先月に引き続き今月も歯ブラシのお話です。
今月は歯ブラシの選び方と補助器具のお話。
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基本の歯ブラシ |
@ヘッドの長さ
上の前歯の幅二本分くらい。歯磨きは歯ブラシの当たる分一箇所ずつ磨いていくのが基本。
歯の大きさには個人差があるので、実際にブラシを当てて鏡で確認したほうがよい。

Aヘッドの幅
基本的には奥歯の長さと同じくらい。3列から4列植毛くらい。
歯並びが凸凹の場合で縦磨きが必要な場合引っ込んでいるくぼみの幅に合わせてやや細め。
ただし、あまり隙間にあわせて細いものにしすぎると、他の部分を磨くのが大変になるので、補助器具のワンタフトブラシ(下記参照)などを併用するほうがよい。

矯正治療でブラケットがついている場合も歯ブラシを寝かせて当てる磨き方になるので、あまり広くないほうがよい。3列程度のもの。

その他、トピックス3月 大きめヘッド歯ブラシのススメ 参照
Bネックの形状
あまり太くないもの。一番奥の歯までにブラシを当てたとき唇にハンドルがあたらないくらい長さがあると、歯磨き中に唾液や歯磨き粉の泡がたれにくい。
奥歯の後ろ側や前歯の裏に歯ブラシを上手く当てにくい場合少し角度がついているものも良いが、その分他の部分を磨くときには当て方に注意

Cハンドルの形状
歯ブラシの持ち方は大きく分けて、パームグリップとペングリップの2通りあるが、あまりこだわらず持ちやすい方法でよい。ハンドルの形状も自分が持ちやすいと思う形でよい。
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パームグリップ
ハンドルをグーで握りこむように持つ、持ち方。小さいお子さんでも持ちやすく、力が入れやすい。 |
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ペングリップ
ハンドルを鉛筆を持つように持つ、持ち方。細かい動きがしやすい。歯磨き圧が強すぎる人の場合、ペングリップにすると弱めることができる。
手の大きさにもよるが、ペングリップの場合やや細めハンドルの方がもちやすい。 |
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筆者の持ち方
パームグリップの変形型 |
D毛の長さ
ブラシを歯に押し当てて無理なく歯間に届く長さ。歯の形や並び・歯ぐきによる。歯の丸みが強い・歯並びにでこぼこがある・歯ぐきが下がって歯間に隙間がある、といった場合は長めの方が当てやすい。
反対に乳歯列は永久歯に比べ歯の大きさも小さく、くぼみや凸凹が少ないので一般的に短めの毛になっている。
歯ブラシの毛は短すぎると、かなり強く押し当てないと歯間に届かず、磨き残しが出来たり、歯茎をいためることもあるので注意。

<歯ブラシを歯間までしっかり当てれていない例>
E毛の硬さ
歯ぐきの状態、炎症があり、ブラシを当てると痛い→やわらかめ
歯磨き圧が高く歯ぐきが退縮している→やわらかめ
カルシウムなど無機質の多い食生活でプラークが歯石になりやすい→ふつう〜やや硬め
(ただし硬い毛のブラシは歯磨き圧(歯ブラシを歯に押し当てる力)が強くなりやすく、歯ぐきを痛めやすいので注意)
F毛先の形状

平切り・ラウンドなどの普通毛・極細毛あるが、極細は歯間などの狭い隙間に入りやすく、平切り・ラウンドは歯垢をこすり落とす力が強い。平切りとラウンドでは、ラウンドの方が多少歯ぐきへの当たりがやさしいが、磨いたときに痛いかどうかは毛の硬さに左右されるほうが大きい。
平切りと極細の二種類が植毛されているものは両者の長所を併せ持つ。
<普通毛> <極細毛>

<平切りと極細の二段植毛>

G毛先のカット
一般に良く知られているのは山切りカットだが、他にも矯正治療のブラケット用のものなど、いろいろ種類がある。山切りカットは山の部分が歯と歯の間に入りやすくするための工夫だが、歯は一本づつかなり大きさが違うので効果に疑問がある。
特殊なカットは部分的に磨くのには良い場合もあるが、全体を磨くことを考えると、基本的には通常の平らなカットをおすすめする。

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子供用の歯ブラシについて |
一般に子供用の歯ブラシは歯に大きさに合わせてヘッドが小さくそれに応じて毛の長さも短めです。
歯ブラシの毛の硬さは、同じ硬さの素材でも長さが短いほど、毛がしなりにくく触った感触として硬く感じます。
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ためしに、同じ歯列に対し同社の歯ブラシの大人用と子供用(共に、毛質:やわらかめ)を当ててみましたが、あきらかに子供用の物の方が強く押し付ける力が必要でした。
つまり、基本的に子供用の歯ブラシは毛先が柔らかいもののほうが適しており、これはメーカーの表記は各社で基準が違い、あまりあてにならないので、実際に触ってみる&子供本人に当てさせてみる(歯間にしっかり当てて磨けるかどうか親が見て確認)のがベストです。 |
また、磨き方に関して、小学校の低学年以下のお子さんにペングリップで磨かせるのは、あまりお勧めしません。もちろん本人の技量にもよりますが、小さいお子さんに大人と同じような細かい歯ブラシの動かし方は難しく、指先の力も弱いので、ブラシをしっかり歯面に押し当てられないお子さんを多く見かけます。
そもそも、子供用の歯ブラシは握って持つことを想定してハンドルの部分が太めに出来ているものが多いのです。
小さいうちは本人にはざっくり磨かせておいて、大人が仕上げ磨きをしながら、少しずつ細かいところの磨き方を教えていきましょう。(ヘッドは子供の歯に合わせた小さいサイズで、ネックとハンドルは大人が持ちやすい長さの仕上げ磨き専用の歯ブラシはおすすめです。)
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上から
子供用
仕上げ磨き用
成人用 |
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電動歯ブラシについて |
機能的には否定しませんが、うまく使えていない場合をよく見かけるので注意が必要です。
歯磨きの基本は、@大体歯2本分づつに歯ブラシをあてて細かくブラシを動かして磨く。(1箇所5秒ぐらい) A隣の歯に移動して同様に磨く。Bこれをすべての歯の面に繰り返す(全永久歯28本として、表・裏・咬合面で36箇所)なのですが、電動ブラシがやってくれるのは@の部分で、この間じっと磨く部分に当て続けないといけません。
よく見かけるのは、電動なのにじっとしていることが出来ず、ブラシを動かしてしまうパターンで、あまり電動の意味がありません。せっかく電動で細かく動いてくれているのに、自分で余分に動かしてしまうと細かい部分が磨けなくなってしまうのです。
また、磨く場所自体あちこち動かすうちのも問題で、同じところを何度も磨いたり、まったく当て忘れている場所があったり・・・、これは手で磨いてもよくあることですが、要はきちんとまんべんなく歯ブラシを当てないと、どんな高価な歯ブラシを使っても効果がありません。
音波&超音波が出るタイプに関しては、音波は細菌のつながりを壊して歯垢を取れやすくする、超音波は細菌の細胞壁を破壊するといった効果がありますので、歯周病の方などにはおすすめしますが、やはり上記のように、当てないと意味がありませんのでご注意を。
歯磨きの方法については2013年
6月 今さら聞けない、オトナの歯磨きの基本を参考にしてみて下さい。
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補助器具について |