールが飛んでくる機械

だ、何回か打っていると急に早いボールが来た自分が選んだのは混合

だったのを忘れていた。

 

 これは難しい機械からはどんなボールが来るのかは予想出来ないから

だ、ボールが出て来る慣れて来たと思ったら終了してしまった、

思ったより難しいなーと感じた。

 コートに行くと3人の女性が着いていて何か楽しそうに話をしていた。

「こんにちは」と挨拶すると3人揃って「こんにちは」とにこやかな

笑顔で返事してくれた。

今日も先週と同じくペアを変えてのゲームだったが始める時ジャンケン

で番号を決めて順番にペアを変えると云う事だった。

 

あっという2時間だった、ラケットをケースに納め汗を拭いていると

「森さん公園の入り口の所の喫茶店で休んで行くんだけど一緒しない」

と今日は最初に誘って呉れた女性が声を掛けてきた。

「他の二人をチラッと見たらどうぞと云う感じだったので「はあー」と

言って頷いて一緒する事になった。

 

女性達はテニスバックを肩から掛けているが余り重そうではなかった

自分はラケットとタオルとボール4個を入れた小さいバックなので気楽

に女性達の後に付いて行った。

 テーブルに付くと誘って呉れた女性が「私達まだ名前言って無かった

よね」と言い「私達の話聴いていて分ったと思うけど私は原田葵、あお

いと呼んで、向かいは岡緑さん、緑さんて呼ぶの隣は山根香、かおりち

ゃんて呼んでと云う、かおりちゃんが一番若く活発だ、それぞれ

テニスシーンを頭に浮かべ軽く目を合わせ会釈した。

 

  女性三人対私では圧倒されてしまう、それにテニススタイルなので

身体のスタイルが私をなお更圧倒してしまい彼女達の話を黙って聞くの

みだったが緑さんが「森さんのテニスって年齢は良く分らないが何とな

く年齢に合ってない感じするんだけど」と言って問いかけてきた。つづ

けて「若いときにしていて又このごろ始めたんでしょ」

 

私は「いやそうではない」と手を左右に振りながら「この春会社定年

退職したので一念発起して始めたんだ」

「学生の時にしていて又始めたのかなーと思った、それにしては大変

上手よねー」と他の二人にうながした。すると香ちゃんが「今日は

サーブは良くなったけどバックレシーブがいまいちね」と突っ込んできた。

 

「まだバックレシーブ教えて貰ってないんだ」

「えーならってるんだー頑張ってるんだー」

「習ってるわけではないんだ指導して貰ってるんだ」

「えーどこのクラブで習ってるの」

「いやスクールではなく打ち方など教えて呉れる人が居てねその人にあ

れこれと教えて貰ってるんだ」

 

「じゃ来週はバックレシーブが楽しみだわ」とプレッシャーを掛けてきた。

「そんなに簡単には上手にはならないよ」と言ったがそうかバックを教

わろうと思い「又のゲームを楽しみにして於いて」と強気を言ってしまった。

 彼女達は私に気使う事無く話をしているのを聴いていると何となく

分った事がある。

彼女達この少し前までは4人の仲間でテニスをしていたが1人が来なく

なり3人ではゲームが出来なくなりタイミング良く私が引き込まれた感だ。

 

 それから3日後の土曜日壁内でバックレシーブに重点を置き何時もの

ようにテープを貼り練習をするが思う方向へボールが行かない、何度も

同じくネットに掛かったと思う位置にボールが当たる、少し高めにと

うとかなり高くなりたぶんバックラインを超えてコート外に成っている

と思う又上手く打てたと思うボールは弱く勢いがない、勢いが無くても

思った所へ行けば良いのだがと思う、本によれば「打つ回数はバックの

方が少ないので打つ練習回数を増やすと良い」と書いてあったと思った。

 

自分はゲームの時にバックに来たボールでも無理にフォアーに廻り打っ

ているように思うなーと思いながら一休みしながら、ふと思ったここ

3回程指導を受けた女性が「テニスの事で困ったことが有ったら困った

事を強く思うのよ」と言っていたがどう云う事なのだろう、

何事も強い信念で対処すれば事は成る、そう云う事かなーと思った。

今日は何だか疲れた「この次もバックレシーブをしよう」とつぶやきな

がら出入り口の金網の戸を開いたらにこやかに自分を見ている女性と目

が合った、この前から指導を受けている女性だ、ちらっと横を見たら

プードルは横の木の根元に居た、彼女はなぜこの壁打ち練習に来ただ

ろう、そうか強く思うと通じると言った事を頭がよぎった、ようし今日

バック打ちを教わろう。と瞬時に思い良い所へ来てくれたと思った。

 

私は軽く会釈してにこやかに傍に行き「済みませんが課題が出来ちゃた、

教えて欲しいんだけど良いでしょうかね」と「あらー良いわよ何かしら」

「あー良かった先程から練習していたが上手く打てないんだ」と言うと

「何かしら」となり課題を言う。

 

「ゲームに誘われてなーゲームしたら私のバックレシーブが良くないと

見られてバック攻めに集中されたんだ」

「それで今日練習してたと云う訳ね」

「そうなんです」と強く返事をしながら「バックで打てば相手のチャン

スボールになってしまい強烈に打たれてしまい返せなくなってしまう、

私は返したつもりだがパートナーが返せなくなってしまうんだ」

 

「そうねー返球が良くないとパートナーが困るのよねー、私の順番が来

たら一緒にやりましょう」

今日の彼女は真白いパンツに黄色のТシャツなので胸元の隆起ははっき

りとボリュームを感じた。

 プードルの事でも聞こうかと思ったとき「あっ空いたわよ行きま

しょう」と言い先に入っていった。

 

「少し打ってみて」と言うのでバックレシーブの姿勢で何度も打った、

それを見てから「バックはねラケットの握る位置が違うのよ、前にも

言ったわね、それと右足の位置が大切なの、右足の位置でボールの飛ん

でいく方向が決まっちゃうのよ」と言って彼女は自分でラケットの握り

と右足の位置とを示してくれた。

 

「打ちたい方向に対して横になるのよ、横になる為には右足を使うのよ

基本はフォアーと同じよ」と言うが私に取ってはまったく別物だったが

練習すればいいんだと思った。

「バック打ちには両手打ちも有るけど男性はバックスライスは私のオス

スメよ貴方マスターしてー」と言う「スライスのレシーブはボールを

ラケットに直角に当て、当てた瞬間にラケットの上に載せてボールの下

を少し上向きに強く擦りながら送ってやるとボールに回転が掛かり落ち

た時すべるようになるの、練習すれば感覚が掴めると思うよ」と言い

彼女は数回打って見せて呉れた、ボールはネットラインの直ぐ上に当た

り戻って来たボールを又打ち返す

事を何度見せて呉れた、私はただ上手いものだなーと感心するだけだった。

「それでは私帰るから、」と出て行ってしまった。

 

残された私は10分くらい打っていたが、この練習は自動レシーブマシ

ンの方が練習なると思い壁打ちを止め自動レシーブマシンで中速で練習

をした。

今日は良く練習したなーと思った、それから彼女と目が合った時ドキッ

とした、あの時は彼女に会いたいと云う気持ちが強かった、そんな時目

が合ったものだから自分の心は穏やかではなかった、また彼女壁打ちで

練習するのかと思ったら帰ってしまった私は彼女に何かを期待してい

事が駄目に成ったような気がしたのだ、彼女からは今も思い出せないが

心に残る香りがかすかに感じられた。それから今日も教えて貰って感謝し

なければならないのだが何か明確ではない期待感が不発になった気がし

て何かが逸した気分だった。

 

