HOME サイトマップ リンク お問合わせ
医療法人
ひじや矯正歯科
-HIJIYA ORTHODONTIC OFFICE-

医院紹介 治療例 治療法と治療装置 Q&A アクセス

今月のトピックス

 こちらの今月のトピックスのコーナーでは、毎月新しい治療例や歯に関するちょっと気になる話題などを紹介していきます。これから矯正治療を始めたい方も、現在治療中の方も、このホームページを通してよりいっそうのご理解を深めていただければと思いますので、ご意見ご要望などおよせください。どうぞよろしくお願いいたします。

トピックス バックナンバー
2010年12月 移転歯2 治療例
2011年 1月 移転歯+先天性欠損+矮小歯・・・その治療例
その他のバックナンバー

注: 当院のホームページにおける症例写真はすべて実際に当院で治療した症例であり、患者の皆様の協力の下に承諾を得て掲載させていただいております。無断での転載等はご遠慮下さい。



2011年2月 原因不明の歯の痛み・・・その意外な原因は?

 歯が痛い・・・といえば『虫歯』と皆さん思い込んでいませんか?
当院でも、患者さんから「虫歯があるので診てください」といわれることがよくあります。しかし、実際に調べてみると虫歯は無い、これもまたよくあることです。

たいていの場合は知覚過敏であったり、矯正治療によって歯の神経が過敏になっておこる痛みだったりします。
これらは痛みの質としては比較的軽度で、専用の薬や矯正治療の力を調整することで緩和することができます。(詳しくはこちらをご参照ください→知覚過敏矯正治療中の痛み
しかし、今月お話しするのはこういった歯の問題以外で引き起こされる、歯の痛みについてのお話です。

歯が痛いのに、歯が原因でない・・・?それはつまり、いくら痛む歯を治療しても痛みは取れないということです。最悪のパターンとして、痛みから解放されたいあまり歯を抜いてしまったとしても(!)、そもそもの痛みの原因が歯ではない場合、痛みからは解放されないのです・・・。
なんだか不思議な話です。いったいどういうことなのでしょう?

ケース1 筋・筋膜痛(きん・きんまくつう) (咀嚼筋(そしゃくきん)の筋・筋膜痛))
歯が締め付けられるように痛む。重苦しいような鈍痛がある。
かみ締めたときや食事中に痛む。
一日に数回または持続的に痛みがあり、緊張したり疲れるようなことをすると痛みが増し、起床時や夕方にも痛みが増す。

咀嚼筋(そしゃくきん)(かみ締めるときに使う筋肉。咬筋・側頭筋など)の使いすぎ(くいしばりなど)による筋・筋膜痛が原因。
使いすぎている筋肉にはこりかたまったようなしこりがあり、その部分を押すと筋肉とともに歯の痛みも増す。

ケース2 上顎洞・鼻粘膜炎(じょうがくどう・びねんまくえん)
上あごの歯が1〜複数本痛む。歯をかみ締めたり衝撃が加わると響くような痛みがある。

上あごの骨は鼻の骨と一体になっており、内部には空洞がある。この空洞と上あごの歯の根っこの先はかなり近接しており、この部分の粘膜の炎症が歯のほうにまで広がると歯にも痛みが出ることがある。目の下や鼻の横を押すと痛みがある。

ケース3 群発頭痛(ぐんぱつずつう)
上あごの左右どちらかの歯に一日に数回15分〜2時間くらい激痛がある。歯の痛みと同時に同側の目の周りや側頭部にも激しい拍動痛(ズッキン・ズッキンする痛み)があり、痛みのあまり涙や鼻汁がでる。
痛みが頻発する時期(群発期)(2〜12週間)とまったく無い時期(緩解期)が年単位の周期でやってくる。

歯ではなく頭痛のほうに原因があり、頭痛によって刺激をうけた三叉神経がその枝分かれ先である歯にも痛みを引き起こす。
痛みが激しいので市販の痛み止めは効かないが、発作がおこった時には100%酸素を吸入すると緩和する。

ケース4 三叉神経痛(さんさしんけいつう)
洗顔や食事・会話などのときに、頬や歯ぐきに電気が走るような痛みが数秒〜1・2分おこる。痛みが治まってから、同じ行動をしても痛まない。痛みが起こるのは左右どちらかの一方に限局しており、数ヶ月〜年単位で痛みのある時期と無い次期を繰り返すことが多い。

歯の痛覚を支配している三叉神経の元の部分に何らかの圧迫が加わり、末端である歯の神経に痛みを生じる。
ペインクリニック(慢性の痛みの診断と治療を専門とする診療施設)等で三叉神経痛の治療を行うのがよいが、まれに脳腫瘍が三叉神経を圧迫して引き起こされている場合があるので、MRIやCTなどで頭部の精密検査をしたほうがよい。

ケース5 帯状疱疹後神経痛(たいじょうほうしんごしんけいつう)
帯状疱疹(帯状ヘルペス)にかかった方ではウィルスによって神経に傷がのこり、皮膚や粘膜の水泡やただれが治ったあとも同じ場所に痛みが残る場合がある。特に顔面の領域に症状が出た場合、持続性の痛みが残りやすいく、皮膚や口腔粘膜だけでなく歯も痛くなることがある。
また、帯状疱疹の水泡などの症状がでる前に歯痛が出る場合もあるので、歯痛のほかに顔の皮膚や口の粘膜に触れると痛い場合は注意。
帯状疱疹は水泡などの皮膚の症状がでたら72時間以内に抗ウィルス薬の投与を受けるのが望ましい。

