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ひじや矯正歯科
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今月のトピックス

 昨年4月にホームページ開設以来、おかげさまで早10か月。月日の経つのは早いものですね。今年も皆様のお役に立てますよう一生懸命頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。これから矯正治療を始めたい方も、現在治療中の方も、このホームページを通してよりいっそうのご理解を深めていただければ幸いです。
こちらの今月のトピックスのコーナーでは、毎月新しい治療例や歯に関するちょっと気になる話題などを紹介していきたいと思っておりますので、ご意見ご要望などおよせください。どうぞよろしくお願いいたします。

トピックス バックナンバー
2007年12月 歯磨き粉、使う?使わない?
2008年1月 下顎前突外科症例
その他のバックナンバー


2008年2月 下顎前突(かがくぜんとつ)外科症例 2

 今月は先月ご紹介した下顎前突(かがくぜんとつ)を外科手術を併用して治療した症例の外科手術の部分について具体的に触れていきたいと思います。こうした外科手術を併用して治療する症例は顎変形症とよばれ、下顎前突だけでなく上顎前突や開咬、顎骨左右非対称など上下の顎そのもののアンバランスに原因がある不正咬合をいいます。矯正治療だけでは機能的・審美的な改善が困難な症例です。矯正歯科治療と外科手術を組み合わせて治療しますので、こういった治療を外科的矯正と呼びます。入院期間が必要であるというデメリットはありますが、治療期間の短縮や治療費に保険がきくなどのメリットもあります。(保険について詳しくは保険治療と自費治療のページをご覧ください。⇒
 では、以下に手術の術式など治療の流れに沿ってまとめてみましたのでご参考になさってください。

1.インフォームド・コンセント
 まず、当院での相談の上、外科手術での治療が決まったら、実際に手術を行う岡山大学病院口腔外科を受診していただき、手術の術式や日程、費用などの説明を受けます。本人と保護者の方に充分納得していただいたら治療開始です。

2.術前矯正
 これはもともとの歯並びがでこぼこだと手術で顎の位置を変えてもうまく咬み合わせることができず、術後の顎の位置が固定ができないことや、顎の位置の移動量自体が決めにくかったりといった理由から、手術の前に術後の咬み合わせを想定しながらマルチブラケットシステムで歯並びを整えていきます。

3.手術の準備
 さて、実際に手術を行うためにいくつかの準備が必要です。この患者さんのように下顎を切断する症例では、下顎の親知らずが手術で骨を切る際、障害になる位置にある場合、あらかじめ抜歯が必要です。
 また、その他の症例で上顎の骨も切るような場合では比較的多くの出血が予想されるので、ウィルス等の他からの感染を防ぐため、自己輸血の準備を行います。これはあらかじめ自分の血液を何度かにわけて採取・保存しておき使用します。
これらの準備は期間がかかるため、術前矯正の期間に済ませておきます。また、あくまで各症例において必要な場合のみですので行わない場合もあります

 では、術前矯正もほぼ完了し、手術の時が近づいてきたら、大学病院にてもう一度最終的な手術の詳細の説明を受け、実際の入院日や手術用の全身検査(血液検査や心電図等)の日取りを決めていただきます。
 当院の方でも、手術一ヶ月前に写真や歯型、顎運動などの検査を行い、手術後の下顎固定用のバイトプレートを製作します。これは手術で分割された骨を良い咬み合わせの位置で癒着させるために、顎の位置がずれないように上下の歯列の間に咬ませる薄いプラスチック製のプレートで、当院で製作したものを、手術時に大学病院でセットします。バイトプレートを咬ませた状態で、上下の歯に着いているマルチブラケットシステムのフックにゴムをかけて固定するわけです。(下図参照)このゴムをかける部分は通常のマルチブラケットシステムに装着するのですが、少しでっぱった形になり違和感があるので、できるだけ装着期間が短くなるように手術の直前(一週間程度前)に当院で装着します。

4.入院&手術
 いよいよ、手術です。患者さんと病院側の都合に合わせて手術日の3〜1日前までに入院します。手術は全身麻酔で行われますので、術中は意識はありません。まずは骨に到達するために切開します。口の中の粘膜から切開していくので、顔の表面に傷が残る心配はありません。骨の切断には下顎前突の場合でもいろいろな方法がありますが、下図は現在、岡山大学でもっとも多く行われている方法です。骨をずらして重ねた部分は、あえて金属プレートなどによる固定は行いません。顎関節の部分が筋肉や周りの組織の自然な力で、安定する位置に収まるのを促すためです。また、シンプルな切断法なので、比較的手術時間が短くてすみますし(手術時間が短いほど、感染などの患者さんのリスクが軽減されます)、後の金属プレートの摘出手術も必要ありません。

術後1週間程度固定を行い、この間は口は開きませんので食事は点滴、または奥歯の後ろにチューブを通しての流動食になります。
その後バイトプレートをはずし、口を開ける練習を始めていきます。2週間程度で顔の腫れも引ききちんと咬めるようになります。トータル約三週間程度で退院です。

5.術後矯正
 退院後も開口訓練を続け、ある程度口が開くようになったら、当院へ来院していただきます。少し顎周りに痺れた感じが残る場合もありますが、次第に収まります。様子を見ながらマルチブラケットの調整を続けて術後矯正を行い、安定した咬み合わせになったら治療終了です。


 今回紹介させていただいた症例は、下顎前突でしたが、外科手術は技術の進歩とともに様々なバリエーションがひろがりつつあります。特に顎の成長が止まった成人の場合通常の矯正治療のみでは、機能的審美的に満足のいく結果を出すのには限界があり、こうした新しい治療法が有効です。確かに入院や手術費といった患者さんの負担は少なくはないですが、手術のあと長年のコンプレックスから開放された喜びはそれまでの大変さを上回るようです。もうずいぶん以前の患者さんですが、内気でこちらから話しかけても最低限の返事しか返ってこないような少年でしたが、手術の後、初めて来院した際、それまで見たことのないような笑顔で話しかけてきたとき、顔の形が変わっているせいもありましたが何よりその雰囲気の違いに、一瞬誰かわかませんでした。その後、治療も終了し、数年後、定期健診に訪れた彼は、なんと車の営業マンになっていました。かつての少年時代からは想像できない滑らかで朗らかな営業トークに、しみじみとこの仕事をやっていて良かったなあと思いました。まだまだ、外科手術や矯正治療自体に否定的な意見もありますが、歯並びや口元の外見が個人の性格に影響を及ぼすことは否定できない事実だと思います。もちろん、良い咬合わせが体の健康に良い影響をもたらしてくれることは言うまでもありませんね。

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