第2章 テニス交遊編                 

 

 何時ものように壁うち1人練習で、フォアーストロークとバック

スライス、フラットサーブとスライスサーブを変わるがわる練習した、

自分は以前より続けて打てるようになったと思いながらサーブアンドレ

シーブ戻って来た次のボールを何処に戻すかが考え所だ、それが上手

く戻れば彼女達と対等にゲームが出来て楽しいと思った。

 

そんな事を思いながらこの所2回ほどの壁打ち練習でサーブアンド

レシーブでバックとフォアーをかわるがわる練習してゲームの感覚も

分って何となく自信が付いたような気がしてきた。

 今日は何か満足した気持ちでラケットをラケットケースに入れて居る

所へ携帯電話が鳴った。先の3人グループの1人の葵さんからだった。

「今3人でクラブハウスに居るの暇だったら来ない?」

「クラブハウスって」と聞き返した

「ほらテニスクラブのよ」

 

「そう言われても知らないよ」

「ああそうね森さんには言ってなかったわね、ベストテニスクラブの

クラブハウスに居るのよ」

「聞いた事はあるが何処にあるの」

「東森公園の西側に有るのよ」

「今からかい」

「急に悪いけど来て貰うとゲームできるの緑さんと香ちゃんも

一緒よっ、来てよー」と言う。

「行くけど少し時間掛かるかなー」

「どの位?」

 

「そうだなー40分位かなー」

「待ってますー」と言われ電話が切れた。

 この公園の駐車場に停めて置いたブルーバードシルフィーで東森公園

に向かうが大体の方角知っているが行った事は無かった、またベスト

テニスクラブは聞いた事は有るが場所は明確には知らなかったが近くに

行ったら誰に聞けば良いと思い車を走らせた、東森公園の南側に道路が

ありベストテニスクラブの案内表示があり程なく到着しベストテニス

クラブの駐車場へ車を停めて道なりに中に入って行くと直ぐにクラブ

ハウスが分った。

 

入り口のドアから中を見たら直ぐ彼女達を見つけた、彼女達は派手な

スタイルで楽しそうに話をして私が近ずくと葵さんが手を挙げて「良

かったー」と言って椅子を一つ寄せて呉れた。

緑さんはコーヒー、香ちゃんはレモンティーグラスを前にしていた、

香ちゃんが「私達何時もこのクラブで楽しんでいるのよ」と「森さんと

会った公園は気分転換に行くのよ、今月の予約は後ないの」

「あのコメダ珈琲店が好きなのよ、スターバックスより好きよねー」と

葵さんと緑さんに促した。

「コートキープしてあるから直ぐゲームしよう」

「でも私会員では無いので」と促すと葵さんが

「私話して有るの、会員登録もお願いしてあるから良いのよ」

一方的に会員申し込みをしてしまって有るようだが強いて駄目と云う事

も無いしタイミングも良かったと思った。

 

ゲームはジャンケンで私と香ちゃん、葵さんと緑さんで始まり順番に組

み変えてゲームを楽しんだ。

葵さんのサーブは凄く威力がある、また緑さんのバックレシーブは両手

打ちが素晴らしい、香ちゃんは皆より少し若いのでフォアーと両手打ち

バックは威力がある、またサーブはスライスサーブで大きくスライスす

るのでバック側に厳しく入るとボールは逃げて行くので追いつかない、

各々が特性のボールが有るので対応が厳しい事は分っているので

 

「今日はようーしと思い」ゲームをした、私にサーブの順番が来たので

練習のつもりでフラットサーブを強め打ったらネット上部に当たり横に

飛びフォルトになったセカンドサーブは少し弱めに打ったが少し

スライスして入った、こんな感じでサーブ感覚が判って来た。

彼女達にはフラットの強いサーブよりスライスサーブの方が効果が

有った。今日は彼女達とようやくそれなりにゲームが出来たと思った。

 

 クラブハウスに戻ると彼女達は各々が飲み物をオーダーした「森さん

何にするー」と葵さんが聞いてきたので「アイス珈琲」をオーダーした、

皆テーブルで飲み物を飲みながら一息ついた頃葵さんが「森さん上手く

なったわねーこの前とはまったく違ってた」と他の2人に向かって私を

褒めてくれた、二人もうなずいた。

 

「サーブ良かったわよ私返せない時有ったもの、で森さん何処かの

グループに入ってるの?」

「いや前にも言ったように始めて間もないので、何処にも入って無いです」

「そんな事言って学生の時やってたのでしょう」と香ちゃん

「いや本当に初めて4ヶ月とょっとだよ」

「うそでしょ4ヶ月でそんなに上手くなる訳ないよ私なんか30年も

やっいるのにー」と葵さん

 

「定年退職したんでそれから週2回か3回練習してるんだ」

「私達30年もやってるのよ森さんうそばっかし言って」葵さんがまた

付込んできた

「本当ですよ、どこかぎこち無い未熟な所感じるでしょう」と言うと

「それはね学生の時してたのでまた始めたからだと思ってたのでねー」

と葵さんが緑さんと香ちゃんに相槌を促した。

 

「実はね、と言い掛けて、あっ「誰にも言ってはいけない」と言われた

事を思い出した

「実はね、前も言ったように定年退職したら毎日が日曜日なのでテニス

を仕事と思い壁打ち錬習してから本を読んで覚えたんだよ」

「それにしては上手過ぎるわよねー」と葵さん二人に促してから

 

「話変わるけど来月私達箱根に行くの森さん一緒に行かない?ラケット

持ってよ」

一瞬箱根にテニスするところ有ったかなーと思った。

「この3人で行くんだけど3人てはテニス出来ないから森さん一緒して

戴くと助かるんだけどなー」

 

私は面くらった女3人に私ではおかしな話しである箱根とは温泉で泊ま

りの旅行だ私は「うーん」と考えていると「女3人に森さん1人の方が

良いのよ女2人男2人だったりするとおかしいけど森さん1人だから良

いのよ」と

「定年退職したし毎日が日曜日だと云うから丁度良いのよねー森さん」

と言って押し込んできた。

 

自分は暇といいば毎日が暇だ、女性3人と箱根とはと考え込んでしまった。

「森さん決めたわよ、後でメールするからね」と云うことになり押し切

られた感じだ。今は会社に行く事もないし、これと云った用事も無いの

で女性3人との温泉もまあ良いかなーとも思った。

 

今日はテニスクラブには入れられるし箱根温泉に誘われたりと女性3人

に良いようにされたがこれも俺の今なのかと冷静に思うがこの冷静状態

が少しずつ薄れて行くような気がする。

それから一週間が過ぎ壁打ち練習は一定の流れで進むようになった、始

はフォアーのストローク次はバックストロークとバックスライスを打っ

てからフォアーで50回続ける次バックで50回で一休みしてから

サーブを50回、サーブは最初はフラットで次はスライスとして

計100回打つ、その中で戻って来たボールを思ったコースへ打ち込む

と云う繰り返しの練習だ。

 

