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今月のトピックス
こちらの今月のトピックスのコーナーでは、毎月新しい治療例や歯に関するちょっと気になる話題などを紹介していきます。これから矯正治療を始めたい方も、現在治療中の方も、このホームページを通してよりいっそうのご理解を深めていただければと思いますので、ご意見ご要望などおよせください。どうぞよろしくお願いいたします。
注: |
当院のホームページにおける症例写真はすべて実際に当院で治療した症例であり、患者の皆様の協力の下に承諾を得て掲載せていただいております。 |
2012年12月 取り外し式装置 EOAはスゴイ!! その2 −EOAでなぜ治る?−
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さて、先月は取り外し式装置EOAの症例をいくつか紹介させていただきましたが、今月は実際にEOAでどう治っていくのか見ていきたいと思います。
まずは先月のおさらい。
こちらの症例をご覧ください。
<治療前> <治療後>

治療前後では別人のようですね。
かみ合わせの面から歯列の並びをみてみましょう。
<治療前> <治療後>

治療前では真ん中の歯は前突し、その横の二番目の歯は生える隙間が足らず、右は歯列からはみ出し、左は生えていません。
一方 EOA治療後では、永久歯はすべて無事萌出し、一列に並んでいます。また、正面からではわかりづらいですが、下顎も前方にしっかり誘導されたので、上顎前突も改善しています。
(先月のトピックス「症例4」参照)
では、この治療の前後を重ね合わせてみましょう。

治療前のグリーンの歯列に対し、ピンクのEOA治療後の歯列はアーチ幅が横に広くなっています。
前歯がまっすぐに並ぶためには、それだけのアーチサイズが必要なわけです。
では、EOAが実際にどのようにお口の中で作用していくのかみていきましょう。
まず、こちらがEOAです。
形が複雑でわかりにくいので、もう少し角度をかえてみてみましょう。
<上から> <真横から>
<正面から> <お口に入れたところ>
・・・やっぱり、ワイヤーがごちゃごちゃしてわかりにくいので、部分的に図解していきます。
まず、歯列の幅を広げるのに必要なのは、赤い樹脂の部分と真ん中のU字形のワイヤーです。(「上から」の写真をごらんください)
で、これが、お口にセットすると、歯列に対し下図のようにはまります。

上下一体ですので、縦断面にするとこうなります。(「正面から」の写真参照)

この中央のU字形のワイヤーの部分を調整すると下図のようにひろがります。
ワイヤーは弾力がありますので、EOAを咬みこむと元の上図のようにちぢまって歯列に収まりますが、広がろうとする力が樹脂部分を介して歯に伝わります。
基本的に歯は一定の方向に持続的に適切な定量の力が加わると、その方向移動する性質があります。
EOAを装着している間は歯列は常に内側から押される力が加わることになりますので、徐々に歯は外に広がるように移動していくのです。
ということで、こうなります。

ただし、これでは、ただ前歯のすきっ歯がひどくなったでけです。ここで重要なのが前歯の付近にある複雑なワイヤーたちです。

歯列の外側から力をかけるための唇側線と、内側からの舌側線の二種類が上下顎に各々ついています。
このワイヤーで内側に入っている歯は舌側線で、外に前突している歯は唇側線で押し並べていきます。
特に舌側線は上下左右に一本ずつ付いているので、歯にあわせて様々な形に曲げ変えることができ、力のかけ方次第で、歯の隙間をとじたり、ねじれを治したりといった治療も可能になります。

ただし、こういった歯の並びの移動は、移動先に歯が入るだけのスペースがあって初めてできることなので、必ず、前述のアーチの拡大と平行して行います。取り外しの装置でありながら、拡大と並びの治療が同時にできるところが、一般的な拡大床(先月のトピックス「拡大床」参照)との大きな違いです。
さらに、もうひとつ拡大床と大きく違う点は、EOAは上顎前突や受け口など顎の前後または左右の位置のズレを治療できる点です。
そもそもEOAは機能的矯正装置という顎の位置のズレを治療する装置の仲間で、そのほかの仲間にはFKO・バイオネーター・ビムラーなどがあります。(詳しくは次回)
機能的矯正装置は咬む力など、口の周りや顎顔面の筋肉の力を利用して矯正治療をおこなう装置で、上下一体のマウスピースタイプの装置です。

機能的矯正装置は永久歯に生え変わる顎の成長期に非常に重要な装置で、この時期に顎のズレが改善できないと、下顎の成長が止まってしまたり、歪んだままになってしまいます。
次回はこの機能的矯正装置について、もう少し掘り下げてみようと思います。
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