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ひじや矯正歯科
-HIJIYA ORTHODONTIC OFFICE-

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今月のトピックス

  こちらの今月のトピックスのコーナーでは、毎月新しい治療例や歯に関するちょっと気になる話題などを紹介していきます。これから矯正治療を始めたい方も、現在治療中の方も、このホームページを通してよりいっそうのご理解を深めていただければと思いますので、ご意見ご要望などおよせください。どうぞよろしくお願いいたします。

トピックス バックナンバー
2012年  8月 歯がえぐれる!? −アブフラクション−
2012年  9月 歯が溶ける!? −酸蝕(さんしょく)
その他のバックナンバー

注: 当院のホームページにおける症例写真はすべて実際に当院で治療した症例であり、患者の皆様の協力の下に承諾を得て掲載せていただいております。



2012年10月 矯正治療の最大の敵 歯周病

さて、ここ2ヶ月にわたり、『トゥースウェアー』(アブフラクション酸蝕など、 虫歯以外の原因でおこる歯の損傷)についてお話してきました。これは近年、第三の歯科疾患と呼ばれ問題視されています。ただ疾患といっても自損事故のような感が強いのできちんとした知識をもって気をつけていただければと思います。

ところで『第三の−』というと、では第一と第二の歯科疾患とはなんでしょう?

第一はいわずと知れた『虫歯』ですね。『虫歯』に関しては小学校のころに保健の先生や、歯医者のお姉さんがやってきて虫歯のでき方のお話やはみがきのお話を聞いたりする機会があったはずですので、虫歯がどういうものかは、だいたいおわかりかと思います。

では第二の歯科疾患とは?

それは『歯周病』です。
『歯周病』=「歯茎から血がでる」 というイメージくらいはなんとなくあると思いますが、その先がどうなるかご存知でしょうか?

もちろん、すでに歯周病になってしまった方は歯科でがっちり説明を受けますのでご存知でしょうが、それでは遅いのです。(後述しますが、歯周病は一度なってしまうととりかえしは効かないのです。)
まだ歯周病になっていない方こそ、そうなる前に正しい歯周病の知識を身につけたいただきたいのです。
しかし、なかなか現実は追いついてこず・・・、常日頃患者さんの歯磨き指導をしていても、「歯茎から血が出たので刺激しないようにしていた。」などという方にしばしば出会います。(←これは対処として完全にまちがってます。)

そもそも病名も『歯周病』といったり、『歯槽膿漏(しそうのうろう)』といったり、『歯肉炎』・『歯周炎』などという言葉もつかわれたり、あいまいな感じがしますね。
『歯槽膿漏』・『歯肉炎』・『歯周炎』というのは『歯周病』のなかの病態をあらわす言葉で、『歯槽膿漏』=「歯槽(歯の周りの組織)から膿が漏れている状態」、『歯肉炎』=「歯茎の肉の部分に限局して炎症が起こっている状態」、『歯周炎』=「歯の周りの骨の部分にまで炎症が広がった状態」となります。

前置きが長くなりましたが、タイトルにもありますように、この『歯周病』は矯正治療の最大の敵になります。
虫歯があっても、歯の神経が死んでいても、矯正治療はできますが、歯周病があれば矯正治療はできません。
どんなに若い方でもです。反対にどんなに高齢でも歯周病がなければ矯正治療は可能です。当院でも50代60代でも矯正治療されている方がおられます。(56歳 女性 下顎前突の全顎のマルチブラケットによる治療例)

ということで、今月はそんな歯周病について、いくつかのキーワードにそってお話していきたいと思います。
かなりボリュームがありますが、矯正治療を考えられている方は、特に『6.歯周病の口元 −隙っ歯・叢生・着色−』ご一読ください。

歯周病は痛くないから怖い
歯周病は歯茎が溶ける
歯周病は不治の病
「年をとったら歯が抜ける」は間違い、もしくはただの言い訳
歯周病は細菌感染症、かかりやすい人とかかりにくい人
歯周病の口元 −隙っ歯・叢生・着色−
歯周病のゴール