 そんな練習振りを遠くからプードルを連れて見ている女性はいろいろ

と教えて呉れた女性で今日はパンタロンスタイルだ。

「あーあ今日は何か満足した感が有ったなー」そんな気分で出口の横に

ある自動販売機でカフィオーレを買い満足気分で噴水方向へ歩き出した

所へ「あーらしばらくー上手になったわねー見てましたわよ」と女性が

プードルと供に近づいて来た。

「あーしばらくです、言われた通りに練習したつもりです」

「そのようよね、」

 

「あっ目印テープ取るの忘れてきた」

「いいよいいよ他の人も目印が有って助かると思うよ」

戻ってテープを剥がしてから自動販売機で缶コーヒーを一個彼女へ

「どうぞ」と渡した

「ありがとう、噴水まで一緒していい?」

「良いですよ帰る方向だから」と頷いた。

 

二人の前をプードルが右左と臭いを嗅ぎながら道先案内して居るようだ。

「サーブはね、正確に打たなければならないの、自分でトスして自分で

打つのだから、ゆっくりと打てる唯一のボールよ」

「そうですねー相手がいやらしい所に打って来るボールではないからね」

と相槌を言う

「それとね、ボールを打つ時は必ず上手に打ったイメージをするの、

そして上手く打てるんだ強く思うの、そして打つのよ、」

 

私はよく理解出来なかったが「そうですか」と頷き「次回そのように

思ってみます」と軽く2度程頭を下げた「これが大切なの、上手く打て

た時の事思うのよ」本にはイメージトレーニングと書いてあったがその

事だと思った。

噴水を眺めるベンチに二人並んで腰をおろした、見れば仲良い夫婦と

思うだろう、そんな感じ並んだが間にラケットを置いた。

 

「私まだ名前言ってなかったわね、大山りつこって言うの、栗子と書く

の皆は「くりこ」と呼ぶのよ」

「ああ私も名前言ってなかったなー私は「森ゆうぞう」と云います作家

の山本有三の有り三と書きます」と手のひらに指でなぞって答えた。

 前から気になっていたが栗で思い出した、彼女から何気なくかすかに

匂う香りは確か自分が子供のころに嗅いだ栗の花の香りのようだと

思ったまた顔の輪郭も栗に似た頬が少しふくれて若尾文子に似ている

なーと思った。

 

「森さん来月箱根の温泉にテニスしなから行くのだけど一緒しない?」

「貴方とですか?」私はびっくりした

「そうよ私が言うのだから一緒に決まってるでしよう」

「貴方とですか?

「あーら何か不満でも有るの?」

「いやー不満は無いのですが貴方と二人となると」

 

「びっくりした、ごめんねテニスすると言ったでしょう箱根にはテニス

仲間が3人は居るのだから森さんを入れると5人にはなると思うの年に

何回かは友達とテニスしながら温泉楽しんでいるのよ、何時も女性ばか

りなの、森さん知り合いになったから誘うのよ楽しいと思うんだけどなー」

 

「はあ」と曖昧な返事をすると彼女はOKと思ったのか「来月の23日

よ10時発の小田急ロマンスカーのチケット取るからね」と

一方的に決めてしまっている。

「楽しいのよ、じゃ必ずね、23日の10時よ」と念を押された。

 

「あのー」と言いかけようとしたら「リリー行くわよ」とプードルを呼

行ってしまった。先週は葵さん達から誘われて居るがまだメールは来

て居ないので明確な事は判っていないが確か箱根と言っていた、両方に

行く訳には行かないと思うがどちらかを断る事になるが断る理由は直ぐ

には思いつかない、栗子さんには彼女達との関係を話してはいけないよ

な感じだ、栗子さんは23日となると葵さんたちの方は何時なのかな

ーと思った。

 

 それから一週間が過ぎたが葵さんからは何の連絡もなくまた壁打ち練

習場には栗子さんも現れなく何か物寂しく過ぎた日曜日にラケットと靴

を新調しようとアウトレットショッピングモールでラケットをあれこれ

握り感触具合を確かめていると「あーら森さん」と言う声の方向を見

ると女性が一人にこやかに目が合ったが誰かかは思い出せず一瞬困った

笑顔で挨拶した。

 

「あーら森さん私を忘れたのーいやね〜」と言われたがそれでも思い出

せない声は聞いた事があるような気がした。

「緑よーテニスしたでしょう」

「あーすみません、テニスの時の感じとまったく違うので分らなかった」

彼女の話ぶりから飲み屋の女性が店に来る知り合いの男性に声を掛ける

感じだが身なりからはそれは感じられない凛とした女性と云う感じだ、

それに彼女とは一度も面と向かって話しをしていないのて尚のこと思い

出せなかった。

 

「箱根に行くと云うからラケットと靴を新調しようと思ってねいま見て

たとこだ」

「どれにしようか迷ってたんだね私見てあげるよ」

緑さんは2、3個のラケットを握り見て「男だからこれでいいんじや

ない」と1個のラケットを示した「ラケットに男性、女性があるの」

「特に無いけど重さとグリップの太めと細めがあるのよ」と言われ握っ

てみたらなかなか良い感じだった

 

「あのー緑さん、打てば必ず思うところに飛ぶラケットって無いの」

「森さん言うわねーそんなのある訳ないでしようー」

緑さんとは何度も組んでゲームはしたのだが個人的な話をしたのは今日

が初めてだ、女性3人居るときでも話をしないもの静な女性だなーと云

う感じの緑さんだったが話してみると親しみを感じた。

 

「じゃこのラケットで良いよ」

「ガットは」と言うがよく分らなかった

「よく分かんないからこれに合うの見てよ」と頼んだ

「ごく普通のと、細めと、スライス向きがあるのよ、森さん今使ってる

の多分普通のだと思う

から細めにしたらいいよ」

どうして細めがいいのか分らなかったので黙って頷いた。

「今使っているのと新しいのを使ってみてどちらが自分に合うか試して

みて、その内どちらかが合うようになると思うのまたその日の気分で

ラケットを使い分ければいいよ」

今使用しているのは適当に買ったので何も気にはしていなかった

 

「今使っているガットの張りはいくら?」と聞いてきたが

「うーん分かんない」

「私50に張ってあるの森さん強く打つから55がいいかなー、だけど

50に貼って今使ってるのと打ち比べてみて、その内どちらが合うか感

じますよ強く張ると力が要るのよ50だと余り強く打たなくても結構早

い球うてるから」なるほどと分った感じがした、緑さんがラケットを

持ち店員に頼んで呉れた、2〜3日過ぎたら出来てるとのことで預かり

票を渡された。

「あと靴も買うんだけど」

 

「じゃ靴の所へいきましょう」と言い靴売り場が分っているらしく、

その方向へ歩き出した自分は黙って後に付いた。

「靴はね普通のとワイドがあるから」と私の靴を覗き込むが今日は不通

のウォーキングシューズだった。

「今履いてるのは多分普通のと思うから男性はワイドが似合うと思うけど」

「そうですか、ワイドにしよう」という事でホワイトにブルーのライン

の入った有名なーカーマークの入った靴にした。

 

