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2003年1月の棚
 
四季の絵ばなし わちふぃーるど/池田あきこ
中央公論新社/552円(税別)

わちふぃーるどのてのひら絵本シリーズで、四季折々の出来事や事件が16話収録されています。
◆てのひら絵本の名のとおり、多くの絵で物語が綴られます。絵本というよりコミックに近い感じと言えるのでは?
◆楽しく、かわいいのですが、あッと言う間に読み終えてしまうのが少しさみしい。1日1話づつ読めばよかったかな〜。

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殺人鬼の放課後 ミステリ・アンソロジー2/恩田陸ほか
角川書店/476円(税別)

恩田陸『水晶の夜、翡翠の朝』、小林泰三『攫われて』、新津きよみ『還ってきた少女』、乙一『SEVEN ROOMS』以上4編、書き下ろし作品収録。
◆「水晶の夜、翡翠の朝」は『麦の海に沈む果実』の登場人物と舞台とのこと。(未読)舞台となる学校は、いったい何処にあるのかが不思議。『麦の海〜』を読むとわかるかな、読んでみたいな。 「わらいカワセミにはなすなよ」の見立て傷害事件です。
◆乙一『SEVEN ROOMS』は殺人鬼というアンソロジーらしい作品。コンクリートでできた7つの部屋とその法則。怖いよ。グロいし…。

 
 
ぶたぶた/矢崎存美
徳間書店

まずはベビーシッター。ある時はタクシードライバーで、またある時はサラリーマン。彼は一見ただのピンクのぶたのぬいぐるみ。でも実は山崎ぶたぶたという名を持つ、しゃべる、食べる、働くぬいぐるみなのです。しかも美人の奥さんも子供もいる…。
そんな彼と出会った人の物語。

◆まずは表紙をご覧下さい。彼が山崎ぶたぶた氏です。
こんな彼が、タクシーを運転したり、駅のホームで牛乳をのんだりするのですよ!生活感があって、おじさんだけど、ほっんとカワイイと思いませんか?
◆この本、かわいいだけでなく、ぶたぶたの素直な目線と心で語られる言葉に、なんとなく癒される感じです。最初は笑いながら、最後はほろりとしながら読んでました。 そして忙しく歩いている街の中に、桜色のぶたぶたをつい探したくなります。(ぜひ見つけたい!)

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海洋堂クロニクル「世界最狂造形集団」の過剰で過激な戦闘哲学
あさのまさひこ/太田出版/2800円(税別)

海洋堂とは?そのマニアックな世界とは。
海洋堂…名前は知ってる。チョコエッグは買ってないけど、ペンギンやアリスや名作物は買ってる。秋葉原に行ったらホビーロビーにも時々寄る。模型を見るのはすきかな?
この程度の知識で、この本に挑むのは、ちょっと無謀だったかも…。注釈はいっぱい有るし、写真も多いから感じはつかめます。ガレージキットに対する熱気も感じるのです。
でも、ちょっと新しい世界を見てみたいという程度で読むにはマニアックすぎた気がします。
個人的には食玩の写真がもっと多いと思ってたんだけど…。
◆海洋堂と言う会社の太鼓持ち的本ではなかったのは好印象です。ただ全ページ2色印刷はムダでは?見にくい感じ。でもそれなりに面白い本でありました。基礎知識があるともっと楽しめる本だとおもいます。

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悪夢制御装置/ホラーアンソロジー・篠田真由美ほか
角川書店/514円(税別)

篠田真由美『ふたり遊び』、岡本賢一『闇の羽音』、瀬川ことび『ラベンダーサマー』、乙一『階段』以上4編、書き下ろし作品収録。
◆乙一作品が目当てで購入しました。2階に部屋を持つ小学生の姉妹。妹は家の階段が怖くて降りられない…。『階段』
これはたしかに怖い話なんですけど、ホラーというのでしょうか。ある意味一番分りやすい怖さであるけれど、こういう怖いはとても悲しいですね。
◆『ラベンダーサマー』は面白い話です。笑える…。ホラーにこの形容はどうなんでしょ?でも一番気に入った話です。
◆『ふたり遊び』は不思議な感じ。『闇の羽音』は苦手なタイプ。虫はダメなので…。

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スタジアム虹の事件簿/青井夏海
東京創元社/620円(税別)

東海レインボーズはプロ野球球団。だけど万年最下位の弱小チーム。
オーナーが死んで未亡人・虹森多佳子が新たにオーナーになったけど、彼女は大の野球オンチ。ルールを覚えるためにも球場に通い試合を観戦する。
そして観戦中に耳にした観客の会話から、推理を展開するのだ…。

◆5話からなる連作短編集。多佳子さん程でなくとも野球に興味のない私にも野球のルール等がわかってきます。そして野球の試合と絡ませて多佳子さんが謎を解いていくのがユニーク。だって事件と野球って全然接点はないのに…。
◆野球の結果の方もだんだん気になって来る頃には、レインボーズは優勝を争うようになってきます。野球の好きな方はより楽しめそうですよね。