1.歯周病は痛くないから怖い
歯周病は基本的にあまり痛みを発しません。歯磨き粉のCMでいうように「歯茎がじくじく痛い」というのは比較的まれです。
ここで「痛くないならいいや」と思った方、そこが問題なのです。
だれでも痛いの嫌いです。だからこそ痛くならないように、または痛みから逃れるために治療するのです。痛みがなければ、病気そのものに気づかず発見が遅くなり、治療も手遅れになるのです。
よく癌などでも痛みを発しにくい部分の癌は発見が遅れて、気づいた時には余命数ヶ月という話がありますよね。「痛み」は健康維持のために必要欠くべからざるものなのです。

歯周病の初期の唯一の自覚症状「歯茎から血が出る」、これを無視してはいけません。
どの部分から出血しているのか確認し、その部分を「やさしく・しつこく・丁寧に」磨いて、歯周病の進行を食い止めなくてはいけません。

もう一つの自覚症状「歯がぐらぐらして噛みにくい」、が出たときにはもう引き返せません。

     歯ブラシに血が付いたら要注意


2.歯周病は歯茎が溶ける
さきほど歯周病の病態として『歯肉炎』=「歯茎の肉の部分に限局して炎症が起こっている状態」、『歯周炎』=「歯の周りの骨の部分にまで炎症が広がった状態」という話を書きました。この「歯茎の肉の部分に限局して炎症が起こっている状態」では歯茎から血がでたり、歯茎の肉(=歯肉)がぶよぶよ腫れたりしますが、コレ自体は特に問題ではありません。しかし、この状態が何日も続くと次の段階『歯周炎』に移ります。

骨の部分にまで炎症が広がるとどうなるか?
骨が溶けてなくなっていきます。(これを骨吸収といいます)歯の周りの上の部分から水平に減ったり、部分的に縦穴が掘れたようになくなる場合もあります。

   <水平的な骨吸収>

     

    <部分的な骨吸収>

      

ところで、歯肉炎から歯周炎に移行するときにもこれといって自覚症状に変化はありません。
「歯茎から血が出るけど、いつものことだし〜」と思っている隙に、ひっそりと骨吸収は進行していきます。
歯の周りの骨吸収が限界を超えれば歯は抜けます。歯を失う一番の原因は虫歯ではなく歯周病なのです。

           

     水平的に減った場合は前歯のあたりなら自分で鏡を見て気づく場合もあり、
     患者さん方は「歯茎が下がってきた」とか「歯が伸びてきた」と表現されることもあります

3.歯周病は不治の病
通常、骨には再生力があります。骨折してもちゃんと治療すれば元どおりくっつきます。
しかし、歯周病で骨吸収された骨は基本的に再生しません。
歯科に通って適切な治療を受ければ、歯肉の炎症は治まりますし、骨密度は回復しますので、状況によってはぐらつきも治まり、ある程度はものが噛めるようになります。骨の再生をうながすエムドゲインという治療法もあります(保険外)。ただし、それでも再生できるのは、ごくわずかで、完全に元の状態まで回復することは不可能なのです。

もちろん発見が早く、それほど骨吸収がすすんでいなければ、日常生活にそれほど支障はありません。だからこそ、進行する前・発症する前にこういった知識を知ってほしいのです。

歯周病は発症したら、地道なケアで進行を抑えるということ続けるしかないのです。


4.「年をとったら歯が抜ける」は間違い、もしくはただの言い訳
こんな恐ろしい歯周病ですが、きちんと歯磨きができていれば発症しません。
「歯磨きは毎日しているし、年をとったら歯が抜けるのは仕方ない」 こういった考えの方、間違いです。
歯磨きがきちんとできていて、90歳をすぎてもまったく歯が抜けていない方はいます。

ポイントは「歯磨きをしている」=「歯磨きができている」ではないということと、歯周病は「回復」はなく「進行」か「現状維持」しかない、ということです。

実際、一般の方でパーフェクトに歯磨きができている方はそれほど多くないでしょう。歯磨きを毎日していても、多くの方がなんらかの磨き癖があり、無意識に磨き残しができてしまうのです。
こういった磨き残しのケアをするのが歯科の仕事ですので、恥ずかしがらずに定期的にケアにきてほしいももです。