「あれこれと教えて貰い助かりました」

「ええーどう致しまして、で森さん今日はこれからは?」とにっこりう

なずき聞いてきた。

「帰るだけだけと」

「じゃちょっと付き合ってよ」

「緑さん用事あって来たんじゃないの」

「用事すみでぶらついてたのよ、そしたら森さん見つけちゃったのよ」

「そうでしたか」

 

「ここ出た通りの所にスターバックスがあるのちょっと付き合って」と

近づいて来た。

「あっすみませんお礼もせずに、ちょうどよかった」

二人並んで見た目には仲良い夫婦のような感じで歩きながら。

「森さんこの春から始めたばかりと言っていたけれど、嘘でしょう」

「本当ですよ、壁打ちとオートテニスのお世話になってようやくゲーム

出来るようになったよ」

「どうも嘘くさいなー私は30数年やってるのよ」

 

「緑さんの球返しにくいよ、私のフォアーに返って来ないからね」

「森さんの球素直だから返しやすいのよ」

「でしょうー今修行中なんだから」

「だけど必ず戻って来るからすごいよ」

 

「ただ一生懸命に戻しているだけで自分の思った所へはなかなか打てな

いよ緑さんの球は」

スターバックスに入ると中は思ったより混んではいなかった

入ると直ぐに注文コーナーがあり互いに好きなコーヒーを注文した

「緑さんケーキは」とショーケース方向を見ながら促した

「そうねチーズケーキ」と私はモンブランを注文して「お世話に成った

から」と言い支払を済ました。

 

 お互いに自分の飲み物を受け取り奥の窓際のテーブルに座り「先ほど

は何から何までお世話になりました」と頭を下げた

「ええどういたしまして」といやに丁寧におどけた表情で切返してきた。

「本当にお世話になりました」とまた礼をした

「私の言うとおりにするとは森さんって素直ねー」

 

「だって緑さん良く知ってるし私は何も知らないから丁度良かったんだよ」

「そんな事言って森さん又知らない振りしてー」と

「まだ疑ってる前にも言った通り始めて半年くらいだってば」

「また嘘を言う〜私は30数年なのよーこの前の話ではクラブのスクール

も受けて無いと言ってたよねー」

 

「あの公園の壁打ちとオートテニスで練習しただけだよ、それとー」と

言いかけてはっと思い話をやめた。

「なによーちょっと変よ途中で」と問うて来た

「ああ、あのー親父がテニスやっていて、子供の時にしごかれちゃって

厭になってなー」

「そうなんだ、それで素質があるのかー分りました」

危うく栗子さんに教えて貰った事を言いそうになった

 

「それでねー森さん」と言い私の顔を覗き見るような仕草で

「私、森さん好きになったみたい」

「は、あーそれは困りましたなー」と軽く受け流した

「ねー森さんテニスしながら伊東か熱海に行かないっ?}

私は黙って緑さんを見ていると、続けて

「伊東と熱海に友達がいるから誘ってテニスするのよ、熱海より伊東の

方がいいかなー

 

伊東にはテニスコート有るから」

私は黙って聞いていた

「ね、伊東へ行きましょうよ、友達がホテルの女将してるのよ、熱海の

友達は大学のテニス仲間で実家で女将なの」

「いいねー友達がホテルの女将では何時でも行けるねー」

「そうなのよー伊東でいいでしょうー」

 

私の言い方がちょっと悪かった緑さんはOKと思ってしまっているようだ。

「今日返事しなくて良いの森さんの携帯知ってるから日にち決めたら知

らせるからー」

私は返事せず如何したら良いかと思って黙っていた

「ご馳走さん、じゃ後でー」と言いとっとっと出て行ってしまった。

 

何と一方的にと思ったが何も言わない方がいけないんだ、葵さんとの

約束と栗子さんの誘いとまた緑さんからと、どうしたものかテニスする

のは良いのだが伊東や箱根と云うと温泉だ、テニスも温泉も好きだがど

うしたら良いか困ってしまった。

 

第3章  テニス約束の忘却

 

 今日も壁打ち練習を何時もの順番で行い自動販売機で買った

カフィオーレを飲んで一息付いていたら携帯が鳴った葵さんからだ。

 

「ベストクラブに居るんだけど来ない?」

「今何時ものところで壁打ちしてたところなんだ」

「あらさびしそうね、今レッスン終わったところなの香ちゃんと

香ちゃんの友達と居るんでゲームに付き合ってよ、待ってるから来てー」

「そうかーじゃー行きます」

 

車を走らせながら香ちゃんの友達が一緒とのこと、その友達はたぶん

女性だろう、香ちゃんは活発な人だから多分似たような女性かなー

ちょっと興味が湧いてきた。

ベストテニスクラブの駐車場はウィークデーのこの時間は比較的空いて

いる、クラブハウスに行くと葵さんが手をあげて呼んでくれた。

三人でコーヒーを飲んで楽しそうだった、近づくと香ちゃんが立って

椅子を空け別の椅子に移った。

 

「コーヒー飲む」と葵さんが言ったが「後で良い」と答え香ちゃんの

友達を見てしまった。

「先ほど言った香ちゃんの友達で、くるみさんょ」と葵さんが紹介した、

続いて香ちゃんが

「先程言っていた森さんよ」と私を紹介した。

「森さんはこの春からテニス始めたと言うけれど上手なのよ、私は

森さんが本当の事言ってない気がするんだれど」と付け足した。

 

来る途中思っていた通りの感じがした、髪は長くはしていなく落ち

着いた主婦と云う感じだ、

ふと感じたのはアナウンサーの久保純子にどこか似てるなーと思った。

「森さんコーヒー飲まないならゲームしよう」とうながされてコートへ

向かった、その途中香ちやんが「くるみさん始めたばかりだからよろし

くお願いするね」とその横にいたくるみさんは、にこりと微笑み「よろ

しくお願い致します」と頭を下げた。

 

「ベストの小山コーチからレッスン受けているから上手くなったわよ」

と葵さんが付け足した。

最初は香ちゃんとくるみさんが組み私しと葵さんが組んでゲームをした

少し休んでから私とくるみさん、葵さんと香ちゃん、その次は葵さん

とくるみさん、私と香ちゃんと組んでゲームを楽しんだ。

 

くるみさんは始めたばかり云うがそこそこの上手さが有って楽しかった。

クラブハウスに戻りラケットをバックに入れていたら、葵さんが

「コーヒー飲もう」と言うので私は窓際のテーブルが空いていたので

座った、くるみさんはお手洗いの方に行った、葵さんと香ちゃん

コーヒーを取りに行った。

葵さんと香ちゃんが各々二人分のコーヒーを持って席に着いた、

間もなく、くるみさんも椅子に座った。

 

「今日は楽しかったねー森さんの球素直だから打ち安かったでよう」

とくるみさんに向かって言った。

くるみさんは黙ってうなずいた。

「香ちやんのはひねくれ球なんだから何時ものことだけどね」と

葵さん、私に言ってる感じだ。

 

「いいの私のは試合用だから」

確かに香ちゃんの球はバックバックと攻めて来る、それにスピンが

掛かるのでとても返し難いのだ、緑さんが居ないので気になったので

緑さん今日どうしたの」と葵さんに向かって聞いた。

「緑さん今日何か用事あると言っていた」とのこと。

「森さん今日壁打ちしてたんだよね」と香ちゃんが問うてきた。

「うん、何時もの所で」

 