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らくりからくさ/梨木香歩
新潮社/590円(税別)

蓉子は祖母が遺した古い家を下宿とし、四人で共同生活を始めた。
その生活は糸を染め機を織り、野草を食べたりする、浮き世離れした静かで、穏やかなものだった。
やがて一体の人形・りかさんを中心に不思議な縁が浮かび上がる…。

◆何とも不思議な読後感です。すごい盛り上がりがあるのではないけれど、まるで織物のように、いくつもの出来事が編まれて、美しい模様の出来上がりを見ているような、そんな気分です。本来ならもっとドロドロするような出来事も、模様の一つとして静かにそこにあります。
◆日常の中で忘れてしまった美しい世界がこの本の中にありました。

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シェイクスピアを楽しむために/阿刀田高
新潮社/590円(税別)

阿刀田高氏による古典解説シリーズ、今回はシェイクスピアです。
ハムレット、ベニスの商人、マクベス、リア王etc。タイトルもだいたいのあらすじも知ってはいるけど…という方に、もちろんシェイクスピアって?という方も、気楽に読める入門書。

◆タイトルしか知らなかった劇、思っていたよりもっと複雑だった劇…いろいろ有ります。シェイクスピアって知っているようで、結構知らなかったんだなアと、あらためて気がつきました。
考えてみれば戯曲ってあまり手にしないものね。お芝居もみないし。だいたい私が読んだのも岩波少年文庫の物語化したものだと思うし…。今回、勉強になりました。もちろん、楽しみながら。

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ガーデン/近藤史恵
東京創元社/740円(税別)

火夜という少女がいる。名前の通り危うく美しい少女が。
真波という少女がいる。火夜と同居していた穏やかな少女。
同じマンションに探偵が住む。そして真波は探偵を訪ねる。
「火夜が帰らない」と小函に入れられた火夜のものと思しき小指を持って…。

◆装幀が美しくて、読んでみたかった本です。しかし、読み終わってこんなに言葉にしにくい本は久しぶり。思うことは色々あるのだけれど…。
◆美少女に美しい庭、そして拳銃。美しく哀しい世界で死体が増えていくように、頭の中には?が増殖していきました。でも最後にきて、視界が開けた気がします。
せつなすぎる動機、そして名探偵という存在。悲しく、そして心が痛い物語。人物の存在が、美しい庭とともに心に残る物語でありました。

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散りしかたみに/近藤史恵
角川書店/457円(税別)

歌舞伎の公演中に必ず一枚の桜の花びらが舞い落ちる。
誰も気付かないような、このささいな謎を、本来の舞台の華である女形の瀬川菊花師匠の命により調べることになった小菊は…。
『ねむりねずみ』で活躍した探偵・今泉と女形役者の小菊による歌舞伎を題材としたミステリ。

◆ちょっとした好奇心から始った物語は悲劇へと向かいます。華やかな舞台に風雅に、しかし観客に気づかれることもなく儚く舞い落ちる、たった一枚の花びらに込められていた思いは、とても悲しいものでした。
◆『ねむりねずみ』同様、歌舞伎を知らなくてもOKでしたが、知っていると舞台をもっと美しく思い描けるのでしょうね。
◆探偵の今泉、彼は不思議…。名探偵というのとは違いますよね。なんていうか超能力者のような…。この後の『ガーデン』が楽しみです

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さみしさの周波数/乙一
角川書店/457円(税別)

『未来を見たと言っても、完璧じゃない。必ず当たるわけでもない』彼は自分の力を『未来予報』と呼んだ…。
そしてある日僕と幼馴染みの少女の未来を予報したのだ…。
『未来予報』『手を握る泥棒の物語』『フィルムの中の少女』『失はれた物語』の4作収録。

◆『未来予報』この話もよかったのですが、『失はれた物語』が一番気に入っています。事故により右腕以外の感覚を失ってしまった男の話です。その右腕に語りかける妻、そして男の思い…切ない物語です。そしてどちらも、失ってからわかる大切なものの話といえます。
『手を握る泥棒の物語』は面白い話です。結構好きだな。明るいラストでよいですヨ。 新作は当分発表しないと後書きにあるのが、ちょっと気になります。

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ラッシュ・くらっしゅ・トレスパス/風見周
富士見ファンタジア文庫

『アナタのお家は安全ですか?私たちがお宅に侵入し、警備体制のチェックを致し、防衛案を提出いたします!』
蒸気機械とモンスターが両立する街・ホリズムには侵入屋という商売が有る。
トレスパスはその中の1つ。
ただ他と違い『成功しなければ、お代はいただきません』がモットーなのだ。
かくして赤字続きの経営の打開策として、吸血鬼−レイヴァを復活させることに…。

◆主人公の蒸気工学エンジニアの少女マナを始め、ユニークなトレスパスのメンバーがとても素敵です。
富士見ファンタジア文庫としては結構厚い方なのでしょうが、100ページも減らさなくてもいいでは?削られた部分が気になります。別に京極作品のような厚さじゃないのですから。
◆2作目はよりテンポも良く、とても面白くなりました。チームワークが好き方、おすすめします!このままシリーズが続いて欲しかったんだけど…。
◆おときたたかお氏の絵もお気に入り!