ケース6 心疾患(しんしっかん)
激しい運動や興奮したときに左下の奥歯がズッキンズッキン痛む。

心筋梗塞や狭心症などの心疾患では胸の痛みがそのほかの体の左側の各部分(腕・肩・首・顎顔面)にも痛みを引き起こすことがある(関連痛)。歯髄炎とよく似た痛みで、左下の奥歯におこることが多い。
特に狭心症の場合、歯のみにそうした関連痛がおこりやすい。

ケース7 心身性疾患(しんしんせいしっかん)
まれではあるが、心身(精神)性疾患で実際に歯に痛みが出る場合がある。
同時に多数の歯が痛くなったり、突然痛みがまったく別の歯に移動したりと症状が不安定なのが特徴。ストレスやそのときの精神状態で痛みの強さも増減。

過去に同時期に受けたストレスと痛みがリンクして、同様のストレスを受けた際に痛みが再燃することなどもある。
ケース8 歯原性異所性痛(しげんせいいしょせいつう)
の奥歯が痛いが虫歯は見られない。
実際には右の奥歯が虫歯になっている。どちらも元をたどると同じ三叉神経につながっており一箇所からの痛み刺激が他の部分にも共鳴して、どこが震源地かわからなくなり、脳内で誤認がおこってしまう。
痛みのある歯を処置しても痛みはとれない。


 ずいぶんいろいろなケースがありましたね。
こういった歯以外の場所が原因でおこる痛みは異所性疼痛(いしょせいとうつう)』(異なる場所からくる痛み)といって、あまり一般に知られていません。発生率自体が低いからという理由が一つと(三叉神経痛の場合で年間発生率は0.004%)、原因の特定が難しいからです。

たとえば・・・、
@ ある患者さんが奥歯に痛みを訴えて歯科を受診します。
A 検査の結果、奥歯にごく小さな虫歯がみつかります。
B 診たところ進行性の状態ではなく、歯磨きも良く出来ているので、このまま温存したほうが下手に削ってしまうより歯としては長持ちするような状態にみえます。
C しかし、患者さんからは痛みをどうにかしてほしいので虫歯の治療を希望されます。歯科医は出来るだけ歯質を残すよう最低限削って治療します。(歯は削ってしまうと再生しないので最近ではこういった最低限の切削で行うMIという治療が主流になってきています)
D それでも痛みは止まりません。再治療を希望されます。
E 痛みの具合を聞くとズッキンズッキンする感じとのこと。虫歯菌が歯の神経に入ってしまっていたのかと歯の神経を抜いて治療します。
F まだ、痛みは止まりません。
G 歯の神経の管の処置が甘かったかともう一度再治療します。
H まだ、痛みの止まらない患者さんからは、もう痛くたまらないから歯ごと抜いてくれといわれます。
I 歯科医としてはかなり迷うところで、様子をみたりしているうちに痛みが治まってきました。
患者さんも歯科医もやっと治療が効いてきたと、ほっと胸をなでおろします。

しかし、この歯の痛み本当に虫歯が原因でしょうか?もし虫歯でなく異所性疼痛だったら・・・。
ズッキン・ズッキンする痛みは群発頭痛や心疾患の異所性疼痛とも似ています。もし群発頭痛なら、痛みが治まったのは単に群発期が終わっただけで、何年か後に次の群発期がやってきたらまた同じことを繰り返すことになるかも知れません。歯の神経はまったく無駄に抜いたことになります。この次にはついに歯を抜いてしまうかもしれません。それでも群発期であれば痛みは継続します。
しかも、慢性的な痛みは中枢神経で痛覚の過敏化(通常では考えられない些細な刺激にも痛みを感じてしまうこと)や関連痛(同じ神経の支配下にある他の部位に発生する痛み)を引き起こし、痛みの悪循環をおこしてしまいます。
(この関連痛が原因部位の特定を難しくし、過敏化で興奮状態にある患者さんはコミュニケーションがとりにくくなります。)

もちろんこれは例え話で最悪のシナリオです。しかし、発生率が低いとはいえ確実にこういう疾患は存在します。
しかも上記の例のように患者さんも歯科医も気づいていないだけという症例も潜在的に存在していると思います。

ここで大切なのは、まず、こういう「異所性疼痛というものがある」ということを知っていることと、医師と患者が普段から充分なコミュニケーションをとるということです。
例えば、帯状疱疹の既往に関しては、患者さんから聞かない限りは まずわからないことですが、患者さんのほうでもまさか帯状疱疹と歯が関係していると思いもしなければ、あえて歯科でも話さない可能性があります。
また、歯科サイドでも全身の疾患については専門外で知識の少ない部分があり(お恥ずかしい話ですが今回これを書くまで群発頭痛という疾患自体を知りませんでした・・・!)、こういった異所性疼痛の発見の遅れにも繋がっていると思います。
われわれ歯科は「歯痛=虫歯」という発想のみにとらわれず、あらゆる角度から患者さんの痛みと向き合い、他分野との連携も深めていく必要がありますし、みなさんも「歯とは関係ないから・・・」を思わずにいろんな話をしていただければと思います。全身の疾患や、「痛い」と一口にいっても、痛みの質やいつどんな時にどのくらいの時間痛いかなどは、患者さん自身にしか知りえない貴重な情報なのですから。







このページのTOPへ

  プライバシー&サイトポリシー COPYRIGHT(c)2007 HIJIYA ORTHODONIC OFFICE,All Rights Reserved.
>文字の大きさの変更方法