「先程ね森さんのことくるみさんに話してたの、森さんがね壁打ちして

る所の壁が良いらしく森さんが日増しに上手になったと言ったら、

くるみさんが私もそこで壁打ち練習したいと言うのよね、くるみさん」

と、くるみさんの方を見た。くるみさんは笑顔でうなずいた。

「あそこの壁打ち練習場は誰でも良いんだよ無料だし早く行って

待ってて順番が来たら30分間練習出来るんだ、その後誰も居なければ

続けて居ても良いようだ」

 

「それはそうでしょうが森さんの指導で練習したいと云うのよ」

「私指導なんて出来ないよ」

「あのね森さんが今まで練習して来た事を順番にくるみさんに言って

呉れれば良いのよ、

「ねくるみさん」とくるみさんの返事をうながした。

くるみさんはにこやかにただうなずいた、お願いしますと云う感じだ。

「それは良いけど指導なんておこがましい」

 

「森さんが一緒に見守っていればいいのよね〜くるみさん」と葵さんも

うながした。

「よろしくお願いします」とくるみさんに頭を下げて言われてしまった。

「ああー良かったーやっぱり思っていた通りの森さんだー」

香ちやんは自分の事のように喜んだ。

 

 私は何が思ってた通りなのかは分らないのでOK返事はしていなかっ

たが引き受けた感じになってしまった、ま良いかと思った、それよりも

箱根に行く日取りの方が気になっていたが葵さんはその事に付いては何

も話はなく、聞こうかと思っていたが聞きそびれていた。

 

「くるみさん何時行く」と香ちゃんが聞いた

「私は何時でも良いんだけど、森さんの都合の良い時でいいわ」と

「森さん何時にする?」と香ちゃんが自分事のように聞いてきた。

「じゃ早い方が良いか、明日12時からにしよう昼時は空いてるから」

と提案した

「あー良かったー」とまた言いコーヒーを美味しそうに両手でカップを

持ち飲んだ。

箱根温泉行の事はいずれ葵さんが言ってくるだろうとまた思った。

 

次の日私は何とはなく昨日くるみさんと約束した12時より30分早く

公園に着いたので何時もの噴水のベンチで噴水を見るでもなくただぼん

やりと眺めていたら眠気がさしてうとうとしていた。

「森さーん」という声ではっとして声の方を見たらくるみさんだ。

「うとうとしてたんでびっくりしたなー」

 

「森さんどうぞ」と言い缶コーヒーを呉れたので「ありがとさん」と

受け取った。

くるみさんが横に座ったのでドキッとした、話するには近すぎるので

少し座を広げた。

くるみさんが横に座った時にかすかな香りがした、その香りはなにか忘

れた物が出てきたような懐かしいような香りだ。

 

「森さんってこの公園の近くに住んでるんですか」

「近くと言いば近くだ歩いて15分くらいかなー」

「じゃ散歩には最適だね」

「気が向けば歩いて来るが今日は車で来た」

「あらいやだー今日は気が向かなかったのー」

「そんな事無いよ何となく車で来てしまったんだ」

「あー良かった私が嫌いだと思った」

 

「嫌いどころか私の好きなタイプって感じだよ」

「あーら上手ね、私ね主人亡くして、ぼーとして家に居たのよ、

香ちゃん来てねテニスすれば何もかも忘れられるからと言うので始め

たのよ、良かったーテニス始めて」

「テニスって一人で出来ないからな〜、一人では壁打ちだけど、今思

と壁打ちは孤独で寂しいよ、四人でゲームするのが楽しいと思ったよ」

 

「香ちゃんに言われたの、森さんとテニスしてると他のこと忘れられる

からと」

「香ちゃん何を言っているのかなー私はテニス始めたばかりだし唯の男

で、そんなおおそれた事は有りませんよ」

「香ちゃん言ってたけど森さんと話してると気つかわなくて楽しいって、

私もそんな気がしてきた」

 

「それは貴方がたの個人的な思いだね」

「そうなのよ、そう思って下さっても良いのよ」

「それは有りがたいが少し迷惑って感じだなー」

「そうですよねー今日で二度目ですものねー、香ちゃんが話してたから

何度も会ってたような気がしてきた」

 

「行きましょう」と立ち上がりくるみさんを促がした。

二人並んで歩いているのは仲良し夫婦がテニスを楽しみに行くような感

じで壁打ち練習場へ向かっていた。

5面あるテニスコートが見えて来た時横の散歩コース路よりプードルが

駆けて来てくるみさんの足元に絡み付いた。

 

「あらあらと」言ってしゃがみ込みプードルの頭をなでたら続けて私の

足元にも来て絡み付いた、はっと思った時「森さん暫らくねー」と声が

した、栗子さんだった。

「あっ大山さん」と言ったものの後が続かなかった。

栗子さんはチラッとくるみさんを見たが、くるみさんを無視して「どう

上手くなった」と「おかげさまでゲームして楽しんでます」

 

「それは良かった楽しみにしてて良いかしら」

「はあー」とは言ったが続けて何と言おうかとして居ると」

「リリー行くわよ」とプードルに声を掛け噴水のある方へ行ってしまった。

「綺麗な人ね」とくるみさん

 

「テニス上手な人なの」と答えたがその続きは言葉にならなかった。

愛くるしいくるみさんの前で他の女性の容姿など言ってはならないと

思ったからだ。

 壁打ち練習場には先客一人おり少し待っていたら終わったので入れ

替わった。

用意して来たガムテープをネットラインの中央40cm位の高さの所へ

10cm程の長さにして貼る。

 

「このテープを目印にして打つと良いんだ」と言い自分が先に打って

見せた

替ってくるみさんに打ってもらうと大変に上手であるが球の勢いは無い、

ベストテニスクラブで指導受けてるのだから当然だ、暫らく打っていた

が「疲れたー」と言って私の座っていた隣へどかっと座った。

 

私はくるみさんのように続けて打てるように成ったのは始めて2ヶ月位

経ってからだった、そんな時に栗子さんに出合ったのだった。

「二人で打ちましょう」と言い「お願いします」と

私が打って戻って来たらくるみさんが打つまた戻って来たら私が打つと

云う順で練習した、時折強く打って見るとくるみさんも強く打ち返した、

あっと云う間の30分だった次の人るのかなーと見ると2人待ってい

たの終える。

 

外へ出た所に清爽飲料の自動販売機が有るのでカフィオーレを2個買い

くるみさんに1個を渡して順番待ちの椅子に二人並んで休んだ。

「くるみさん上手だから壁打ちなんかしなくても良いんじゃない」

「香ちゃんが森さんと練習すると上手になるコツを教えて呉れるからと

言うのよ」

「上手になるコツねーそんなの分かんないよ」

 

「香ちゃんは森さんが錬習して居る壁が良いんだと言ったんで」

「それがこの壁だよ、香ちゃんの球と違うから打ちやすいんだよ」

「そうね香ちゃんのはスライスボールだから難しいのよ」

「それが試合では有効なんだよ」

 

「私なんだか上手になったような気がして来た」

「くるみさん話上手いなー参ったよ」

くるみさんと話をして居るとなんとなく楽しく成ってきたのでもっと

話がしたくなった。

「くるみさん今日これから用事あるの?」

 

「用事なんてありませんことよ」と何だか優しい返事になった感じがした。

「じゃー公園の入口の所に喫茶店有るんだ、ちょっとコーヒーしよう」

「いいわよ」とテニスバックを背負った。

 