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落花流水/山本文緒
集英社/476円(税別)

わがままに育った7才を隣家の少年が。
かつて姉と呼んでいた母と2人で暮らし、大人になることを考えた17才を主人公が。
結婚と言う平凡な幸せを選んだ27才を母親が…というように10年毎に語り手を替えて語られる、一人の女性の物語。

◆自分が選ぶ人生とはいえ、それは誰かの影響を受けているのかもしれません。母親、主人公、娘の三代の生き方にいろいろ考えながら読みました。
◆語り手を替え、10年の間を開けたスタイルは、物語を重くさせず、よかったのでしょうね。

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ねむりねずみ/近藤史恵
東京創元社/520円(税別)

女形の中村銀弥は、言葉が頭から消えていく恐怖を感じていた。妻の一子は気づかう事しかできなかった。
幕は変わり、歌舞伎の上演中に観客が殺される事件が起きる。
探偵の今泉が事件の真相を探りに、大部屋の女形小菊を訪ねてくる。
殺人事件は、そして中村銀弥の言葉を忘れていく現象はどうなるのか?

◆事件の謎解きは、やはり無理があるように思います。しかしそれは−動機も含めて−、舞台の魅力(魔力かも?)の大きさを感じさせてくれたのではないでしょうか。
◆歌舞伎を知らなくても楽しめました。今度TVででも見てみようかなと思ってます。 大部屋の女形・小菊がいいのですヨ!
◆『ガーデン』を読みたいと思ってる所に、古本屋で本書を発見!今年はツイてるかも!

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遠い約束/光原百合
東京創元社/520円(税別)

浪速大学に入学した桜子は、浪速大学ミステリ研究会、略して、なんだいミステリ研に入るため、ポスターに例会があると書かれた喫茶店へ向かった。
その店に集まっていたのは、個性豊かな3人の先輩達。
そして、なんだいミステリ研の一員として桜子のキャンパスライフは始まった…。

◆ミステリ研の事件の間に、この話のメインである桜子と大叔父の交流の物語があります。11年前に約束した夢。死んでしまった大叔父の遺言探し・暗号…。この話がとてもいいです!再読にも関わらず、泣いてしまいました…。
◆そしてなんて素敵な先輩達!桜子、君がうらやましいです。そして、大学のミステリ研というのも、おもしろそうですよね。なんか学生時代が懐かしい。

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バトル・ロワイアル(上・下)/高見広春
幻冬舎/各600円(税別)

修学旅行へ行くはずだった。しかし城岩中学3年B組の生徒42人は瀬戸内海の島でゲームの中に放り込まれる。
それは国家による「プログラム」、与えられた武器で互いに殺し合うというものだった。
帰ることができるのは、最後に生き残った一人のみ。

◆映画化の際、論争となった作品です。
確かに殺人は多く、残酷なシーンもあります。しかしそれ以上に42人の各生徒の心理描写が細かく、戸惑い・葛藤等、各々の気持ちの方が心に残ります。
◆人を信じようとする心、信じることの難しさ、諦めないことetc。色々考える小説でした。私ならどうするのだろう?あなたならどうしますか?
◆上下巻で結構な厚さがありますが、引き込まれて一気に読んでしまいました。上下巻そろえてから読む事をおすすめします。

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うつくしい子ども/石田衣良
文芸春秋/476円(税別)

自然豊かなニュータウンに住む主人公は、顔だちの美しい弟や妹に比べて、ニキビが気になる、植物が好きな普通の中学生。
ある日起きた9才の少女の猟奇的な殺人事件。
世間を騒がせたその事件の犯人として補導されたのは、主人公の13才の弟だった…。

◆確かに事件は許されないものです。しかし、その後の犯人の家族に対するの周囲の陰湿さは、現実でも同様だと思えるだけに、とても悲しいものがあります。
そんな中でも弟の気持ちを理解しようとする主人公の姿はとても清清しく、『正しさの基準を外の世界にでなく、自分自身の中心に据える』本当に『うつくしい子ども』でした。

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星虫/岩本隆雄
朝日ソノラマ/571円(税別)

ある日、流星雨とともに人類の額に星虫がはりついた。
最初は小さく、人間に恩恵を与えてくれる星虫を人類は歓迎した。
しかし日ごとに大きくなっていく星虫と共存する人は減っていく。
宇宙飛行士を目指す友美は星虫を守ることができるのか?星虫とはなんなのか?

◆『夢は見るためにあるのではない』と強く語りかけてきます。元気が欲しい時に読む本です。
◆新潮社版を愛読してました。ソノラマ版では時代にあわせた加筆があります。細かい所が変わったかな?個人的には新潮社の道原かつみさんのイラストも捨てがたいのですがねェ。でも絶版では…。
◆アニメ化の話があるそうです。ホントかな?

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