ただ、歯科に行った直後は歯石もきれいに取り、歯磨きの癖も直されてきちんとできるようになり、皆さんいい状態でいられるのですが、月日が経つとだんだんにうやむやになってしまうのも人間の性です。
こうして、きちんとできている「現状維持」期とうやむやになっている「歯周病進行」期を繰り返しながら、年齢を重ね骨吸収が限界を超えると、歯が抜けるのです。この限界がいつ来るかは皆さんの歯磨き次第です。


 

5.歯周病は細菌感染症、かかりやすい人とかかりにくい人
歯周病も虫歯も細菌感染症です。どちらも細菌が出す有害物質によって、歯が溶けたり、歯槽骨がとけたりする病気です。

人間の腸には常に腸内細菌が住んでいます。お口の中にも同様に口腔内常在菌といって、たくさんのの種類の菌が住んでいます。この菌の種類と割合は人それぞれで、各菌が常にほぼ一定の割合でバランスをとりながら住んでいます。

この菌の塊である歯垢を歯磨きで取り除くことで、虫歯や歯周病をふせぐのですが、当然歯垢がほとんど付いていない、いわゆる「歯磨きのできている人」は歯科検診でも虫歯は見つかりません。
しかし、毎年歯科検診で子供たちの口を見ていると、明らかに歯磨きが「できていない」または「やる気が感じられない」のに虫歯が見つからない子供がいます。皆さんもそんな理不尽な経験がないでしょうか?

これには理由があります。

前述の口腔内常在菌には、さまざまな種類がいます。虫歯を作る菌・歯周病を作る菌・人体には無害な菌・・・。
そう、虫歯を作る菌と歯周病を作る菌は種類が違うのです。
つまり、どんなに大量に歯垢が付いていても、虫歯の菌がいなければ、虫歯はできません。

しかし、虫歯菌の割合が少ないということは、逆に歯周病菌などの他の菌が多いということです。このタイプの方は磨かなくても虫歯ができにくいので歯磨きの習慣が身につかないこともあり、大人になるにつれ、普通の人よりずっと早いペースで歯周病が進行します。(また歯科に行く習慣もないのでかなり進行しないと気づかないのです)
結果、三十代・四十代でも歯が抜けます。

では、自分は歯周病菌が多いタイプだから、がんばっても仕方ないというのは早計です。
菌の割合がどうであろうと、要は菌の全体量を減らせば済むことです。つまり、歯磨きです。
また、近年は歯周病菌の活動を抑制する良い菌をお口に増やす、口腔内版プロバイオティクスの錠剤や、歯科での治療でも菌の働きをおさえる抗生物質が応用されています。


6.歯周病の口元 −隙っ歯・叢生・着色−
歯周病は歯が抜けます。
しかし、ある程度骨が吸収されても、さすがにいきなりは抜けませんので、なんとか途中でふみとどまります。
この途中の段階、下図のように歯茎から歯の根っこが長く露出した状態になりますので、正直かなり見た目は残念なことになります。

まず、歯根は歯の頭の部分より細いので、根っこが長く見えると歯と歯の間が空いて見えます。


      


見た目をよくしようと歯の根っこまで覆う被せを入れる方法もありますが、そのためには歯自体は虫歯になっていない無傷の歯でも被せの分削らねばなりません。被せと歯の根っこの継ぎ目の部分には歯垢がたまりやすく、被せの内部に虫歯菌が進入するリスク、歯茎の方に歯周病菌が進入するリスクが高くなります。
歯周病菌によって再び骨吸収が進めば、さらに根っこが露出しますので、また被せを大きく作り直さなくてはならなくなるでしょう。


    


次に露出した歯根にはエナメル質がありませんので、象牙質の色が黄色くみえます。この象牙質はエナメル質より飲食物の色素を吸収しやすいので、年月とともに茶色っぽくなっていきます。


    


もうひとつ、前述の被せを入れた場合、被せの地金の金属から金属イオンが溶け出して歯肉の部分に色素沈着を起こさせることがあります。

       