私はラケットケースにラケットを入れた、ボール2個を別のバックにて

れて立ち上がったり先に歩き出したらくるみさんも直ぐに後に着いてきた。

喫茶店は空いていたので前に葵さんたちと座った席に座る。

お互いにコーヒーとケーキを注文した、くるみさんはチーズケーキ、

はモンブランケーキを。

「くるみさん始めたばかりと言っていたけど私の始めた時とはまったく

違うなー」

「始めたのは先月だけど、その昔ちょっとやってた事あるのよ」

 

「どうりで、どうも初めてではないなーと思ったよ」

「香ちゃんがねー森さん急に上手になったから何か良い練習してるら

しい、と言うので頼んだのよ」

 

「急に上手くなった訳では無いよ、見ての通りの事だよ」

「そんなこと無いよ、森さん上手よ、」

「週に2回ほど寂しく一人で壁打ちしてるだけだよ」

「それだけー誰かに教えて貰ってるとかー」と言ってコーヒーを飲んだ

其の時私の携帯電話が鳴ったので「ちょっとごめん」と言い席を立ち入

り口に向かって携帯を開いたら葵さんからだ。

「練習終わった?」

 

「終わって今くるみさんと喫茶店に居る」

「丁度其の頃かと思ったので電話したのよ」

「くるみさん上手で私の始めた時とはまったく違うよ」

「くるみさんベストでレッスン受けてるからね」

「それでー上手いんだ」

 

「あのね森さん前に言ってた箱根温泉決まったよ、10月12日で

箱根Fホテルに、そしての日小田原のテニスコートでテニスする事に

したわよ、箱根Fホテル分るよね」

「はい分ります、箱根で有名だから」

「実はね12日にテニスしてその日にFホテルと思ってたけど、その

日テニスコート取れなかったのでテニス翌日にしたのそれと前に予約し

てたホテル変更出来なかったの」

「そうですか分りました、じゃ私車で行くよ次の日小田原でしょう」

「私達も車で行こうと思ってるから」

 

「さうですか、楽しみにしてます」

「それにねー森さん次の日テニスして一番多く負けた人はFホテルの

代金の総額の半分払うのよ、私達何時もそうしてるの」

「うわーそれはきついなーだけど了解致します」

「それとFホテル森さんの名前で予約してあるからね」

「はい、いいですよ」

 

「じゃー箱根でねー」と電話が終わった

テーブルに戻るとくるみさんが寂しそうにケーキを食べていた。

「葵さんからだった」

「そうー」とそっけなく私関係ないでしょーと云う感じだ

「来月12日小田原で葵さん達とゲームする事になった」

「あらっ私も誘われているわよ」

 

「そうか、それは楽しみだが、その後が大変なんだ」

「何が大変なの、おおげさにー」

「私と、くるみさんがまだ始めたばりだろう、それが大変なんだ」

「そんなの分ってるじゃない」

「それがだ、ゲームして負けた人がFホテルの代金の半額を払うん

だって、くるみさんもFホテルに行くんでしょう」

 

「そう〜前の日にFホテルに泊まるんだって聞いてるよ」

「私かくるみさんが払う事になるよなー」

「しょうがないよ」と何だかそっけなく言うので気抜けしてしまった。

「さき程の話だけど本を読み隣にあるオートテニスで早い球の

ストローク練習したんだ」

「私も早く上手になりたいっ、香ちゃんには勝ちたいのよ」

「香ちゃんの球は難しいよ」

 

「だから何とかと思い森さんにお願いしたのよ、だって森さん香ちゃん

の球ちゃんと返すじゃないですか」

「私だって一生懸命だよ」と言いケーキを食べた。

くるみさんからまたかすかに懐かしい香りがして来た、何の香りだろう

思ってコーヒーを飲んだ。

「森さん話違うけれど壁打ちに行く時に綺麗な人に挨拶したわね、

森さんってなかなかねー」

「あの人綺麗だね」

 

「なによ森さんって言ってたんじゃない、知らない振りしてー」

「私はあの人良く分んないんだ、だがお世話になったんだ」

「何かふか〜い関係でもあるの?」と興味有りげに聞いてきた。

「実はなーあの人にテニス教わったんだ」

 

「森さーん、誰にも教わらないなんい言ってたけど嘘だったのね」

「いやーそうなんだ、あの人の言う通りに打てば、その通りになるんだ

、私は始めたばかりだから言われた通りに何度も何度も壁打ちで練習し

たら葵さんの球も緑さんの球も打てたが香ちゃんの球は少し難しかった」

 

「そうなんだ、私も教わりたいな〜今度紹介してくれない?」

「紹介したいけれど、あの人と連絡取れないんだ」

「そんなに親しくしていても」

「親しくって云うけれど名前知ってる程度だよ」

「名前何んと云うんですか、インターネットで調べて見る」

「大山栗子って言ってたよ、くりこと書くと」

 

「あら私と同じ苗字ね、私ねどうしても香ちゃんに勝ちたいの」

香ちゃんとどう云う関係かは知らないが女の執念と云うか強い対抗意識

だなーと思った。

 「森さんくらいになれば香ちゃんと対抗出来ると思うのでコーチしてー」

「コーチはベストクラブに居るでしょう」

「私は森さんにコーチして貰いたいのよ」

 

「それは無理と云うもんだね、私はまだ初心者の部類だよ」

「いいのよ森さんで」

「くるみさん、それは無理だと云うもんだよ」

「森さんは私嫌いなんでしょう」

「そんな問題ではありません、私は教えるなんて出来ないよ、教えて

貰うなら葵さんだって居るでしよう」

 

「私はね、みんなの知らない内に上手くなりたいのよ」

「それは何となく分るけど、もくもくと練習するしかないよ」

「緑さんや香ちゃんの話だと森さんは会う度に上手くなってたと言っ

てたよ」

「私はあの壁打ち練習場で言われた通りに週2回一生懸命に練習したよ」

「言われた通りって、誰に言われたのよ」

「先程言った大山栗子さんだよ」

 

「紹介してよ、私も言われた通りに練習するから」

「それが〜だが連絡方法が無いんだ、電話番号も知らないんだ」

「森さん、おかしいよ何度か会って指導して貰ったんでしょう」

「うーん3回位かなー」

「それだけ会っててなんで連絡取れないのよ」

 

「まいったなー本当に知らないんだよ」

「それで、どうして3回も教えてもらったのよ」

「それが、私が一人壁打ちしてると大山さんが来てくれるんだ」

「そんなのおかしいよ連絡したから来るんでしよう」

「本当だよ、連絡など出来ないよ携帯番号など知らないんだから」

 

「森さん何か隠してる感じがする」とまったく執拗に聞いて来るが、

本当に知らない事を何と説明したら良いか分らなくなり怒りたくなって

しまった。

「本当に知らないんだよ、私怒るよ」

「そうなんだ分りました、インターネットで名前調べてみよう」

とくるみさんも不機嫌だ。「所で私だってくるみさんと、これから連絡

取るにはまだ携帯番号しらないんだよ」

「ああーそうーね私も森さんに連絡とれないわねー」となり、互いに

番号を入力してテストOKになった。

 

「今日車で来たから駅まで送って行くよ」

携帯の時計を見て「そうね、ありがとうお願いするわ」と、くるみさん

は重そうにテニスバックを背負った。

 

車に着くとテニスバックは後部席に置きくるみさんは前の助手席に

座った。

車の中でくるみさんの住まいの地名を聞こうかと思ったが聞かなかった

またくるみさんも私の住まいの場所も聞いては来なかったが

「森さんって東北地方の生まれでしよう」と聞いてきた、私は「そう

北国だ」と言っただけだった、程なく駅に着いた、「有り難うと言って」

降りていった、ドアを閉めた後暫らくして思った、くるみさんが乗り込

で来た時にまた公園噴水のベンチに座った時の香りがした、嗅いだ事

ある香りのような気はしたのだが何の香りかは思い出せない。

 

第4章 忘却の代償

 

 10月12日までは2週間ほどあるので一人壁打ち練習とオート

デニスのハイスピードと変則にセットして練習をした、帰りには6面

あるコートで練習ゲームをして居る人達の上手そうな人のゲームを

良く観察した。

 

上手だなーと思う人のサーブは良くカーブして入る人と急にドライブが

掛かって入る人とが居るどちらも上手いのできちんと入るのが良く分る、

自分のは少し曲がるが良くは曲がらない、良く見ているとかなり強く

打っているようだ、栗子さんのサーブは強くは無いが大きく曲がる、

教えて貰った時にラケットの持ち方だと言っていたが、それも大切だが

もっと強く打たなければと思った。

 

 12日の昼過ぎに車で出発し東名高速厚木から小田原厚木道路に入り

湯元温泉で降りた、思ったより早く着いたので、旧東海道を通り途中の

昔の宿場「畑宿」で「おはぎ餅」を食べてそのまた先に有る

「甘酒茶屋」甘酒でもと思い湯元駅手前より左へと車を進めた。

と云うのは以前会社勤めの頃、休日を利用して「旧東海道を歩く会」に

入っていて歩いた事が有るので懐かしく思い、畑宿でおはぎを食べよう

と思ったのだ。

 

 畑宿でおはぎを食べながら思った、おはぎは美味しいのだが一人で

食べては余り美味しくない、一人で来ないでくるみさんとでも来れば良

かったと思った、くるみさんの携帯番号知ってるのだから、自分は

彼女達と箱根温泉に来るのが楽しいと思いくるみさんの事は思い付かな

かったのだ。

 次の甘酒茶屋は通過して元箱根から右に曲がり箱根大学駅伝コースの

路へと進み小涌園に来てもまだ時間が早いので「強羅温泉彫刻の森」

も見ていくかと思い見て回ったがやはり一人では物寂しかった。

 

ようやく宮の下のFホテルに着いた時は5時丁度だった。

フロントで受付をした、自分の名前を言ったら「はい承っております」

とのことだが葵さん達はまだ来てはいなかった。

 

部屋は2部屋予約されており私の部屋は3人だもう一部屋も3名で

予約されていた、と云う事は全員で6名と感じた。

自分の部屋の私の他の名前を聞いたら「森さんの他2名様とだけ

言われております」との事別の部屋は誰かとこうと思ったが自分が予約

した事になってるのだから聞くのはおかしいと思い聴くのをやめた。

 

「食事は何時にいたしましょうか」と言う

「皆そろってからにします」

「食事はお部屋でと受け承っておりますので森さまの部屋でよろしいで

しょうか」

「はい、お願い致します」

部屋の鍵を受け取り3階の部屋に入った、ベットが2ツ有り和室は

6畳だ、明治創業と云うだけあって重厚味のある部屋だ。

着替えて風呂に入る。

 

戻って来たら6時を過ぎていた、部屋の電話が鳴った。「まだご一緒の

方が来てませんが食事の用意いたしましょうか」

「誰も来てないので7時には来ると思うので7に用意して下さい」

と依頼したテレビを見て時間をつぶして7時になったら「食事お持ちし

て宜しいでしょうか」と電話が入った。

 

「お飲み物は用意致しますか」

「そうだなー冷酒の720mL日本酒1本付けて下さい」と依頼した。

間もなく和服の仲居さん二人で和室に6人分のお膳を用意した。

「ごゆっくりどうぞ」といって出て行った。

 

黙って待っていても詰まらないので一人先食事食べることにした。

ゆっくり食べていてチラッ腕時計を見たら8時すこし前だった、

その時携帯電話が鳴った、葵さんからだ

「遅くなってすみません」と言う

「如何したの待ちきれなくなって一人で食事して居るところだ」

「すみません、困った事になり行けなくなってしまったの、

もっと早く連絡しようとしたが今になってしまって」

 

「どうしたんですか」

「香ちゃんのお父さんが亡くなったのよ、連絡受けたのが3時頃だった

の、私の車に緑さんと香ちゃんが乗ってたの」

「もう一台にはくりこさんとくるみさんが乗って一緒にむかったのよ、

そしたら途中で連絡入ったものだから直ぐ戻った

の、私たち香ちゃんのお父さんには大変お世話になったから、香ちゃん

のお父さんは昔国体の選手なので私達教わったのよ、くりこさんも

教わったから」

「それは困ったなーだけどやむを得ないかー分かりました」

「本当にごめんなさい」と電話は終わった。

 電話が終えてからふっと思った何か変だった、くりこさんも教わった

からと、くりこさんとは大山栗子さんの事かなーだけどおかしい、私と

栗子さんと関係あると葵さんが知ってる訳ないだろうにと思った。

 

今日の予約は2部屋6人というと誰と誰なんだろう、葵さんの車に

緑さんと香ちゃんが乗っていたと云う、もう一台はくりこさんともう

一人という事になる、あっ分かった、くるみさんが誘われてると言っ

ていた、そうすると六人になるが栗子さんだとするとくるみさんが知

らない筈だ、それが車に一緒だと云う事はどうも解せない。

 

今日の事は突発事故だやむを得ないことだ、まずフロントに来ない事を

知らせよう。

フロントに連絡すると、それはやむを得ないが料金の精算はお願いしま

すと言われた。

そうだろうなー今の時間ではしょうがないかーと思わざるを得なかった。

来なかった人の食事の片付けをして貰い今日は寝ることにしよう。

片付けに来た仲居さんがが「お酒とお料理残しておきますか」と言う

「うん、残しておいて」と頼んだ、せっかく来たのだからもう一度風呂

に入るかーと思い、風呂に行く事にした。

 

風呂から戻りテレビを見ながら残った冷酒をちびちび飲んだ。

温泉にきて一人寂しくテレビを見ながらの酒はこんな味かと思ったら急

に酔いが来たので寝ることにしたが寝付かない。

 

夕べ早く寝たので朝5時には目を覚ましてしまった、夕べは何と味気な

かった事かと思い朝風呂へ行く、誰も居なく一人での風呂である、温泉

では皆で話しながら入浴するのが好きだがこれも味気ない。

 

部屋に戻ったら急に眠くなったので横になったら寝てしまった、目が覚

めたらテレビは「げげの女房」を放映していた。

今日はテニスば出来ないしどうしょうかなーと思いながら帰る

用意をした。フロントで精算を頼んだら「5人様がいらっしゃらな

かったが6名様で精算願います」と言われる

 