さらに、歯を支えている骨が減ってくれば、支える力が咬む力に負けて支えきれず、歯が倒れ傾いてきます。特にもともと歯並びのよくない場合加速度的に並びが悪くなります。出っ歯の方はより出っ歯に、叢生(でこぼこ)の方はより叢生が強くなります。

   


そして、まずどこか一本抜けたとします。周囲の歯が抜けた隙間をうめようと勝手に動いてきます。隣の歯が倒れ、かみ合うべき歯が伸びていきます。その影響はゆっくり少しずつ周囲の歯に広がってかみ合わせ全体がくずれていくのです。

  

しかも、骨吸収が進行している状態で、矯正治療を行うと骨が治療についてこれませんので、治療はできません。ただし、きちんと歯磨きが出来るようになり歯周病の進行が止まっていて、しっかりした歯が残っている状態ならば、治療は可能です。




7.歯周病のゴール
歯周病で死ぬことはあまりありませんが、糖尿病などの全身の病気や妊娠期に胎児に影響があることが知られています。(歯茎から進入した菌が血管にのって全身をめぐるわけですから)

また、物が噛めないということ自体が、カラダに負担になりなす。
胃腸に負担がかかる、食べれるものが制限されるので栄養がかたよりやすい、特に高齢者では物を噛む刺激が脳にいかなくなるとボケやすくなるといわれています。

歯周病はきちんとケアできなければ、すべての歯が抜けてなくなるまで進行し続けます。
「入れ歯をいれるからいい!」と言う方、「インプラントにするから大丈夫!」と言う方、そんなことは入れ歯を使ったことがなから言えるのです。

入れ歯は義手や義足と同じです。
入れてすぐに使いこなせるものではありません。入れ歯は歯茎の上にのっているので、歯茎が圧迫されたり擦れたりして痛くなることもありますし、だからといって使わなければ前述のように他の歯が動いたり、顎の骨がやせてどんどん合わなくなって、さらに痛くなります。(痛いから、人前に出るときの見た目のためにしか使わないというお年よりもよくいます)

インプラントは自分で着脱するわずらわしさはなく、自分の歯に近い感覚で噛めますが、なんでもかんでも噛めるわけではありません。
また、歯磨きなどのケアは天然の歯以上に大変です。金属という異物が半分からだの中に埋まっている状態ですので、異物とカラダの接点がばい菌の進入しやすい環境なのです。
1本50万円前後するインプラントですが(2本入れたら100万円!矯正治療しておつりがきますね)、歯磨きができていなければあっという間にとれてしまいます。日常のケアは自己責任ですので、歯医者はなんの責任もとってくれませんし保障もありません。(もちろん、ちゃんとしたケアの仕方は教えてくれます。患者さんがそれを実践してくれるかどうかが問題・・・。)
先日読んだ歯科の文献では国内でもっとも長い期間もっているインプラントの症例で20年くらいとのことでした。インプラント自体の歴史がまだ浅いということもありますが、天然の自分歯に勝るものはないということです。

        


いかがでしたか?歯周病についてある程度はご理解いただけたでしょうか?
歯周病はありふれた病気です。むしろ、あまりにかかっている人が多いので、病気だという認識もうすいのでしょう。
「みんなかかるのだから仕方ない」「年だからしかたない」 こんな風に軽く考えられやすいのも、進行した歯周病がいかにやっかいなことになるかをご存知ないからだと思います。(すでにかかっている人は歯医者で歯磨きの不出来を散々怒られているので、あまり多くは語らないものです。われわれ歯科にも責任に一端がありますね(’−’;))

虫歯に関しては大なり小なり小学校のころに学ぶ機会はあるのに、現在の教育では歯周病に関してきちんと学ぶ機会はほとんどありません。
各個人が具合が悪くなって自力で歯医者に行って、歯磨きの不出来を怒られながら、はじめて歯周病について知る。これでは完全に手遅れなのです。
できれば、高校生の授業で、「受験にでるぞ」ぐらいの勢いでしっかりやって欲しいものです。

歯がグラグラして食べ物が満足に噛めない生活、長く根っこが露出してすきっ歯になってしまった口元、入れ歯の不自由さなど、実際にそうなってみないとわかりません。そして、そうなってしまってからでは絶対にもとには戻れないのですから。





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