「だが1部屋使用しなかったので一人から1万円引かせて頂き3人分で

3万円差し引きました」との事でした。

精算として13万1千250円だった、現金は無かったのでカードで

支払をする。

まいいかテニスで負ければ支払わなければならない事だと諦めよう。

だがこんな事で支払われればならない事に少し憤慨した、帰ったら

葵さんに電話しようと思うがしない方が良いかもとも思う。

 

帰りの車を運転しながら23日は栗子さんから箱根温泉への誘いが

有ったなーと思い如何しようかと思った。

また緑さんからも伊東温泉でのテニスの話も有ったなーと思った、

後から連絡すると言っていたが何時だろう。

 

緑さんは大学生の時の友達でホテルの女将達だと言っていたから、

想像すると楽しそうだ。

 それからの10日は早かった23日は朝から何となく気になった行く

べきか止めるべきかで心は葛藤したが今まで思って居たのだから深層は

行きたいのだろうと心に言い聞かせた。

10時に待ち合わせだから何処かでテニスしてから宿に入るんだろうと

思った。

 

10時だから10分位前に着くように出発した、山手線新宿駅に着いた

時は9時30分を過ぎていた、少し早いかと感じながら小田急線改札へ

と向かった、途中ペットボトルのお茶を4個買いバックに閉まった。

改札近くになったのでまだ来てないだろうと思い売店で週間誌、

週間新潮を買い、ふと改札方向を見たら葵さんが来ていた、そうだこの

前の事を言おうと思った、私が真っ直ぐ進むと葵さんが、気が付き

「あらー森さん」と声を先にかけて来た、片手を挙げて黙って近づいた。

 

「森さんも呼ばれたのね、良かったーこの前はごめんなさい後で

精算するね」

「てやー済んでしまったから良いよ、だけど寂しかったなー」

「でしょうね、あのホテル高いのよ幾らだった」と聞いてきたが

「良いよ、良いよ」と支払額は言わなかった。

 

「で今日は誰々が来るの」

「くりこさんと緑さんと香ちゃんとくるみちゃんかなーだけど香ちゃん

は来ないと思う」

そんな話をしていたら、くりこさんと緑さんが来た、続けてくるみさん

がかけ込んできた。

皆重そうにテニスバックを背負っている。私はラケットケースとカバン

1個と身軽だ。

「森さん来ないかと思ってた」と栗子さんがにこりとした。

「香ちゃん来ないでしょう」葵さんが言い「くるみちゃんお願い

チケット一枚キャンセルして来て」と2枚渡した。

 

「先に行ってるね」とくるみさんに言い各々に一枚づつ渡した。

改札してから売店で先程と同じペットボトルのお茶を1こ買う。

座席に着いたら続席なので椅子を回転させて向かい合わせにした、

くるみさんだけが通路向かえの席になった。

 

皆落ち着き話が始まると電車が発車したので買ってきたお茶を皆に

渡したら

「あ〜すみません」と栗子さんが沖縄黒飴を皆に配った。

「森さんこの前は大変失礼致しました」と切り出した

「いやーまいたよ一人で夕食6人分食べちゃった」

「ごめんねー途中まで行ったのよだけど香ちゅんのお父さんが亡く

なったでしょう、やむを得なかったのよ」

 

「後で皆で精算致しますからねー」

「良いんだよ皆にお世話になってるし、これから縁として置きますよ、

所で不思議に思ってる事有るんだ」

「な〜に、言って」と栗子さんの方を見た。

私も栗子さんの方を見ながら「くりこさんと葵さん達テニス仲間だった

んですね」と訊ねた。

「そうよ皆、香ちゃんのお父さんにコーチして貰ったのよ」

「そうなんだ、すると私はくりこさんに教えて貰ったから私も仲間ですね」

「そうよそれで良いよねー」

 

「だけどまだ分んない事ある、くるみさんがくりこさん知らないと

言っていたんだが」とくるみさんを見た。

皆にこにこしながら私を見てる、栗子さんが話し出した。

「森さん私とくるみちゃんは親戚なの」

「だったらくるみさんが私を騙したんだ」、ちらっとくるみさんを見た

らにっこりとした。「森さんがくるみちゃんと公園で一緒の時遭った時、

リリーがくるみちゃんにじゃれたでしょうリリーは正直よね」

 

「何でくるみさんがくりこさんを知らない振りしたの」とくるみさんに

向かって聞いた、すると栗子さんが

「話はややこしくなるけど私が皆に頼んだのよ」

「頼んだってどう云う事ですか?」

 

「何時かは言う時があると思ってたけど」と皆を見ながら話し出した

「皆が森さんに分らないように頑張ってくれたから見ていて楽しかった

わ、森さんが一生懸命に壁打ち練習しているのを見て、余りにも真剣な

のでお手伝いしようと思ったの、森さんも私の言うこと聞いて真剣に

頑張ってるの見てますます気に入り私も気合が入ったのよ、それで私の

霊魂を森さんに乗り移して上手くなるようにしたのだよ」

 

「そうなんだ、気が付かなかったけど何となく上手くなって行くような

感じだった」

「わたしね意地悪なの、森さんと約束したでしょう「私に教わったと

誰にも言わない事」と言ったでしょう

「そうだった、思い出した」

「それで葵さんや緑さんに頼んだの「森さん約束守れるかなー」と

葵さんは楽しそうねと直ぐ乗ってくれたわよねー」と葵さんに向かい

首を右に落とした。葵さんはにこりとして答えた。

「で緑さんが伊東温泉でテニスしようと誘ってその約束を言わせようと

したんだ」と言い緑さんを見たら緑さんが「アウトレットモールで

遇ったのは偶然よ、だけど話して居るうちにくりこさんが言っていたこ

と思い出して話したのよ」

 

「それで伊東温泉こと何時か決めるの?」

「葵さんの話やくりこさんの話し聞いてその進み具合みて決めようと

思ってた、皆の都合も聞いて」

「まだ決めてないんだ、何時かと思ってた」

「森さんて何でも真面目に聞いて呉れるので面白いわねーくりこさん」

と栗子さんに話しを振った。

「くるみちゃんが一番上手だったわねー森さんすんなり話してしまった

から」くるみさんにこにこして居る。

 

「それで約束破ったのでこの前来なかったんですか」

「それは違うわよ、偶然よ香ちゃんのお父さんが亡くなったのは」

「分りました、だけどまだ判んないことあるんだ」

「何ですか、私達のこと?」

「そうです、今日は無いけどくりこさんとくるみさんは何か私にとって

は懐かしいと云うか良い香りするんだけど」

 

「そう?、私達花の精霊だからそれぞれに香り持ってるのよ、森さんが私と

くるみちゃんの香りに敏感なだけよ」

「そうかなー私にとっては何だか懐かしい香りなんだけど」

「強いて言いば私は栗の花の花粉の香りよ、くるみちゃんもそうだと

思うけど」

「そうだ思い出した、私田舎育ちだから子供の頃に香えだ香りだ」

 

「葵さんだって、緑さんも各々が香り持ってるのよ森さん気が付かない

だけよ、ね〜葵さん」

女性ってそうなんだ、それで男共を引き付ける一つの用件なんだと

思った。

そんな話しをしていると「間もなく小田原」のアナウンスで「森さん

小田原でテニスするのよ」と葵さんに促されて下車する用意をする。

                                                                 完 

                       

 

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